第201号~第250号

2008/11/9 第201号

名古屋でのことです。地下鉄に乗る時に、路線が分からず改札口横にあるブー
スにいた駅員さんに聞きました。
「〇〇に行くには、どこまで行ったらいいのですか」
「△△です」若い男性駅員が親切に教えてくれました。

自動販売機で切符を買って中に入っていったら、その男性駅員が地下鉄の小冊
子を持って待っていて、「これをご覧ください」と渡してくれました。中を見る
と地下鉄アクセス路線地図と簡単な観光名所が書かれていたのです。わざわざブ
ースから出てニコニコと笑顔で待っていたのです。お客様の要望を先取りしてサ
ービスしてくれたのです。気が効くなと感動しましたね。こんなサービスをこれ
からも続けて欲しいなと思いました。

 先日、東京の地下鉄の改札ブースで何か聞いていたお客様に、駅員さんが「お
客さん、これをご覧ください」とチラシを渡したら、黙って受け取ってゴミ箱に
入れた場面を目撃しました。ショックでしょうね。

サービスを受けても、喜びもしないで、あるいは、ひどい人になると、親切を
踏みにじる行為をする人がいるかもしれません。お客様が喜ぶと思ったサービス
も、お客様が喜ばず、良い結果にならないとサービスを続ける勇気を持たなくな
ります。嫌がるのだからやめようと。

人はそれぞれです。何か悪い結果になっても、それは特別で、それ以外の喜ぶ
お客様は大勢居ると考え、続けることがサービス向上のステップでしょうね。

皆さんはいかがですか。



2008/11/23 第202号

 先日、あるコンテストの審査員で終日、外で審査をすることがありました。天
気予報では、雨も降り、かなり気温も下がるとの事です。念のため簡易カイロを
用意しようと、前日の仕事帰りに、最寄りの駅に隣接するスーパーに買いに行き
ました。

薬売り場で、
「すみません、足に入れるカイロありますか」
「カイロですか。簡易カイロはこちらにあるのですが。」簡易カイロが置かれて
いる場所に案内されました。
「足専用も確かあったと思います。ちょっとお待ち下さい」と調べに行ってくれ
ました。しばらくして戻ってきて
「すみません、食料品売り場に置かれているようです。あるかどうか調べてきま
す」距離にして100mぐらいあるでしょうか、かなり離れています。それを駆け足
で探しに行きました。

その間、簡易カイロを見て、値段が安いし、小さいものなら靴の中に入るかな、
等と考えて「これで良いかな」と思っていました。先ほどの接客者が息せき切っ
て商品をいくつも抱えて戻ってきました。
「現在はこれらになります。こちらは足の指の上に置くもので、また、こちらは
足の指に巻きます。これは靴の中の下敷きです」
「値段はいくらぐらいかな」
「そうですよね、レジで調べますね」一緒にレジまで行きました。スキャナーで
金額を調べると、簡易カイロよりかなり高い金額です。
「じゃーやっぱり簡易カイロにします」
「そうですね、こちらの方がお得ですよね」と笑顔で答えて会計をしてくれまし
た。

本当に一生懸命探してくれる姿勢と感じの良い笑顔に感動しました。商品を受
け取って最後に、つい「調べさせちゃってすみません、悪かったですね」という
言葉が自然に出ました。「とんでもありません。ありがとうございます。またよ
ろしくお願いします」と笑顔で挨拶をされました。

一生懸命に対応してくれたと感じると、自然にお礼の言葉が出るものですね。
皆さんはいかがですか。



2008/12/7  第203号

雨の日の傘ってじゃまですよね。そこで傘を置く時、1本づつ鍵がかかる傘置
きがあると良いのですが、皆が自由に傘を差し込む傘置きもあります。取り間違
いが起きそうな気がして不安です。

知り合いに傘を間違われた経験がある人がいるので、そのようなことの無いよ
うに、私はほとんど折りたたみ傘を利用しています。そして店に入る前に傘をふ
って水滴を落とし、傘をたたみ濡れたまま傘カバーの中に入れる。そして鞄に入
れておく。それが私の間違われないための自衛策です。でも雨の強い日はやはり
折りたたみではない大きな傘を使いたいなと思うことがあります。でもしょうが
ないなとあきらめています。

雨の日に数人である小さな居酒屋に入りました。その店はやはりお客が自由に
入れる大きな傘置きがありました。そこで傘をたたもうとしていると、店主が来
て、「傘をまとめて預かります」と言うのです。手には赤い帯状の布を持ってい
ました。皆の傘を預かるとくるっと帯状の布を回して止めます。両端にマジック
テープがついているようです。それを傘置きに入れました。

他のお客の傘もグループごとに違う色の布でまとめられています。そしてその
色とりどりの布に番号が振ってあります。きっとテーブルナンバーなのでしょう。
これなら間違えて持って行かれないなと思いました。帰る時、似た傘があって間
違えて取ろうとしても、違う仲間の傘が一緒に出てきますから間違える事があり
ません。

それにマジックテープを活用していますから、くるっと帯を回すだけで簡単に
まとまります。結わく必要もないのです。

お客はこれなら安心して傘を傘置きにおけますね。金をかけずにちょっとした
工夫で、お客への安心感を提供できますね。

皆さんはいかがですか。



2008/12/21 第204号

 私の友人が姪の結婚式で沖縄に行きました。東京に住んでいる姪子さんがホテ
ルから移動手段まで旅行の手配はすべて旅行者に任せ、親戚を呼んで大好きな沖
縄の教会で手作りの結婚式をしたそうです。

 友人は手作りの結婚式に感激し、また観光も楽しんで、ホテルを去る時の事で
す。旅行会社から帰りの空港までのリムジンバスのチケットをもらっていたので、
ホテルのバス乗り場に行きました。

