第251号~第300号

2010/10/17  第251号

先日、足の甲の骨が痛み出し、歩くのもつらくなりました。そこで整形外科へ
行って診てもらいました。レントゲンで調べても、異常は見つからず、関節炎と
いう診断をもらいました。言われてみると、歩いていて道路の凸凹に足をとられ、
ひねった記憶がなんとなくあります。そのときはなんでもなかったのですが、そ
れが影響して関節炎になったのかもしれません。しばらくバンドで患部をきちっ
と固定し湿布薬を貼ることになりました。

医者の会計を済ませてから、近くの調剤薬局に行きました。3人のスタッフが
順番に来店するお客に対応しています。その中の30歳代と思われる大柄な男性な
のですが、すごく声の通りがよく響きがあります。そして店に入ってくるお客に
対し言葉をかけます。
「いらっしゃいませ」
「今日はどうなさいましたか」
「腰の具合はいかがですか」
「今回痛め止めが出ています」等々。お客の状況に応じて言葉を工夫しています。

前回のメルマガで声の通らない接客者の話をしましたので、やっぱり通るはっ
きりした声は気持ちがいいなと思いながら、そのスタッフを観察していました。
ところが、気持ちの入っていない接客をしているように思えてきました。

その人は、会計も済ませ、薬をお客に渡したら、「ありがとうございました、
お大事に」あるいは「お大事になさってください」と言って見送ります。でも、
言葉をかけているときは、もうお客様から目を離し、全然見ないで、身体は完全
に薬剤室に向けています。せっかく挨拶言葉をかけているのに、何にもなってい
ません。お客に対する気持ちが全然なく、ただ流れ作業で仕事をしているようで
す。雑な仕事のように感じてしまいました。

声があんなにすばらしいのに、もったいないなと思いました。確かにその時は
お客が多く、忙しかったのですが、それは言い訳になりませんね。挨拶は仕事の
けじめですよね、いつどのような時でも、きちっと挨拶ができなければプロの接
客者とは言えませんね。

皆さんはいかがですが。



2010/10/31  第252号

先日、JRのある駅(仮にA駅)の構内で人と待ち合わせをしました。ちょう
ど地下鉄からの乗り換え改札口で待っていました。その駅は他に地下鉄とJRの
改札口が並んでいます。待っている間に、年配の女性二人組と改札口周辺で乗客
の案内をしている職員との会話が耳に入りました。

その女性たちはJRのその駅(A駅)から、途中乗り換えある駅(B駅)まで
行って、そこで私鉄に乗り換えて目的地まで行く様子です。JRの切符を購入し
て構内に入ったのですが、他の行き方が思い浮かんだようです。その駅に隣接し
ている地下鉄を利用すれば、B駅まで直接行けます。そこで乗り換え改札口へ行
って、案内の職員さんにそのことを話したようです。

職員はめがねをかけがっちりした体系で背も高く、大きな声で説明しているの
でその内容がよく聞こえてきます。
「地下鉄からB駅まで行きたいんだけど」
「この切符ではいけないんですよ」
「でも、地下鉄で行った方が早いように感じるんだけど」
何度も同じ内容を説明していますが、2人組はあきらめきれないようで、何かぶ
つぶつ言っていました。すると強い口調で
「だから、ここから〇〇駅(JR)に行って乗り換え〇〇駅(JR)まで行き、
そこで〇〇線(私鉄)に乗るんです」
「これはそういう切符なんです」
何度も繰り返し説明しているので、語調がすごくもきつくなっていました。結局
その女性2人組みは、購入した切符通りJRの電車を利用するため、ホームへ向
かって行きました。

このやり取りを聞いていて、ずいぶん不親切な職員さんだなと思いました。と
いうのは、隣接している地下鉄を利用すれば、B駅まで乗り換えもなく、直接い
けますから時間も15分ほど早くいけます。また、運賃も半分程の値段で行けるの
です。確かに女性たちはJRの切符を購入して、もうJR構内に入っています。
だから説明自体は間違いないでしょう。

ただ、勘違いして切符を購入して入ってしまうこともあるでしょう。そのよう
な時は、お客にとって便利な方法を教え、そのように考えてあげるのがサービス
ではないのでしょうか。

皆さんはいかがですか。



2010/11/14  第253号

こんにちは、先週末に風邪を引いてしまい、今回は1週間遅れの発行です。

よく生産管理の場面で次工程はお客様という考え方があります。次の工程を受
け持った人たちが仕事をしやすくなるように工夫して仕事を流すことを意味して
います。同じように社員間でも接客意識を持って相手が気持ちよく仕事ができる
ようにすることが大切ですね。

先日長野県に仕事に行きました。翌日先方のご好意で、山の上の神社、近くの
池など観光案内をしていただきました。長野地区の責任者の方の案内で、運転は
同じ事務所の方です。山の麓はまだ紅葉が見え、上に行きますと雪景色。運よく
いろいろな景色を楽しめました。目的地までの車中では皆で観光地の話、あるい
は仕事の話などをして時間をつぶします。
「ちょうど昨日は天気が悪かったのでどうなるかと思いましたね」
「この神社は・・・・」等など。
お二人の会話を聞いていますと、終始お互いに敬語(丁寧語)なのです。往々に
して立場が違うと敬語を使わないで話す人がいますが、やはり敬語での会話は耳
に心地よく響きます。

責任者の方は、仕事で施設などいろいろ案内をすることも多いので、後ろ歩き
を身につけたそうです。そうすると相手の顔を見ながら説明できるので、内容が
伝わり易いということです。後ろ歩きは危なく難しそうですが、慣れると安全に
歩けると話していました。

山頂の雪景色が水面に映って幻想的な雰囲気をかもし出していた池を観光後、
駐車場に帰る途中に、他の家族連れの観光客が写真を取っていました。すると責
任者の方は、「シャッターを押しましょうか」と言葉をかけました。観光客はう
れしそうにカメラを渡して、池を背景に立ちます。まず一枚取ってから、「山の
景色が大きく入ったほうがいいから縦でも写つしましょう」といくつかアングル
を変えてシャッターを押しています。ずいぶん気が利く人だなと思いました。

帰りの車中、午後3時ごろです。皆歩き疲れたせいか、会話もなくなりました。
しばらくすると、責任者の方が運転役の社員に「運転代わりましょう。無理しな
いほうがいいから」と言って、運転を変わりました。ちょっと眠くなりかけたの
が分かったようです。「こちらに赴任してもう4ヶ月も付き合っているので、傾
向が分かるんですよ」と話していましたが、相手のちょっとした傾向を理解して
自分から代ったのです。とても気配りがある行動だと思いました。またこの事業
所の社内コミュニケーションはうまく行っているだろうなと想像しました。

接客意識はお客様に対する気配りの行為です。この意識は、同じ働く仲間にも
生かすことによって、社内の気持ちの交流がスムーズに運ぶでしょうね。

皆さんはいかがですか。



2010/12/5  第254号

先日、駅の改札口で待ち合わせをしました。待ち合わせ時間より15分早く着い
てしまったので、時間が来るまで隣のショッピングセンターのベンチに腰を下ろ
していました。

そこは飲食店やケーキ屋などが並んでいる通りのはずれにあります。たまたま
2軒先のケーキ屋さんのスタッフの仕事ぶりがよく見えました。午後2時ごろで
したが、お客がいないのです。それなのに女性接客者が呼び声を上げています。
それも小さな声です。いやいや出しているようです。

「いらっしゃいませ ただ今新商品の無料キャンペーンを行っています。3000
円以上送料無料になっています。当店自慢のチョコ生ドラヤキはいかかでしょう
か。当店自慢のチョコ生ドラヤキはいかかでしょうか。10グラム増量とお買い得
になっております。いらっしゃいませ。どうぞいらっしゃいませ、」と言いなが
ら小さくカットした試食商品を配るつもりのようです。

不思議なことにちょうど目撃した時間帯はほとんどお客が通りません。お客が
いなくても、ただただ抑揚のない小さな声で先ほどの言葉をかけています。お客
に内容を伝えるという気持ちがなく、言われたことをただ繰り返している感じで
した。

そこを年配の女性客が通りましたが、気に留めません。見もしないで過ぎてい
きました。しばらくして、またお客が通りました。今度は手に取ってもらおうと、
お客のほうに近寄って、同じ内容の言葉をかけていましたが、知らん顔で通り過
ぎてゆきました。こんな対応を続けていて意味あるのかなと思いながら眺めてい
るうちに、時間がきたのでその場を去りました。

おそらく上司に命じられてやっていたのでしょうが、何が目的でその仕事をや
っているのかまるでわかっていないようでした。話す内容を伝えて興味を持って
もらうために、時間帯やお客の流れを見ながら工夫して対応しないと、成果は出
ないでしょうね。

皆さんはいかがですか。



2010/12/19  第255号

忘年会シーズン真っ只中ですね。皆さん、楽しく飲んで会話していますか。
私もお酒は大好きです。会話をして料理を食べると、ついつい飲みすぎてしまう
のです。ただ今年は体調が悪いため、あまり飲まないようにしています。そうす
ると結構お店の中で気になることが色々発見します。接客の悪さとか、配慮のな
さなど目に付きました。ただ1軒、工夫しているのにそれが伝わらなくて残念だ
なと思うことがありました。

友人と鮮度のいい魚が売りの店で忘年会をしたときのことです。刺身にするイ
カを持ってきて見せて、それからさばくなどなかなか演出も上手です。接客もい
いんです。まず男性接客者、声がよく通ります。聞いていて気持ちいいですね。
女性接客者も笑顔が印象的です。また料理を出すときも、それぞれの魚について、
産地と名前をきちんと教えてくれます。そうすると余計その魚に興味がわいてき
ます。そのような気持ちで食べればもちろん美味しいんです。

メニューも独特です。和紙にその日の魚や料理のメニューが書かれています。
しかも独特の字体です。歌舞伎文字勘亭流のように独特な太い線がまず先に書か
れた特徴のある字体です。珍しいので接客者に聞くと、料理長が毎日今日のお勧
めを書くとのことでした。

珍しく面白いのですが、読んでいてよく読めません。そうすると読む気がなく
なってしまうのです。面倒くさいから頼まないで、同席の友人に、何か頼んだら
と薦めます。そうすると同じに読むのを億劫がります。最後のほうは結局面倒な
のでもういいと言うことになりました。

折角特徴のあるメニューを作っているのでしょうが、そのために注文が億劫に
なってはメニューの目的を果たすことが出来ませんね。お客様に喜んでもらおう
と考えたことでも、独り善がりにならないようにしないと、真の満足は提供でき
ませんね。

皆さんはいかがですか。



2011/1/9  第256号

先日一年ぶりにある店に入りました。何店か支店を持つチェーン店なのです。
実は昨年の正月に行って、接客も感じ良く、また最近私が好んでいる日本酒の種
類も多く、そしてそれに合う工夫された料理もあり気に入りました。また来たい
と思いメンバーカードを作りましたが、なかなか訪れる機会がなく、一年ぶりの
訪問になりました。

最近の飲食店は、教育もきちっとされているなと思うところが多いですね。そ
の店の接客者も感じがいいのです。話をすると近くの支店から移ってきたばかり
だといっていました。

まず笑顔がいいんです。やはり笑顔は接客の重要な要素ですから、自然な明る
い笑顔で対応されると楽しい雰囲気が増幅されます。

そして彼女で一番印象に残ったのは言葉の返しのうまさです。
皿を下げに来た時
「この料理おいしかったよ」
「ありがとうございます。こんなにきれいに食べていただいて、うれしいです」
またほめた時に
「ここの店の接客者は、皆笑顔いいね」
「ありがとうございます。はい、皆仲間ですから頑張っています」

「ありがとうございます」というお礼の言葉は誰でも言えるでしょうが、必ずそ
の後の一言が上手なのです。「ありがとう」の気持ちを自分だけでなく、他も巻
き込む様な言葉を付け加えているんですね。そのため、「ありがとう」の気持ち
よい響きがより広がって効果を発揮していました。

