第151号~第200号

第151号 2006/11/26

先日私の知人が仲間とある歴史テーマパークに行ったそうです。そこでは江戸
時代からの商家・武家屋敷・農家などが再現されていて、展示だけでなく来館者
が体験しながら伝統的技術や生活様式を学ぶことが出来ます。

他の仲間はそれぞれ車で行ったのですが、知人は当日たまたま用事があって電
車で最寄の駅まで行き、そこからタクシーを利用するつもりでした。

駅を出るとタクシーが止まっていません。乗降客が少ないからでしょう。公衆
電話のそばに、「タクシーのご利用の方は電話ください」とタクシー会社の電話
番号が書いてあり電話したそうです。
「駅にいるのですが、タクシーを一台お願いしたいんですが」
「どこまで」
「〇〇まで」
「ちょっとお待ちください」

その時、受話器の向こうからタクシー会社内の室内でのやり取りが聞こえたそ
うです。「〇〇までだってよ」と行き先を伝えると、その後何か返事が返ってき
ていました。すると「すみません、今昼食中なので時間がかかりますから、歩い
てもすぐですから。すぐに着きますよ」との答。結局駅員に道を聞いて歩きまし
たが40分かかったそうです。

後日知人は「あんな遠いとは思わなかった。テーマパークを体験する前にすっ
かり歩き疲れちゃった。おそらくタクシー料金が高くないから断ったんだろうね。
あれでは、電話番号を表示している意味がないよ。サービス意識がないね。地方
だからしょうがないのかな。あのように良い施設があるのにもったいない」と話
していました。

その時のタクシー会社の事情は分かりませんが、タクシーに乗れなかったこと
が、その日の楽しかった体験をも半減させていました。何気ないお客様への対応
が、その会社だけでなく、その地域全体のサービス評価にも影響することを考え
なければなりませんね。

皆さんはいかがですか。



第152号 2006/12/10 

小さな「驚き」って接客者に好感を持つものですね。

先日紳士服店でスラックスを見ていました。ずーっと続けていたダイエットが
効を奏し持っているスラックスのウェストがゆるくなって、丁度いいのを探して
いたのです。

紳士服店では静かに見ていると必ず接客者が寄ってきて、話しかけてくる人が
結構多いのです。気に入ったものを探していると、やはり近くに接客者が寄って
きました。でも側に来ません。近くで商品の整理をしているだけです。あれ寄っ
てこないんだ。不思議に思いながら、商品を探していました。私は気に入ったス
ラックスを持って試着室に入りました。

試着してちょっと気に入らなかったので、試着室をでようとしたら靴がきれい
に向きを変えて並べられていました。無造作に試着室に入ったものですから、別
に向きも変えずに乱暴に脱いでいたのです。私に対応していないのに、そこを通
った時に気を利かせたのでしょう。

なんかちょっといい気分になりました。違うスラックスを選ぶ時に近くの接客
者を呼びました。「ありがとう靴を並べてくれて」「いえいえ」と答えていまし
たから、やはり彼がやってくれたのです。その後品質、色合いなどを尋ねながら
話をして結局その日購入しました。 

不思議ですね。些細なことですが、小さな驚きが私の気分を良くして、接客者
に好感を持ち買う気になってしまったのです。

皆さんはいかがですか。



第153号 2006/12/24   

先日横浜に行くのに、千葉県のJRのある駅で快速電車を待っていました。する
と構内アナウンスで「桜木町駅でポイント故障があり、電車が遅れています。ご
迷惑をかけています。そのため次の電車は東京駅止まりになります。お忙しいと
ころ申し訳ありません」何度もアナウンスされます。

「桜木町といえばこれから向かう横浜方面だね、大丈夫かな」と二人で心配に
なりました。約束の時間に遅れては困ります。側にいた駅員に聞くと「状況が分
かりません。次の電車の後はいつごろ電車が来るかも分かりません。とりあえず、
次の電車で東京駅まで行ってそこで聞いてもらえますか」との答。とにかく乗り
ました。

電車内では「本日総武線佐倉駅でポイント故障がありまして、電車が遅れまし
て申し訳ありません」との情報です。東京駅について構内放送も「佐倉駅でポイ
ント故障のためすべて東京駅止まりです。」と言っていたのです。混乱していた
のは千葉方面だけでした。そのため10分程の遅れで東京駅からはスムーズに横浜
駅に行けました。

恐いですね。情報がちょっと違うだけで利用客の不安が増してしまいます。千
葉県の佐倉駅と神奈川県の桜木町駅。場所が全然違います。

どうしてこのように変わったのでしょう。たまたまアナウンスする人が、言葉
が似ているので単純な言い間違いだったのでしょうか。あるいはアナウンスする
人に情報として間違って伝わっていたのでしょうか。状況は分かりませんが、い
ずれにしても情報の扱いは慎重にしないとこのような間違いが起こるのですね。

例えば、連絡をしあう時も総武線佐倉駅、横須賀線桜木町駅のように、駅名だ
けではなく線名も必ずつける等、正しく確認しあうことを習慣にすれば似通った
発音の名前も間違いは起こらないでしょう。情報確認時は、工夫を常にしておか
なければ、あってはならないミスが起こるのですね。

皆さんはいかがですか。



第154号 2007/1/7        

明けましておめでとうございます。
皆さんはお正月をいかがお過ごしになりましたか。
充実したお正月だったでしょうか。
今年も接客バンザイをよろしくお願いいたします。

さて、暮の忘年会、正月の準備、あるいは年が明けて、初詣、新年会など、物
販店から飲食店までお店を利用する機会が多くありますね。人手不足にはアルバ
イトを活用している店が多く、いろいろな接客者に遭遇します。

ある花屋さんのアルバトらしき年配の女性接客者。とても売るのに一生懸命で
した。花を見ていると、すぐに話しかけてきます。自分なりに組み合わせを考え
ているのに、考える時間を与えません。「これはいいですよ」「お得ですよ」な
ど、聞いてもいないのに話しかけてきます。じっくり見たいのです。話しかける
のはその後にして欲しかったのに。うっとうしくて困りました。人によっては情
報を与えてくれると喜ぶかもしれません。またこの接客者は実際に自分の経験か
ら話しかけたほうがお客様は喜ぶと考えたのでしょう。でも私には逆効果でした。

次にフグ専門店の20代半ばの男性接客者。やはりアルバイトでした。昼仕事を
していて夜バイトしているそうです。将来ブライダル関係の仕事をしたいのでそ
の資金集めだそうです。サービス業になるという目標があるため、一生懸命お客
様と接し喜ばせようとします。でも何か物足りないのです。いわゆるお客様の会
話を上手く受けられないのです。材料を入れたり鍋のセットをしていたり、仕事
に集中している時に、話しかけられると会話ができないのです。作業を中心に考
え会話はお預けです。せっかくいい雰囲気も余韻が残りません。もったいないな
と思いました。

最近は、アルバイトに対して仕事の流れはどの店もきちっと指導しています。
しかし接客の基本はお客様に楽しんでいただくという大事なポイントをきちっと
指導せずに、接客者任せという状況が多く目に付きます。店を利用したお客様の
印象に大きく影響するのに、もったいないですね。

皆さんはいかがですか。



第155号 2007/1/21         

 先日、新年会の帰りに、2次会に誘われました。その方の良く利用する割烹料
理店です。各地の日本酒がおいてあり、日本酒好きの我々にその店を教えようと
誘ったそうです。

我々に注文を取りに来た若い女性接客者はまだ新人のようでした。着物姿が
初々しく感じます。一生懸命に酒、料理を提供し、料理の説明をします。
刺身の盛り合わせを持ってきて、手で示しながら、
「これが〇〇でこちらが〇〇、そしてこちらが〇〇です」
とにかく一生懸命です。頑張れと心の中で応援していました。

しかし、その後1mぐらいのところに、年配の板前の格好をした男性がじっと
彼女を見ています。説明が間違えないか監督をしているようです。その男性を見
たらそんな気持ちが吹っ飛びました。彼の表情が硬く、たまたま私と目が合って
も知らん顔です。彼の目の前にはお客様はいません。お客様に対する気持ちは全
然ありません。そのぐらい良い接客者に育てようという気持ちが強いのかもしれ
ません。

店によってはこのように、接客者の後について接客者を指導する姿を目にする
ことがあります。その場の指導者のお客様への心配りから、中にはほほえましさ
を感じられる時があるのですが、その時の指導者の対応からほほえましさは生ま
れてきませんでした。

その店は魚を中心とした料理で、価格も通常の店よりかなり高めな店です。彼
の対応からお客様に対する意識がないと思えると、なんで指導をこんな時にする
のかな、練習の場にされて迷惑とさえ思ってしまいました。

お客様の前で指導するのであれば、お客様を意識して、その指導が好感をもた
れるように工夫しないと良い影響はないでしょうね。

皆さんならどのような工夫をしますか。



第156号 2007/2/4     

1月はなぜか、神社やお寺をお参りする機会が多くありました。あるお寺では
護摩たきに参加しました。昨年に続いて2度目でした。

護摩たきの最中、参加者は本堂に集まってお経を聞きます。1月のせいで人出
が多く、皆が詰め合って座りぎゅうぎゅうな状態でした。不思議なものでそうい
う時は皆正座して座る人が多いのです。

今年は面白いことに、護摩たきの前と後で若いお坊さんが仏教に関することを
いろいろ話してくれたのです。そうした説明はその寺や仏教に興味を持たせる一
つのサービスとして始めたのかもしれません。

護摩たきの始まる前の説明は、開始時間までの待ち時間ですから、興味を持っ
て聞けます。しかし終わった後は大変でした。慣れない正座で足がしびれている
人が多く、また子供連れは、子供が飽きてぐずぐず騒いでいます。中にはぎゅう
ぎゅうに座ってる中で足をばたつかせている子もいます。皆口々に「早く終らな
いかな」「もういいよ」とつぶやいています。

ところが、若いお坊さんは、お経の意味、また錫丈(しゃくじょう:僧侶が持
つ杖)の説明をとうとうと話していました。1月は人が多いので、護摩たきした
「家内安全、商売繁盛」などの札を参加者に渡す場所が通常と違うので、本堂に
座っている参加者はその話を最後まで聞かなければならないのです。

お坊さんは真剣に話しています。参拝者は歯を食いしばって足のしびれと戦っ
てうわの空の人。大声を出さないように、子供をあやすのに集中している人。も
う護摩たきが終ったのだから、この狭い空間から早く離れたいと思ってイライラ
している人など様々です。どちらも一生懸命ですが、その光景を見て何かおかし
くなってしまいました。

言葉ってまさに状況言語ですね。その状況にあった工夫をしないと、どんなに
いい話でも聴いてもらえません。話す内容も重要ですが、聞き手の状況の観察を
怠ると効果が出ませんよね。お客様との会話にも「状況」を意識していますか。

皆さんはいかがですか。



第157号 2007/2/18  

ある場所でメンバー7人で会議をしていましたが、長時間の会議は頭が疲れま
す。

途中、用事で外にでた時に、ふっと甘いものは頭の疲れに良いのではと思いま
した。私は結構疲れた時にチョコレートをほおばるのが好きなんです。そこでチ
ョコレートを購入しようと近くのコンビニを探して立ち寄りました。