すでにバスが来ていて、時間までバスの運転手とベルボーイが話をしていまし
た。乗ろうとしてチケットを見せたところ、
「このチケットは使えません。」
「え、そんなこと無いでしょ、旅行社から受け取ったものだから」
「いや、このチケットは朝8時のバスしか利用できないので、このバスでは乗れ
ません。」
そして「そうだよね」とベルボーイに見せ同意を求めました
ベルボーイも「これは使えません」と言います。そして
「チケットを改めて買ってください」
「旅行会社からこれで乗るように言われているし、時刻表に乗れるバスをピンク
の線で引いている時刻表をもらっているから、そんなことはないでしょ」
「いやこれは使えません。時刻表に引かれたピンクの線が間違いです」
「それではここの旅行会社に電話して聞いてください」
「えっ、電話するんですか」
「取引をしているんだから分かるでしょ」

そんなやり取りをしていたら、年配のホテルの関係者がやってきました。そし
てチケットを確認して「使えるよ」と若いベルに言うと「使えるんだって」運転
手に話していました。

結局ベルボーイも運転手もホテル側と旅行会社とのルールをきちっと理解しな
いため分からなかったのです。しかも誰も「すみません」という謝罪もしません。
運転手は「使えるんだ」といっただけです。バスを降りる時に嫌みで「お世話様」
と言っても「どうも」といっただけだそうです。もう2度とあのホテルは使わな
いと怒っていました。

取引が複雑になると、ルールを覚えるのは大変です。分からない事もあるでし
ょう。お客と理解が違う時に、自分の知識を絶対と思わず、調べる工夫は大切で
すね。また何かあった時の詫び言葉がないと、取り返しのつかない事になる恐れ
がありますね。

皆さんはいかがですか。



2009/1/4  第205号

新年明けましておめでとうございます。
今年も「接客バンザイ」をよろしくお願いいたします。

暮れから新年にかけて、人と会う機会が多くありますね。親しい関係だと相手
に関して自然と親切な行為が出てきます。

たまたま地下鉄の入口で知り合いと分かれました。その地下鉄の駅はよく知り
ませんでしたが、とにかく改札口に行こうとしました。すると
「その階段で下りると、逆方向に進む電車になりますから、また階段を下がって
上がらなければなりませんよ。それより向こうに見える入り口の階段で降りれば、
楽ですよ」
おかげで、無駄に階段を上がり下がりせずに済みました。

帰りの電車でふっと、昨年末に読んだ読売新聞の読者投稿記事を思い出しました。
このような内容でした。

「(前略) 〇〇駅から特急に乗りました。しばらくして大雨になり、傘を持っ
ていないので、心配になってきました。下車駅の手前の駅に停車した時、若い男
性乗務員が私の席にきて「後の出口から降りた方がよいですよ」と言ってくれま
した。  (中略) 到着後、降りるとすぐ前が改札口で、たいしてぬれずに済
みました。出口のことまで気を配ってくれ、うれしく思いました。家から列車を
見るたびに、あの乗務員の方を思い出し、感謝しています。」

別に特別なことをしている訳ではないですね。もし知り合い関係なら普通にし
ていることでしょう。それでもお客さまは喜ぶのです。サービスを提供している
皆さん、今年は目の前のお客さまを「わたしの知り合い」と思ってサービスを提
供しましょう。喜ばれますよ。

皆さんはいかがですか。



2009/1/18  第206号

お正月に私の知人(女性)が母親を連れて観劇に行ったそうです。年に何回か
行きますが、帰りは必ず近くの有名な和食店で食事をするそうです。食事も美味
しいのですが、その店の接客者の対応につい足を運ぶと言っていました。
 
その日も入店すると接客者が出てきて、「素敵なお召し物ですね」という言葉
と共にコートを脱ぐのを手伝って預かりました。席へ案内される時も、動きのス
ピード、気配り、立ち振る舞いが自然とお客と接客者の中にとけ込んでいるそう
です。

母親と歩く時は、やはり転ばないように心がけていますから、何気なく気配り
する接客者の配慮にとても喜びを感じたそうです。

席について注文をし、料理が運ばれる段になって、「お召し物が汚れるといけ
ませんから、これをお使いいただけませんか」と紙のエプロンを持ってきました。

「今日は着物だから食事をしながら、こぼしたらいけないな」と考えていた知
人は、接客者の「年配者だからこぼしやすい」と言っているように感じない表現
にとても感激していました。「やはり和食に行くなら、あの店ね」とますますフ
ァンになったようです。

人はそれぞれ自分の事情があります。何気なく言った言葉でもその事情にふれ
ると気分を壊します。そうならないように細心の心配りをして表現すると、お客
様の感激は何倍にもふくらみますね。

皆さんはいかがですか。



2009/2/1  第207号

東海地方ですが、セミナーの会場として使用しているので定期的に行く施設が
あります。始まる前にそこの部屋で昼食を取ります。もう何度も利用しています
から、係の人もよく知っていて、いろいろ気を遣ってくれます。

年配の女性で、窓から見える風景やその地域の季節の変化を親切に教えてくれ
ます。その日は固形燃料を使用してのすき焼きが出ました。
「大きい燃料入れておきましたから」
「ありがとう」
「お肉は良く煮えているのがお好きそうだから」
「そうなんですよ、覚えてくれていたんですね」
「この間途中で燃料が欲しいといわれたから、今日は大きいのにしておきました」
「じゃー、途中で追加お願いしなくても平気ですね」
「もし足りなくて呼ばれましても途中でくるのに、時間がかかりますから」

前に話した希望を覚えていてサービスしてくれるのです。ただ、何となく気分
良く感じられないのです。

後で何でだろうと考えました。そう、語調がきついのです。折角親切に覚えて
対応してくれたのに、語調が強いせいで「大きい燃料を入れたから文句ないだろ
う」と言われたように感じたのです。怖いですね。どんなにお客様に対して親切
に対応しても、語の響きを考えないと、誤解される事もありますね。