言葉って、その人のセンスの部分は大きいでしょうが、少しでもまねをして、
多くのお客様に気分の良さを味わっていただくって大事ですね。

皆さんはいかがですか。



2011/1/23   第257号

毎日、寒い日が続きます。寒いと外を移動するのがつらいですね。先日、地下
鉄を利用し、快速電車に乗り換えるため、ホームで待っていました。地下鉄も郊
外を走る駅は地下でないので、ホームで待つにも寒い風に耐えていなければなり
ません。

そのうち、電車が到着し、乗りました。すると車掌さんの案内がありました。
「寒い中ホームでお待ちいただきまして申し訳ありません。本日はご乗車ありが
とうございました。」
このように気を遣った言葉をかける車掌さんはいませんからびっくりです。やさ
しいなと思って聞いていると、
「このあと、ポイントがありまして通過するときに、電車が揺れますのでお気を
つけ願います」
いつも聞いている案内情報もやさしく感じます。

また、車内の案内がありました。
「席をつめて一人でも多くのお客様が座れるようにお願いします。優先席では携
帯はお切り願います。また他の席ではマナーモードでお願いいたします。いつも
のお願いですが、ご協力よろしくお願いいたします。」
この案内もよく聞きますが、最後に、「いつものお願いですが、ご協力よろしく
お願いいたします。」と言う言葉がついたことで、事務的に聞こえませんでした。
都心に入り、降りる客が多い駅に着くと
「本日は寒いですので、体調を崩さないようお気をつけください。外が寒くなっ
ていますのでお体にお気をつけて行ってらっしゃいませ。またのご利用をお願い
いたします。」
なんか暖かい気分になって電車を降りました。

特別な言葉を言っているわけではありません。いつもの情報にちょっとお客を
気遣った言葉をつけ加えているだけなのですが、親切な暖かい車掌さんだという
印象を持ちました。

ちょっとしたコミュニケーションって素敵ですね。皆さんはいかがですか。



2011/2/6  第258号

先日、友人と会った時に、何か会合を開いたり、イベントがあったら〇〇(結
婚式場、ホテル、レストランを運営している)を利用するといいよとしきりに勧
めていました。

話を聞いてみると、母親の米寿の祝いをその中にある料亭で家族全員がそろっ
て行ったらしいのです。米寿のお祝いのコースがあり、金額も想像以上に安く済
んだそうです。それだけでなく、接客対応のすばらしさで無料の宣伝マンになっ
ていたようです。

宴会予定時間が過ぎ、家族皆がそれぞれ思い思いに部屋から出る時、たまたま
乳飲み子のいる姪の家族がミルク用のお湯を接客者に頼んだらしいのです。お湯
を持ってくるのに少し時間がかかりました。その後、店内の装飾物の前で、姪の
家族が記念に写真を撮るため、シャッターを押してもらっていました。

当然時間がかかります。他の家族は、料亭の入口で待っていましたが、なかな
か出てこないので、「何で今頃そんな頼みごとをするんだろう」などと言いなが
らいらいらして待っていました。見送りのためにそばにいた別の接客者は、嫌な
顔をせずに、「お元気ですね」などと米寿の母親に話しかけていたそうです。母
親も気分よく会話を続けていたといいます。

その後皆がそろってから、「またのご利用をお待ちします」ときれいな姿勢で
挨拶をして見送ってくれたそうです。その接客者はその後の仕事の準備があって
忙しいだろうに、全然嫌なそぶりも見せないで、本当に親しげに接してくれて、
母親も大喜びだったと感謝していました。その対応ですっかりその店が気に入っ
てしまい、知っている人にはその店の宣伝をしているそうです。接客のよさが、
ファンを作り、無料の宣伝マンにしてしまったようです。

良い接客は大きな力がありますね。皆さんはいかがですか。



2011/2/20  第259号

最近の飲食店の接客者は、接客の教育が行き届いていて、積極的にお客様とコ
ミュニケーションを取って、楽しんでもらおうと言う意識の人が多くいますね。
先日も友人5人と会う機会があり、予約をしてその店に行きました。お酒の種類
も多く、料理も工夫があり美味しく、参加者全員が満足して会話に興じていまし
た。

 日本酒の追加を頼むと、その店は一升瓶を持ってきて客の目の前で、コップで
なくお銚子についでくれます。接客者に「表面張力ね」と頼むと、こぼれず見事
な表面張力の状態でぴたっと入れることが出来ます。「うまいな」「感激」など
皆と話をした後「本当はここまでですよ」お銚子の首のあたりを指差していきま
す。それを聞いて「ありがとう」などとお客が答え、短い会話が成り立ちます。

 その後料理を運んできたり、お酒を持ってきたりしたときも、一言二言の会話
があって、すごく自然で和やかな感じを演出してくれる接客でした。そんな話の
内容を題材に我々も会話を楽しんでいました。

 が、問題は店長らしき年配の男性です。この人は、店内を良く観察して、接客
者とお客様とのやり取りも聞いていて、その後必ずそばによってきて、言葉をか
けます。お客様との関係を積極的に作ろうと努力しています。このときも、「い
つもはここまでですよ」と笑顔で声をかけました。

 最初のうちは、一生懸命お客様とコミュニケーションを取って、リピート客を
増やそうとしているんだなと、皆好意的に見ていたのですが、何度も繰りかえさ
れると、うっとうしくなります。

 鍋をセットしたあと、「沸騰してきましたら召し上がれます。火を通しすぎな
いほうが美味しいですよ」と接客者が言葉をかけ下がっていきました。店長らし
き男性が、すぐ寄ってきて「当店の材料は新鮮ですから、火を通しすぎないよう
にしてくださいね」。また同じことの繰り返しです。

仲間の一人がつぶやきました。「何か、いつも見られているようで落ち着かな
いな」「放っておいてほしいね」楽しんでいた気分がしらけてしまいました。

 お客様との接点は自然と作り上げるもので、無理に作ろうとすると返って心が
離れてしまいますね。観察をするなら、お客の心の中も観察してほしいですね。

皆さんはいかがですか。
 


2011/3/7  第260号

新幹線に乗っていると車内改札が来ますが、先日とっても感じのいい女性乗務
員に出会いました。

私の席近くに来たので、チケットを用意して待っていました。すると「ご用意
ありがとうございます」といってチケットを受け取ってスタンプを押します。そ
の他のお客様には「大変お待たせいたしました」「失礼します」「切符を拝見し
ます」など言葉を変えて対応しました。パターン化した対応でなく、お客それぞ
れに対応してくれているようで、大切にされている感じがしました。また下車し
ようとした時に、たまたま通りかかったので、「これお願いします」とコヒーの
空きコップを渡したら「お気をつけて行ってらっしゃいませ」。最近はちょっとした
一言を工夫する女性乗務員が多く好感が持てます。

ところが、一生懸命やっていてもそれが伝わらない事もあります。寒い日だっ
たので通りかかった女性乗務員に「膝掛けお願いします」と頼みました。笑顔で
うなずいて持ってきてくれました。そして何かを話しかけているんですが聞こえ
ません。「えっ」聞き返しても、同じことを言ってるんでしょうけど聞き取れま
せん。面倒なので、「はい」と返事をしたら、袋を破っていましたから、「袋か
らだしてよろしいですか」と、尋ねたようです。その後車内改札に来たときも、
「切符を拝見します」という言葉もきちっと聞き取れないのです。笑顔も素敵で
一生懸命仕事をしているのでしょうが、それがお客には感じられないのです。

また前のお客に対応している女性乗務員に聞きたいことがあって「すみません」
と声をかけると、嫌そうな顔をして振り向かれた経験もあります。そんな気はな
いのでしょうが、不意に振り向いた時の表情の目つきがきついのです。

声とか態度・表情は本人ではなかなか分からないことがあります。普段から仲間
とお互いにチェックして自分のマイナス面を意識していないと、知らないところ
でお客を不快にさせる可能性がありますね。注意が必要です。

皆さんはいかがですか。



2011/3/20  第261号

 東北地方太平洋沖地震により亡くなられた多くの方々のご冥福をお祈りすると
共に、被災された皆様にお見舞い申し上げます。ニュースに写る被災地の現状を
見るにつれ、あまりの悲惨さに言葉がありません。そのような中で、被災地での
支援活動をされている方々に敬意を表します。

私の出来ることといったら、わずかばかりの義援金を送ったり、無駄に電気を
使わない、必要なものしか買わない等、些細なことしかありませんが、継続する
ことにより、被災地の皆様へのお手伝いになるのではと考えております。

被災地の一日も早い復興をお祈りいたします。



2011/4/3  第262号

昨夜、コンサルタント仲間とお酒を飲みながら情報交換をしようと7名が集ま
りました。会場は駅から少し離れた居酒屋さんです。その店は小型バスで駅から
の送り迎えをしてくれました。

料理を食べながら、お酒を飲みながら会話も盛り上がりました。ちょうどたま
たま誕生日の人がいましたら、思いがけず店長からのお酒のサービスもあり、メ
ンバー全員が満足して帰ることになりました。

帰りも駅まで送ってくれますから、皆がバスに乗って、さー出発と言う時に、
バスに乗ろうとしていた運転手役のスタッフに店の中から先輩格らしき別のスタ
ッフが出てきて何か会話をしました。

「あれ、やったの」
「あっ、まだやってません」と運転手役のスタッフが答えると、その先輩らしき
スタッフは無言のまま睨みつけていました。その顔はまるで鬼のような顔という
表現が当てはまります。

我々メンバーは皆出発を待っていますから、メンバー全員でそのやり取りを見
ていました。しかもにらみつけた顔が正面から良く分かる位置なのです。メンバ
ーの中には、「あの態度はないな」と声を発していた人もいました。なんかその
態度で皆の感じていた満足感が吹っ飛んでしまったようで、後味の悪さが残りま
した。

運転手役のスタッフが乗ってきたので、「どうしたの」と尋ねると「言われて
いたことをちょっと忘れちゃったんです」と答えました。昨日は土曜日でお客が
いっぱいでした。忙しい時にやるべきことを忘れては困ります。先輩スタッフは
頼んだことをやってないので、その感情がつい表情に出たのでしょう。

店内の事情はお客に関係がありません。ましてその感情まで見せてしまうと、
悪い影響しか与えません。お客に見られる場所でのスタッフ同士の会話は気をつ
けないと怖いですね。

皆さんはいかがですか。



2011/4/17  第263号

毎年この時期になると酒蔵見学をしています。試飲をして酒の種類を楽しむの
が好きなんですね。今年はメンバー8名で、ある小さな酒蔵に行ってきました。
その社員で杜氏になるための修行中のWさんからお話を伺いました。

変わった経歴でもともと設計士をやっていたのですが、酒好きが高じて酒蔵に
勤めたそうです。この酒蔵は南部杜氏が岩手県からやってきて酒を仕込んでいる
そうです。杜氏を目指し、現在は杜氏の下の頭という立場で日々頑張っています。

今は新酒を出荷して暇な時期ですから、普段は見学できない精米所、蒸米を作
る場所、麹室、仕込み場、最後に圧縮機で酒を絞る場所などに移動し、各行程を
見せてもらいながら酒造りの苦労をいろいろ伺いました。

それぞれ移動するごとに、そこの社員とすれ違いますが、皆笑顔できちっと顔
を見て、大きな声で「こんにちは」と挨拶します。どの社員もそうなんです。す
ごく感じがいいのです。

今まで多くの酒蔵を見ていますが、社員と会っても今回のように感じよく挨拶
をされたことがなかったので印象に残りました。

Wさんに、酒造りで一番大切なことは何かと伺ったところ「和です」と答えて
くれました。酒造りが進むと朝から晩まで顔を見合わせます。何年も仕事をして
ると価値観の違いが出てきて、人間関係がぎすぎすしてくる傾向にあるそうです。
そうした状態ではいい酒も造れない。そこで常に和を意識していていると話して
くれました。

皆が感じよく挨拶するのも、そんなところから来るのかもしれません。日々の
小さな工夫が社員全体の良好なコミュニケーション、そしてそれが社員全体の
「和」の形成に役立てているかもしれませんね。

