あがり対策

大勢というと、何人ぐらいなんだろうと、人数を気にする人が多いです。大事なのは人数でなく、そこに集まっていろいろな聞き手に様々な聴かれ方をされていると言うことです。一対一の会話の場合は、聞き手が今話に興味を持っているとか、興味がなくなってきたとか、話しながら想像がつきますが、大勢の場合、聴衆一人ひとりの受け取り方を確かめながら話すと言う事は不可能です。そこで、話し手は、しっかり自分の考えをまとめて、間違いなく理解してもらうように努力と工夫が必要です。それがスムーズに運ぶには、あがり対策が重要です。

(1)態度は堂々と話す
人は改まった場で話をするときは、だれでも緊張します。すなわち「あがる」という状態になります。そして誰でもあがるのです。
ただ、その状態が人にわからなければいいのです。
どんなにあがっても、堂々としているように聞き手から見えればいいのです。

具体的な工夫として、まず足のかかとに力を入れて立ちます。ゆっくりと聴衆を見て、笑顔で聞いてくれたり、うなずいてくれたり、自分に親しみを持っている人を探し、その人に話しかけて行きます。すると、緊張が少しほぐれます。そして次々と好感を持って聞いてくれている人を探して話しかけて行きます。自分から話しやすい環境を作ることが大切です。

紙を持ちながら話していた人が、手が震えていました。それを話している本人が見て、ますますあがってしまい、声まで上ずってきた光景を目にしたことがあります。
手が震えるなら、マイクはスタンドを利用し、紙は脇をしめて両手で持てば震えないのです。そんなちょっとした工夫で、堂々と話しているように見えます。

(2) 声を意識する
腰に力を入れ、第一声は自分から一番遠くにいる人を見て声を出します。遠くの人に声が届くように発声することで、横隔膜が下がり声の震えは止まります。スピーチの前に口を大きく開けて大きな声で母音を発声練習することも声の震えが止まる効果があります。
話すことは声の影響が大きく、声がはっきり通る人は、声で迫力も出てきますから、その人の話す内容を何倍にも印象付けることができます。
日ごろから、声が小さい、はっきりしないという人は、声を磨く練習をすることが必要です。

(3) メモ書きにする。
あがって頭が真っ白になるのを恐れて文章にする人がいますが、苦労してあがる原因を作るようなものです。
文章にすると読んでしまい、聞き手がどのように受け止めているか分からなくなります。一方的に読み進めると余計ドキドキ感が強まります。また一行飛ばしたりすると対処がわからなくなり、ますますあがってしまいます。
そうならないためにメモ書きで原案を作ります。「切り出し」、「展開」、「まとめ」に分類し箇条書きにします。忘れてしまう不安の人は、各項目の出だしの言葉を書いておくと良いでしょう。メモ書きにすることで聴衆を見て話しかけることができ、気持ちが伝わりやすくなります。大事な言葉やフレーズの前に2、3人の聴衆を見ることで間を取ることもでき、聴衆との一体感が生まれ、気持ちも落ち着いてきます。