皆さんはいかがですか



2009/2/15  第208号

小売業を営むHさん。父親を病気で突然亡くしました。父親が社長として営業
していましたので、父親の死亡による事業継承という形になりました。商業者は
通常業界団体とか地域の団体に所属し税務情報、経営情報、セミナー、など経営
に関する情報源として活用しています。Hさんも今回の事業継承に当たって、基
本的な情報をもらおうとある団体に電話をしました。

電話に出た人は若い人だったそうです。
「父親が亡くなって、事業継承をするのに会社のことや名義変更の手続きなどい
ろいろやらなければならないと思うけれど、具体的にどのようなことをしたらい
いのですか、教えてください」
「事業継承ですか、ちょっとお待ち下さい」いろいろその場で調べたようですが、
分からなくて
「すみません、調べて連絡します。30分ほど待っていただけますか」
その後電話がかかってきました。
「調べたけど、分かりませんでした。司法書士を紹介しましょうか」
司法書士に聞けばやってくれることは分かっています。おおよそのことを教えて
欲しかったのにその返答にあきれてしまったと話していました。

団体に所属してもほとんど利用することなく、年会費を払っているだけの状況
だそうです。それなのに、聞いてみたら頼りない答で入会している意味がないと
話していました。

お客様の質問に対し分からない事もあるでしょう。でもその時に「分かりませ
ん」だけの答だと不満を与えてしまうでしょう。お客様が離れてしまうかもしれ
ません。自分では分からなくても、「ここに尋ねれば教えてくれます」などと、
分かるためにどうしたらいいかという情報を与えて初めて答になるのでしょうね。

皆さんはいかがですか。



2009/3/1  第209号

今回は筆者が風邪を引いてしまい、予定より1日遅れの配信です。申し訳あり
ません。やっと元気になりました。


仕事で夜の9時過ぎまで食事が出来ませんでした。たまたま通りかかったSC
のレストラン街で食事をすることになりました。土曜日のせいか入ろうと思った
店は待ち客が並んでいます。ちょうど回転寿司がありお客が並んでいません。こ
の時間なら家族づれもいないから静かに食べられるなと思い入りました。

「二人だけど」「ここにどうぞ」ちょうど入口の落ち着かない席を勧めます。
やはり寿司だとお酒も飲みたくなります。ちょっと落ち着いて食べたいなと思い
「ここは落ち着かないんだけど、奥はないの」この店は奥に長い店です。見ると
奥のカウンターやグループ席はいくつも空いていて寿司皿が回っています。「奥
はだめかな」聞いたことに返事をしないで「二人でしたらここへどうぞ」。

そのうち若い女性接客者が寄ってきて「何人様ですか」。「二人」「ここへど
うぞ」二人がかりで有無を言わせず、ここ以外はだめと言われているようです。
そんな雰囲気を感じて、店を出て他の店を探しました。

9時過ぎでも、グループ客が来るのかもしれません。あるいはもう終わりに近
い時間なので入口近くにお客を集めたいのかもしれません。何か理由があったの
でしょう。その理由を聞いて「しょうがないな」と言う気持ちになれば他の店は
探さなかったでしょう。お客の気持ちを無視した対応は、「しょうがない」と思
う以前に怒りに直結する行為ですね。

お客様へのサービスで、何気なくした対応がお客にとって無視されたと感じる
ことがあります。常にコミュニケーションの工夫が必要ですね。

皆さんはいかがですか。



2009/3/15  第210号

 先日たまたまチケットが手に入ったので、ある公演を見に行きました。会場は
市民会館でした。その日は仕事の関係で車を運転して行きました。

その会場はよく知らないので、駐車場がどこにあるか不安でしたが、まーナビ
ゲータにまかせれば、どうにか着くだろうと行ってみました。会場に着きました
が、やはり駐車場の入口がわからないのです。

誰かいないかなと会場関係者を捜しました。ちょうど入口そばに、制服を着た
ガードマンらしき年配の男性が立っていました。そばまで車をつけて、助手席の
窓を開けて、言葉をかけました。

「すみません、駐車場はどっちですか」
「・・すぐ」顔を左に動かして、話しかけてきました。聞き取れなかったので、
もう一度尋ねました。
「すみません、駐車場はどっちですか」
「まっすぐ」
そう、語尾まで話さない乱暴な言い方で話してくれたので、聞き取れなかったの
です。

まっすぐ進んで左に曲がれば、駐車場に行けますから、知っている人なら、す
ぐ分かる場所です。それなのに聞いたので、答えるのが面倒臭いのか、聞かなく
ても分かるだろうと思いながら答えたのでしょうか。

手で方向を指し示すこともなく、語尾まで言わないで「まっすぐ」の一言だけ
を強く言ったので、かえって何を話したのか分からなかったのです。

公共の会館の担当者がこんな話し方をするのかと、腹立たしくなると共に、こ
の市はダメだなと市全体のイメージまで悪くなりました。交わした、たった一言
で印象が悪くなってしまったのです。

サービス業に従事している人は、言葉のひとこと一言の重みを意識することが
重要ですね。皆さんはいかがですか。



2009/3/30  第211号

先日、彼岸に来てくれる親戚など来客者への帰りの手土産に箱詰めの石けんを
購入することにして、近くのSCのギフトショップに行きました。ちょうど気に
入ったものがあったので、10箱ほど包装してもらいました。

「お客様、どちらの包装紙で包みましょうか」年配の女性接客者に言われ、何も
気にせず、箱の色と同じ明るい色を指定しました。すると包装作業に15分ほどか
かると言われたので、商品を見ながら店内をぐるーっと回り時間をつぶして来ま
した。カウンターには包装が終わった商品が積んであるので、先ほどの女性接客
者に声をかけました。

