接客って何

 お店に入って
接「いらっしゃいませ」
客「〇〇を買いんだけど、どこにありますか」
接「こちらにあります」と商品が並んでいる場所まで連れて行ってくれます。
何処のお店でも似たような光景が見られます。
この時、同じ言葉を言われても、その時の接客者の接し方によって感じ方が大きく変わります。
 

 もし、笑顔が全然なく怒ったような表情で対応されたらどうでしょう。
また、連れてゆく動作が雑で、いい加減に扱われているように感じたらどう思いますか。
あるいは表情、動作は通常でも、言葉の語調が強く、命令されているようにきつく言われたり、喧嘩腰で
言われたように感じたらどうでしょう。
ほとんどの人が、「なんという接客だろう」と驚くと共に不愉快になるでしょう。
そうなれば気分良く買い物ができません。
接客はやはり笑顔で、動作もやさしく、心地よい響きの言葉を受けた時が一番気持ちがいいのです。

 私たちは普段いろいろな目的でお店を利用します。欲しい商品、品物を買うために商店を訪れますし、
食事をするために飲食店に行きます。
また、行楽や仕事でホテル、旅館を利用します。頻繁にサービスを受ける機会があります。
しかし、本当に満足する気分の良い接客に出会う機会は少ないように思えます。
お店側、企業側はお客様を満足させるサービスを心がけ、一生懸命サービス動作を覚え、提供しています。
しかし、毎日の仕事、連続した業務の中で、結果としてお客様を不愉快にさせる場合があるのです。
 

 なぜでしょうか。
 

 理由のひとつは、サービスの要因分析がなされてないからです。
サービスは「言葉」と「動作」と「声」の要素から成り立っています。
それぞれの要因の組み合わせでお客様の感じ方が違い、満足度が変わってきます。
接客者は、要因別にお客様を満足させる状況を理解し、最適な組み合わせを考えお客様の満足度の向上を
図らなければなりません。
 もうひとつの理由は、サービスをひとつの流れで覚え提供するからです。
サービスの言葉や行動がどんな意味を持っていて、その意味を表すのにどうしたらいいか考えていない
からです。
例えば「いらっしゃいませ」の言葉はお客様が来店したらお客様に言えばいい、と流れだけで覚えて
しまうのです。
ですから、いつでもどんな時でも、お客様が来店したら、ただ「いらっしゃいませ」の言葉をかけます。
小さい声だろうが、大声だろうが、柔らかく言おうが、きつく言おうが、言い方に工夫がありません。
「いらっしゃいませ」の言葉を言いさえすればいいのです。
それを聞いたお客様は不快になって当然です。
お客様が不快になっても、言葉をかけた接客者は、必要な言葉を言って、必要な動作をしているのに、
なぜお客様が不快になるか分からないのです。
接客者がサービスの言葉、行動の意味を正しく理解しない限り、お客様に満足させる接客は出来ないの
です。
 

 しかし、やっかいなことに、不快な思いをした時、その不満や、文句をお店に直接言うお客様は少ない
のです。
ほとんどのお客様は、不満があれば店から遠ざかります。そのため、接客者は自分の接客がいいのか、
悪いのかチェックされる機会が少ないので、改めて自分のサービスを分析する機会がなくなります。
接客が悪くてもお客様に言われなければ気づかず、悪いまま接客が続くこともあるのです。
もうひとつやっかいなことは、文句を言うお客様に対して「私は努力しているのに、たまたまうるさい
お客様にあったのだ、運が悪い」と思い、原因を相手のせいにして、どうしても自分への反省を怠って
しまうことです。

 今日のような競争が厳しい状況下にあって、接客は重要な要素です。お客様に直接接して、お客様の
希望を理解し、お客様の満足を提供できるのが接客なのです。
今ここで接客サービスの真の意味を理解し、効果的な接客サービスのノウハウを築くことは、飲食業、
ホテル・旅館業、物販業などお客様と接する全業種に従事している接客者にとって重要なことなのです。
 

 接客の効果は、接客者によってお店を利用したお客様の満足度が増し、またサービスを提供した接客者
もその結果に満足する、すなわち共に幸福感を味わうことです。
お客様も接客者もハッピーになるから、無理なくサービスが継続されるのです。
そのためにもそれぞれのサービス要因を考えることが大切です。
                        

 順次、接客に重要な要素を考えていきましょう。