globeandmail.com 2008年7月12日
カナダ環境省 難燃剤デカBDEを部分的に禁止

情報源:globeandmail.com, July 12, 2008
Environment Canada places partial ban on flame retardant
MARTIN MITTELSTAEDT
ENVIRONMENT REPORTER
July 12, 2008

http://www.theglobeandmail.com/servlet/story/LAC.20080712.RETARDANT12/TPStory/National

掲載日:2008年7月16日
化学物質問題市民研究会
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kaigai/kaigai_08/08_07/080712_Canad_Deca.htmll


 カナダ環境省(Environment Canada)は、デカBDEとして知られる難燃剤は危険なので会社がこの化合物を製造することは禁止するが、この化学物質が自由に輸入されテレビや車の内装などに使用されることは従来どおり許可するであろうと述べている。
訳注:News Release July 11, 2008
Government of Canada Bans More Harmful Chemicals More Action Taken Under Chemicals Management Plan
http://www.ec.gc.ca/default.asp?lang=En&n=714D9AAE-1&news=C0D6EB45-514A-4050-98B5-9B8A6730BBFB

 カナダへの輸入は許可するがカナダで製造することは禁止するというこの通常ではない分裂した決定は今週の初めに規制の中で発表されたが、それはこの議論ある化学物質についてのオタワ(カナダ政府)への激しい圧力を反映している。

 デカは実際にはカナダでは製造されていないが、国外のこの化学物質の製造者らは世界で最初の製造禁止が行われれば他国の政府に影響を与えるという理由で、製造禁止に反対して政府にロビーイングを行った。一方、カナダの自動車会社は車の内装の北米火災安全基準を満たすためにデカの使用を継続できるようロビーイングを行った。

 デカは、ポリ臭素化ジフェニールエーテル(PBDEs)として知られる化学物質の一族であり、その量が野生生物中で急速に増加しているために生物学者の中で警告の声が上がっている。カナダ・ガゼット(訳注:カナダ政府の新聞)に発表された規制についての声明によれば、カナダ環境省はこの化学物質が野生生物に汚染を引きこしているということを懸念して、この化学物質を規制しようとしている。

 ”デカBDEの製造禁止はデカBDEの製造からPBDEの将来の排出をなくすことを確実にする”とカナダ環境省は述べた。”デカBDEの輸入、販売、販売のための提供、及び使用はこれらの規制の下で禁止されない”。

 PBDEsは甲状腺ホルモンのレベルを変更することができるため及び、子どもの低知能化やその他の有害影響と関連する禁止化合物であるPCB類と類似の分子形状を持つために、PBDEsは潜在的な人の健康への懸念をもたらす。しかし、カナダ環境省は連邦政府保健当局はカナダ人の組織中のレベルは健康を損なうほどには高くないと結論付けた。

 ”禁止しなければ意味がない”と昨日環境大臣ジョン・バイルドに書簡を送りデカの使用継続を許す政府の決定をこき下ろした環境団体エコジャスティス(Ecojustice)の科学者エレーナ・マクドナルドはコメントした。”疑い深く見れば、本件については産業側が勝っている”。

 しかし、デカの製造者らはこの化学物質はどのようなリスクをも及ぼさないと述べている。”我々はデカは安全な製品であることを支持する”とワシントンを拠点とする主要化学会社4社の産業団体である臭素科学環境フォーラムの議長デーブ・サンダースは述べた。

 デカは、石油から作られ非常に可燃性が高いプラスチックに加えられ、急に燃え上がることがないようにする。テレビではデカは耐衝撃性ポリスチレンから作られている外部ケースに使用されている。車ではシート、電線、計器パネルなどに使用されている。

 産業界は難燃剤の使用は火災の防止又は遅延により人の命を救うと主張するが、化学物質の批判家らはもっと安全な代替品が存在すると主張する。

 フォーム・マットレスのような製品に使用されているPBDEsの他の二つの種類は、非常に危険なので実質的に廃絶という最も厳しい規制措置に適合するというカナダ環境省による決定を受けて、カナダ市場では2006年にその使用と販売が廃止されている。しかし、市場に残る唯一のPBDEであるデカは太陽光や生物により既に廃絶された化学物質に分解する。

 カナダ環境省の規制の下では、会社はペンタ及びオクタとして知られる他の二つの種類のPBDEsの製造、使用、及び輸入を禁止されている。

 カナダ環境省は、デカによって及ぼされる有害性(ハザード)に関する2005年以降の科学論文の”包括的なレビュー”を実施したが、そのピアレビュー報告書は今年の夏遅くに発表されると考えていると述べた。カナダ環境省は、”更なるリスク管理措置が求められるかどうか”決定するために、新たな科学的調査を検証し続けると述べた。

 カナダ環境省によれば、スウェーデンは、布製品、家具、及びケーブル中で0.1%を超える場合デカを部分的に禁止した。アメリカの多くの州でもまた制限している。

 デカの使用についてボビーイングした自動車産業がこの決定で最大の勝利者であるが、国内で製造を禁止された物質を使用しているという汚名に直面するであろう。

 カナダ自動車製造者協会の会長マーク・ナンタイは、デカは衝突時の火災リスクを緩和する効果的な製品であると述べた。彼は、”会社は常に代替品を探しているが、現在市場ではデカほど効果的な代替は見つからない”と述べた。


訳注:関連情報
■News Release July 11, 2008
Government of Canada Bans More Harmful Chemicals More Action Taken Under Chemicals Management Plan
http://www.ec.gc.ca/default.asp?lang=En&n=714D9AAE-1&news=C0D6EB45-514A-4050-98B5-9B8A6730BBFB

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