皆さんはいかがですか。



2011/5/1  第264号

先日あるレストランに夕方5時過ぎに入りました。まだお客はほとんどいませ
ん。この店は鳥をローストして提供するのを売りにしています。またビールもベ
ルギービールが数多くあります。私はベルギービールに馴染みがなかったので注
文を受けに来た接客者に聞いてみました。
「この店はローストチキンを売りにしているけど、どうして?」
「またベルギービールも種類が多くあるけど、なんで?ローストチキンとベルギ
ービールって合うの?」
すると、接客者は「聞いてきます」と言ってその場を離れました。

店長に聞いている姿が見えます。しばらくして戻って来て答えました。
「当店は鳥が得意でして、ビールは店長が良く知っているからだそうです」
納得できる答になっていません。見ている限り店長はその接客者に長い時間説明
していましたから、もっと内容は多かったのだと思いますが、接客者が要約して
答えたのでしょう。その後ビールを何種類か頼み、料理と食べ合わせたのですが
料理との相性で同じビールでも味がより美味しく感じました。

会計時、たまたま担当が店長でしたので聞いてみました。
「ベルギービール初めてだったけど、料理に会うね、今日はこの3種類のビール
を飲んで、このビールはこの料理に合うね。このビールは・・・・・・・。」
すると「いい取り合わせですね。合いますね」「お客様の中には最後はこのアル
コール度数が強いこれで締める人がいます」などビールの特徴や、料理との相性
を色々話してくれました。興味が沸いてまた来たいと思いました。

でも、会計時に店長と話す機会がなかったら、興味が沸かないで帰ったでしょ
う。私が質問した時は客がほとんどいなかったので、テーブルに来て説明する時
間はあったと思います。おそらく接客者に経験を積ませ、育てるためにお客様の
質問に答えさせたのでしょう。でもきちっと伝わらなければもったいないですね。
店の特徴に関することでしたら、やはりテーブルに来てお客様に直接説明するこ
とは大切ですね。

皆さんはいかがですか。



2011/5/15  第265号

先日、量販店の電気売り場のレジでのことです。私の前に小学校低学年の男の
子がいました。レジの担当者は背広姿の若い男性です。商品をスキャンして「99
円です」と声をかけます。その子はかばんから大きな財布をゆっくり出しました。
その後レジの表示板をゆっくり見て金額を確認し、それからゆっくり財布から
100円を探しだしています。動きがすごく遅いのです。後ろで待っていてあまり
の遅さにいらいらしてきました。すると男性接客者もいらいらしたのでしょうか、
無言でその子をじーと見つめていました。お釣りをもらってその子の会計が終わ
っても、挨拶もしないで見つめていました。今度は私の番です。商品を出すと私
にも挨拶がないのです。私は長く待たされてイライラ、その後挨拶されずよけい
イラつきました。背広姿ですから、バイトではないでしょう。接客教育もきちっ
とされているでしょうから、何か考え事をしながらの仕事だったために、このよ
うな対応だったのでしょうか。

同じような情景がコンビニでありました。レジで、前のお客は小学生低学年ぐ
らいの女の子でした。お菓子を買って、お金を探していたのですが、財布が見つ
からないようです。最初ポーチの中を探っていましたが見つかりません。レジの
接客者は年配の女性です。その様子を見ていた接客者は、「あせらなくても平気
よ」と声をかけていました。言葉をかけている様子を見ながら待っていると、一
緒に心配する気持ちになって待ち時間の長さにあまりイライラしませんでした。

お客様は色々ですから、流れがスムーズに運ばない時があります。そんな時、
お客様との間にコミュニケーションがあるかないかで、その場の状況の感じ方が
違ってきますね。常にお客から見て、雰囲気を感じよく良く受け取ってもらうた
めにも、状況に応じたコミュニケーションが必要ですね。

皆さんはいかがですか。



2011/5/29  第266号

店に入るなら、人気のある店が良いなと思っています。人気があるのは何か理
由があって、それを探るのは楽しいものです。そんな関係で雑誌とかインターネ
ットなどで人気の高い店はチェックしておき、たまたま近くに寄った時に入いる
ことがあります。

 先日に午後5時ごろ、あるスペイン料理店に2人で入りました。入ると店内は
狭く二人がけのテーブルと4人がけのテーブルが所狭しと置かれていました。

案内された席は2人卓で、左隣はやはり2人卓でその間は、人が横になってや
っと通れるぐらいのスペースしかありません。右側は仕切りの衝立があって、やはり
2人卓が接しています。テーブルも大きめのお皿2枚と飲み物のグラスを置
いたら、もうスペースが無いぐらい狭いのです。

夕方早い時間でしたからお客様はあと1組だけです。料理を何品も注文すると、
「狭いですよね、隣のテーブルをつけますが、あと1時間もするとお客様で一杯
になりますが、その時は戻してよろしいでしょうか」と言ってくれたのでお願い
しました。すると左隣のテーブルをつけてくれました。

それからしばらくお酒と料理を楽しみました。混んできて空きが1,2組になっ
た頃「申し訳ありません、席を戻してよろしいでしょうか」と尋ねてきたので、
気分良く元に戻してもらいました。

たまたま狭い店に入って、早い時間でお客がほとんどいないのに、隣のテーブ
ルをつけることをお願いしても「お客様がすぐ一杯になりますから」と断る店が
多いですね。そんな時は、ちょっと味見したら早々に店を出て、もう一軒という
ことに、どうしてもなります。でも今回は食事を十分楽しみ、次の店に行こうと
いう気になりませんでした。また近くに寄ったら行ってみたいと思っています。

お客の希望は色々ありますが、出来る、出来ないを杓子定規で考えるので無く、
状況を見て可能ならがお客の希望を通す工夫は、また店に行きたいと思わせる効
果がありますね。

皆さんはいかがですか。



2011/6/12  第267号

地方の仕事で新幹線に乗る時、東京駅まで地下鉄を利用して行きます。行くの
がちょうど通勤時間帯にぶつかると、電車が遅れて時間通りには着きません。そ
れでなるべく時間に余裕を持って出かけるのですが、雨の日だったりすると予想
以上の遅れになります。

先日も電車に乗っていたら、いつもより遅れています。駅の途中で電車が止ま
りながら、ゆっくり進みますから、だんだん新幹線の出発時間が気になりました。
同行者とメールで確認を取りましたら、ちょうど私の1台後ろの電車に乗ってい
ました。

ある駅に着いたらアナウンスがありました。
「後続が遅れていますので、しばらく時間待ちをいたします」。着くのが遅くな
ると、そこからJRまで走らなければならないので、困ったな、時間待ちはいいか
ら早く動いてくれないかな、と言う気持ちになりました。後の電車に何かあった
のかなと、同行者にメールしました。

「後続が遅れているので、時間待ちされて止まってるんだけど、何かあったのか
な?車内アナウンスで何か言ってる?」

しばらくして返信メールが来ました。「この電車は、先に電車が詰まっている
ので、しばらく停車すると言っている」との内容。

結局、別に何があったわけでなく、いつものように混雑して前の電車が詰まっ
ていて遅れたのだと思います。

言い方で受け取る時の気持ちが違いますね。前方に電車が詰まっていると言わ
れれば、いつものことだからしょうがないとあきらめの気持ちが出ますが、「後
続が遅れていますので、時間待ちをする」と言われると、時間に気持ちが焦って
いる時は、とにかく目的の駅までは早く行ってくれという気持ちになります。

言葉はそれぞれの受け取る側の事情で、理解の仕方が変わってきますから、難
しいですね。

皆さんはいかがですか。



2011/6/26  第268号

先日、あるレストランに入りました。そこに85才とおっしゃっていましたが、
年配の女性がいて、席に案内してくれました。「落ち着く席がいいな」と言った
ら「こちらはいかがですか、或いはこちらの席はどうでしょうか」と選ばしてく
れました。席を選んで座ると「そこは落ち着いて食事ができますよ。」と言葉を
かけ下がりました。緑のドレスをおしゃれに着こなしてテキパキ動いています。

お話をすると、元店主らしく、今はのんびり店を手伝っているようです。実際
には、娘さんを中心に、他の若いスタッフ何人かで店を切り盛りしています。で
もその女性の何十年もお仕事で築き上げた接客技術で心地よくしてくれました。

物販店も含め小規模店では、応々にして元店主が店に出て、手伝っていること
がありますが、前面に出ずに要所要所で手伝っている姿を見ると、「ここの家族
は仲がいいな」と微笑ましく感じられます。家族全員で協力しスムーズに仕事を
している姿に大きな企業にはない独特のいい雰囲気を感じ取れます。

定年制のない小規模店でしたら、年配になっても魅力があれば時間をうまく活
用して、少ない時間でも仕事をして、一緒に働いている従業員に仕事の秀でた部
分を見せて、育てていくことが出来るはずです。そして年配者を含めた相乗効果
でお店の魅力にすることが出来ますね。

お店の魅力づくりはいろいろあるでしょうけども、自店にしかない魅力づくり
を考えるのも効果がありますね。

皆さんはいかがですか。



2011/7/10  第269号

物販店のレジ、飲食店のレジ、郵便局の窓口、銀行の窓口など接客者とお客が直接会話を
交わせる箇所がありますが、年配のお客様、特に女性の場合は接客者と顔なじみだと支払い
の最中、支払いの後、何かと会話の時間を持とうとします。

お客が込んで並んでいる時は、接客者もサービスが終わった後、次のお客のことを考え
話を切るように工夫していますが結構下手な人がいます。
「それでね、孫も連れてゆくんだけけどね」
「はー」
「まだ小さいから大変なのよ」
「はー」
「ちょこまかちょこまかどこへ行くか分からないのでね」
「・・・」
急に会話をしなくなったり、また表情が嫌な顔になったりしている人がいます。あれでは
話している本人に分かってしまい、気分悪く話を止めるんだろうなと想像してしまいます。

先日目撃した接客者は、うまい対応でした。
「娘が来るのは久しぶりなんですよ」
「良かったですね」
「電話では話しているんだけど、やっぱりあって話したほうが楽しいものね」
「ゆっくり娘さんと会話をして、またその楽しい話を教えてください。ありがとうございました」
今まで話したことをまとめて、うまく話を切るように誘導していました。
年配の女性はニコニコして帰っていきました。

接客における会話は、あくまでもお客と人間関係を作ることが目的ですから、話し
込んでしまったら他のお客に悪影響があります。うまく話を終わらせるのも、接客者
の必要な技術でしょうね。 

皆さんはいかがですか。



2011/7/24  第270号

最近は法事に参加する機会が多く、多くのお寺の住職の対応を目にすることが
あります。49日法要、一周忌、三回忌と寺の対応を見ますと、他の寺との比較が
出来ます。本堂で読経の後、住職の法話が始まりますが、住職によってやり方は
まちまちです。

ある寺では2代目の若い住職で、読経の後いつも何も話しません。法要の後参
加者が口々に「何で何も話さないんだ」「ありがたみが無い」などと、不満を口
にしていました。

またある寺の住職は、饒舌に話します。テレビのお笑い番組をまねしてるので
しょうか、あるいはどこかの観光地の寺のように、参加者から笑いを多く取るの
ですが、結局笑いで終わるのです。やはり参加者は「面白いだけで何も残らない
ね」という声がありました。

参加者から印象が良かった住職の法話は、前もって家族から収集したのでしょ
うか、故人のエピソードを最初話した後に、必ずお経の内容を組み合わせて終え
ます。参加者は日ごろあまりなじみの無いお経の内容を分かりやすく知ることが
できます。参加者は「いつもためになるね」「ありがたいね」と話していました。

住職もそれぞれ参加者が満足するような対応を心がけているのでしょうが、参
加者が満足することを考えずに、自分が満足するような方法に固執しているよう
に感じられることが多いですね。

先日参加した法事の住職は、般若心経やその他お経の一部をプリントしたもの
を参加者に渡し、最後は参加者全員と唱和するのです。色々工夫しているなと思
いましたが、法話は参加者をいじりながら(質問しながら話を進める)面白く進
めますが、お経の内容には至りませんでした。

