1変数関数の導関数の計算公式 : トピック一覧

 ・定数値関数の微分公式 
 ・k次関数(kは整数)の微分公式/k次関数(kは実数全般)の微分公式 
 ・対数関数の微分公式/指数関数の微分公式
 ・絶対値の対数の微分公式/関数の絶対値の対数の微分公式(応用:対数微分法/相対変化率/弾力性)

 ・関数の和の微分公式/関数の定数倍の微分公式/関数の積の微分公式/関数の商の微分公式
 ・合成関数の微分公式chain rule/逆関数の微分公式/媒介関数による微分公式 



 1変数関数の微分関連ページ:
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定理:定数値関数の微分公式 Constant Function Rule


 ・1変数定数値関数y=f (x)= k導関数は、0。

 ・つまり、すべての実数k に対して、 (k)=0  

 なぜ?→証明 

 逆は成り立つか?→平均値定理の系3  





[文献]
 ・和達『微分積分』3-3(p.47):証明付;


 ・『高等学校基礎解析』p.104 

定理:関数の和差の微分公式 Sum-Difference Rule 

 f (x)g (x)区間Dで微分可能ならば

 その和差も区間Dで微分可能であって、

 以下が成り立つ。

 ( f (x) ± g (x) )=f' (x) ± g' (x)  

  なぜ?→証明      




[文献]
 ・和達『微分積分』3-3(p.48):証明無
 ・矢野・田代『社会科学者のための〜』p.72 


 ・『高等学校基礎解析』p.105




定理:関数の定数倍の微分公式

  f (x)区間Dで微分可能ならば

  その定数倍も区間Dで微分可能であって、

  以下が成り立つ。

   ( k f (x) )= k f' (x)   (ただし、kは定数)

  なぜ?→証明   




[文献]
 ・和達『微分積分』3-3(p.48):証明無
 ・矢野・田代『社会科学者のための〜』p.72 


 ・『高等学校基礎解析』p.104



定理:関数の積の微分公式 Product Rule 

 f (x)g (x)区間Dで微分可能ならば

 その積も区間Dで微分可能であって、

 以下が成り立つ。

  ( f (x) g (x) )= f' (x) g (x) + f (x) g' (x)  

 なぜ?→証明    




[文献]
 ・小平『解析入門I』§3.2a(pp.112-3):証明付
 ・吹田新保『理工系の微分積分学p.38:証明付;
 ・和達『微分積分』3-3(p.48);問題3-3-(1)(p.52;219):証明付
 ・矢野・田代『社会科学者のための〜』p.72 
 ・高橋『経済学とファイナンスのための数学p.49.


 ・『高等学校基礎解析』p.49:証明付

  

定理:関数の商の微分公式 Quotient Rule 

 f (x)g (x)区間Dで微分可能ならば

 g (x)≠0であるようなxDに対して、
     f (x) / g (x)も区間Dで微分可能となって、

 以下が成り立つ。

 ( f (x) / g (x) )= { f' (x) g (x) −f (x) g' (x) } / g 2 (x)  

 なぜ?→証明 
     




[文献]
 ・小平『解析入門I』§3.2a(pp.112-3):証明付
 ・吹田新保『理工系の微分積分学p.38:証明付;
 ・和達『微分積分』3-3(p.48);問題3-3-(2)(p.52;220)証明付
 ・矢野・田代『社会科学者のための〜』p.72 
 ・高橋『経済学とファイナンスのための数学p.49.