「申し訳ありません。お彼岸用にお使いですよね。私もうっかりしていました。
もう少し地味なお色の包装紙で包み直しましょうか」
「でもいいの、また手間がかかるけど」
「かまいません、いかがいたしましょうか」
「言われてみれば、確かに包装紙が明るすぎるね。じゃーお手数ですがお願いし
ます」

お客が選んだ包装紙だから、そのまま提供しても問題はないはずです。それ
でも、使い道を考え、わざわざ包装紙の変更を提案し、包装し直してくれました。
ただ売れば良いのではなく、お客様のより深い満足を追求するサービスに感動し
ました。近く行われる法事の引出物もこの店を利用しようと思いました。

相手の立場になって考えてくれていると感じると、喜びが何倍もの大きさに変
わりますね。皆さんはいかがですか。



2009/4/12 第212号

地方に行くと、地元の人から人気の店を教えてもらうことがあります。前々か
ら、もし時間があったら、入って見たらいいですよと言われていた「きしめん屋」
がありました。丁度新幹線の発車時刻まで50分ほどあったので入ってみました。
店はお客様で一杯です。丁度新幹線の利用客がどんどん入ってきます。店の中に
は3人の接客者がいたのですが、40歳ぐらいの女性の接客者がすばらしかったの
です。

「いらっしゃいませ、お二人様ですか、少々お待ちくださいませ」「先のお二人
様、お待たせしました。並びになりますが、こちらのお席にお願いします。お荷
物はお隣の席にお願いします」「30分ぐらいしかないけど平気ですか」「てんぷ
らなど揚げ物でなければ間に合います」「お待たせいたしました。前から失礼し
ます」このような調子で、明るく響きのある声で、良く声をかけます。動きもテ
キパキとして、料理を運びますので、店内は明るさと活気が満ち、お客様もその
雰囲気にいつの間にか合わせ、気持ちよく動きも早くなるように感じました。

店内の活気がなくなったなと思ったら、彼女がレジ担当になっていました。他
の人の接客では、声ものんびり動きも緩慢で店内の雰囲気が変わってしまいます。
帰りにレジで支払う時は、彼女の感じが変わり、落ち着いた話し振り、その調子
にあったていねいな動作で対応しています。

不思議ですね。たった一人の接客者の対応で店内の流れが変わっていたのです。
接客の仕方でとてもスムーズにお客様を動かすことが出来るのです。

皆さんはいかがですか。



2009/4/27  第213号

先日食品見本市ファベックスを観に東京ビッグサイトに行きました。往きに地
下鉄を3回も乗り換えて行ったものですから、帰りは乗り換えをなくすために路
線バスを利用して地下鉄の駅まで行きました。

かつては路線バスに乗る時は入口に階段があって登って上がったものですが、
今では床に段差がないノンステップバスがほとんどです。歩道から段差もなくス
ムーズに乗車出来るバリアフリーバスになっています。

さて、バスが来て乗ろうとすると、歩道からバスまでが80cmぐらいあるのです。
軽く飛び跳ねるような感じで乗らないと乗れないのです。始発で乗りましたから
出口付近に座れました。

この路線は結構年配の女性や男性が多く乗り降りをしていました。何気なく降
り口を見ていると、このバスはどの停留所でも歩道のそばには止まらないのです。
停留所の近くに駐車車両は無いにも関わらず、歩道からかなり離れて止まります。

ですから男性客は少し飛び跳ねて直接歩道に降りますが、年配のお客は、滑っ
て転ばないように男女にかかわらず一回では歩道に行かず、一回狭い隙間の車道
に降りてそれから歩道に上がります。

ノンステップバスなのですが、そのバスに乗ったお客にはワンステップバスに
なっています。バリアフリーになっていません。

運転手さんは時間に焦っている感じでもありません。停留所近くは路上駐車も
ありません。後40-50cm歩道に近づけて止めれば、バリアフリーの役割をするの
にその工夫を全然しないのです。残念ですね。

業務になれてしまうと、業務をこなすことを中心に考えてしまい、扱っている
道具や機械の本来の役割を忘れてしまうこともあります。もったいないですね。

皆さんはいかがですか。



2009/5/10  第214号

 今年のGWはどこへ行っても混んでいるだろうと、どこへも行かずに家でのんび
りしていました。ただ必要に応じて、近くのホームセンター、スーパー、飲食店
などに行ったのですが、どこも混んでいて、レジは行列でした。そんな時の接客
を観察しているといろんな場面に遭遇します。

 ホームセンターでのこと。レジで並んで会計を済ませた時に、購入した商品の
仕様が違うことがわかり、他の商品への交換を求めました。それまでにこにこ対
応していた若い女性接客者が、突然嫌な顔に変わりました。「忙しい時に悪いね」
と言葉をかけましたが無視です。きちっと交換をしてくれ、差額の金額の返還な
どしてくれましたが、終始無愛想になっていたのです。変えてくれたので私は対
応に満足しているのですが、その態度に嫌な印象が残りました。折角変えてくれ
たのに感謝されないなんてもったいないですね。

 飲食店のレジです。そこは土産に商品も販売しています。飲食代を払う人、土
産を買う人でごった返しています。年配の女性接客が対応しているのですが、実
にうまいんです。短い言葉を常にかけています。「恐れ入ります」「ご協力あり
がとうございます」「助かります」「ごめんなさいね」「お待たせして済みませ
ん」など。手の動きもてきぱきしていますから、その雰囲気で不快感が増しませ
ん。あるお客様が商品について質問しました。手短に答えていましたが、列の後
ろの方から「早くしろ」という文句が出ました。すると文句を言ったお客様に向
かって「申し訳ありません。お待たせして。すぐにやりますから」と言ったかと
おもうと、質問したお客様には「忙しい時間のためご迷惑をおかけしました」と
どちらへも言葉をかけて雰囲気を作っていました。