店内で品出しをしていた年配の女性に、チョコレートの場所を聞くと案内して
くれました。数が多く入った袋入りを探しましたがあいにくありません。
「ここにあるだけですか」
「はい、そうなんですよ、どのようなものをお求めですか」
「チョコレートの中に何も入っていなくて、袋入りで数の多いものが欲しいのだ
けれど」
「そうですか、すみません」
「じゃー、この中から選びますよ。どれにしようかな・・・」
「それでしたら、〇〇さん(店の名前)にあるかもしれませんよ」
「でも、遠いんでしょ」
「いえ、そこの信号を渡って、左に30m行ったところです。すぐ見えます」
「えー、そーお、じゃー行ってみようかな」
店を出て行ってみたら、すぐ側に店があり、求めていたチョコレートが置いてあ
りました。

他店を教えなければ、その店で買ったのに、わざわざ希望している商品の場所
を教えてくれたコンビニの接客者の対応が嬉しくなり、帰りに120円と小額です
がガムで売上に貢献してきました。

商品を購入する時に、数多い種類の中で本当に希望しているものが手に入ると
嬉しいものです。その手助けをしてくれた接客者には好感が持てますし、印象、
記憶に残ります。

もしこの時も、仮にコンビニで購入し、その後に希望する商品の置いてある店
の存在を知ったら、コンビニに対する印象は変わっていたでしょう。常にお客様
の希望に満足させる努力をしていますか。

皆さんはいかがですか。



第158号 2007/3/4 

地方の仕事から夜新幹線で帰った時、あまり遅い時間でなければ、長旅の気分
を変えるのと打ち合わせを兼ねてお酒を飲むことが多くあります。先日も土曜の
夜、午後8時50分ごろでした。いつも行く店が定休日だったので、たまたま違う
店に入りました。店に入り、人数を伝えると、接客者が席に案内しました。

すぐに「先にお飲みものを伺います」と接客者が来たので希望の酒を注文しま
した。酒とお通しで、まず乾杯をしていると、
「それでは料理のご注文をお願いします。これがラストオーダーになります」
「えー、ラストオーダー。ちょっと待ってよ、今入ったばかりじゃない。そんな
こと聞いてないよ。わかっていたら入らなかったのに」
「すみません、9時前にラストオーダーを伺っています。店は10時までですので
お酒は十分召し上げれます」
「じゃー、お酒は1時間飲めるんだね」
「はい」

しょうがないか、1時間飲めればいいかと、料理を5、6品注文しました。そし
て話をしていると、9時25分過ぎに「お勘定をお願いします」と会計の催促です。
もう酒の注文はできません。また約束が違うなと思って話をしていると、9時43
分に大きな音で「蛍の光」のメロディが流れます。この店は嘘ばっかりだなと思
いながらすぐに店を出ました。入り口にいた責任者らしき人の笑顔で言う「あり
がとうございました」もとても白々しく思えました。店を出ても、気持ちの部分
に不満感が残り、結局もう一軒店に入る羽目になりました。

入る時に「後10分でラストオーダーですが、よろしいですか」と言ってもらえ
れば、「入店後すぐにラストオーダー→1時間のつもりが30分で会計精算→20
分も前からの「帰れ」の音楽サイン→不満解消のためにもう一軒店に入り散財」
のようなマイナスの連鎖反応はなくなり、お店における悪い印象はなく、もう2
度と来ないなんていう気持ちは起きなかったと思います。

お客様はどのように感じるか分かりません。営業時間終了間際のお客様への対
応は、きちっと状況説明を意識しないと影響が大きいですね。

皆さんはいかがですか。



第159号 2007/3/18 

ある女子学生が、気に入った化粧品があって、それを試しにつけてもらいたく
てデパートの1階の化粧品売り場に行ったそうです。そこにいた美容部員さんは
知らん顔。一生懸命、目で合図しても分かってもらえません。しょうがないので
一緒に行った友人が呼んできてくれました。すると笑顔もないし、その表情から
いやいや対応しに来たように感じました。そして普通は椅子に座らせて化粧して
くれるのに、立ったままです。真剣に化粧をしてくれていないように思えたそう
です。忙しかったのか、あるいは学生なので多くの売上が期待できなかったのか
もしれません。

先日、見本市で同じような経験をしました。食品から飲料までを展示してあり、
その場で商談も行えるのです。入る時に登録するとカードをくれて、それを首に
かけて見学します。カードはその業種によって色分けしてあります。メーカー、
流通業者、小売、その他、などなど。ですから出展ブースの担当者はそのカード
を見れば、自分の会社の営業に関係があるか、ないかは一目で分かります。

そのため、とても面白い現象がありました。各出展ブースを見てまわると、関
係者はまずカードを見ます。その色から、業種を判断して営業に関係がないと分
かると、笑顔もなく無視するような対応をする人がいます。何か質問しても、き
ちんと答えなかったり、中には知らんふりする人もいます。そのような人が結構
多いのには驚きました。

確かに、出展するには金がかかっているでしょうし、短時間に多くのお客様と
接点を持たなければと意識することは分かります。しかし、直接営業に関係のな
い人であっても、嫌な対応をされればその会社の名前は印象に残ります。巡り巡
ってどのような影響があるかも分かりません。

直接営業に関係のない人にも、嫌な印象を与えず、丁寧に対応する。そんな当
たり前のことがサービスにおいて重要なことかもしれません。

皆さんはいかがですか。


第160号 2007/4/1 

今日から4月です。仕事で新しい部署に配属した人、また新入社員として夢一
杯の人、いろいろですね。どうぞ頑張ってください。

そんな季節の節目に、マンションに住んでいる私の知人が、壁紙の張替えと同
時に、風呂の天井、壁周りの清掃を専門業者に依頼したそうです。

特に風呂の清掃に来た業者はすばらしかったといいます。指定された時間に来
た業者は、年配の人でした。来る前には、きっと専門業者だから、口数も少なく
愛想のない人だろうなと勝手に想像していたそうです。ところが笑顔が素敵なと
ても感じのいい人でした。言葉使いも丁寧で、まさにサービス業の人という雰囲
気だったそうです。

何が良いって、その人の仕事ぶりを見たり、会話の中から「仕事は最大限の結
果を出すこと」がその人のポリシーだと感じたことだそうです。

仕事は天井と壁をきれいにすることだったのですが、それが終わった後に約束
の時間ギリギリまでバスタブや洗面台をきれいにしてくれたそうです。それを見
てびっくり。
「ワーきれいになった」
「そうでしょ、きれいになると、汚れているところが目立つんですよ。でもこん
なにきれいになると気持ちいいですよね」
綺麗になった状態を一緒に喜んでくれました。

そして会話の中で、
「最初にこんな洗剤を使用して拭きました。その後・・・・」
「漂白剤を2倍に薄めてこのようにすると綺麗になりますよ」
「細かいところは、歯ブラシを使って・・・・」等、
汚れが気になった時の簡単な清掃の仕方を教えてくれたそうです。

そんな仕事の姿勢にすっかりファンになったそうです。今度頼む時もあの業者
に頼むんだ、紹介しようか等と言っています。

同じ仕事をしても、その仕事振りや会話からお客様の気持をつかむことができ
ればリピーターにはなってもらえるでしょうね。

皆さんはいかがですか。



2007/4/15  第161号

先日の土曜日にある会議(午後1時から午後4時)に出席しました。その後メ
ンバーの一人と飲む約束をしていたのですが、まだ時間が早いからと彼が映画の
チケットを用意して、暗くなるまで映画を見て時間つぶす予定を立てていました。

映画館で映画を見るのは久しぶりです。興味を持って近くのシネマコンプレッ
クスへ行きました。彼が窓口へチケットの手続きに行きました。
「〇〇を見たいんだけど」
「これからですと6時25分になります」
「えっ、4時25分があるでしょ。そう書いてあったけど」
「いえ、その時間はありません。昼は3時25分です。何をご覧になりましたか」
「ホームページだけど。じゃー土曜、日曜は時間が違うのかな」
「そんなことありません、同じです。映画によって時間は変わりますが、今はず
ーとこの時間です」
「じゃーインターネットの情報が間違っていたのかな」
「うちは間違っていません」

窓口の女性はマイクをつけて話しているので、道路にそのやり取りが聞こえて
きます。否定語を多く使うし、また一生懸命分からせようとしているためか語調
も強いのです。聞いている周りの人には女性のきつい表現だけが非常に目立って
いました。

もしかしたらホームページが分かりにくくて彼が見間違えたのかもしれません。
それで「うちは間違っていない」と固執したのでしょう。彼は温厚な人ですから
文句も言いませんでしたが、彼女の非常にきつい言い方から、お客様によっては
「その言い方はなんだ」と怒るのではと思いました。

分からせることは、ただ内容を言うことでなく、気分よく聞いてもらえるよう
に、言葉の選び方、表現などを工夫しなければなりません。油断をするとそれが
クレームの原因になるかもしれません。

皆さんはいかがですか。



2007/4/29  第162号

GWにはいり、何かのんびりした気分になりますね。運動がてら自宅周辺を自転
車で走ってみました。普段行くことのない場所を広範囲に走ってみると、新しい
歯医者さんがどんどんできているのが目に付きました。

それぞれ特徴があって、各種の医療機関が集まった場所にその一つとして営業
している診療所があります。多くの駐車場があるので行きやすいですね。反対に
住宅街の中にあって、一階が診療所で上が住宅になっています。見た限り近くに
駐車場がないので、駐車場を確保してあるなら、だいぶ歩かなくてはならないよ
うです。

その中で私が目を引いたのは、かつてレストランだった店舗を改装した歯医者
さんです。待合室がガラス張りです。外から丸見えです。しかもオープンテラス
のように外に向かって椅子が配置されています。お客様はそれぞれ外を見ながら
待つのでしょう。

もし腕のいい歯医者だからと紹介されて行ったとしても、私でしたらガラス張
りの待合室だと恥ずかしいですね。カフェと違って医療機関の場合は、やはり人
に知られたくないという心理的な抑制が働きますから。でも、きっと平気な人も
いるでしょうから、そういう人たちを顧客対象にして、明るい雰囲気の待合室を
作ったのでしょう。

歯医者さんを選ぶ基準はやはり医療技術ですが、それ以外に患者の物理的、心
理的な利用のしやすさを考えないと十二分にその腕を発揮できないでしょうね。

皆さんはいかがですか。



2007/5/13  第163号

素敵な笑顔を持っている接客者は得ですよね。「いらっしゃいませ」という挨
拶や何気ないサービス行為だけでも気分がよくなります。でもその笑顔の作り方
もたまにチェックしないとどのようにお客様から見られているか分かりません。

先日飛行機に乗っている時、音楽を聴きながらボーと前を見ていました。ちょ
うどキャビンアテンダント(CA)さんがお客様にキャンディを勧めていました。
彼女の笑顔を見ていると、顔の変化が大きいのです。お客様と話している時は笑
顔なのですが、お客様がキャンディを選んだり取ったりしている時は、きつい目
で相手を睨んでいるような表情になります。何でそのように感じるのだろうと思
いながら観察していました。

彼女はお客様に接している時は口を「イー」という形に開けて笑うんです。と
ころが、お客様から目が離れるとその口を元に戻します。すると顔の印象が目だ
けになります。その目が笑っていないのですね。そして高い位置からお客様を見
ますから、端から見ると何か見下しているような表情に見え、感じが悪く映るの
です。