 ・『高等学校基礎解析』p.50:証明付





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定理:合成関数の微分公式 chain rule

 y = f (x)x=x0で微分可能で、
 z = g ( y )y0 = f ( x0 ) で微分可能ならば

 合成関数 z=g ( f (x) )は x=x0 で微分可能となり、
 微分係数g' ( f ( x0 ) ) f ' ( x0 )で与えられる。

 このことは、dz/dx = dz/dydy/dx とかくことができる。

図解:ここでの想定
   
簡単な適用例: y=(2x+3)5 の微分  
   y=(2x+3)5 は、     
    z=g(y)=y5, y =f(x)=2x+3の合成関数z=g ( f (x) )。 
     g'(y)=5y4 、f ' (x)=2  だから、        
    z ' =g' ( f ( x ) ) f ' (x)=5(2x+3)4・2=10(2x+3)4   
なぜ?→証明  
     




[文献]
 ・小平『解析入門I』§3.2b(pp.113-5):証明付
 ・吹田新保『理工系の微分積分学pp.38-9:証明付;
 ・和達『微分積分』3-3(p.48);問題3-4(p.52;220)証明付
 ・矢野・田代『社会科学者のための〜』p.82 
 ・高橋『経済学とファイナンスのための数学p.53.


 ・『高等学校基礎解析』p.53



定理:逆関数の微分公式 inverse function rule 

 y = f (x)区間Dで連続かつ狭義単調とする。

 f (x)x=x0 で微分可能
 かつ
 この点における微分係数f' (x0) ≠ 0

 とすると、

 逆関数x= f -1 (y) は、y0 = f ( x0 )で微分可能で、

 微分係数は1/f ' (x0)=1/f ' (f -1 ( y0 ))で与えられる。

 このことは、dx / dy = 1/( dy/dx ) とかくことができる。

y = f (x)区間Dで連続かつ狭義単調だとしても、
 点x=x0において微分係数f ' (x0) = 0 となって、
 逆関数x = f -1 (y) が、y0 = f ( x0 )で微分可能でない例 [小平『解析入門I115-6]
    y = f (x)x3 連続かつ狭義単調増加だが微分係数 f ' (0) = 0 となって、
    逆関数y= 0で微分可能ではない。
なぜ?→証明   
     





[文献]

 ・小平『解析入門I』§3.2c(pp.115-6):証明付
 ・吹田新保『理工系の微分積分学p.40:証明付
 ・和達『微分積分』3-3(p.49);問題3-5(p.52;220)証明付
 ・高橋『経済学とファイナンスのための数学p.54.











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定理:媒介変数による微分

   [吹田・新保『理工系の微分積分学p.40:証明付.]
 x = f ( t ), y=g( t )において、  
  (1) x = f ( t )狭義単調
  (2) x = f ( t ), y=g( t )t上の区間微分可能  
  (3) f ' ( t )≠0 
 ならば、  
 yxの関数としてx上の区間 f ()={ x | f −1( x ) D }微分可能で、
 dy/dx = (dy/dt)/(dx/dt)   
  
 なぜ?→証明  
 

reference

岩波数学辞典(第三版)』.
吉田耕作・栗田稔・戸田宏『昭和63年3/31文部省検定済高等学校数学科用 高等学校 基礎解析 新訂版』啓林館、pp.104-105.
吉田耕作・栗田稔・戸田宏『平成元年3/31文部省検定済高等学校数学科用 高等学校 微分・積分 新訂版』啓林館、pp.49-57;68.
矢野健太郎・田代嘉宏『社会科学者のための基礎数学 改訂版』裳華房、pp.72-89.
神谷和也・浦井憲『経済学のための数学入門』東京大学出版会、1996年、pp.207-209.
高木貞治『解析概論 改訂第三版』岩波書店、1983年、pp.37-47.
小平邦彦『解析入門I』(軽装版)岩波書店、2003年、§3.2微分の方法a関数の一次結合・積・商の微分法(pp.112-3);b合成関数の微分法(pp.113-5); c逆関数の微分法(pp.115-6)。
和達三樹『理工系の数学入門コース1:微分積分』岩波書店、1988年、pp.47-52.
吹田・新保『理工系の微分積分学』学術図書出版社、1987年。pp.38-41.
杉浦光夫『解析入門』岩波書店、1980年、pp.81-91.  ただし、いきなり多次元。
高橋一『経済学とファイナンスのための数学』新世社、1999年、pp.49-55..
Chiang, Fundamental Methods of Mathematical Economics: Third Edition, McGraw Hill,1984.pp.155-173.


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