どの業界でも、相手に対する目的は何かをはっきりさせて工夫しないと結果と
して満足は得られませんね。

皆さんはいかがですか。



2011/8/14  第271号

こんにちは、毎日暑いですね。そのせいか、発行する日を間違えてしまいまし
た。1週間遅れになります。申し訳ありません。

夏は何やかんや飲む機会が多くなります。先日は地元の友人と4名で飲みまし
た。折角だから地元で流行っている店に行こうと私がスペイン料理の店を予約し
ました。この店は若い男女を中心に多くのお客が集まっている店です。一度行き
たかったのでその店にしました。

他の仲間は普段そのての店にはあまり興味が無く行かないようです。ワインに
も興味が無くビールから焼酎を飲んでいました。興味の無い店で飲んでいると、
色々なことが気になるようです。やれ店内がうるさいとか、普通の居酒屋さんで
もこのぐらいはうるさいなと思いましたが、特に気になるようでした。また注文
から料理、飲み物が出てくる時間が長いのです。確かに厨房にはスタッフが多く
いるのですが、主なホールスタッフが一人、たまに厨房から応援が一人という状
況です。たまたまその日が少なかったのかもしれませんが、他のテーブルで注文
を聞いていると、いくら呼んでも、聞こえない、来ないという状況が続きました。

不満がたまると、注文を取りにきた時に嫌味を言ったりします。別に本当に怒
っている訳ではないのですが、ちょっと何かが言いたい、そんな感じです。でも
面白いですね、そうすると「申し訳ありません」と詫び言葉を言うのですが、そ
れだけ言うと下がってしまい、なるべくこのテーブルに近づかないようにしよう
と思うのか、なかなか寄ってきません。そうすると不満を解消するところがあり
ませんから、不満がどんどん大きくなります。結果的には早々に出て、私の仲間
は口々にもう来ないといって、違う店に行くことになりました。

お客は不満があると、それを口に出します。その不満を解消させるには接客者
との少しの会話が効果を発揮します。不満を聞いたり、その後の対応を少し工夫
すれば納得するお客も多いものです。でも不満があるお客に積極的に寄ってきて
会話の出来る接客者は少ないですね。自分が出来ないなら、先輩、店長に不満を
言ってるお客がいることを伝えれば、お客が不満を持ったまま帰らなかったかも
しれません。

店内での状況を共有するためのスタッフ同士のコミュニケーションって大事で
すね。皆さんはいかがですか。



2011/8/28  第272号

インターネットサイトで人気の寿司屋があるので、予約するから行きましょう
と友人からの誘いがあり、土曜日に4名で訪れました。その店は都心のビルの中
にあり、10席ほどのカウンターと4人テーブル二つの店です。

入った時はカウンターに二人連れのお客が2組いました。我々は奥のテーブル
に座りました。カウンター内に2名、それと接客担当の板さんが1名います。コ
ースの注文をしてありましたから、接客担当の板さんが酒の注文を聞きに来まし
た。その前に皆でビールを飲んできていましたから、すぐに日本酒を頼むことに
しました。コースに合う酒をいろいろ質問しましたが、日本酒の知識が豊富で、
今日は美味しく飲めそうだと期待感が膨らみました。

コースの料理を作り始める前に、カウンター内の板さんが大きな声で突然、こ
ちらに向かって
「〇〇様(予約をした人の名前)、本日はご予約ありがとうございました。私が
担当いたします。よろしくお願いいたします」
正確には覚えていないのですが、そのような内容を大きな声で言った後に、周り
の二名が「よろしくお願いいたします」と唱和するのです。

へー今はお寿司屋さんもこんなことするんだとびっくりしました。コースを順
に持ってくる時は、きちっと「〇〇産の〇〇です」と産地もしっかり伝え、説明
がしっかりしています。また寿司はすべて、ネタにタレを塗ってあるので、醤油
も必要ないのです。色々な工夫から、美味しくお寿司を楽しめました。

そのうち、隣のテーブルにも予約客が来ました。またカウンター内の板さんが、
大きな声で料理開始を宣言していました。その予約客はびっくりしながら笑顔で
聞いていました。でも板さんの前のカウンターに座っていたお客は予約客が来る
たびに、頭越しに大声が響くので同情しました。テーブル客には、そばまできて
挨拶してもそれほど時間はかからないと思います。満足度はもっと高くなるでし
ょうね。

お客に与える魅力はいろいろな面から工夫できます。他業種から参考にしても
いいし、今の仕事の流れにちょっとした工夫を付け加える事が出発点になります
ね。皆さんはいかがですか。



2011/9/11   第273号

先日、お店に入って修業している男性の美容師の卵と話す機会がありました。
彼のモットーは、同じに修業している仲間は多いのですが、とにかくその人たち
より、少し工夫して差をつけたいと話していました。例えばシャンプーをするに
しても、他の人より丁寧に洗う、少し時間をかける、力の加減のメリハリをつけ
るとか、他の人と違うという印象を与えるように努力していると言うことでした。
将来の夢の実現のために地道に工夫している様子を聞いて、若さって良いなと感
じました。

新幹線で関西方面に行ったときです。
往きの新幹線の検札に来た若い女性車掌さん、それぞれのお客に一生懸命対応し
ている姿が眼に入りました。
お客の前に来ると、目線が同じになるように腰をかがめて対応します。「おくつ
ろぎのところ申し訳ありません、切符を拝見いたします。」「ありがとうござい
ます。」切符を受け取り検印して返すときは、わざとらしいぐらいの満面の笑顔
なんです。このわざとらしいと言うのは、一生懸命笑顔を努力している感じがし
て、これぐらい常時工夫すれば、そのうちすぐに自然の笑顔が身に付いてより感
じが良くなるな、と感じました。

帰りの新幹線の女性車掌さんの検察は、笑顔でもなくふつうの顔で、目線をあ
わせる工夫も無く突っ立て対応していました。往き帰りに会った車掌さんの差が
ものすごくあるのです。

「継続は力なり」と言う言葉がありますが、ある意味言い古された言葉かもし
れませんが、対応の良し悪しを見ていると、実際に継続することの重要さが理解
できますね。どんな思い、努力も継続できるかどうかに関わってきます。継続を
すれば必ず結果は出てきますが、継続が出来なければ良い評価とは無縁になるの
でしょうね。

皆さんはいかがですか。



2011/9/25  第274号

先日の台風の時に外出しており、夕方駅に着いたら電車が止まっていました。
天気予報によると、ちょうど台風が関東地方を直撃しているところです。2、3時間も
すれば、電車も動き帰れるだろうと思い、2人で駅に隣接しているデパート
10階のイタリアンレストランに入りました。お客は誰もいません。対応した接客
者に台風が収まるまでいるので外が見える席にしてくれるとお願いしました。外
は風が強く、木々が風に揺れ、吹き付ける風で窓ガラスが揺れていました。

料理とワインを注文し、話に興じていると、同じように台風を避けたお客でし
ょうか何組も入ってきました。最初から対応してくれた接客者がすごく感じがい
いのです。料理を持ってきたり、あるいは、他のお客への対応に通る時に、必ず
言葉をかけます。「風が弱くなってきましたね」「情報では、今台風の位置は〇
〇だそうです」「電車もすべてストップだそうです」等など。

2時間30分ぐらいして外の風もおさまって来て、電車も動き出したという情報
が入ったので、もう帰れるだろうと店を出て駅に行きました。駅の構内は人が一
杯で、電車は動いていなく時間もかかりそうでした。改札付近で立って待つのも
疲れるので、また同じ10階に戻り、フロアに設置してあるソファーに座って時間
をつぶしていました。するとたまたま先ほど対応した接客者がそこを通りかかり、
我々に気がつき「まだ電車が動いていないのですか。」「よかったら店のソファ
ーでお休みになりませんか、先ほどの席ではいかがですか」と誘ってくれました

びっくりしました。通りかかっても、しらん顔も出来たのに声を掛けてくれた
のです。言葉に甘えて店に入りました。すると水を運んできて「ごゆっくりどう
ぞ」と言ってくれました。我々はお茶を注文しました。やっぱり親切にされると、
注文してしまいます。このフロアーは10時が閉店です。そろそろ10時になるの
で、店を出ようとレジに行くと「閉店時間がもう少し遅てればよかったのですが、
申し訳ありません」と会計をしながら言葉をかけるのです。感じがいいな、と思
いました。感じがいいと、また絶対にこの店に来ようと思いますね。

皆さんはいかがですか。



2011/10/9  第275号

駅を利用するときは、駅まで自転車で行き、市営の自転車置き場に預けます。
そこは1日を過ぎると自転車置き場の片隅にある専用の場所に移動されてしまい
ます。移動されると自転車は似たものが多いので、そこから自分の自転車を探す
のは大変で、結構時間がかかってしまい面倒です。

そうならないように、地方出張などで2日以上続けて自転車置き場を利用する
場合は、わざわざ管理室近くに自転車を置いて、管理人に「出張で00日に帰る
ので、移動されないようにしてもらえますか」と必ず頼みます。管理室から出て
きて緑のカードにその旨を書いて自転車につけてくれます。出張から帰っても場
所が移動されていないため、追加料金を自動機で支払い、スムーズに家に帰れま
す。どの管理人も気持ちよくそのようにしてくれます。

先日も同じように頼みました。
「明日の夜に帰るので、移動されないように、書いてもらえますか」
「明日の夜になるんですね」
「ええ」
「移動するといってもそこだけどね」
「探すのに時間がかかるので、いつもお願いしているんですよ」
「あーそうですか」ニヤニヤしながらそう言いました。

その対応に面倒くさいな、と思っているように感じました。そのような気がな
く言ったのかもしれませんが、お客の希望に対応してくれる担当者がいる中で、
面倒くさいなと思える言葉をかける担当者がいると、サービスが悪いと思ってし
まいます。なにげない会話の中にも、評価される要素が含まれます。どうせやる
ならすぐにやってくれればいいものをと、思われないように言葉を選ぶことも大
切ですね。

皆さんはいかがですか。



2011/10/23  第276号

先日、ある地方の観光地で半日コースの定期観光バスに乗りました。山々や渓
谷沿いの紅葉を見ながら、神社仏閣を回るコースです。神社仏閣を説明付きで見
て回るのは本当に久しぶりで結構楽しめました。また面白い場面も目にしました。

最初に行ったお寺で関係者から仏像の由来、価値を話してもらいました。仏像
の説明が終わった後、表面に字が書かれた合成樹脂のお守りを見せながら「さて
せっかくの機会ですから、皆さんにお守りを紹介いたします。このお守りは、ど
のような宗派にも関係なく、みなさんを守っていただけます。」

その後は、このお守りはすべて護摩を焚いて祈祷したもの、願い事をするとき
は、お守りを親指と人差し指ではさみ親指で押すと、お守りの色が変わると説明
しました。そのお守りを動かしながら、皆に見せます。動かすことで当たってい
るライトの光で色が変わってきます。

「願い事をするとき、押すといろいろな色に変わります。一番出にくい色は黄色
ですが、人によって出ます。宝くじが当たった、良縁に恵まれたなどとお礼の電
話をいただきますが、そのような方はみなさん黄色に変わったそうです。このお
守りは、永久に肌身につけて使っていただけます。どうぞご希望の方はお声をお
かけください。なお皆さんの見学コースは、この場所にはもう来ませんので、こ
こを出てしまっては求められません。ご希望の方はどうぞお声をおかけください」

何か実演販売を見ているようで、すごく興味を持たされました。聞いていたの
は2台分のバスの乗客で30人ぐらいでしたが、皆も興味を持ったようで、我も我
もと購入していました。大半のお客は買っていたようでした。

その後また違うお寺に行きました。そこでも仏像の説明を受けた後に、「せっ
かくの機会ですから」と、今度は鬼門の方位除けのお守りの説明。これもお札の
説明から、これをどのように扱って、どうすると魔除けになるのかを、興味を持
たせるように懇切丁寧に説明して勧めます。さっきのお寺と同じパターンです。