本人は笑顔を意識しているのでしょう。でもそのように見えないと損ですね。
自分の笑顔が第3者から見るとどのように感じるかも仲間とチェックすることも
必要ですね。

皆さんはいかがですか。



2007/5/27  第164号

大きな病院ですと待ち時間が長いのでイライラするという話を聞きます。先日
ある大学病院の眼科に行ったときのことです。やはり待ち時間が長いのですが、
待っている患者の間を関係者が通りかかり、患者の持っている関係書類を見なが
ら言葉をかけます。
「今日はどうなさいました」
書類を見て、
「すみません。あと何人目ですからもうしばらくお待ちください」
この何気ないやり取りが、待ち時間の長さを気分的に解消してくれました。

他の年配の女性にも話しかけていました。
「今日はどうなさいました」
「昔はさかさまつげで・・・・。その後お医者さんからドライアイといわれ・・・・。
年のせいで白内障にもなっていて・・・。左目が特に・・・。」
年配の女性ですから、長々と自分の病状を説明していました。
それに対して、時折「ドライアイになったんですか」「左目が」など内容を繰り
返す相づちを入れながら、本当に親身になって対応している雰囲気を醸し出して
いました。聞き方が上手で、それぞれ待ち時間を持て余している患者を気分的に
安心させているように思えました。

すばらしいと思い、別の機会に看護師さんに聞いてみました。
「待っているときに看護師さんが患者の間を回って言葉をかけられるとイライラ
が抑えられますね。すごいね」
「当初患者さんが待っているときのイライラをクレームとして訴えられることが
多かったので、何かいい対応はないか、皆で考えてやるようになったんです。す
ると患者さんから好評だったもので、以前は看護師だけがやっていたんですが、
今は事務のスタッフもやっています。」との答でした。

何か不満をいわれたら、その不満を少なくするにはどうしたらいいか、皆で考
えることで何かしら対応が思いつきますね。「待ち時間が長いからしょうがない」
と最初から諦めてしまったら妙案は出てこないでしょう。

皆さんはいかがですか。



2007/6/10 第165号

私は最寄の駅を利用するときに、自転車で行き駐輪場を使用することがたまに
あります。私のようにたまに利用する人は、自動販売機で1日チケットを求め、
チケットに印刷されたバーコードを入口の読み取り機で読み込ませればドアが開
きます。

先日も読み取り機の前で年配の女性が立ち止まっていました。おそらく初めて
利用する人のようでした。自動販売機でチケットを求めた後、バーコードの読み
取らせ方が分からないようでした。離れた場所にいた係りの男性が大きな声で教
えています。
「うつすの、うつすの」「うつせばいいんだよ」
その言葉を聞いても、どうしていいか分からず立ち往生です。
また声がします。「だから、うつすんだよ、うつすの」
??????
どうしていいか分からないようです。
そこで丁度そばにいた私が教えてあげました。
「チケットのバーコードをその窓にかざせばドアが開きますよ」
そのとおりするとドアが開きました。
その女性は、私に「ありがとうございました」といいながら、「初めてじゃわか
んないですよね」と私に係員の不満を述べていました。

おそらく係の男性は困っている人に親切に教えてあげたのでしょう。「読み取
り機のガラス部分にチケットをかざして読み取らせる」という意味で「うつす」
という言葉を使って伝えたのでしょう。でも、初めて利用する人には何を言って
いるのか理解できなかったのだと思います。またその人のそばまで来て教えてあ
げればいいのに、その場で大声で言えば、怒鳴っているようにしか聞こえません。
そして怒鳴られているから余計あせってうまくチケットを読み込ませてドアを開
けることができなかったのでしょう。

係員が、親切にしようと思ってもお客様からは気分悪く思われたら損ですね。
自分の使う言葉がお客様に分かってもらえるのか、また自分の行動が不快感を与
えていないか、常に考えなければ、事例のように感じの悪い係員だという評価に
なるでしょう。使え方の工夫は大事ですね。

皆さんはいかがですか。


2007/6/24 第166号

ある日曜日、朝から強い雨が降っていました。天気予報では昼から雨が上がる
ことになっていましたが、午後になっても土砂降りでした。

 そんな時インターホンがなりました。出ると、「お届けものをお持ちしました」
と宅配便業者の声です。「門を開けて入ってきてください」と言葉をかけて、玄
関を開けて待っていました。

通りに宅配便の軽自動車が止まっているのが見えます。スライドドアを開けて
荷物を出しています。丁度荷物はみかん箱ぐらいの大きさでした。この雨では荷
物も濡れちゃうなと思って見ていましたら、自分の上着の中に荷物を覆いこみ、
荷物を濡れないようにして、自分はずぶ濡れになって走ってきたのです。走って
きてハーハー言いながら、荷物を渡してくれました。
「すみません、ちょっと濡れたかもしれません」
「いや、いや、この雨の中大変だね」
「雨は午前中で上がるって言っていたのに、予報は当たりませんよね。印鑑をこ
こにお願いします」
「はい、お疲れ様」
年配の男性でしたが、笑顔で対応していました。

サービス業として取り扱い商品を濡らさずに届けるのは当たり前のことかもし
れません。土砂降りの中、面倒臭いので傘も利用しなかったのでしょう。でも強
い雨の中、自分を犠牲にして商品を守りながら配達してくれた動作に、そして、
何事もなかったように笑顔で対応する姿勢に、何か感動すら覚えました。

この時荷物を濡らしても平気な顔、または笑顔でなかったらそんな感情は起こ
らなかったでしょう。一生懸命にサービスしてくれる姿勢は常にお客様に満足を
与えますね。

皆さんはいかがですか。



2007/7/8  第167号

最近は民営化を控えて郵便局のサービスが良くなったという声を多く聞きます。
先日も郵便局に電話したらとても感じの良い対応をしてくれました。前日午後6時
30分に配達に来たらしく、あいにく留守でした。翌日に電話をしました。
「不在通知が入っていたのですが」
「申し訳ありませんが、差出人のお名前をお聞かせください」
「〇〇株式会社です」
「ありがとうございます。配達日時はいつでしょうか」
「6月28日18時30分と書いてあります」
「ありがとうございます。保管期限は書いてありますでしょうか」
「7月5日ですね」
「ありがとうございます。郵便物の種類のチェックはどちらになっていますでし
ょうか」
「上記以外にチェックされています」
「ありがとうございます。配達担当者の名前がその横にかかれていますでしょう
か」
「イトウとカタカナで書いてあります」
「ありがとうございます。それではご住所をおしえていただけますか」
「〇〇〇〇〇です」
「ありがとうございます。ご希望の時間帯がございますか」
「午後ならいつでも」
「分かりました。それでは12時から午後4時までに伺います。お電話ありがとう
ございました」

電話に出た担当者の語調が柔らかくてやさしい感じがしました。そして会話の
ところどころに「ありがとうございます」を入れるのです。文字で書くとしつこ
いように感じるかもしれませんが、電話ではむしろ「わざわざ電話をさけさせて
すまない」という気持ちがあるように思えました。

単なる事務の対応ですが、表現技術や言葉を一言付け加えることでお客様に与
える影響は大きいですね。

皆さんはいかがですか。



2007/7/22  第168号

最近酒蔵を見学する機会がありました。1ヶ月ほど前、ある東京都下の酒蔵に
行きました。ここは見学者に対して、働いている人が交代でガイド役を受け持ち、
酒作りの工程を案内します。私たちが行った時は製造部の年配の女性が担当でし
た。

精米をして蒸米をつくり、そこに麹と酵母と水を3回にわけて仕込み、発酵し
たもろみをしぼって酒を作り、ろ過、火入れの工程を経て酒が市場に出ることを
説明してくれます。終わった後、話を聞いた仲間全員が口々に言いました。「話
がうまいなー」と。彼女はお客様一人ひとりの顔を笑顔で見ながら、説明します。
話の緩急、強弱、間、イントネーション、など表現技術が適切に使われているの
です。
 
ここのガイドは全員が実際に製造に関わっている人が交代で案内をすると聞き
ました。実際に自分が担当している仕事を一生懸命伝えようという気持ちから、
それが表現技術に現れていたのでしょうか、あるいは元々話すことが上手だった
のかも知れません。まさにプロ顔まけです。その後の試飲を含めて皆が満足して
帰りました。

先日は千葉県の酒蔵を同じ仲間と見学しました。経営者の家族でしょうか、女
性が説明してくれました。同じように酒造りの工程を説明します。話し慣れてい
るようです。所々に笑いの要素を入れて工夫して説明するのですが、聞いている
我々からすると、気持ちが入っていないように感じるのです。「とにかく決めら
れたことを話すから、早く聞いて試飲してお酒を買って頂戴」そんな感じに聞こ
えます。

もちろんそんな気持ちはないのかも知れません。でも話し方からそう感じるの
です。帰りに仲間と話しても、全員がそのように感じていました。まず話す時に、
聞き手一人ひとりを意識しないで全体に覚えていることを話しているだけに感じ
るのです。そのため緩急、強弱など、表現技術が働きませんから、聞いていて記
憶に残らないし、もっと聞きたいという気持ちにはならないのです。まるでテー
プから声が流されているようでした。

話し方によって、聞き手はその人の内面、考え方まで想像してしまいます。誤
解されたら損ですよね。仕事で、説明をしなければならない人は、特に表現技術
を意識して、一生懸命伝えているように取られなければ、聞いてもらえないし、
効果があがらないでしょう。

皆さんはいかがですか。



2007/8/5  第169号

ある居酒屋店に久しぶりに行きました。あいにく店長がいなくて、副店長が対
応してくれました。彼は昔から愛想がなく、暗い顔でただ決まられた挨拶言葉を
交わし、注文をとるのです。
「忙しい?」
「駅前に出来た〇〇にお客さんを取られていますね。安いですから」
「でも客席が狭くて、くっついているし落ち着かないって聞くよ」
「でもお客さんは値段が安いのがいんじゃないですか、店長も頭抱えてますよ」
自嘲気味で、すごくあきらめムードが漂っています。実際に店内も7時頃でした
が、閑散としていました。

料理を女性接客者が持ってきました。彼女はパートで週に4日働いているそう
です。
「今お客さん少ないんだって」
「そうなんですよ。今日もこんな状態ですものね」
「でもここは落ち着いて飲めるのにね」
「私もいつまで働けるのかなって心配になりますよ」
やはり将来のない暗い話になりました。私たちまで暗い気持ちになりました。

確かに、厳しい状態なのでしょう。厳しいから大変だと思えば気持ちも落ち込
みます。そのため店長は大変さをいつもこぼしているのかもしれませんね。スタ
ッフの考えもマイナス思考になっているのでしょう。

でもちょっと考え方を変えて、厳しさを克服するためにどうするか、店のプラ
ス面をもっと訴える工夫など、自分の気持ちを前向きにしてみたらどうでしょう。

そして日常、そのようにスタッフを意識づける努力をすれば、スタッフとお客
様との会話の内容も違ってくるのではないでしょうか。お客様の感じ方も違って
きます。

自分の対応がいかにスタッフの意識、行動に影響するか、理解しなければ店長
はつとまりませんね。

皆さんはいかがですか。



2007/8/19  第170号

毎日暑い日が続きます。こんな時体力を維持するにも食事は大切ですね。昼食
を気分良く取って午後の活力にしたいと考えている人は多いのではないでしょう
か。

 ある情報関係の会社の管理職をしているTさん。昼食は会社周辺の飲食店を利
用するそうです。数ある飲食店の中でも、自分の好みに合う店というのは徐々に
絞られてきて、今は和洋中と業種が違って合わせても数軒だそうです。