忙しい時の接客が接客者の真の実力が出ますね。皆さんはいかがですか。



2009/5/24  第215号

私は最寄りの駅までは自転車を利用しています。歩いて10分弱ですから、運動
になってちょうど良いのですが、日頃運動不足にかかわらず、億劫なので自転車
を利用してしまいます。

途中に信号のある交差点があります。交差点と言っても、3本の道は広い通り
で車の通行量も多いのですが、1本は細い道です。そして車の通行量が極端に少
ないのです。ですから、三叉路のような感じで、残りの1本の細い道路は信号が
赤でも、自転車や歩行者は車の来ないのを確認して信号を無視して渡ってしまう
のです。

私も、つい急いでいる時は、車が来ない事を確認して渡ってしまうことありま
す。まして夜の遅い時間だと、残り3本の車の通行量も少ないので、ほとんどの
人が車が来ないのを確認して渡ってしまい、まず信号を守る人はいません。

先日、夜11時頃、駅から自転車で帰路についていました。その時間は車の通行
量がほとんどありませんでした。その信号の所に来ましたら、1台の自転車が信
号待ちをしています。きちっと青になるまで待って渡っていました。きちっとし
た人だと思いました。

見ると自衛隊の制服を着ています。実は3キロほど離れたところに自衛隊の施
設があり、そこへ通っている人なのでしょう。さすが自衛官だなと思いました。
制服を着た時の自分の行動が所属組織への印象に影響することをしっかり理解し
ている人でした。

 ユニフォーム、制服を着た時、自分の行動の影響を意識していますか。皆さん
はいかがですか。



2009/6/7  第216号

石川県の金沢市には、もう15年前程前から年に2,3回行く居酒屋さんがあり
ます。最初のきっかけは泊まったホテルの支配人から紹介されたのです。その店
はカウンター10席、丸テーブル一つの小さな店ですが、良い素材を安く提供する
ので地元のお客に人気の店です。

先日、金沢に泊まる予定があったので、2日前に店主に電話しました。
「明後日行くので、美味しいノドグロを用意しておいてくれますか」
「今店に出てないんですよ、前にうちで働いていた若い子に任せちゃったんです
よ」
「なんだ、会えないの、残念だな、じゃー今の店長に伝えてくれますか」
「私から電話しておきますから、行ってください」

昨年その店に行った時に、店主が将来はこの店は若いのに任せて、私はお任せ
の料理を提供する民宿を経営するんだと夢を語っていたのですが、いよいよ今年
の初めから実現したのです。

今店をやっている店長は、12年ぐらい前から6-7年その店にいて、その後他
の店で修行をしていました。昔会った時は髪を金髪にしていて、結構しゃべる愛
想のいい子だった記憶があります。

店を任されて半年、店の雰囲気も変わっちゃったのかなと心配して、夜の7時
半頃行くと、店はお客で一杯です。お客は前からの常連で楽しく話しています。

店長は感じが変わっていました。ふっくらして髪は短くして、板前さんという
感じです。仕事振りを見ても、無駄な話はしないで黙々と仕事をします。いい素
材を料理して、お客は料理を楽しみ、また他の客との会話も楽しんでもらう。ま
さに以前の雰囲気とそっくりです。私たちも美味しい料理を楽しみ、また居合わ
せた常連さんと仲良くなって楽しい時間を過ごしました。

最近は店長が変わると、極端にサービス方針を変えて、がらっと雰囲気が変わ
ってしまうところがあります。常連は変化に戸惑い、つまらなくなり行かなくな
ります。結果的に店が閑散としてしまいます。

店のコンセプトは大事ですね。店のお客に対するサービスの考え方はぶれない
ようにしながら工夫しないとお客は楽しめませんね。皆さんはいかがですか。



2009/6/21  第217号

先日、健康診断で病院に行きました。血液検査をするために自分の番まで処置
室の前で座って待っていました。

この病院は1階に診察室があり、2階に処置室があります。そこではレントゲ
ン、血液採取、点滴などを行います。そして1階と2階に受付があります。

年配の男性患者が2階にやってきました。そして待合いの椅子に座ろうとする
と、受付の女性が声をかけました。
「上の受付を通して下さい」
「下の受付が2階に行くように言われたんで」
「でも上の受付を通して下さい」
「だから下の受付が行くように言ったから来たんだよ」
男性患者の声がだんだん荒くなってきました。受付の女性も引きません。二人と
も、ほぼ同じ言葉の繰り返しです。どちらも頑固に言い合っていましたが、最後
は男性患者がおれて受付に顔を出しました。

見ていて、笑っちゃいました。どちらも大人げないなと思いましたが、きっと
男性患者は何かいらいらしたことがあったのかもしれませんね。言葉のかけ方で
気分を壊し、一瞬むかっとして、引くに引けなくなったのでしょう。

受付の女性は笑顔がなくて、話しぶりも語調がきついのです。男性患者は「上
の受付を通してください」といわれた言葉が命令されているように感じたんでし
ょうね。そこで「下から言われて来たのに、何で受付を通すんだ、連絡が来てる
だろう」と自分の理屈を押しつけたのでしょう。

やはり受付も接客業です。「恐れ入りますが」「すみませんが」などクッショ
ン言葉を多用して表現を柔らかくした方が無難ですね。そして表情、語調など感
じよく話しているように工夫しないと、お客様との無駄ないさかいが起こるかも
しれませんね。

皆さんはいかがですか。



2009/7/5  第218号

 私の友人が使っていた携帯電話が壊れたそうです。ケースに入れて鞄の横にぶ
ら下げていました。何かの時にぶつかったのか、原因は分からないのですが、電
源が入りません。
 
翌朝、携帯電話の営業所に行きました。そこで対応したのが若い男性の接客者
です。初めて修理に出すので、分からないことだらけです。何日ぐらいで直るの
か、金額はいくらなのか、新しい電話機を買った方が得なのか、修理中に携帯電
話を使いたい時にはどうするのか、今まで入っていたアドレスなどの情報はどう
なるのか、質問したいことが山ほどあったそうです。