先ほどは話に感動して購入した人たちも、同じパターンでの話に気持ちが覚め
たらしくて、「必要な方はどうぞ」と言われると、さーっとその場から離れてし
まいました。でもまだ何人かは買っている人がいました。その後も、寺や神社が
変わるごとに、今度は線香、数珠、そして鈴。何か由来のものを説明した後、「せ
っかくの機会ですから」と必ず来るのです。

何度も同じパターンで販促されるといい加減しらけてきます。乗客も皆で「よ
くやるな」なんて声が聞こえました。三回目からはみな興味を示さなくなり、最
後には助手の巫女さんはお客が興味を示さないので「せっかくの機会ですからい
かがですか」と涙目で声を張り上げていました。

せっかく買ったものも、しらけた気持ちで見ると感動は薄れます。買ったもの
は感動したまま家に帰りたいですね。そのほうが売る側もお客も幸せです。そう
なる方法はないのでしょうか。例えば、コースを回る中でお客が遭遇する実演販
売が1回になるように曜日ごとにお寺、神社の担当の順番を決め、担当寺以外は
販促をしつこくしないなど、のように。ちょっとした工夫が相対的な顧客満足に
つながるのではないかと思いますね。

皆さんはいかがですか。



2011/11/6  第277号

先日、眼が疲れているようなので、通りがかりの薬局で目薬を買いました。午
後2時ごろでお客もあまりいませんでした。金額は1240円です。小銭入れに細か
いお金がいっぱいあったので、お客もいないし、レジで時間がかかっても迷惑を
かけないだろうと小銭で支払いました。

「ごめんね、悪いけど、小銭が多いので、それで払わせてね」と声をかけました。
そして500円玉1枚、100円玉7枚を出して、次に10円玉3枚、次に5円玉1枚、
そして1円玉5枚を順々に出しました。接客者は若い女性でしたが、声掛けに返
事もなく、ジーと私の出したお金を目で追っています。

「ごめんね」と断っているのに、何も言わずに黙ってジーっと見ていられると、
接客者は「なんで小銭なの」って不満に思っているのかなと勝手に想像してしま
います。怖いですね、そんな気持ちでいると、最後に「ありがとうございました」
と言われても、なぜか気分よくその場を去ることができません。そんな気持ちは
接客者にはないのかもしれません。時間がかかるのでその状況をただ単に無言で
観察していただけなのかもしれません。

最近は、レジで同じように小銭で支払うと、「助かります、ありがとうござい
ます」と言う接客者が多くなりました。当然小銭が多くなるのですから、時間は
かかるし面倒だと思いますが、お客の精神的な負担を軽減させてくれる声掛けで
す。マニュアル的に覚えて使っている人が多くいますが、例えマニュアル的でも
声かけられると、悪い気はしません。

お客から頼みごとの言葉があった時は、気を使って言葉をかけてくれたことに
対して、無言ではなく、お礼の言葉を言わないと、上記の例のように誤解されて
不快感をあたえてしまうかもしれませんね。

皆さんはいかがですか。



2011/11/20  第278号

 先日、店前に「水晶板で焼く、豚の三枚肉」「韓国焼肉」「サムギョッサル」
などの文字を並べた看板を見ました。前々から興味を持っていたので「この店で
も食べられるんだ」と思い入ってみました。店内にはテーブルが15席程ありまし
たが、お客は2組しかいません。「今日は金曜日なのにすいてるんだな、ラッキ
ー」と気に入ったテーブルについて、まずお目当てのサムギョッサルを注文しま
した。

その料理だけは接客者が焼いてくれます。水晶板をセットして、料理の説明を
しながら手際よく焼いてくれました。初めてだったので、おいしく味わいました。
他の焼肉は食べられなかったので、今度また来ようと思っていました。

それから1か月程たって、行く予定の店が休みだったので、思いだしその店に
行きました。その日は月曜日でしたが入ったらやはりお客が少ないのです。2組
でした。女性接客者がやってきて、どうぞこちらへと奥のテーブルに案内します。
ちょうど一人客がいましたが、その隣です。

今回は、焼肉を注文し焼きながら食べていると、奥から店長らしき人が出てき
て隣のテーブルの人と話し始めました。お客だと思っていた人は肉の営業マンで
した。我々は会話をしながら食事をしていますが、隣の話が断片的に聞こえてき
ます。まだ取引していない業者の営業マンらしく、その提案に対して「うちは食
べ放題にはしたくないんですよ」「どのような形で提供するかですね」などなど、
答えているのです。

そんな話が耳に入り、前回も今回も客の入りが悪いので、この店は仕入を安く
するために肉の質を落とすことを考えているのかなと勝手に想像してしまいまし
た。そんな気持ちで食べていると焼肉もおいしく感じられません。もう来ないほ
うがいいな、今日が最後にしようと決心しました。

結局客は1組だったのです。だからテーブルはいくらでも余っています。それ
なのになんでわざわざ営業マンの隣にしたのでしょうか。厨房に近いから運ぶの
が楽だと考えたのでしょうか。

営業マンとの会話のように店内部のことは、営業時間外とか時間や場所を考え
てお客に見えないところで話さなければなりません。どうしても緊急でやらなけ
ればならないなら、せめてお客のテーブルから離したところでやらないと、今回
のように話の内容を勝手に解釈されてお客が離れる危険もありますね。

皆さんはいかがですか。



2011/12/4  第279号

知り合いの女性接客者が友人二人で旅行をしたそうです。新幹線に乗って座席
に座り、さー出発。友人二人で座席を後ろに下げてのんびり旅の期待を話してい
たそうです。

突然、どんどんと後ろから座席の背もたれをたたかれました。見ると年配の女
性2人組です。突然背もたれをたたかれてムッとしたそうです。
「入りにくいから下げないでください」「あっ入りにくいですか、すみません」
と言って座席を戻しました。すると座席に入って上着を脱いでいるので待ってい
たそうです。「もういいですか」と尋ねると「お弁当食べますから、座席は下げ
ないでください。私は座席を後ろに倒しませんから、あなたも下げないでくださ
い」無茶苦茶な理由で下げるなと命じるので、カチンと来て「座席が下げられる
ようになっているのだから、下げるのはこちらの自由でしょ」と喧嘩してしまっ
たと笑いながら教えてくれました。

言葉って怖いですね、もし年配の人が、「申し訳ありませんね、あるいは、す
みませんね、ちょっと入りにくいので座席を起こしてくれませんか、」あるいは
「お弁当を食べたいので、角度を少しにしてもらえませんか」と言ったら、彼女
も親切な人ですから、心よく下げる座席の角度をゆるくしたでしょう。でも突然
ドンドンと背もたれをたたかれて命令口調で言われたら、どんなにいい人でも感
情的になって言うことを聞かないでしょう。

接客でも同じですね、「申し訳ありません」「すみません」などクッション言
葉を多く使うと、お客様をちょっとしたことで感情的にさせなくても済みますね。

その経験の後、彼女は接客で必ず工夫するようになったと言っています。お客
様が混んできた時、忙しいのでなるべく言葉数を少なく「こちらに並んでくださ
い」とか「一列に並んでください」などとお客様にお願いしていたそうですが、
必ず「申し訳ありませんが」「お手数ですが」とつけるそうです。ただお願いす
るだけだと私のように怒り出す人もいるかもしれないので、と笑って教えてくれ
ました。

皆さんはいかがですか。



2011/12/18  第280号

私はあまり車に興味がないので、自家用車も同じメーカーの同じ販売店で続け
て購入していました。すべて営業マン任せでしたので、メーカーの販売店に行く
ことなどありませんでした。ところが今回ちょっと興味のある車がありましたの
で、他のメーカーの販売店から初めて買い換えました。何度か販売店に足を運び
ましたが、とても接客がいいのですね。どこのメーカーの販売店も同じだと思い
ますが、営業マンなどフロントの人だけでなく、整備士など技術スタッフも、き
ちっとお迎えして、説明も分かりやすくするというように教育が行き届いていま
す。

営業マンとの商談の最中、ちょっと資料の確認で待たされる時間ができました。
そこで何気なく店内を見ると、点検などで来店し待っているお客が何組かいます。
たまたま近くに年配の男性客がいました。お茶を飲んで待っているところへ、若
い営業マンと技術スタッフが来て点検が終わり内容を説明しました。その後お客
と一緒に立ってドアの外まで見送ります。ちょうどドアの前に移動されていた車
にお客が乗り込むと二人は深々とお辞儀して見送りました。いやー感じよく見送
るんだなと思った瞬間、二人で大声で笑っている姿が見えました。あまり大きい
ので他のお客も入口付近に目をやっていました。

片方が何か冗談を言ったのかもしれません、それに対して片方の人が笑いなが
ら肩を手で押していました。仲のいい若者の何気ない姿なのですが、お客の車が
出てまだ何メートルも進んでいないところでそのような姿を見ると今までの対応
が台無しになりますね。

お客に車を引き渡した後の安ど感から油断が出たのかもしれませんが、店内に
はお客がいます。また当のお客もバックミラーで見ているかもしれません。人に
よってはお客のことを笑っているのではと思う人もいるかもしれませんし、ふざ
けている姿はせっかく接客に対して工夫している努力が水の泡ですね。

皆さんはいかがですか。



2012/1/15  第281号

私は毎年松の内に必ず都内の有名な寺院に初もうでに行っていました。日によ
ってはどうしても混んでいてお参りするまで長い時間を待たなければなりません。
そこで今年は、もう少しマイナーな、でもある程度知名度のある寺に変えようと
思い千葉県のある寺院に行きました。

門前までの参道の両側には、土産店や飲食店などが並んでいます。人の流れは
多くなく少なくなく程よいぐらいに流れていました。通行人は土産店、販売店を
眺めながら歩いています。ただ1軒ドーナツ屋さんの前に人だかりがあります。
他店はそれほどでもないのにその店だけです。人だかりがあると気になります。
何でだろうと思い、立ち止まって観察すると、店前に貼ってある広告文を皆読ん
で、店に入ったりのぞいたりしています。

そこには「皆様のおかげで1万個の販売を達成、新たにイチゴドーナツも販売」
と書いてあります。道行く人がその広告文に足を止めているのです。正月という
時期ですから、財布のひもも緩み、試しに買ってみようというお客が多かったよ
うです。

いつからいつまでに1万個達成か期間は書いていませんが、いかにも人気があ
るように感じてしまいます。他の商店はそのような工夫はしていませんので、その
1軒だけが多くのお客を集めているようです。

金をかけずに簡単にできる販促の道具はコミュニケーションですね。ちょっと
した工夫は必ず結果が出ると思います。今年も素敵なコミュニケーションを考え
て行きましょう。

本年もよろしくお願いいたします。



2012/1/29  第282号

 先日、ある寿司屋さんに夕方早く午後6時前に入りました。その店に入ったの
は2度目でした。最初に行ったのは昨年の12月の下旬です。お客さんは誰もいま
せん。カウンターに座ろうとしましたら、カウンターの中の主人が「いらっしゃ
いませ、小倉さん」と名前を呼んだのです。名前を覚えているんだと思いながら、
話を進めると前回「今度正月過ぎたら来る」などと言ったことを覚えていて話題
に出します。まだ2回目なのにこの店に親しみを持てて、仲間共々気分よく帰っ
た記憶があります。

 その店は10人ほど座れるカウンターと、テーブルが3つの店です。前に行った
時はカウンターでなく奥のテーブルに座りました。その店は開店して数か月とい
う新しい店だったのです。一緒の仲間とメニューを見ると、好みの日本酒が何種
類かあったのでそれを注文しながら、何種類かの魚をつまみで取ったのです。入
った時間が遅かったからでしょうか、また偶然なのか、運が悪いのか、頼むもの
頼むものが品切れになっていました。そうすると主人がテーブルまで謝りに来て
「申し訳ありません、今日はお客様が多かったもので切れてしまいました」と事
情を話します。と同時にその店の特徴を話したり、カウンターで召し上がってい
ただければ、ネタに関しても説明できますのでなどと、次回以降のその店の楽し
み方を教えてくれました。そして迷惑をかけたからとつまみのサービスのしてく
れました。そのおかげで主人と会話ができ、興味を持ったので正月過ぎたらまた
来るという話をしました。正月過ぎて行けなかったのですが、それを話題に出し
て「お待ちしていたんですよ」と言ったのです。そしてカードで支払いをしたの
で、名前を覚えていたのでしょう。