その中の一軒にラーメン屋さんがあります。他に支店が何軒かあるこの店の味
が気に入っていて、時折食べたくなるそうです。店内はカウンター席とテーブル
席があります。年配の女性接客者がいて、一人で行くと必ずカウンター席に案内
します。カウンター席は前が壁で、圧迫感があって、どうも落ち着かないのです
が、昼時で込み合うからしょうがないなと思いつつ、がまんして食事を取るそう
です。

暑い日などは、昼時でも店内がガラガラな時があるそうですが、行くとやはり
カウンター席。食べ終わって帰る時も、まだテーブル席がうまらない時があるそ
うです。

店内が空いてる時に、「テーブル席でいい?」と聞いてみたそうです。でも「カ
ウンター席でお願いします」との答。必ず一人客はいつもカウンターです。Tさ
んは「味は旨いと思うし満足してるんですが、いつもカウンターではちょっとね。
なんか不満が残ってしまうんですよね。たまには相席でもいいからカウンター以
外で食べたいですよ。」と話していました。最近は暑さのせいもありますが、店
を利用する機会が減っているそうです。

いつも同じ対応ではなく、状況に応じてお客様の希望をかなえる工夫。それが
ないと、お客様の気持が離れる危険がありますね。

皆さんはいかがですか。



2007/9/2 第171号

近所の高齢の男性が怒っていました。先日自転車から落ちて手をついてしまいま
した。翌日念のため20年近くかかりつけの近所の診療所に行ったそうです。ちょ
うど翌日から1週間のお盆休業になるという日でした。お医者さんは、手を触っ
て、いろいろ押したりして調べます。
「先生、どうでしょう」
「これだけ押しても痛くないんだから折れてないでしょう。」
「でもヒビが入ってることはありませんか」
「ヒビはわかりません」
「レントゲンは撮ってもらえないんですか」
「レントゲンを撮っても見れないから、もし痛ければ、整形外科に行ってみても
らうといいでしょう。」
「じゃー今日どこか整形外科を探して行った方がいいですか」
「その判断は私にはできません。ただもうお盆になってしまいますね」

すごく頼りないと思ったそうです。20年も頼ってきたお医者さんなのに。その
診療所の専門は内科、胃腸科、アレルギー科と書いてあるそうです。確かに専門
外かもしれませんが、もう休みに入ってしまう時期の対応としては、突き放され
たような冷たい感じがしたそうです。湿布をしても1ヵ所痛みが取れない部分が
あったのでお盆休み明けに整形外科に行くと、小さなヒビが入っていることが分
かりました。20年も行ってるのにあんな頼りない対応をするんだから、もう行か
ない、医者を変えるんだと怒っていました。

お医者さんは専門外なので分からないということを説明したのでしょうが、言い
方の工夫がないために冷たく感じたのでしょう。不安を抱えている患者に対して、
相手の心理を配慮した話し方は大切ですね。年配の方に診療所について聞くと、
話を良く聞いてくれて、安心を与える話し方をするお医者さんは人気があるよう
です。お客様の気持を考えた会話力は大事ですね。

皆さんはいかがですか。



2007/9/16  第172号

先日仕事帰りに新幹線で東京駅に着きました。丁度午後4時ごろでした。実は
その後、7時に人と会う予定がありました。そこで移動までの時間を考えて6時
過ぎまで駅近くの店でお酒を飲みながら食事をして時間をつぶそうと前持って考
え、インターネットで店を探し、クーポン券(10%引き)をプリントアウトして
持っていました。

その店に着いたのは丁度4時30分ごろです。店に入るなりクーポン券を提示し
接客者に渡すと、クーポン券を持って奥に聞きに行きました。
「すみません、この券は5時からしか使えないのですが」確認すると、小さな文
字でそのように書いてあります。他の店を探すのも面倒臭いので
「今はお茶の時間で、酒は5時からなんだ。じゃーそれまでこの席でお茶を飲ん
で精算して、5時からその券使って10%引きで飲めるんだね」
「はい、お願いします」
5時まではお茶を飲んで話していました。5時過ぎて、ビール、ワインを飲みなが
ら何品かの料理を食べて時間をつぶしました。

6時すぎになって、店にはお客様が2、3組入っていましたが帰る時間になった
ので会計をしました。その時、店長さんが、「すべてクーポン券が使えますから」
と総額の10%引きで対応してくれました。最初はお茶の分は10%引きにならない
と思っていたものが、10%引きになって嬉しくなりました。お茶が2杯分1600
円の10%ですから高々160円ですが、それでも小さな驚きでいい店長さんだなと
いう気持ちが起き、店の印象を良くして帰りました。

額は小さくてもちょっと得した気分になると不思議なもので店の対応がすばら
しく見えますね。皆さんはいかがですか。



2007/9/30  第173号

先日、ある地方の観光施設を見学しました。メンバーは全部で4名でした。始
め関係者に話を聞いて、それから約3時間歩きました。皆疲れきっていました。
とにかく座りたい。帰りの電車に乗る前にちょっと休憩しようと駅周辺の喫茶店
を探し入りました。

20席ほどの奥に長い店です。入口近くに4人席が空いていました。ただテーブ
ルの上には前のお客様の飲み残しの器がまだ片付けてありません。他の席はすべ
てお客様で埋まっていました。

店内は年配の男性が一人でやっていて、丁度アイスコーヒをお客様のところに
運ぶところでした。
「4人ですがいいですか」
「はい、ちょっと待ってください」
そのコーヒーをお客様に運ぶまで待ちました。
「座っていいですか」
「ちょっと待ってください」
「別に片付けていなくてもいいんだけど」
「外で待っててください」最後の言葉は非常に語調がきつかったのです。
外に出ると、メンバーの一人が、「別にここでなくてもいいから他探そう」と提
案し、全員が同意し結局他の店を探しました。

おそらく店の主人は、きれいに片付けた席にお客様を案内し美味しいコーヒー
を飲んで欲しかったのでしょう。しかし何度もしつこく言うので、他のお客様に
うるさいと思い、外で待つように言ったのでしょう。「しつこい客」と思ったの
で最後の「待っててください」の語調が強くなったのだと思います。

でも我々からすると不快でした。全員歩くのはつらかったのですが、他の店を
探しました。もしこのとき主人が「すみませんね」「まだ片付けてないのですが」
「いいですか」などお客様の希望を探る言葉があったら、店に対する拒否反応は
起きなかったでしょう。どんなに忙しい時でも、言葉を省略せずお客様の希望を
探ることは必要ですね。

皆さんはいかがですか。



2007/10/14 第174号

不動産業をしている私の友人が怒りながら話してくれました。事務所のコピー
機のリース期間がもうそろそろ切れるので、新たな機械の購入時期かなと思って
いたところへ、たまたま地区担当が変わったからとメーカーの担当者から連絡が
ありました。そこである週の火曜日に商品説明を聞く約束をしました。

ところが急遽親御さんが入院することになったそうです。そこで約束の前日に
担当者に連絡をし、理由を説明して、病院に足を運ぶ機会が多くなるので説明の
機会をのばして欲しいと頼みました。いつぐらいになるか聞かれたので来週以降
になれば病状もはっきりして予定も立てられるので、その頃電話連絡をするよう
に言いました。

しかし、その週の金曜日の朝にその担当者から電話がかかってきました。しか
も単刀直入に説明の日を決めて欲しいということでした。その対応に私の友人は
ムカッとして
「来週電話くれって言ったよね」
「まだ病状も落ち着いていないし予定も立てられない」
「コピー機は調子よく動いているし急ぐ必要がない」
「はっきり言ってあなたのこの電話にむかついている」
このような言葉をついきつく言ってしまったようです。
またこんな無神経な担当者からコピーは購入したくないと言っていました。

この担当者は、できれば月曜に会いたいと思い気楽に金曜に電話をしたのでし
ょう。その結果怒りをかってしまったのです。もし約束を守って翌週に電話をか
け、親御さんの病状を気に掛けた言葉をかければ、これほどの拒否反応は起きな
かったでしょう。電話は恐いですね。相手のことがまるで見えません。なおさら、
相手の気持ちを考えた会話を工夫しなければ、思いもよらない結果になるかもし
れませんね。

皆さんはいかがですか。



2007/10/28  第175号

先日、電車に乗っていて資料を確認していたら、不要な文字「9」がありまし
た。「)」を書こうとした時にshiftキーを軽く押したのでしょう、「9」にな
っていたのです。チェックミスでした。渡す資料ですから気になります。修正テ
ープを購入して手書きで「)」に修正しようと思いました。下車した駅の隣が丁
度大型スーパーがあります。大きいところなら食品売り場の一部に文房具も売っ
ているだろうと入りました。

 手に何か資料を持ち、奥からレジに向かって急いで歩いている女性接客者と会
ったので尋ねました。「修正テープありますか」彼女はちょっと考えて、「こち
らです」と歩き始めました。後ろをついていったのですが歩くのが速いのです。
いくら今運動会のシーズンとはいえ、まるで競争しているみたいです。

最初は何とか彼女のスピードについていったのですが、あまりの速さに息が切
れてきて、ついて行くのが馬鹿馬鹿しくなり、スピードを緩めると、その差はど
んどん開きます。10mぐらい差が開いたかと思った時にコーナーで待っています。
私がそこまでたどり着くまで、無表情でこちらを見ています。

やっと追いつくと無表情に「こちらです」と角を曲がって、また全速力で歩き
ます。また差が開きながら彼女を追って行きました。なんてこのスーパーは広い
んだと思いました。もう70mぐらい歩いています。彼女はまた10mほど先に立っ
ています。やっとたどり着くやいなや、これまた笑顔もなく「こちらにございま
す」と言って、全速力で去って行きました。

彼女はきっと急ぐ用事があったのでしょうね。でもお客様の要望にマニュアル
どおり売場まで直接案内したのでしょうが、こんな案内の仕方なら「何番の売場
です」と場所を教えてくれるだけでよかったのにと思いました。せっかくの親切
が伝わってきませんでした。もったいないですね。

皆さんはいかがですか。



2007/11/11 第176号

先日、都内の高層ビル33階で講演がありました。その会場は約一年ぶりです。
始まる前に会場担当者とマイクに関しての打ち合わせをしました。ワイヤレスマ
イクを使うのですが、マイクを握る位置について話してくれました。
「このワイヤレスマイクは、マイクのあまり下の部分を触ると、そこに電波の感
知器がついていますので、音声が切れる場合があります。気をつけてください」
「じゃーなるべく上を持てばいいんですね」
「はい、お願いします。昨年は、わりと下の部分を持っていらっしゃったので」
「えー、覚えているんですか」
「はい、覚えるのが仕事ですから」

言われて初めて思い出しました。私はマイクの下の部分を持つのが癖になって
います。そのため、昨年も講演の途中で音が切れてしまい、その会場担当者から
上の部分を持つように言われていました。

それにしても、びっくりしました。1年ぶりに会って、しかもまだ2回目です。
それなのに、私の癖を覚えていたのです。そして、昨年みたいに音が切れないよ
うに始まる前に教えてくれたのです。

サービス業はお客様の顔を覚えるのが基本といわれますが、なかなか完璧に実
行するのは難しいものです。しかし思いもよらないところで、覚えられているこ
とを知ると感動するものですね。
 