 その接客者はまだ仕事が慣れていないのでしょうか、覚えていることを順番に
話します。
「修理中は携帯電話を貸し出します」
「その場合、留守番電話機能は今までどおり使えるのですか」
「貸し出しは無料なのですが、もし万が一お客様の使い方によって壊れてしまっ
た場合は〇〇〇〇〇円を負担していただくことになります。使い方に関して
は・・・・」話を続けます。

 このように、疑問があって途中で質問しても、無視です。そして自分が話すべ
き内容を何とか言い終わった時に「留守番電話機能は使えます」と質問の答えを
返すそうです。一事が万事この調子なので、一生懸命説明をしているのでしょう
が、その対応にむかついたと話していました。質問した時に「ちょっとお持ちく
ださい」あるいは、「各種機能に関しては後ほどお話します」などと話せば感じ
がいいのに、と言ってました。

 接客でのお客様との会話はコミュニケーションでお互いが気分良く理解しあえ
なければお客様に不満が残ります。どんなに一生懸命お客様へ対応したと思って
も、お客様が発した言葉への反応を意識しないと、知らないところで不快感を与
えるかもしれませんね。接客会話を意識しないと恐いですね。

皆さんはいかがですか。



2009/7/19  第219号

あるSC内の靴専門店に何気なく入りました。するとちょうどセールをしてい
てあるブランドの靴が3割引になっています。その革靴は軽くて、底に衝撃吸収
機能がついていて、とても歩きやすそうです。サイズ違いがあったので履いてみ
たら履きやすそうです。そこで自分のサイズを探しましたが見あたりません。接
客者を探しました。店内には3,4組のお客がいますが、見あたりません。そのう
ち、女性客と話している人が接客者と分かったので声をかけました。

「お願いします」
「すみません、ちょっとお待ちいただけますか」笑顔で申し訳なさそうな顔をし
て答えました。まーいいかと思い待っていましたが、なかなか終わりません。

あまりにも長いので他の接客者を探しましたが、その時間は一人だけのようで
す。ちょうど接客者もこちらを向いていて、目が合うと「申し訳ありません、も
う少しお待ち下さい」帰ろうと思いましたが、タイミングの良いその言葉に思い
とどまりました。

それからしばらくしてやってきた接客者は
「申し訳ありません、お待たせいたしました」
「この靴の〇〇センチはありますか」
「ちょっとお待ち下さい」探しに行ってから
「申し訳ありません、あいにくそのサイズは切らしています」
「エーないの」
「本当に申し訳ありません。長い時間お待たせいたしましたのに、済みませんで
した」申し訳なさそうな顔で詫びてくれました。

当初結構長く待たされて、何で接客者は一人しかいないんだという不満があり
ましたが、お客の気持ちになった表情できちっとした対応してくれたので不思議
とその不満もすぐ薄れました。

相手に気持ちが伝わる接客は不満をだいぶ吸収する力がありますね。皆さんは
いかがですか。



2009/8/2  第220号

先日東京の某区役所に証明書をもらいに行きました。申請書はどこにあって、ど
ように書くのかなと、設置されている書類棚の前で迷っていると、若い男性が「お
困りですか」と声をかけてきました。首からカードを下げていて、役所の職員で
した。見ると記入カウンターの近くには何人かそのようなスタッフがいて、困っ
ている人にアドバイスしています。アドバイスのおかげで必要な証明書をスムー
ズに受け取ることが出来ました。

用事が済んだのが、午後1時30分を過ぎていましたので、役所の食堂で昼食を
取ることにしました。中にはいるとお客さんは2,3人しかいませんでした。チケ
ット窓口はすでに終了しています。直接厨房カウンターで注文・支払いをするよ
うに指示が書かれていました。

カウンターでセットメニューを注文・支払いをして、他のお客さんが座ってい
る近くの席に行って食事をしていました。しばらくすると、厨房作業を終えたの
でしょう、15,6人はいるでしょうか、食堂で働いていた調理人が全員、自分の
食事を持って、私の座っている席近くに集まって、食事をし始めました。

ホールは広いので、その場所で食べなくてもいくらでも席はあります。大声で
笑いながら話している人、何かに夢中になっている人、それぞれです。急にうる
さく、落ち着かないので、早々に食べ終え、食器を片付けようと、すぐ隣に座っ
ていた調理人に「食べた食器はどこに置くんですか」と尋ねました。その人はメ
ールの書き込みに夢中で聞こえないようです。返事がありません。返却口らしき
場所があったので、そこにおいて帰ってきました。

確かに厨房の仕事が終わったのかもしれません。でもお客さんはまだいるので
す。残っているお客さんが食事をしやすい環境に配慮しょうとは考えていません
でした。私たちは接客者ではないと思っているのでしょうか。役所の窓口ではサ
ービス意識が感じられたのに残念でした。

皆さんはいかがですか。



2009/8/16  第221号

携帯電話が突然故障しました。相手からの声が聞こえないのです。まだ購入し
て1年ちょっとなのに。不便ですからすぐ閉店間際にショップに持って行きまし
た。

先客がいたので整理券を取って待っていました。すると奥から女性スタッフが
出てきました。店内を見回さないため、私に気がつきません。隣の接客中の女性
がお客が待っていることを教えたようです。きっと気が利かないんだろうなと嫌
な予感がしました。

「整理券〇番でお待ちのお客様」
呼ばれたので、席に着きました。状況を説明し、修理することになりました。
笑顔のない対応で、いやいや仕事をしているような感じです。修理中は代替機を
お貸しします。その代替機に関する説明も、長々とつまらなそうに説明します。
「紛失されますと〇〇円、お客様の原因で壊されますと〇〇円のお支払いをいた
だきます」
「修理した電話機がメーカーから発送されて15日以内に代替機を返していただ
かないと1日につき〇円いただきます」