 何かお客にサービスの低下があったら、積極的にお客様と関わって会話をする
ことは大切ですね。工夫次第でサービスの低下を挽回するほどの結果はだせます。
今回も、会話をし覚えておくという工夫があったから、私にその店と主人に対し
てのより興味をわかせました。お客とのコミュニケーションは必ず何かの役に立
ちますね。

皆さんはいかがですか。



2012/2/12  第283号

接客バンザイ274号で、台風で電車が止まった時に入ったイタリアン店の男性
スタッフが気配りの対応をしてくれたので、また行こうという気になったという
内容を発信しました。1か月ぐらいして、その店に行ったら、彼はいなく、対応
してくれた女性スタッフにその旨を話したら、彼はHさんと言いスーパーバイザ
ーをしていて、各店を必要な時に回っているという話でした。「よろしく言って
おいてね」と言って帰りました。

それから、約半年経って、先日仕事でその地に行きましたので帰りに寄りまし
た。女性スタッフが対応してくれて、席の案内、注文を取ってくれました。今回
はコース料理を頼みましたので、順に料理が運ばれて、ワインを飲みながら食べ
始めていると、その女性スタッフが「今日はHが来ています。お二人がいらっし
ゃったのを気づいたみたいですよ」と教えてくれました。

「えっ覚えているの」とびっくりしてスタッフの顔を見ましたら、前回「よろし
く言ってね」とことづけを頼んだ彼女でした。「たった1回会っただけだし、もう
半年も経つのによく顔を覚えていたね」と話すと、笑いながら「私はお客様の顔を
覚えるのが得意なんです」と答えてくれました。

彼女の接客を見ていると、各客席へ感じよく接し、また観察を頻繁にして、料理
を運ぶタイミングをうまく調整していました。しっかり仕事をしていますが、後で
聞いたらsさんといい、アルバイトとのことでした。

その後、今回は厨房の応援に来ていたHさんも席まで来てくれて再会しました。
台風の夜の事を話しましたが、彼も覚えていて話が盛り上がりました。気配りの
あるスーパーバイザーが指導しているから、気配りのある接客者が育っているん
だろうなと思いました。

皆さんはいかがですか。



2012/2/26  第284号

最近は駅の改札口を出たところで、商品を売ったり、何か宣伝のためのイベン
トをしているの見かけます。先日もちょうど昼ごろでしたが、マンションの販売
に絡む宣伝イベントをしているのを見かけました。

通行人にガラポン抽選機を回させて、何かが当たるようです。女性スタッフが
通行人に「やってみませんか」と誘っています。結構人が通るのですが、誰もガ
ラポンをやろうという人がいません。

確かにマンションの販売の看板がそばに立っていますから、販売絡みだと思う
と、下手にくじ引いて何か当たっても、強引な勧誘がついてくるようで怖いです
よね。なるべく関わらないようにしようと思っているのかもしれません。

もちろん駅改札口で行うイベントなので、強引なだますようなものではないと
思いますが、勧誘している女性スタッフに問題があるように思えました。声を言
葉で表現するのは難しいのですが、「やってみませんか」という言い方が、単調
で一本調子、若々しさがないのです。お客を笑顔で見て誘うわけでなく、ただ「や
ってみませんか」の連発です。ダレてるような、やる気がないような雰囲気です。
これでは誰も近寄らないだろうなと思いました。

もっと明るく通行人に向かって、語りかけ、抽選で何が当たってどうなるかな
ど、説明も加われば、通行人の不安解消になって、ガラポンをする人も出てきた
のではないでしょうか。

どのように伝えることが、通行人にとって興味をわくのか、ちょっと工夫した
ら結果は変わっていたでしょうね。声の出し方、表現の仕方ってとても重要です
ね。

皆さんはいかがですか。



 2012/3/11  第285号

今日は東日本地震からちょうど一年です。ニュースを見る限り、復旧・復興に
積極的に動き出す姿や、まだまだ復興には程遠い姿が入り乱れて情報として入っ
てきます。そんな姿を見るにつけ、一日も早く日常を取り戻してほしいと願うば
かりです。

関東で地震にあって、当日は帰宅困難者になり、家まで6時間かけて歩いて帰
ったA子さんがいます。彼女は東京の専門学校に通いながら、夜は飲食店でアル
バイトをしていました。
 
家まで帰る道すがら、行交う人や、歩いて通った地域の住人の顔の暗いことが
印象に残ったと言います。当然地震に遭遇し恐怖感と不安で暗い顔なっているの
でしょうが、それを見て暗く心細く落ち込む自分がいました。

その時、「これではだめだ、なんとかしなくては」と思ったそうです。それか
らは生活の中で自分から笑顔を、そして明るさを周りの人に演出することを意識
しました。

アルバイトをしている接客でも、この考え方を意識したと言います。お客に自
分から笑顔で接客しました。それまでの彼女の接客は、ただお客に料理を運んで
お金を頂いている、お金を得るための手段と考えていました。でも一生懸命明る
さを演出、笑顔の投げかけを試みました。

そうすると思ってもみなかった、お客からの反応があったそうです。お客から
「ありがとう」「ご苦労さん」「笑顔いいね」など言葉をもらう機会が多くなったと
言います。嬉しくなり、お客の喜ぶためにどうするかと工夫するようになったそうです。

それから意識しなくても笑顔ができるし、お客の喜んだ笑顔を見るために何か
しようと考えるようになりました。今では大きな荷物を持っているお客には、自
分から「荷物持ちます」と言えるようになったと言います。昔の自分では考えら
れなかったそうです。

地震という大きな体験がA子さんを変えたようです。皆さんはいかがですか。



2012/3/25  第286号

ICカード乗車券って便利ですね。鉄道を利用する時に、改札口の読取り部にカ
ードをタッチすれば自由に乗り降りできます。私は私鉄系のICカードを便利に使
っています。

先日、たまたまバスを利用することがありました。初めて乗る路線です。バス
に乗車する時に、運転手さんに自分が使っているICカード乗車券を見せて聞きま
した。
「これ使えますか?」
「・・・・・」首を縦に振りました。使えるようです。
ちょうど、読み取り機械があったので、そこにカードをタッチしようとしたら、
「ちょっと待って」と運転手さんに言われました。何か機械を操作しています。
そして、首を縦に振りましたから、タッチしていいということなのでしょう。
タッチしました。
普段あまりバスを利用ないので、降り方がわからないので、聞きました。
「降りる時に、タッチしなくていいの」
すると、運転手さんは、また首を縦に振りましたから、乗る時に1回タッチすれ
ば、それでいいようです。

この運転手さんは、私が乗る時の質問に対して、「ちょっと待って」の一言で
した。確かにそれで用は済みましたが、サービス悪いなという印象は残ってしま
います。

どうしても忙しくお客と接する立場の人は、今回の例のようについ言葉を省略
してしまうこともあります。でも言葉がないと、話すのが面倒だから、サービス
の意識がないから、と勝手に評価されてしまいますね。

首を振るより、言葉で「はい、使えます」「はい、これで済みました」など言
葉に置きかえた時サービスの評価は上がりますね。

接客はコミュニケーションです。皆さんはいかがですか。



2012/4/8  第287号

先日、久しぶりにステーキハウスに行きました。ホテルの最上階にあり、遠く
に海も見えてる眺望の良いお店でした。コの字型のカウンターの中に鉄板があり
料理人がそこで焼いてくれます。ちょうど私たちが座って三方の席が埋まりまし
た。

先客はそれぞれ会話を楽しみながら食事をしています。肉を注文した後に、接
客者がシャンパンを勧めました。赤のワインを探そうとしていましたから、
「肉はやっぱり赤じゃないの」
「そう思われますよね、でもこのシャンパンは黒ブドウの使用比率が高く色も濃
く、コクがあって肉に負けません。他の店では1本25000円で出していますが、
ここでは10000円でだせるので嬉しいんです。グラスでも1500円でだせるんで
す。」
得ですよと直接に言わないで、その金額で出せてうれしいという表現にグッと
きて注文してしまいました。
ちょっとした言葉の使い方で、単にお客にとって損か得かということでなく、
お客に喜んでもらう環境を作ることに一生懸命努めている店というイメージが浮
かびました。

実際そのシャンパンは肉の味を引きたて美味しかったですね。肉を食べてなが
ら会話を楽しんでると、うっかりグラスを倒して割ってしまいました。肉にもか
かってしまいました。すると、接客者が飛んできて割れたグラス、もしかしたら
破片が入ったかも知れない肉も片づけました。まだ半分ぐらいしか食べていませ
んでしたから、不注意だった、残念と思っていました。

しばらくすると料理人が肉の塊を持ってきて焼いてくれました。自分のミスで
迷惑をかけたのに再度肉を焼いてくれたのです。この店は、お客を楽しませる環
境を大切にする店だなと感じ、そのせいかワインも注文をくりかえし飲みすぎて
しまいました。

喜ばせる環境つくりって大切ですね。皆さんはいかがですか。



2012/4/22   第288号

先日地方駅から、タクシーに乗ってセミナー会場まで行きました。駅から10
分強で着く距離です。毎年2回ほど行っている場所です。

タクシーに乗って、運転手さんに「〇〇(公共の施設です)まで、お願いしま
す」。今まで場所を知らない運転手さんはいませんでした。でも今回の運転手さ
んは違います。「〇〇?住所はどこ?」年齢は70近いでしょうか、かなりの高
齢に見えました。住所が書いてある用紙を持っていましたから、それを見せると、
声を出して住所を読み返し「あ、行けばわかるな、分からなければ誰かに聞けば
いいから」と独り言です。

運転席を見るとナビはついていません。不安になって
「場所がわからなければ、会社に聞いたら」
「いやー、会社に聞いてもわかんないよ、行けば大丈夫。」と言って走り始めま
した。

すると運転が荒いのです。右に左と空いているスペースに入り込み、ドンドン
車を抜いてゆきます。時には急ブレーキ。早く目的地に着いたら、早く駅に戻り
たいからこんなに急いでいるのかな、と思いながら乗っていました。

そのうち道が二股に分かれています。
「あれ、左でいいんだよね?」聞かれても今まで道を見ながら乗っていませんか
ら分かりません。
「いや、道はわからないよ、住所の地区なの?」
「そう、こっちでいいな、きっと」と言って走ります。
そして「いやー町が合併して大きくなったから、分かりづらくて」と盛んに言い
訳をしていました。

いくら走っても着きません。
「ちょっと間違えちゃったな、誰かに聞かないと」と言って、走っている郵便配
達人を呼び止め、ドアから降りて聞きに行きました。
道がわからなくなって舞い上がっているのでしょうか、三叉路の真ん中に車を止
めたものですから、他の車が動けなくなり渋滞になってしまいました。

車に戻って「分かった」と言って急発進で走り始めました。細い道をいくつか
通り国道に出ました。信号のない道から車の多い国道、しかもスピードを出して
走っている車の中に入り右折しました。無理に右折した形で、左からくる車が急
ブレーキをかけていました。しばらく走って行くと、「反対だったかもしれない」
とまた国道を逆方向にUターンです。やはり信号のないところで無理にUターン。

もう乗ってから20分以上たっています。遅れてしまうといけないので「分か
らなければ会社に無線で聞いてよ」と言っても「会社に聞いてもわからないから。
もう5分ぐらいで着きますよ」と言って走り続けます。しばらく走って行って突
然車を止めました。「さっきの会場の住所が書いてある紙を貸して」と言って、
その用紙を持って近くの店に聞きに行きました。そして、やっと何とか会場につ
きました。実に40分近くかかったのです。