皆さんはいかがですか。



2007/11/25 第177号

先日仕事で飛行機に乗った時のことです。新聞を読んでいると、若いキャビン
アテンダント(CA)が飲み物のサービスに来ました。リンゴジュースを頼むと、
コップに入れて差し出しました。
「ありがとう」
「下をご覧ください。真っ赤です。いまが紅葉のさかりです」
窓側のシートでしたので下を見ると、黒い山が見えるだけです。真っ赤でないの
で返答も出来ず、紅葉は上から見ると黒く見えるんだと思いつつ、
「ここはどのあたり」と尋ねました。
すると、座席の前に置かれている雑誌を取り出し、最後のページの地図を開き、
「目的地までの距離のちょうど真ん中あたりですので、M市あたりです」
「ありがとう」と返事をして、再び窓の外に目をやると、赤い山、赤い山、赤い
山の連続です。紅葉が見事でした。

きっとこのCAの得意とするお客様への魅力の一言なんでしょう。でも最初に教
えた時ちょっと場所がずれたのかもしれません。あと30秒声をかけるのが遅けれ
ば場所がぴったりでした。たまたま運悪く場所が外れました、あるいはたまたま
私が最初に見たときの山だけが紅葉がきれいでなかったのかもしれません。でも
このようにお客様を楽しませようとするCAの心配りに心地良い気分になりまし
た。

その後も観察していますと、他のCAと比べても彼女は積極的にお客様と接し気
配りを見せているようです。一生懸命お客様にサービスを働きかける姿を見るだ
けでも気分がよくなりますね。

皆さんはいかがですか。



2007/12/9         第178号

何年か前までよく通った割烹料理の店があります。そこの接客者は年配ですが、
全員着物を着て接客も上手で気配りのある対応をしてくれていました。

先日、久しぶりに行った時です。中に入ってびっくりしました。店の雰囲気が変
わっています。料理の価格も低めになって、接客者の数が大幅に減っています。
顔見知りの人は女将さんだけになっています。接客者は全員洋服です。何か店の
雰囲気と合わず違和感がありました。

コース料理を注文し、順番に運んでくれますが、接客者の対応が荒くなっている
ように感じました。ふぐのから揚げを持ってきた時に、から揚げが皿から一つテ
ーブルに落ちました。「いやだなー」とつい言ってしまったら、「別に大丈夫で
すよ、いやなら、これだけ揚げなおしてきましょうか」というのです。びっくり
しました。今までの接客ならそんなことは言わないでしょう。信じられません。
「揚げなおすと色が濃くなるでしょ」
「はい少し黒くなります」
こんな対応です。何言ってもしょうがないとあきらめて「じゃーいいよ」と結局
食べませんでした。

周辺に、競合店も増えたため、店の業態を変え、価格を下げ接客者も少なくし
て再出発したのかもしれません。しかし価格を下げれば接客レベルを下げても良
いということにはなりません。きちっとした教育もしないで基本的な接客も出来
ないとなると、今までのお客様も離れるのではないでしょうか。

皆さんはいかがですか。


 
2007/12/23        第179号

先日、贈り物をするために、百貨店の地下の食品売り場に行きました。いろい
ろ見て回るうちに、背広姿の男性がケーキ類を売っていました。
「こちらのブルーベリープディングはおいしいですよ」
箱にはスポンジケーキのような菓子の写真が印刷されています。
「プディングってプリンじゃないね」
「これはイギリスのブデイングでして、蒸し菓子なんですよ。イギリスではクリ
スマスにこの蒸し菓子を食べるのが習慣なんですよ」
「でも、全体にブルーベリーが見えるから色があまりよくないね」
「それではこちらはいかがですか。ブルーベリーが中に入っているタルトです。
中に12個入っています。イギリスでは25日、26日、・・・ちょうど12日目に、
3人の聖人をしのんで、このタルトを食べるんです」
プディングの話。またケーキにまつわる逸話を聞いていると、とても興味がわい
て、そのお菓子を2箱購入して、送ってもらいました。

その後話をすると、彼は大手メーカーの社員で、プディングの担当だったので
す。「これはどこにも負けない商品なんです」と商品に対して熱く語っていまし
た。商品に対する愛情があったからこそ、習慣、逸話など関連情報を集めて、何
とか興味を持ってもらおうと工夫したんでしょうね。

後日調べてみると、イギリスではプディングは蒸し菓子で、クリスマスに食べ
る習慣があるそうです。また1月6日はエピファニーと言い、クリスマスから12
日日目のこの日、東方から3人の人が、キリストの誕生を祝ったとのことです。
商品に対する情報は、使い方次第で購買意欲を呼び起こしますね。
 
皆さんはいかがですか。



2008/1/6  第180号

 あけましておめでとうございます。
皆さん良いお正月をお過ごしになったことと思います。
その気分で今年一年を充実した年にしましょう。
今年も「接客バンザイ」をよろしくお願いいたします


 昨年の暮、あるビアレストランでのことです。丁度午後9時25分。入口にいた
男性接客者に尋ねました。
「何時までやっているの」
「はい10時がラストオーダーです。お店は10時半までやっております」
1時間ぐらい楽しめるからと入り、その接客者に席を案内されました。

その男性が注文を取りにきました。何品か注文していると
「ご注文の品は比較的油物が多いので野菜などいかがですか。揚げ物は少しお時
間がかかりますが、サラダでしたらすぐ出来ますので、それを召し上がりながら
お飲みになったらいかがでしょうか」
なかなかサジェスチョンサービスが上手です。サラダも注文しました。

また、ワインも少し飲みたいのでデキャンタを注文しようとすると
「デキャンタを注文されるのでしたら、少々お値段は高くなりますが、こちらの
ボトルはしっかりしたお味ですから、ほんの少しの差でお得だと思います」と勧
めます。笑顔の対応で感じよく勧め方もうまいので言われるままに注文しました。

すぐビールで乾杯をし、話しながら飲んでいたら、店内の接客者の数が少なく
なり別の年配の接客者が「料理のラストオーダー」を尋ねました。時計を見ると
9時40分です。ずいぶん早いなと思いながら、話していると、9時50分にその接
客者が「飲み物のラストオーダー」を取りに来ました。その頃になると何組もい
たグループのお客様が帰り1、2組になっていました。しかも10時になると入口
近くのライトを消したのです。その頃は我々1組になっていました。何か料理と
飲み物を楽しむ雰囲気でなく、だまされた思いで帰りました。

最初に会った感じの良い接客者はアルバイトなのでしょうか、我々の注文を取
ると帰ったようでいませんでした。最初に会った接客者がいい加減なことを言っ
たのでしょうか、あるいは他の接客者がお客様が少なくなったので早めに店を終
えようと考えたことでしょうか。それは分かりませんが、接客者全員の言動・行
動が一致しないと店自体の信用はなくなりますね。

皆さんはいかがですか。



2008/1/20 第181号

同じ接客者でも評価が分かれることってありますね。
私が月に3回ほど必ず利用する地下鉄の駅があります。あまり大きい駅ではあ
りません。2種類の回数券を利用して自動改札を出ますが、時々引っかかって出
られません。時間がなく急いでいる時はイライラして、「何でこれが出られない
の」とつい大きな声になって窓口に言います。ある若い駅員さんが対応のの時は
いつも無言で回数券を確認して、無言で改札用切符を渡します。「なんて愛想が
ないんだ」と余計気分を悪くして出ます。彼が担当の時はいつもそうです。つい
顔も覚えてしまいます。

私の同僚もその改札口を利用します。乗り越し精算をしますが、ICカードで精
算できないので窓口に行きます。すると
「いらっしゃいませ」笑顔で挨拶するそうです。切符を渡すと
「00駅からですから00円になります」精算を済ませると
「これでお通りください」と改札用切符を渡し
「ありがとうございました」きちんと笑顔で感じよく対応するそうです。
そんなことが度々あったそうで、すごく感じのいい駅員さんがいると言うのです。

話を聞いてみると、どうも私と同じ駅員さんのようです。きっと彼はいつもは
感じのいい対応をしている人なのでしょう。ところが私はイライラ していますの
で普通に話してるつもりでも、つい大きな声になってしまうのです。彼はクレー
ムかなと思い、構えてしまってなるべく関わらないようにしようと、愛想のない
対応になるのかもしれませんね。逆効果になっています。いやだなーと思う時ほ
ど対応を意識しないとまずいですね。

皆さんはいかがですか。



2008/2/3   第182号

 先日、新幹線〇〇駅で降り、近鉄線の特急に乗り換えました。〇〇駅で近鉄線
に乗り換えるのは久しぶりでした。確か新幹線から直接近鉄線に乗り換えられる
出口があり、いったん外に出ると近鉄線まで行くのにだいぶ遠くなるような記憶
がありました。乗り換え時間が余りありません。新幹線から降りて、最寄りの階
段を下がりました。丁度JR在来線への連絡口があり、そこにいた駅員さんに尋ね
ました。

「近鉄線に乗り換えるのはどう行ったらいいんですか」
「そこの出口を出て、左にずーっと行って右に行けばありますよ」
「えっ、一旦出るの。確か近鉄線に直接入れる出口があったよね」
「それは南口。ここじゃないから」
「ここを出ると遠回りにならないかな、ホームに上がって南口に行ったほうが近
いかな」
「ここに下りたんだから、しょうがないでしょ。そこ出て左に曲がって行けばい
いでしょ」
結局駅員さんの言うように、近くの改札口を出ました。ズーと通路を歩きまし
たが、無事に近鉄線にたどり着きました。

駅員さんは、すぐそばの改札口を出れば、多少遠回りでも簡単に行けることを
教えてくれたのです。でも私は駅員さんの対応にムカッとして、近鉄線まで歩く
間イライラしていました。「ここに下りたんだから、しょうがないでしょ」の言
葉に、時間に間に合うか心配して、しかもだいぶ遠回りになると思っていた私に
は「あんたが知らないでここまで来たんだから、あんたが悪い。そこを行くしか
ないでしょ」と言われたように感じたのです。

「ホームに上がってもいいですが、何度も上り下りするより、さほど時間がか
かりませんから、そこの改札を出たほうがいいですよ」と言われたらイライラし
ないで、その場で感謝したでしょうね。接客の相手がどんな心理状態か分かりま
せん。常に言葉の工夫をしないと怖いですね。

皆さんはいかがですか。



2008/2/17 第183号

私の住まいは地域的に都市ガスが利用できず、LPガスを使用しています。LP
ガスの料金が昨年から今年にかけてすでに2回も値上げされています。そんな関
係で新しい業者が新規開拓を狙って付近一帯に営業攻勢をかけています。

知り合いのご年配のご夫婦の家にも来たそうです。来るなり言葉巧みに領収書
を見せてほしいと頼まれたそうです。どのくらい安くなるのかなと思い、見せま
すと、何か計算をし始め、用紙を渡したそうです。そこには現在の使用金額と会
社を変えた場合の金額が比較して書かれています。なんと16,000円が1万円にな
ると書かれています。あまりの安さに色々安くなる理由や仕組みを聞いたそうです。
ただ変えるかどうかの決定はご主人がするからと断って話を聞いたそうです。

