1変数ベクトル値関数の微分  

 ・定義:微分可能・微分係数[要旨/表現1/表現2]/導関数 
 ・定理:
微分可能と連続// 

 ※1変数ベクトル値関数の関連ページ:1変数ベクトル値関数の定義/極限/ 
 ※微分定義関連ページ:1変数関数の微分/2変数関数の偏微分/高次の偏微分/微分演算子
 
n変数ベクトル値関数の微分の応用:合成関数の微分/陰関数定理/逆関数定理/
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定義:1変数ベクトル値関数の微分可能、微分係数



1変数m値ベクトル値関数 (y1,y2,,ym)= f (t) についても、
  
微分可能微分係数を定義できる。
1変数m値ベクトル値関数 (y1,y2,,ym)= f (t)x0で微分可能である」とは、
   

 が存在すること、
 つまり、 
 
実数hを0に近づけると
   
m次元数ベクトル f (x0+t)f (x0 )  
   に
実数(1/h)だけスカラー倍してできた
       
  (値は、
m次元数ベクトルになる) 
 が、  
 
収束することをいい、
 このとき、
  
m次元数ベクトル
    
 
  を、
 「
x0における 1変数m値ベクトル値関数 (y1,y2,,ym)=f (t)微分係数接ベクトル
 という。


[文献]
・杉浦『解析入門I』U§1定義1(p.82); 定義2(p.85).
Rudin現代解析学5.16(p.111).
・斎藤『線型代数入門7章§1(pp.203-4);


※関連:
 
1変数ベクトル値関数の微分可能・微分係数》の《1変数実数値関数の微分可能・微分係数》への還元

 


x0における 1変数m値ベクトル値関数 (y1,y2,,ym)=f (t)微分係数接ベクトル」を、
 以下の記号で表す
    
f ' (x0)     
      

   

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定理:1変数ベクトル値関数の微分可能と連続性


定理


1変数m値ベクトル値関数 (y1,y2,,ym)= f (t)x0で微分可能である
ならば
(y1,y2,,ym)= f (t)x0で連続。


[文献]
・杉浦『解析入門』U§1命題1.2(p.83).

   
   

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定理:1変数ベクトル値関数の微分可能・微分係数の、1変数実数値関数の微分可能・微分係数への還元


定理


1. 以下の命題P,命題Q同値
 
命題P
  
1変数m値ベクトル値関数
    (y1,y2,,ym)=(f1 ( t ), f2 ( t ),, fm ( t ))= f (t)
  はx0で微分可能
 
命題Q
  
1変数実数値関数y1 =f1 ( t ) は、x0で微分可能。 
  
かつ 
  
1変数実数値関数y2 =f2 ( t ) は、x0で微分可能。 
  
かつ 
   : 
   :
  
かつ 
  
1変数実数値関数ym =fm ( t ) は、x0で微分可能。 

2.上記の命題P,命題Qが成り立つならば、
  「
x0における 1変数m値ベクトル値関数 (y1,y2,,ym) =(f1 ( t ), f2 ( t ),, fm ( t ))=f (t)微分係数
 は、
   
1変数関数 f1, f2,, fmの「x0における微分係数」を並べたm次元数ベクトル 
 に等しい。 
 つまり、命題
P,命題Qが成り立つならば、 
    
f ' (x0) = ( f1' ( x0 ), f2' ( x0 ),, fm ' ( x0 ) )


[文献]
杉浦『解析入門』U§1命題1.1(p.83):証明付.


証明

   
   

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定義:区間I上で微分可能

 


1変数m値ベクトル値関数 (y1,y2,,ym)= f (t)は、区間I上で微分可能
とは、
1変数m値ベクトル値関数 (y1,y2,,ym)= f (t)が、
区間I各点で微分可能であることをいう。
ただし、
Iの端点がIに属しているとき、そこでは片側微分係数をもつだけでよい。

 
     

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定義:導関数derivative


定義


1変数m値ベクトル値関数 (y1,y2,,ym)= f (t)
区間I上で微分可能であるとき、
x0Iにおける微分係数
   

の値(
m次元数ベクトルになる)は、
x0によって変わってくるから、x0の関数。
x0xと書き直したI上の 1変数m値ベクトル値関数f(x)
f(x)の導関数derivativeと呼ぶ。
(記法)
    y=f(x)の導関数の表記の例
    
f(x)y'

 

[文献]
・杉浦『解析入門I』U§1定義1 (p.82).

     

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定義:右微分可能differentiable from right・右微分係数


定義
1


1変数m値ベクトル値関数 (y1,y2,,ym)= f (t)と、
実数x0について、
右極限
  

(値は、
m次元数ベクトルになる)
が存在するとき、
1変数m値ベクトル値関数 (y1,y2,,ym)= f (t)は、t= x0右微分可能である」という。
この極限値を「
()微分係数」と呼び、
    
f(x00)f(x0)
などと書く。

[文献]
・杉浦『解析入門I』U§1定義3 (p.87).

類概念:1変数関数の微分可能・微分係数/右連続/右極限 

 


 

     

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定義:左微分可能differentiable from left・左微分係数


定義
1



1変数m値ベクトル値関数 (y1,y2,,ym)= f (t)と、
実数x0について、
左極限
  

(値は、
m次元数ベクトルになる)
が存在するとき、
1変数m値ベクトル値関数 (y1,y2,,ym)= f (t)は、t= x0右微分可能である」
という。
この極限値を「
()微分係数」と呼び、
f(x00) f(x0)と書く。

 

[文献]
・杉浦『解析入門I』U§1定義3 (p.87).

類概念:
 
1変数関数の微分可能・微分係数/左連続/左極限

     
     

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定義:片側微分係数

 


片側微分係数とは、
左微分係数右微分係数の総称。

 
     

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