運転席に書いてある会社名を覚えていましたから、帰りのタクシーで事情を話
すと、「その会社なら、一番大きいタクシー会社ですよ。それに〇〇(施設名)
なら誰でも知っていますよ。もしわからなければ、私なら会社に無線で聞きま
すけどね。もしかしたら、その人引っ越してきて最近その会社に入って、この
地域をまだ知らないんじゃないですか」と話していました。

場所がわからない時、会社に聞けない理由があったのでしょうか。会社に問い
合わせる機会が多く、また場所がわからないことが会社にわかると評価が落ちる
とでも思ったのでしょうか。どんな理由があるにしろ、渋滞でもないのに、通常
の3,4倍の時間がかけてお客に迷惑をかけたことはプロの運転手とは言えませ
んね。

皆さんはいかがですか。



2012/5/13   第289号

 最近は太り気味で、運動するように心がけているのですがなかなか出来ません。
そこで休みの日はなるべく歩くようにしています。

先日雑誌で、「50°Cのお湯で洗うと鮮度がよみがえる」という記事を読みま
した。興味を持って実験してみようと思いました。湯の温度は48°C~52°Cがベ
ストということで、温度計が必要ですがありません。

休みのある日、近所の量販店に温度計を見に行きました。隣接して3軒あり、
それらを回るとちょうど3~4kmぐらい歩くことになりますから、運動がてら車
でなく歩いて商品の金額を見に行きました。

1軒目の店は総合の量販店ですから店が広いのです。探しても見つかりません。
店員さんに温度計を尋ねると、ケーキ用のガラスの温度計を持ってきましたが、
デジタルがないか尋ねたら、「聞いてきます」と言って立ち去り、だいぶ待たさ
れました。結局「置いてないようです」と言われ、お礼を言って他の商品を見な
がら、帰ろうとしていました。しばらくして「お客様」と追いかけてきて、商品
を探してくれて、その場所に連れて行ってくれました。お客との対応が一応終わ
った後も、何とか探そうという気持ちがあって工夫してくれたのでしょう。

2軒目でも場所がわからないので店員さんに尋ねると、「こちらです」とすぐ
に場所に案内してくれ「こちらです」と商品を示して立ち去りました。確かに場
所には案内してくれましたが、事務的な感じがしました。「こちらでよろしいで
しょうか」とか、何か会話を仕掛ける工夫があったら感じ方が違ったかもしれま
せん。

3軒目は電気の量販店です。店に入るとすぐに「何かお探しですか」と寄って
きて話しかけ、「料理用の温度計を探している」と答えると、その場所に案内し
てくれました。

3軒で出会った接客者はそれぞれ対応が違います。3軒目の金額が一番安く、
今回は3軒目で購入しました。今回は目的を持って店に入ったので、3軒目の電
気量販店の対応がちょうどよかったのですが、商品を見るだけに入ったら、すぐ
声を掛けられたらうっとうしいでしょうね。

 いろいろな要望のお客がいます。そのお客の要望にぴったりマッチするような
対応って難しいですね。皆さんはいかがですか。



2012/5/27   第290号

私の友人に不整脈が出るので、大学病院に通って投薬治療をしている人がいま
す。ちょっと仕事がハードになると不整脈が頻繁に出るそうです。カテーテル手
術をするまで悪くないようで、携帯用の心電計を購入し、普段から不整脈が頻繁
になると測って記録するようにしています。そして心電計の結果を印刷しお医者
さんに見せながら病状の報告をしています。

 日曜日のある日、突然不整脈が出て脈拍も多くなり心配になりましたが、病院
はやっていません。とても不安になったので、そのことを後日お医者さんに伝え
たそうです。するとその医師は、きちっとした投薬治療なので心配はないけど、
もし不安なら結果を印刷し、それを携帯電話で送ってください、と携帯番号とメ
ールアドレスを教えてくれたそうです。

 ある休みの日にやはり不整脈が起き脈拍も多くなりました。心配になったので
計測結果を印刷し携帯電話で写してメールで送ったそうです。しばらくして、分
析結果を説明した内容と共に「収まってくるから様子を見てください」と返信が
ありました。その後1時間くらいして「どうですか、具合が悪いようなら、明日
外来には出ていませんが病院にいるので来てください」とメールが来ました。そ
れを読んで安心し病状も良くなったと言っていました。携帯番号を知っているか
らとむやみに連絡はしないけど、何かの時は連絡できると思うとすごく安心がで
きる、と彼は言っています。

 携帯番号を教えて患者を安心させるというのは患者にとっては最高のサービス
ですね。全部の患者にそのようなことをやっていたら、それこそ休む時間もあり
ませんから大変だとは思いますが、患者にとって安心をどう与えるのか考えて対
応しているのでしょうね。その結果、とても信頼のできる先生だと彼は言ってい
ます。

皆さんはいかがですか。



 2012/6/10   第291号

焼き鳥って、酒の肴にもっとも好まれる料理として人気が高いですね。ただ、
なかなか気に入った商品を出す店が少ないですね。私の経験からすると、おいし
いと思える焼き鳥を提供する店は個人店に多いのですが、せっかく気に入ってい
いなと思っても、接客がいまいちだったりすることが多々あります。

先日、サラリーマンに人気の焼き鳥屋さんに入りました。店は夕方からサラリ
ーマン客で一杯です。味も私に合い、気に入りました。接客者は若い学生のバイ
トのようです。挨拶も元気がいいし、笑顔で接客します。お客に接するときは必
ずクッション言葉から入ります。「申し訳ありません、遅くなりました」「すみ
ません、お呼びでしょうか」のように。すごく柔らかく対応する雰囲気が伝わり、
感じがいいなと思っていました。

たまたま私たちは厨房の近くに座っていたもので、中のやり取りが聞こえてく
る時があります。そこの女将が細かくバイトに指示しています。
「はいこれ、〇番テーブルに運んで」
「〇〇君どうしたの、ちょっと元気がないわよ」
「さっき、階段の途中に紙が落ちていたけど。もしお客さんが滑ったら大変だか
ら、見つけたらすぐ片付けないとダメよ」
「はい、〇番テーブルお呼びよ、すぐ行って」

もちろん女将も積極的に接客をしているのですが、店全体の流れをきちっと把
握して、スムーズに流れるように足りない部分をどんどん指示したり注意してゆ
きます。こうした仕事をしながらの教育によって、接客者全体のレベルを上げて
いるのでしょうね。

元気で感じの良い接客、気配りの接客は料理の味を引き立てますね。皆さんは
いかがですか。



2012/6/24   第292号

仕事柄タクシーに乗ることが多くあります。ある地方の会場に年に数回、もう
何年も訪れています。駅で乗客待ちをしているタクシーを利用しますが、大体金
額も同じです。

ただ運転手さんによって行き方が違うのです。二つのパターンに分かれます。
その地域の事情に疎い運転手さんには、会場名を告げてわからない場合は、住所
を伝えますと、国道を通って、混んでいるためちょっと時間がかかりますが3500
円弱ぐらいで行きます。その地域の事情に詳しい運転手さんだと、会場名を告げ
ると裏道を通って、スムーズに短時間で運んでくれます。金額で2800円ほどです。

先日も、同じように駅からタクシーに乗りました。会場名を告げると「はい」
と元気な返事をして出発しました。国道に進んでいます。あまり道を知らないの
かな、会場名を知っているのに珍しいなと思っていました。

しばらくすると、国道から曲がります。あれ、こんなところ曲がるのは初めて
だなと思っていましたら。道をぐるぐる曲がって知らない道を走ります。走りな
がら地域の情報を教えてくれます。「いついつに祭りがあって、この辺りは賑や
かなんです」「あそこに見える山は〇〇です」などと教えてくれます。私は話す
ことは好きですから、話に乗っていますと、見覚えのある道路を走っています。
いつも使っている裏道なんです。そのまま会場につきましたら金額が4000円ぐら
いになっていました。

今まで何10回と乗っていますので、谷と山をどう越えるかで道順が違うことは
把握していました。結果的にわざわざ違う方向の国道に出て、戻る形で裏道に進
んだようです。

おそらく一元のお客だから、ちょっと売上アップを考えたのでしょうが、その
運転手さん一人の対応で駅で乗客待ちしているタクシーの運転手さん全体の信用
を下げた気がします。不誠実な人もいるから、これからは道順をチェックして指
示しながら乗らなければなと思いました。

高々500円のその時の売り上げが、駅で乗客待ちをしている運転手さん全体の
印象を変えるって怖いですね。皆さんはいかがですか。



2012/7/8   第293号

ちょうど1か月半ぐらい前に、自宅で2階から階段を降りた時、捻挫してしま
いました。夜急いで降りてきて、これで終わりと思ったらもう1段残っていたの
です。それで足首をひねってしまいました。

痛みと腫れがひどく整形外科に行きました。運よく骨にヒビも入っていなくて、
靭帯損傷でしばらく湿布薬を貼れば治りますと言われました。しかし1か月たっ
てもくるぶしあたりの腫れが残っていて、歩くときに痛みがあります。心配で再
度医者に行きましたが、炎症などは起こっていないし、リハビリを続ければ治る
ということでした。リハビリというのは、患部をマイクロ波加熱して暖めた後に、
電気がビリビリくる低周波治療をそれぞれ15分ほどします。早く治すために、時
間が取れる時に行くようにしています。

リハビリ室はいろいろな機械が置いてあり、その患者に合った機械のところへ
案内して時間が来たらまた違う機械に案内するというようにめまぐるしく人が動
いています。案内する対応も看護士によって違います。

ある看護士さんは、加熱する時には、熱いですか、もう少し離しましょうか、
などと時間をかけて機械を患部にセットします。また低周波の時も、ビリビリ来
る度合いをこのぐらいにしますか、それともこのぐらいと、納得するまで時間を
かけるのです。

また、ある看護士さんは、パッパッと患者を機械にセットするのが速いのです。
そして何かあったら言ってくださいねとその場を離れます。リハビリ患者が多い
から手早くやってるんだろうなと思いました。

でも見ていると面白いと感じました。手早く機械をセットする方が仕事が多く
なるのです。加熱の場合は「すみません、熱くなってきているんですが」「あま
り熱くないのですがちょっと機械の向きを直してもらえますか」等。低周波の場
合は「すみません、パットが外れちゃったんですがつけてください」「もう少し
強くしてくれますか」「ちょっと痛いので弱くしてください」等など。

患者さんもパッパッと機械をセットされ治療が始まると、納得しないまま始ま
りますから、これでいいのかいろいろな不安が起こって、それを看護士さんに訴
えるんでしょうね。

時間を節約しようと思ってコミュニケーションを省略したため、かえって仕事
が増えてるようです。

皆さんはいかがですか。




2012/7/22   第294号

アルバイトで接客をしている学生さんがいます。接客が好きでアルバイトをし
ているわけではありません。お小遣いを増やすためにやっていたそうです。そん
な気持ちで仕事をしていますから、どうしても接客が雑になっていたのでしょう。

あるお客から「その接客者は不愛想だから何とかしろ!」とクレームを受けた
そうです。店長からその点を注意されても、心の中ではそのお客に対して「お前
の方がよっぽど不愛想だよ」と思ったそうです。

その店には、お客にとても人気のある先輩接客者がいたそうです。その人は若
くもなく美人でもありません。でもお客様に人気があるのです。そこで何でだろ
う、と思いながらしばらく観察を続けました。

先輩接客者は、接客時にお客にと必ず一言付け加えます。コーヒーを出すとき、
「熱いですからお気を付けください。」それを聞いてコーヒーが熱いのは当たり
前じゃないかと思ったそうです。お皿を下げる時に「お味はいかがでしたか」と
聞きます。味なんて良かろうが悪かろうが、注文してすでに食べ終わったんだか
ら関係ないだろうと思ったそうです。また帰りには「足元をお気つけ下さい」。
子供でも年寄りでもないのに、そんなこと言わなくたって気を付けるだろう、と
思いました。とにかく、色々なお客に当たり前の言葉を掛けます。

でも、その当たり前の言葉があるかないかで、お客の反応が、自分と先輩接客
者では違うのです。きっとその言葉が人気の秘密なのではないかと思いました。
それからは、先輩の使っている言葉をまねしてお客に話したり、また状況に応じ
て自分で考えて、必ず何か当たり前と思えることでも言葉として伝えてみました。