ところが話がうまくて、飽きさせずに話を進め、うちの会社に変えなくても今
使っている会社に安くするように交渉してあげますと親切に言ってくれます。そ
して、ここに住所と名前を書いてくださいというので、つい書いてしまいそうに
なったそうです。ところが常日頃からご主人にサインと印鑑は押すなといわれて
いるので、はっと我に返り書くのを止めたそうです。そうしたら今度の日曜なら
ご主人がいるでしょうから、また電話して来ますと言って帰りました。

それ以来一度も電話がないとのことです。その奥さんは「あれはやはりだまし
て、サインをさせようとしたのかしら」とその会社のパンフレットとその営業マ
ンの名刺を見せてくれました。

だまそうとしたのか、どうかは分かりませんが、何か怪しいなという印象が残
り、その話が近隣一体に広がっています。営業マンは自分の営業姿勢に気をつけ
ないと、会社の信用に大きく影響しますね。
 
皆さんはいかがですか。



2008/3/2 第184号

ある駅前のイタリアンのお店。厨房から接客まで女性スタッフだけで切り盛り
している店です。セットメニューもあり、同経営のパン店と隣接していて、パン
も食べ放題。かなりお得な感じがして、印象が良かったので2週間ほどして再度
行きました。

店に入り、前回対応した接客者が迎えてくれました。20代半ばぐらいで、おと
なしそうな感じの良い女性です。覚えていないだろうなと思いながら、「こんば
んは」と挨拶したら、笑顔で「いらっしゃいませ」と迎えてくれました。
料理を何品か注文した後、ワインを注文することにして、何にしようかと話しな
がらメニューから選んでいました。
「この間美味しかったけど、どれだっけな」
「この間ご注文なさったのは、確かこれだと思います」とニコッと笑顔で答えて
くれました。

覚えていてくれたのです。別に前回多く話した訳ではないのですが、ワインを
頼む時、メニューに書かれているワインについて、ぶどうの種類、味などを尋ね
ました。その時ワインは詳しくないのですがと断り、自分なりに一生懸命答えて
くれました。そんなことで覚えていたのでしょう。

でも不思議ですね、覚えていてくれたんだと思うと、急に親しみがわいてきま
す。別に、その接客者とその後も多く会話するわけではないのですが、接客者も
パンを取りに行く時に、「これが人気ですよ」「これが焼きたてです」など言葉
をかけてくれます。

おまけに、帰りに料金支払いの時にはポイントカードはありますかと尋ねられ、
「ない、前回ももらっていない」というと、「全部押します」と多めに印鑑を押
して1枚分印鑑で埋まり、次回には金券とし使えるようにしてくれました。サー
ビスの金額としてはたいしたことないのですが、次回も来ようという気になりま
した。

お客様のことを覚えることは、お客様に親しみを与え、店の魅力を印象づける
大事なサービスですね。

皆さんはいかがですか。



2008/3/16    第185号

私の叔父が2人でS県のある大学病院に入院している親戚の病院見舞いに行っ
たそうです。前もって親戚の家族から面会時間と病院に入る時の受付の場所を聞
いておきました。面会は午後1時からなので、病院には午後12時45分に着いた
そうです。ガラス戸の自動ドアを入ろうとしたら、開きません。中を見ると広い
ホールがあり、受付には男性の職員が座っていました。中の職員さんは叔父達が
来たことを分かったようですが、別にドアを開けようとはしません。

その日は、晴れてはいましたが、あいにく風の吹く寒い日で、そこに立って待
つには辛かったそうです。入り口は影っていましたので、結局時間まで日差しの
ある場所に移動して振るえながら待っていました。後日、その時のことを「冗談
じゃなく、病気見舞いに行って病気になるところだった。受付の前のホールは広
いし、何も時間通りに開けなくても、あんな寒い日は早くあけてくれても問題な
いんじゃないかな」と笑って話していました。

いつもは、そのドアは面会時間が始まる時間に開けているのでしょう。そうし
ないと、見舞い客がどんどん入ってしまい業務に支障をきたすのかもしれません。
まさか見舞い客がそんなつらい思いをしているなんて分からないのでしょう。

時には、お客様の立場で外側から病院を見ることをしないと、見舞い客の不満
も理解できませんね。不満が分かれば、もしドアを開けられない事情があるのな
ら、病院の待合室で待つなどの案内を出しておけば不満は残りません。

時折お客様の立場で店、会社を見ることは大切ですね。皆さんはいかがですか。



2008/3/30    第186号

先日駅前で、どこに入ろうか迷っていた時、笑顔で感じよくサービス券を配っ
ている女性がいたのです。何気なくサービス券を受け取ってしまい、その店に決
めました。何件も飲食店が並ぶ、通り沿いにある焼肉店だったのです。

店に入ってびっくりしました。まず迎えた接客者の笑顔がいいんです。明るく
響きのある声で「いらしゃいませ」と迎えてくれました。座敷を勧められたので
すが、テーブルを希望すると、先客が出た後のテーブルを片付けてくれました。

用意ができて、案内に別の女性が来ましたが、また楽しそうないい笑顔です。
見るとその日は4名の女性接客者でしたが、料理を運んできて、お客様と短い言
葉を交わしながら皆すばらしい笑顔を見せてくれました。笑顔の良い接客者に会
うと、こちらまで楽しそうな気分が伝わり、私達の食事もお酒も美味しくなりま
す。

その後、駅前でサービス券を配っていた女性も戻ってきて、心地よい接客をし
てくれました。会計をした後、見送ってくれたのは、その女性でした。やはりニ
コニコとすばらしい笑顔で「ありがとうございした」と挨拶してくれました。歩
きながらか、「また来るね」なんて話した後、駅に向かって歩きました。20mほ
ど歩いて、何気なく振り返ると道の中央に出てまだ見送っています。手を振りま
すと、今度は両手を大きく振って返してくれました。

この行為には感動しました、入口で見送れば、歩くお客様は何mか行けば、置
き看板や袖看板で見えなくなります。それで店内に戻れば別に問題はありません。
何十mも行って、振り返っても接客者が見えるというのは、その接客者が挨拶し
た後、何歩か歩いて道の中央に移動して見送っているからです。そしてこの行為
は必ずしもお客様が気がつくとは限りません。振り返らなければ分からないので
すから。

でも、こうしたサービスに接すると、彼女のサービスの姿勢に感動します。私
はこういうサービスが好きです。そしてまたその店に接客者の彼女に会うことを
楽しみに、食事に行ったことは言うまでもありません。

皆さんはいかがですか。



2008/4/13 第187号

知人が朝食のために、自宅マンションの一階にあるコヒーチェーン店に入り、
イタリアンサンドを2個購入したそうです。丁度店内は朝の混んでいる時間帯で
した。他のお客様は持ち帰りではなく、皆トーストなどを注文していて、イタリ
アンサンドの注文は一人でした。

厨房では各担当が忙しく動いていましたが、イタリアンサンドの調理担当はか
なりの年配の女性です。そして慣れていないのか動きが遅いのです。ロールパン
に野菜、トマト、モッツアレラチーズをはさみバジル風味で味付けるのですが、
見ていてあまりの遅さにイライラしたそうです。やっと一つが出来てトレーに置
いて、次の調理にかかりました。そばで見ていたレジ担当の女性も、遅いと思っ
たのでしょう。見かねて手伝い始めました。

ただ突然いままでお金を扱った手で、そのままパンをつかんで袋に入れたので
す。しかも途中でマスタードをつけてないのに気がつき、また袋から出してマス
タードをつけて袋に入れたそうです。

「うわー、いやだ」と思い、注意しようと思ったそうですが、調理担当も一生
懸命やっているし、レジ担当もあまりの遅さに見かねてお客様を待たせないよう
に善意でやったのだろうから、注意するのもかわいそうと思ったそうです。結局
何も言わずに帰りました。家に帰ってから、やはり気持ち悪いと思いオーブンで
焼いたそうですが、結局さわられた部分は食べられなかったそうです。そして「も
うあの店では買わない」と話していました。

お客様が混んでいる時は、どうしても速度を意識してしまいますが、見られて
いることを考えないと、お客様がどのように感じるか分かりません。自分では早
く提供したと思っても、不潔な店というレッテルを貼られお客様を失う恐れもあ
ります。恐いですね。
 
皆さんはいかがですか。



2008/4/27   第188号

先日、家族の付き添いで大学病院まで診察を受けに行きました。良い結果にホ
ッと安心して隣接している薬局に薬を受け取りに寄ったのです。入ると機械に処方
箋を入れ、番号が書かれた紙をもらいます。室内は待合用の合計7-80人分の
椅子が置かれています。ほとんど患者で席が埋まっていて、それぞれが自分の番
が来るまで待っています。

正面には患者さんに薬を渡すカウンターがあります。そこは板で区切られてい
て、計6箇所のブースになっています。電光掲示板に自分の番号が表示されると
薬剤師さんが、そのブースに薬を持ってきて、番号を呼びます。その番号紙を持
った患者さんがブースで薬をもらい会計をする仕組みになっています。

電光掲示板には同時にいくつもの番号が表示されます。ブースの薬剤師さんの
呼びかけで指定された場所に行くのですが、ほとんどの薬剤師さんの声が小さい
のです。

一番後ろの席は、カウンターから15mぐらい離れています。席の後の方に座っ
ていると聞き取れないのです。患者さんの中には耳の遠い人もいて、気付かずに
薬剤師さんがブースから席まで行って再度番号を呼んで知らせている姿が目につ
きました。

その中で、一人だけすばらしく、響きがあって声の通る薬剤師さんがいます。
「〇〇番の方いらっしゃいますか」この人の声だけ一番後ろで座って待っていて
もはっきり聞こえます。聞いていて気持ち良くなるほどです。運良くその人に当
たって、その呼びかけに薬を受け取りに行きました。

薬を受け取った後、話しかけました。
「声が良く通りますね」
「そうですか、ありがとうございます。声だけなんですよ」
「でもこういうお仕事は、正確に順番を伝えることが大事だものね、聞いていて
気持ちよくなりますよ」
「そう言っていただくと、嬉しいですね。ありがとうございます」

この職場のように、声がサービスに大きな役割を果たすところでも声が小さい
人が結構います。何で声の訓練をしないのかな、と不思議に思うことがあります。
声は誰でも正確な訓練法を覚えれば必ず変わります。すべての人が訓練を続けて、
通るはっきりした声の持ち主になるといいですね。

皆さんはいかがですか。



2008/5/11   第189号 

先日、知人がパソコンを購入するに当たって、大手の電気販売店に一緒に付き
合いました。数ある機種から何にするか迷っていて、たまたま近くにいた男性販
売員が寄って来たので質問しました。彼は笑顔がよくて、声も明るく愛想よく話
します。知人はすっかり気に入って彼に任せようとしていました。

ただそばで聞いていて説明が不十分に思えました。例えば「この機種の違いは
何?」「金額はあまり変わりませんから、内容もそれほど変わりません」確かに
内容的にはさほど変わらないかもしれませんが、質問に対する答になっていませ
ん。そして早く決めさせようとしています。

私はもう少し信用おける人から聞いたほうがいいと思い「もう少し回ってくる
から」と言葉を挟んで、他の場所に移動しました。そして他の男性販売員に声を
かけました。

彼は説明がしっかりしています。「どちらがいいかな」「機能でいればこちら
ですが、仕事で何のソフトを使うか、写真の編集などはしないで、ワード、エク
セルなどだけでしたら、遜色ありません。」こんな調子です。機種の違いをわか
りやすく教えてくれます。話に説得力がありました。