感じが悪かったので、つい私の友人の話をしました。
「同じ携帯電話会社で違う場所のショップに修理を依頼した私の友人は、修理完
了の連絡を何度かもらったけど、留守番電話に言付けを入れてくれないので、分
からなかったらしいよ。そして13日目に電話が通じたらしいんだけど。何のため
に電話してるんだ、知らせるためなら留守録するのが常識だろと怒っていたよ」
「・・・・」無言です。
「携帯電話の留守録に入れてくれればすぐ来るよ」
「うちの店は留守録に入れます」語調きつく言われました。
他の店の事を言われて腹が立ったのかもしれませんが、このショップの接客の悪
さが印象に残りました。
他の店のことでも「ご迷惑おかけしました。当店はお客様がお電話に出られない
場合は、留守録に記録を残しますのでご安心下さい」と言っていれば、違ったで
しょうね。

その後、修理完了の連絡は留守録に入って、早期に携帯電話が手元に戻りまし
たが、今度何かあった時には違うショップの場所を探さなければと思っています。

常に感じの良い対応を意識しないと、それが原因で辛辣なことを多く言われるかも
しれませんね。
皆さんはいかがですか。



2009/8/30  第222号

新潟県のある町に、仕事で行くとよく訪れる店があります。仕事柄接客が良い
と行きたくなるのですが、その店は別に接客が良い訳ではありません。いつも小
さな驚きがあるのです。

最初に訪れた時は、刺身が美味しかった記憶があります。刺身のつまも凝って
いて飾り切りがしてあって、値段の割に満足しました。次に行った時は、日本酒
に合うつまみに満足しました。訪ねる度に日本酒に合う料理に興味を持ちました。

 先日も久しぶりに行きました。その店は店内に入ると左右が座敷になっていて、
それぞれテーブルが3,4つあります。何度か行くと、味もなれてしまいます。
接客者は愛想も良くありませんので、食べて飲むことに集中します。そうすると
料理の満足度が薄れてきます。「今日の酒はちょっと合わないな」「味がこんな
だったけ」等と会話してしまします。

たまたまトイレに行ったら、見事なカサブランカの束が活けてあり、その一角
だけ高貴な雰囲気が漂っています。すばらしいなと思って席に戻ってくると、店
の中の厨房に近いところにもカサブランカの束が活けてありました。飾る場所が
目につきにくいため、気がつきませんでした。

その後は、カサブランカの話で盛り上がっていましたら、「そういえば入口の
前にも豪華な百合が飾ってあって目を引いた」と思い出しました。帰りに見たら、
やはりカサブランカでした。カサブランカを上手に活用して高級な雰囲気を与えていたのです。

小さな驚きは、また次回に行きたくなる気分を呼びますね。皆さんはいかがで
すか。



2009/9/13 第223号

私の知人が、ある時たまった郵便物の整理をしていて、郵送するものをまとめ
て投函しました。その時あわてて切手を貼らずに投函しました。気がついてすぐ
に近くの郵便局に行き、若い担当者に、お願いしました。
「切手を貼らずに投函してしまったんですが、回収する時に調べにポストまで行
きますから連絡してくれませんか」
「会社が違うのでそれはできません。それに切手が貼られていなければ戻ってき
ますよ」
「こちらの住所を書く欄がなく投函したハガキもあるんです。重要な書類で相手
が受け取らなければ処分されてしまうでしょう。なんとかなりませんか」
「じゃー集配する会社にきいてみましょうか」若い担当者が問い合わせのためそ
の場を動こうとしました。

すると近くの年配の男性が出てきて、その若い男性に「しなくていい」と指示
をしてから、知人に言ったそうです。
「そんなこといちいちできません。郵便物が何通あると思うんですか。それに差
出人の住所が書いてあれば戻ってきます」
「書いてないのもあるんです」
「相手先が受け取らなければ、しょうがないでしょ。うちは関係ないから」
「でも一応集配会社に電話してくれませんか」
すると語調を強く「だから、そんなことやれないんですよ」結局それっきりで何
の対応もしてくれません。腹を立ててお客様センターに電話して事情を話すと、
後日郵便局長から電話があり、詫びると共に教育の徹底を約束したそうです。

知人は、確かにうっかりして投函した私が悪いけど、しかし、いかにも冷たい
対応に腹が立ったと言っています。「それは心配ですよね」「うっかりすること
もありますよね」など、お客様の気持ちを配慮する言葉を出しながら、切手が貼
っていない場合は戻ってくる事を説明し、住所を記入出来ないハガキに対しては、
関係会社に問い合わすことのアドバイスをしてくれたら、お客様センターに苦情
を言わなかったと言っていました。

どんな状況でも、お客様の気持ちを配慮する言葉って大事ですね。同じ対応で
もその言葉があるのとないのとでは、相手の感じ方が違ってきます。皆さんはい
かがですか。



2009/9/27 第224号

私の知人は和食が好きで、何件か行きつけの店があるようです。ある懐石の店
で月に1、2回程度ゆく店があるそうです。最近は女将とも仲良くなって良く話
をします。

先日、懐石料理の中に松茸入りの土瓶蒸が入っていました。土瓶蒸しを提供し
てから女将が話してくれました。
「松茸は、国内産と韓国産は味も香りも違いますよね。この間国内産の松茸を頂
いたのでよく来るお客様にお出ししました。板長が国産の松茸は色々な具を入れ
ない方が松茸の香りと味が際立つと言うので、松茸だけであまり具を入れずに作
ったんですよ。そしたら味のよくわかるお客様でしたから、本当に松茸の香りが
生きていて美味しい、とすごく喜んでくれたんです。」
その話を聞いて、土瓶蒸しを見たら、海老やミツバなど具が盛りだくさんだった
そうです。そこで
「あら、これには具がいっぱい入っていますね、韓国産なんですね」と尋ねると
「・・・・・・・・」黙って立ち去ったそうです。