すると徐々にお客からの自分の評判も良くなり、お客の反応が以前と全然変わ
ったように感じられました。また店長からも表情が良くなったとほめられるよう
になったそうです。面白いことにそのような経験から接客の仕事が好きになって
きたと言っていました。

身近にお手本がいると成長が早いですね。またお手本の良さを分析する力があ
ることは、成長の原動力になりますね。皆さんはいかがですか。



2012/8/5   第295号

街を歩いていると、「あれ、前にあった店無くなっちゃった、店変わったんだ」
と思うことって多いですね。
先日も、新しくラーメン屋に変わった店がありました。興味を持って遅い昼食
として午後2時ごろ入りました。店には他のお客はいませんでした。メニューを
見ると開店早々のせいか、サービスが多いのです。ランチタイムはお客に希望で
混ぜご飯が付きます。ラーメンをどれにしようか迷いながら、餃子が好きですか
ら餃子も頼もうかなとメニューを見ていました。

すると厨房の中にいた女性二人のスタッフが話している声が聞こえました。
「小麦粉だけでいいんだっけ、片栗粉をいれるんだっけ、」
「知らない」
何の話をしていたか分かりませんが、そのやり取りを聞いて不安になりました。
何を作るんだろう、餃子の皮を手作りしているのかな、それなら片栗粉は打ち粉
だろうし、ちゃんとレシピ見て確認するのかな、などといろいろ想像してしまっ
て餃子は注文しませんでした。

出てきたラーメン、スープがぬるいんです。サービスの混ぜご飯もグチャグチ
ャな感じで下の方が冷たくて美味しくないのです。電子レンジでチンしたのでし
ょうか。時間が足りなかったのでしょうか。ほとんど食べられませんでした。

厨房の二人の会話が聞こえてしまったからかもしれませんが、作り方に不安を
感じたため、味覚まで影響したのかもしれません。料理に満足しないで帰りまし
た。

店内でのスタッフ同士のやり取りは注意しないといけませんね。聞こえた内容
からお客は勝手に想像します。そこから店の評価にどのような影響があるかもし
れません。

皆さんはいかがですか。



2012/8/19   第296号

毎日暑い日が続いています。こう暑いとちょっと歩くだけでも疲れる感じがし
ますね。人と関わるのも鬱陶しい感じがします。

駅の改札口に行くといろいろ宣伝活動をしている人がいます。明るい時間帯は
マンションのパンフレットを配ったり、旅行案内のパンフを配ったり、たいてい
は一緒にティッシュがついていたり、うちわがついていたりしますが、なかなか
受け取る人がいません。

私も「どうぞ」と出されても、手で「いらない」と合図をして素通りします。
配る人も、受取人が少ないせいか、仕事が惰性になっていて、無表情でただ手を
差し出している感じに見えます。そんな対応ですから、受け取らなかった私も、
受け取らなかったことに罪悪感が生まれません。

先日も、「どうぞ」とパンフレットとティッシュを渡します。その時たまたま
配っている人と目が合いました。どうぞと言った後に、ニコッとしたのです。そ
の笑顔に受け取るつもりはなかったのですが、拒否しないで受け取ってしまいま
した。最後の笑顔の余韻が効果を発揮しました。

感じが良かったので、ちょっと観察していましたら、行き交う通行人に、同じ
ように、笑顔の余韻を与え続けていました。そのせいかパンフレットとティッシ
ュを受け取る通行人が、他の配っている人より多いようでした。そして何よりも、
楽しそうに仕事をしているようで、見ていて感じが良いなと思いました。

笑顔は何物にも勝る工夫ですね。皆さんはいかがですか。



2012/9/2   第297号

夏の時期は、スーパーも食品部門が早くから開店している店があります。駅に
行くのに、駐車場からスーパーの中を通って駅に向かうと近道になりますから
とても便利です。

その時間帯は、当然食品販売だけですから、他の場所は閑散としていますが、
時折、催事販売がある時は、その準備をしている店員さんを見かける時がありま
す。時間に間に合わせるように準備をしていますから、歩いている人には目をく
れず一生懸命作業をしています。

先日も、同じように早朝、スーパーの店内を歩いていましたら、やはり催事販
売があるのでしょう、若い女性店員が箱から商品を出して、陳列台に並べていま
した。その様子を見ながら歩いていましたら、そばを通りかかった時に、私を見
て笑顔で「おはようございます」と声を掛けてくれました。今まで声を掛けられ
たことがなかったもので、ちょっと驚きましたが、その店員さんを見て会釈を返
しました。

催事販売前でも、店内を通る人はお客様という考えをしっかり持っているので
しょうね。面白いもので、挨拶をされると、その催事が気になりました。帰りが
早い時間で、まだやっていたら、のぞいてみようかなという気になりました。

挨拶って、人と人とのつながりに大きな効果がありますね。皆さんはいかがで
すか。



2012/9/16   第298号

先日神奈川県のある駅ビルに昼食を取るために入りました。老舗の蕎麦屋がち
ょうどありました。年配の女性接客者がテキパキとお客様を案内し、声も通って
いて、見ていても気持ちが良い対応です。たまたま他の女性スタッフが若く、ま
だ慣れていないのか対応がたどたどしいので余計その女性が目立っていました。

食後、入口のレジで会計をしました。金額は3200円でした。財布の中を見ると
千円札がないようなので1万円と200円を払おうと思い、いったんお金を出しま
した。その時財布の中を良く見たら千円札が3枚あります。そこで「あっ、ちょ
うどあった」と千円札3枚と百円玉2個を出すとその女性は「ありがとうござい
ます、助かります」と言って領収書を渡しました。

領収書を財布にしまいながら、これからタクシーに乗車することを思い出し、
降車時に千円札があったほうがいいなと思い、「すみません、1万円札をくずし
てくれますか」と言って1万円札を出しました。

すると今までニコニコしていた顔が急にきつく変わりました。そして無言で5
千円札1枚と千円札5枚をだして、1万円札をくずしてくれました。そして「普
通はやらないんですよ。でも今日は平日なので」という言葉をかけたのです。

私はムッとしました。会計時にお釣りが出る支払いをしていたなら、言われて
もしょうがないと思いましたが、金額ピタリの支払いをしていたのに嫌味を言わ
れたのです。

もし最初に予定通り10,200円を出していたら7,000円のお釣りのはずです。ち
ょうどの金額で会計を済ませた後に1万円をくずしてもらったので、私が支払っ
た千円札3枚を含めて、5千円札1枚と千円札5枚を受け取ったのです。ですか
ら、お店のレジの中のお金の動きは7千円で同じはずです。

それなのに嫌味言われました。でもそこで怒っても大人げないので、「悪いで
すね」と言って店を出ましたが、良い印象は残りませんでした。

お店としては、昼時に紙幣を細かくするのは非常識に感じたから一言付け加え
たのでしょうが、私としてはレジの中の紙幣の動きは同じだろうという気持ちが
あったので交換をお願いしたのです。

もしかしたら分かりにくいお金の動きをしたため、だいぶ千円札が出てしまっ
たように勘違いしたのかもしれませんが、その時の感情で良く考えずに言葉をか
けるのは怖いですね。皆さんはいかがですか。



2012/9/30   第299号

先日午前10時半ごろ、最寄の駅から都心に向けて電車に乗りました。混雑時間
帯も過ぎ、席はまばらに空いています。途中から20代ぐらいの女性が乗ってきま
した。手に荷物が一杯入った口の空いたバックを持っています。ちょうど私の隣
に座りました。

座るとすぐに膝の上に置いたバックの中をゴソゴゾ探して紙パックの牛乳を取
り出して、ストローを差して飲み始めました。一口飲むと、それをバックの中に
しまい、また何かを探しています。取り出して今度は化粧をし始めました。一生
懸命ファンデーションを塗っています。途中で休んでは牛乳を1口。また化粧で
す。

今まで電車の中で化粧をする女性は見たことがありますが、飲みながら化粧を
する子は珍しいと思いました。私は本を読んでいたのですが何か気になります。
すると反対側の長椅子に座っていた3人の大人たちもちらちら彼女を見ていまし
た。

さてファンデーションが終わってひと段落、牛乳も飲み干した後で、またゴゾ
ゴゾしています。今度はコーヒーを出しました。やはり上からストローで飲める
タイプのもの。それをチューっと飲んだら、またバックに戻して、何かを探して
います。

取り出したものを見てびっくりしました。フルーツプリンみたいです。いや牛
乳、コーヒーの後はデザートです。そんな状況を見ると、あ然として本どころで
はありません。何となくチラチラ見てしまいました。反対側の席のお客も目が点
になって皆若い女性を見ていました。

上にフルーツが数種類のっていて、その下はプリンなのでしょう。まず容器の
周りを覆っている透明包装紙を破ろうとしていますが、なかなか破れません。何
か力いっぱい破こうとしています。隣でフルーツでも飛んでくるんじゃないかと
気が気ではありませんでした。そのうちきれいに破いて、今度はフォークをだし、
まず上に飾られているメロンを食べていました。何事もなくホッとしました。そ
の後、フルーツ、プリンらしきものを食べ、次にコーヒーを出して一口飲む。そ
のような状態で朝食をとりながら、化粧をしていました。これから電車で化粧と
朝食を同時に取る人が出現する文化になるのでしょうか。

色々な人がいますね。初めての状況に遭遇すると目が点になります。接客して
いて、対応するお客もいろいろな人がいるでしょう。そんな時、驚いて目が点に
なってはまずいですね。表情の演出も大変でしょうね。

皆さんはいかがですか。



2012/10/14   第300号
   
 近所に最近定年退職され悠々自適に生活を楽しんでいる方がいます。その人が
定期健康診断で引っかかり、肺に何か異常があると言われ、精密検査のために、
総合病院を紹介されました。健康には自信があったので、精密検査などと言われ
ると、やはりドキッとして心配で病院に行ったそうです。

 名前が呼ばれ診察室へ。ドアをトントンとたたくと、
「はーい、どうぞ、おかけください」と笑顔で迎え、元気な明るい声。手で椅子
を示し、座るように誘導します。
椅子に座ると、「私は担当の〇〇です」と名刺をくれました。見るとゴチック体
で大きく名前が印刷され、非常に目立ちます。名前の下には「〇〇〇〇の追求」
とその医師の信条が書かれています。30歳前半ぐらいに見える男性の医師だそう
ですが、自分が抱いていた医者のイメージとかけ離れていてびっくりしたと言っ
ていました。何かの医療ドラマで医者が患者に名刺を渡しているのを見た記憶が
あるので「この先生はドラマをマネしているのかな」と思ったそうです。

 座るとすぐに「紹介した先生に診察することをメールしますね」と目にも止ま
らぬ速さで手早くメールをしました。若いからキーを打つのも早いなと感心して
いると、医師は紹介状を読んで「CTを撮りましょうね」「運がいいですね。本日
12時10分から撮れますよ」「結果は担当医が見ますから1週間後に来てくださ
い。私が伝えますよ」軽い感じでポンポンポンと必要なことを語ります。

「先生。私の病状はどうでしょうね、何かありそうですか」心配で尋ねると、
町医者から渡されたレントゲンの写真を見ながら「確かに何かあるみたいですね。
そのためにCTを取るんですから、余計なこと考えるのやめましょう。ハッピーじ
ゃないですよ。ハッピーに行きましょう」その後1週間後の予約を決めました。
「じゃー、19日にお会いしましょう。お待ちしています」と言いながら、手を両
手で握って握手して別れたそうです。

 彼は今までにであったことのないタイプの医者だったので、その対応になにか
軽い感じがして頼りなくて、この病院に来てよかったのかなと心配していました。

 今は病院も接客技術の向上を心がけていますから、色々な対応パターンがある
でしょう。この場合も、親しみや親近感がより増すようにと思ってのことかもし
れませんが、かえって心配を与えてしまったら逆効果ですよね。ワンパターンな
対応でなく患者さんによって工夫することも必要ですね。
 皆さんはいかがですか。