ただ、残念ながら話しぶりがよくないのです。自分からは寄って来ません。そ
して話す声が小さいのです。店内はマイクで案内が流れていたり、音楽が流れて
います。その音に声が消されてしまい聞き取れないのです。何度も聞き返しまし
た。また顔に表情がないのです。淡々と話すのみです。笑顔も最後に購入を決め
た時に初めてにニコッとしたのみです。
 
知人も「あんなに説明がわかりやすくて安心できる人なのにもったいない。あ
れでは目立たないし、評価もよくないかもね」と言っていました。すばらしい知
識があっても、伝える雰囲気を工夫しないと、その良さが目立たないでしょうね。

皆さんはいかがですか。



2008/5/25   第190号 

先日、携帯電話機を買い換えました。新しい機種はどれも魅力です。今の時代
だから、やはりTVも見えて・・・、薄型で・・・、写真と動画は・・・など、欲
しい機能がどんどん広がって、便利さを求めて高機能の商品を買ってしまいまし
た。でも実際使ってみたら、TVは映らない場所が多いし、見る機会もないし、写
真もやはりデジカメの方が使いやすいし、結局私にとっては無駄な機能ばっかり
に思えて、電話機能だけ考えて買えばよかったかな、とちょっと後悔しています。

その携帯電話ですが、待ち受け画面に文字が流れている窓があり、うっとうし
いと思っていました。たまたま携帯電話会社の営業店があったので、窓を消して
もらおうと入りました。

若い女性が担当者で、窓を消して欲しいと言うと、「すぐできます」と散々い
じっていましたが、なかなか出来ません。そして結局文字が流れるのは止めたの
ですが、窓わくは消せません。すると、「この機種は窓が消せないようになって
います」と言って返しました。そんな訳ないな、もしそんな機種があったら欠陥
商品だなと思いましたが、時間がないのでそのまま帰ってきました。

後日、携帯電話会社の電話案内に尋ねると簡単に消せました。きっと彼女は、
たまたまその機種での操作の仕方を間違ったのでしょう。なかなか出来ないので、
あせって余計出来なくなったのかもしれません。そして客の私には「出来ない」
と言いずらかったのでしょう。それで「この機種は・・・」と説明したのでしょ
うが、「この機種は出来ない」と言い切ると嘘になってしまいます。そしてそれ
が嘘だと分かると「なんて、あの営業店はいい加減なんだ」と感じてしまいます。

やはり接客者の言葉は大切ですね。何気なく言った言葉もどのような影響があ
るかもしれません。接客では一言でも安易に言葉を出すのは恐いですね。

皆さんはいかがですか。



2008/6/8  第191号

先日、午後からの名古屋の仕事のため、午前9時頃金沢駅から特急電車に乗り
ました。しばらくして車掌が検札に来ました。車内はお客様がまばらです。20代
でしょうか、若い車掌さんがはっきりした声で「切符を拝見しますと」と声をか
けます。響きのある通る声をしていて、笑顔もいいのです。切符を渡す時、「声
がいいね」というと「ありがとうございます」と笑顔で答えていました。

金沢を出て1時間ぐらいすると、席はほとんどお客様で埋まりました。他のお
客様への検札に回るのに、相変わらずはっきりした声で挨拶をしていますが、と
ても楽しく仕事をしているように見えるのです。

それぞれのお客様に対応するのに、かける言葉を少しづつ変えているのです。
同じ言葉の組み合わせは使いません。
3席ほど前のお客様には、
「失礼します。切符を拝見します。ありがとうございます」
斜め前のお客様には、
「おはようございます。お預かりします。お返しします」
後ろのお客様には、
「前を失礼します。拝見します。お返しします」
その後ろのお客様には
「ありがとうございます。お返しします」
私の席から言葉が聞こえる範囲では、同じ組み合わせの言葉を使っていません。
聞いていて好感が持てました。同時に仕事を楽しんでしるから、かける言葉も工
夫しているんだろうなと感じました。

北陸本線の他の車掌さんも同じように工夫しているのかもしれません。しかし、
私は今まで検札というと、どのお客様にも同じ言葉を使って、つまらなそうに形
式的に行っている車掌さんを目にすることが多かったので、より新鮮に感じまし
た。同時にこうした工夫をいつまでも続けて、仲間をどんどん増やして欲しいな
と思いました。感じがいいですものね。

皆さんはいかがですか。



2008/6/22 第192号

昨年からかかりつけの医者が変わりました。個人医院ですが元々大学病院で部
長経験があり、技術もよく評判がいいと知人に紹介されて変えたのです。院長は
60歳前後で、診察を受けると、話をきちっと聞いて、説明もわかりやすく、とて
も安心出来るので、変えて良かったと思っていました。

私は毎年胃カメラを使用した検査をしています。先日はその病院で初めて胃カ
メラを経験しました。カメラを鼻、口のどちらから入れるか聞かれ、毎年慣れて
いますので、口からのカメラを選びました。

検査中は苦しいのですが、モニターを見ながら、食道、胃の中とカメラの作動
状況が分かります。「食道はきれいですね」「胃の中の黒い点はかつての出血の
後ですけど、問題ありません」など状況を説明しながら無事検査が終わりました。

終わった後「ちょっと待ってください」と私をその場に座らせて機械を操作し
ています。通常は今撮ったビデオを再生して説明してくれるはずです。何分経っ
ても、説明が始まりません。モニターも映像が止まっています。そして「おかし
いな」と言いながらいろいろなキーを叩いていますが、変化はありません。今度
は機械の下に顔を突っ込んで何度もボタンを押したりしていますが変わらないの
です。

そばにいた看護士さんが、私に分からないように説明書を院長の手元に渡して
いましたが、きっと操作するのに普段から説明書を読む習慣がないのでしょう、
それを無視してとにかくキーを叩いていました。

結局あきらめて、処置室から診察室へ移動して説明してくれました。2カット
写っている写真を見せました。
「最近はカメラを鼻から入れる人が多くて、口からいれるのは久しぶりなので、
機械の操作を忘れてしまってね。この写真も本当は1枚に4カットが写るんです
が、2カットしか写っていなくて。どうしたんだろう」と言い訳した後、胃に関
する所見を伝えました。でも終わった後、来年の検査は違うところでやろうかな
と思っています。

いくら仕事上の経験、知識が抱負でも、仕事に使う機械の操作が出来ないとそ
の人への信頼感がだいぶ薄れますね。パソコンの操作に関しても同じことが言え
ます。人より優れる必要はないのですが、普通に操作できるように頑張らなくて
は、その人の評価を下げてしまう可能性がありますね。年配者の皆さん、特に頑
張りましょう。

皆さんはいかがですか。



2008/7/6 第193号

 先日、遅いお昼を食べに都心のレストランに2人で入りました。ちょうど時間
は午後1時45分頃です。入ると若い男性接客者が厨房の近くの席に案内しました。
そこは2人用テーブルが間隔をあまり空けずに6つ並んでいました。店内のお客
は2人でした。端のテーブルには1人客が食事をしています。2つテーブルを置
いて4つめのテーブルに一人客がいます。5つ目と6つ目のテーブルは付けて4
人用にしています。我々には3番目のテーブルを勧めました。隣のお客とくっつ
いていて落ち着かない感じです。

他のテーブルがまだ多く空いているので、
「あっちの席がいいな」
「予約席です」
「じゃー、むこうの席は」
「予約席です」
要するに、1箇所にお客を集めて置きたいようです。そこで、
「じゃー、あの席に座ったらまずいの」(6番目の席をさして言いました)
「ちょっとお待ちください」近くの年配の接客者に聞いています。

年配者が寄ってきて
「こちらは4人席です」見れば誰でも分かります。2人席を付けて4人席にして
いるので離せば座れると思ったので頼んだのです。
「そこはまずいの」
「4人席ですから」
仮に後から4人客が来ても、2番目、3番目を付ければ4人席は確保できます。そ
れなのに、落ち着いて食事をするための工夫をしてくれないので、結局店を出て
違う店に行きました。

そこは和食の店で、2時のラストオーダー、2時半までという条件で入り、他と
仕切られている席に案内されました。雰囲気はこの店の方がはるかに上です。セ
ットメニューを頼みました。2時半近くなったので出ようとしたら、「まだデザ
ートとコーヒーがありますよ。ゆっくり召し上がってください」と落ち着いて食
事が出来るようにせかせず配慮してくれました。料理も凝っていて気に入り、帰
りに「今度夜来るね」とその店のパンフレットをもらって帰りました。

お客に精一杯食事を楽しんでもらおうという気持ちがあるかないかは、その接
客者から伝わります。その店のルールに無理矢理従わせるか、その店の条件の中
で最大限工夫するか、接客者の対応で決まりますね。

皆さんはいかがですか。



2008/7/20 第194号

地方に仕事で行くとお土産を買うのも楽しいものです。主要駅の近くには地域
の有名土産物を扱う店舗が並んでいます。時間が許せば中を覗くのですが、色々
な接客者がいますね。

先日もある駅で土産を扱っている店舗に入りました。ちょっと見ていると、「い
らっしゃいませ」あるいは「いかがですか」と寄ってきます。それだけで落ち着
かない気分になります。そういう接客者は、マニュアルのみの対応なんですね。
優柔不断にどちらにしようかなと迷っていると、そばのお客が商品を決めたのを
見て、接客者が私に声を掛けてきます。「お先にいいですか」「あっ、どうぞ」
と返事して接客者の顔を見ると非常に迷惑そうな顔をしていました。「決めるの
が遅いわね」と言われているようです。一生懸命「買わす雰囲気」を作っている
のですが、逃げたくなります。

そんな中で、声掛けのタイミングがいい接客者がいました。しばらく見ていて
「これがいいかな」と思った瞬間に声を掛けてくれるのです。ちょうど商品に興
味を持ったところですから、「このお菓子の特徴はなに」と聞くと素材から製法
まで、すごく分かりやすい言葉で説明してくれて、迷わず買ってしまいました。
自然と「買う雰囲気」が出来てスムーズにお金を出してしまいます。

買わされるのか、買ってしまうのか、雰囲気の作り方でお客の動き方が違って
きますね。皆さんはいかがですか。



2008/8/3 第195号

先日、仲間と焼肉で有名な地域の焼肉屋に入りました。人数は5人です。皆適
当に好きなものを注文し、お酒を飲んで、食べながら大いに会話を楽しみました。
気の置けない仲間と飲むのは楽しいものです。大声で話して、大声で笑って、あ
っという間に時間が経っていきました。

そのうちふっと思いました。今日は何にも考えずに気分よく食べて飲んでいる
なーと。往々に皆で食事をすると、量の問題で配慮する時がありますよね。この
まま食べたら、一人食べられない人が出るなと。そんな時は、残念だけど誰かが
食べられないから相手に譲って、どうぞと遠慮する時がありますよね。しかし、
今日はそんな気配りをする機会が全然なかったのです。

何でだろうかと、考えてみると、そうなんです、出てくる皿に盛ってある肉が
すべて人数分で割り切れる数になっているのです。いろんな種類を注文して、何
人前を注文しても、すべて人数分で割り切れる数にしてくれているのです。いや
ー、気配りがあるなと思いました。

結構あるでしょ、人数で割り切れないから、もう一人前頼もうなんて。それが
ないのです。皆満足でした。肉の味も満足しましたが、目立たないその気配りに、
皆大満足でした。

皆さんはいかがですか。



2008/8/31 第196号

先日突然、網膜剥離になってしまいました。緊急に網膜剥離の手術を受けた時
のことです。局部麻酔でやりますから意識ははっきりしていまして、3時間近く
手術の様子をズーと見ていなければなりません。ちょうど水の中から水面を見
ている感じです。上からライトが当てられ、まぶしい状態の中で、水中にコード
が進入してくるのが見えます。その先端からは緑のレーザー光線が出て患部
を治療している様子がわかるのです。

そんな状態ですから担当医と看護師、周りの人たちの会話がはっきり聞こえて
きます。
「圧を30から40にしてください」
「はい分かりました」担当医が何か指示しながら手術が進んでいました。
そのうち「内視鏡が暗いですね」「00に変えましょうか」そんな会話を頭の上
でしています。

しばらくして、横の方で男女2名の技師がその内視鏡を直している様子が聞こ
えます。
「これが、悪いんじゃねーか」
「いや、そこはいいんじゃない」
「本当?」
「機械じゃないかな」
「そうじゃねーよ。」

 字で書くとイントネーションが伝わらないのですが、乱暴な話し方で、まる
で駅前でたむろしている若い子たちの会話のように感じました。それを聞いてい
るうちに、だんだん、平気なのかなこの子たち、機械を理解出来てるんだろうか、
直せるのかなと不安になりました。しばらく機械を操作しているうちに「あっ、
ついた、ついた」と言う声が聞こえ、手術に支障がなかったようです。

不思議ですね、どんなに才能、能力があっても、その乱暴な話し方を聞いてい
ると相手の能力を低く評価してしまいます。手術を受けている患者はちょっとし
たことも、不安に感ずるものです。この時も仲間同士の言葉でなく丁寧語で話し
ていれば、感じ方は違ったでしょう。

病院内でも、患者と職員が利用するエレベーター内には「スタッフ間での会話
禁止」の張り紙がありました。患者の個人情報が漏れないためという目的以外に、
話し方による職員の評価低下を防ぐこともあるのでしょう。

仕事をしていて、自分たち以外の第3者(お客様など)の前での会話は、仲間
同士でも丁寧語で会話しないと、聞かれてどのように評価されるか分かりません
ね。気をつけたいものです。

皆さんはいかがですか。



2008/9/14 第197号

 先日、オフィス街近くの再開発地域に寄ってみました。ちょうどイタリアン風の店
がありました。周りがガラス張りで中が見えます。中を覗くと、お茶を飲み
ながら会話しているサラリーマン風のグループ、あるいはすでにビールを飲んで
いるグループなど、3、4組のお客が入っていました。ただ椅子、テーブルが落ち
つかない感じがしたので、他の店を探そうと歩き出しました。すると、奥から20
代後半の女性接客者が出てきて、通り過ぎようとする私達に「今日は生ビールが
サービスで最初の1杯を百円で提供しています。お得ですよ。それと、生ビール
のおつまみに切りたてのプロシュートがあります。美味しいですよ」と声をかけ
てきました。

生ビール、切り立てのプロシュートと頭の中に美味しいイメージが浮かび、他
の店を探すつもりでしたが、つい入ってしまいました。席に座って、彼女がメニ
ューを持ってきての説明が上手なのです。前菜、パスタ、ピザなどメニュー内容
をブロックごとに、必ず1,2品、美味しくてお勧め、人気があってお勧め、量的
にお得でお勧めなどと興味を持たせ、食材、味など具体的に説明してくれます。
また、料理を運びながらも、必ず一言、二言短い会話をして飽きさせません。

他の接客者も運んできますが、対応が違います。料理を楽しんでもらう工夫は
なく、ただ運ぶだけのように感じました。あまりにも他の人と違い接客がうまい
ので、色々と話をしてみました。すると、期間を決めて働いている派遣の接客者
だったのです。いわゆる、接客のプロです。来月から違う店に派遣されるそうで
す。

もったいないなーと思いました。その店に直接雇われている他の接客者はなぜ、
彼女の対応を真似しないのでしょうか。お客との会話、説明の仕方、接し方など、
観察して少しでも自分で出来る部分は真似をすれば魅力も違うのに。上手な人と
一緒に仕事して、うまいと思う部分を観察し、自分の可能な部分を活用させても
らう。そんな意識があれば誰でも仕事の成長速度は違うでしょうね。

皆さんはいかがですか。



2008/9/28 第198号

 休日にホームセンターに買い物に行きました。会計をしようとレジで並んでい
ると、前のお客様と若い女性レジ担当者とのやり取りが目に入りました。

「980円です」接客者の声に、若い女性客は一生懸命財布の中をのぞき込んで小
銭を探しています。その間接客者はカウンターに置かれた商品を袋に入れていま
した。

女性客は980円ちょうどをカウンターの上に出しました。その時接客者は「こっ
ちに置いてください」とレジ横に設置されているトレイをあごで指し示しました。
トレイはちょっと高い位置にありますので、置きにくかったのでカウンターに置
いたのでしょう。その言い方や態度にムカッと来たのか、女性客は小銭を乱暴に
ガンとトレイに置いたのです。その対応を見た接客者は、怖い顔でひったくるよ
うにトレイから小銭を取り、金銭処理をして、レシートを乱暴にトレイに置きま
した。まるで数秒間の女の戦いを見たようでした。

女性客がカウンターに小銭を置くので、接客者はトレイに置いて欲しかったの
でしょう。しかしその言い方や、場所をあごで指し示され、むかついた女性客が、
腹いせで乱暴にトレイに置いたのかもしれません。それでその後の対応も好戦的
な態度になったのでしょう。

この時も最初に「すみませんね、こちらに置いていただけますか」と笑顔でお
願いしたら、お客様の受け取り方も違っていたのでしょう。どのようなお客様が
いるか分かりません、日頃から「すみません」などのクッション言葉や笑顔を意
識して、接客は受身でなく自分からお客様の気分を工夫する考えを持たないと、
どんなドラマが起こるか分かりませんね。

皆さんはいかがですか。



2008/10/12 第199号

 近くにとても気に入っている中華料理店があります。厨房からサービスまでス
タッフはすべて中国の人です。女将のお客への観察力、適切な指示でとても気分
良く料理を楽しめます。

 本場物の中華はうまいという印象がありますから、横浜に仕事がある時は、中
華街に行くことが時折あります。今までは地元に住んでいる人に何軒も店名を聞
いて順に行っていました。すべてが裏道の小さい店でした。それぞれ雰囲気が違
いますが、料理、接客面で物足りなさを感じていました。

 先日、味も接客も楽しめるだろうから、たまには中心通りの大型店に行こうと
店を比較しながら観察していました。ある店に興味を持ちました。外観はイルミ
ネーションで飾り、エントランススペースがあり、そこには黒服の男性とレジが
見えます。店内の様子は見えません。でも、外のコース料理の案内が興味を引き、
価格もそれほど高くありません。入口にいた黒服の男性と言葉を交わした後、入
りました。
 
店内は3、4組のお客が食事をしていました。入口近くのテーブルに案内される
と男性接客者が注文を取りに来ました。ほとんど日本語がわからないようでした。
コース料理、紹興酒をボトルで注文しました。
 
料理が出てお酒を楽しんでいると、料理の出方が早いのです。食べ終わらない
のにどんどん4、5皿並びました。そこで持ってきた女性接客者に「早すぎるから、
ゆっくりして」と頼みました。「はい」と返事をしていましたが、この人もあま
り日本語が分からないようです。その間にエントランススペースに立っている黒
服の男性は店内にお客を何度も案内します。そして店内を見渡してまた入口に戻
ります。しばらく料理が来ないのでほっとしていたら、男性接客者が次の料理を
持ってきました。今度は飲茶です。お茶も同時です。「飲んでいるんだから、お
茶はいらないし、まだ料理早いよ」というと、「はい」と言います。

 しばらくペースは遅くなりましたが、やはり持ってきます。話しながら飲んで
いると、今度はデザートを持ってきました。まだボトルには半分紹興酒が残って
いるのに。何度言ってもあまりの気配りのなさに、追加注文もせずに、ボトルも
飲みきらないで出てきました。会計時に年配の女性レジ担当者に「まだボトルが
半分ぐらい残っているのにデザートはないんじゃないの。いくら一見の客でもひ
どいんじゃない」「すみません、よく言っておきます。これに懲りずにまたお越
しください」言葉は詫びているのですが、顔は笑っているのです。ただマニュア
ルに書いてあることを言えばいいと思っているように感じます。これではスタッ
フに伝えないだろうなと思いました。黒服の男性は何度も店内を見ているのだか
ら、お客の状況を見て料理が早すぎるかどうか分かるはずです。なんできちっと
観察しないのかなと思いました。
 
この経験から当分中華街は行かなくていいや、近所の店で十分、と現在は思っ
ています。もしスタッフに接客意識がない場合、あるいはスタッフを指導中なら、
スタッフをフォローする姿勢を強めなければ怖いですね。

皆さんはいかがですか。



2008/10/26 第200号

歯の定期健診で近所の歯医者さんに行きました。別に問題はなく、歯石を取る
ために2日間通いました。そこは、先生が2名で他にスタッフが6-7人います。
患者が座る診療椅子も8脚程あり、それぞれが割りと広いスペースを取ってあり
ます。隣との仕切りはアクリルの半透明の板。それを薄いグレーのフレームで覆
われていて、とてもゆったりとした感じを受けます。診療室全体が白を基調とし
た配色がなされ、より清潔な感じが醸し出されています。

最初に行った日は連休の翌日でした。診療室に入ると、診療椅子に座らされ、
先生の診察を受けた後に、スタッフが歯石を取りに来るまでしばらく目の前の草
木を見ていました。

診察椅子は窓に面していて外の緑の木々が目に入ります。前には窓があり日差
しが気持ちよく降り注いでいました。自然とのコラボレーションを意識したイン
テリアになっています。窓の部分は物が置けるスペースがあり、そこに緑の葉が
奇麗な植木鉢と花ビンが置かれていました。

植木鉢の葉は何か元気がないのです。おそらく連休中に水をあげなかったのか、
あるいは今日も朝の準備で忙しく忘れたのかもしれません。隣に目をやると、緑
のガラス製の花瓶の花がやはり元気がないのです。3種類の花が入っていて、ピ
ンクの花の1種類は元気なのですが、その後ろの2種類はどう見ても枯れている
のです。

スタッフが来た時聞いてみました。
「あれは枯れているんですか、それともそう見えるんですか」
「本当ですね、何だろう、ドライフラワーかな」見に行って、
「そうですね、ドライフラワーです。水も入っていません」
「いやーこんな奇麗なスペースに、枯れているのがはっきり分かる花はあわない
感じがしたもので」
「そうですよね、ピンクはいいですが、他はね。毎日見ていますが、気がつきま
せんでした。言われて見るとこのドライフラワーはあわないですね。花は受付の
者が好きなもので、すべてを彼女が管理しているのですよ」
 
 もちろんドライフラワーで奇麗なものはあるでしょう。でもまるで枯れている
のが明確に分かるドライフラワーは病院に違和感があります。スタッフも毎日見
ているのに、慣れて気にも留めなくなったのでしょうね。慣れって恐いですね。

 たまには、お客様の目線で、店内を見ることも必要ですね。皆さんはいかがで
すか。