その女将は、すぐお客様にこうして差し上げたら喜んでくれたと言う話を多く
します。前回来た時に聞いた話を思い出しました。「家の庭にイチジクがいっぱ
いできたんです。普通イチジクは和食には使わないのですが、板長が工夫して造
りました。良く来てくれる味のよくわかるお客様に出したらとても喜ばれました」
そう言って、知人には何も出さなかったそうです。

他のお客様へサービスした話ばかりで、自分には何もしてくれないのを感じる
と、私は来る回数が少ないからと思ってしまいます。料理に関していろいろな工
夫をしていると言いたいのだろうけど、あまり良い気分がしないと怒っていまし
た。

 お客様との話題は大事ですね。なんでも話せばいいのではなく、話材を選ばな
ければかえって逆効果になります。皆さんはいかがですか。



2009/10/11 第225号

先日、打ち合わせを兼ね食事をすることにしました。東京駅近くのビルの5階
にある飲食店街に行きました。どの店に入ろうか、店を見ながら探していました。

すると各店で呼び込みをしています。ある店の前には、年配のコック姿の男性
が仁王立ち。「〇〇はいかがですか」と声をかけますが、その人の顔も見ないで
通りすぎました。

ビアレストランの前に行くと、若い男性接客者が歩くスピードに合わせて一緒
に歩き説明します。「ソーセージが美味しいですよ、ビールに合います。今ちょ
うど席が空いています」と矢継ぎ早に声をかけられ、「ちょっと回ってから来る
ね」とやはり通り過ぎました。

串揚げ店の前に、メニューが出ています。串揚料理が好きなのでサービス内容
などを一通り読んで話をしていると、店から男性が出てきて「説明させていただ
けますか」と声をかけるのです。メニューを読んだ後ですから「お願いします」
と答えてしまいました。

「このコースですと、料理2品がついて後は串がお好みの形で出てまいります。
追加の場合は追加ごとにこちらの金額になります。当店の串揚げはごま油とサラ
ダ油で揚げていますから、しつこくなく割とさっぱり召し上がれます」
「串揚げだと関西系の店なの」
「関東で始めています。ラードを使用していませんので、お腹には軽いですよ」
少し興味を示すと、
「ただいまカウンターとテーブル席があいていますから、ご覧になってはいかが
ですか」

抜群のタイミングと、全てお客に判断をゆだねる話しぶりに、結局その店に決
め入りました。どんなに魅力あるサービスを勧められても、押しつけや押し売り
の雰囲気を感じると逃げたくなりますね。ちょっとした工夫が重要ですね。皆さ
んはいかがですか。



2009/10/25 第226号

先日横浜の日産スタジアムに最寄りの駅からタクシーで行きました。私はタク
シーを利用する時は運転手さんと話すのが好きです。元気で明るいと感じた人に
は話しかけ、色々と周辺の情報を教えてもらいます。
「駅のタクシー乗り場が新しくなったのはいいけど、カードで支払いのお客さんには、
降ろす場所によっては通信がうまくいかなくて困ってるんですよ」「スタ
ジアムにイベントがあるときは、大忙しでピストン輸送してるんです」等々。

駅のタクシー乗り場で乗って「日産スタジアムまで」というと、「・・・・・」
返事が聞こえません。また笑顔もないのです。タクシーの運転手さんも、駅で長
時間客待ちをして、やっと乗ったお客が基本料金(710円)の場所では気分が良
くないから、ふて腐れて返事もしないのかなと勝手に思いました。

目的地に近づくと「ここで降りれば近いですよ」と教えてくれました。降りる
場所によって、目的の会場まで大分歩くことになります。タクシー降り場まで行
かずに、最短距離の所で降ろしてくれたのです。年に何回か仕事で行く機会があ
りますから、その場所が一番近いことを知っているので、「親切なんだ」と思い
ました。もしかしたら、最初に返事をしたのに、声が小さくて聞こえなかったか
もしれません。

翌日も同じようにタクシーに乗り、行き先を告げました。今度は「はい」と返
事はありましたが、やっと聞こえるような小さな声です。笑顔がなくて、やはり
暗い感じがします。今度は近いところで止まろうとしないでタクシー降り場まで、
行こうとするので、声をかけました。
「そこで降ろしてください。領収書をお願いします」
「はい」領収書を渡して「忘れ物はありませんか」と声をかけてくれました。低
くて小さな声だったので、折角の気配りも目立ちませんでした。

業種によっては毎日何十回と挨拶するかもしれません。ただマンネリになって、
声が小さくて聞こえない、笑顔がないためにつまらなそうに仕事をしていると誤
解されている接客者が多いかもしれませんね。最初の挨拶でお客は接客者に対す
る印象を決めます。マンネリにならないように工夫することが大切ですね。

皆さんはいかがですか。



2009/11/8  第227号

 最近は何年も映画館で映画をみませんでした。しかしこの2ヶ月のうちに誘わ
れて話題の「キャデラック レコード」と「This is it」を見ました。映画館は
都心の中心と都心から離れた所を利用しました。どちらも音楽映画ですから、迫
力の音で映画を楽しんできました。熱しやすい私は、使用しているipodの中に
「マディ ウォーターズ」のブルースとマイケルジャクソンのロックを入れて、電
車で移動の時に楽しんでいます。

さて、映画と言えばポップコーンにコーラはつきものではありませんか。どち
らの映画を見る時も、売店で購入しました。接客者の対応はどちらも商品を聞い
てそれを提供するだけの基本的な対応です。ところが印象がまるで違います。都
心の映画館では、常に笑顔で対応してくれて気分良く購入できました。都心から
離れた映画館では、同じような言葉で対応はしますが、笑顔がまるでなく、ジー
っと見つめるような接客です。不思議ですね、商品の量を普通にしようか、大き
いのにしようか迷っていると「先ほどの注文は取り消しですね」といわれ、笑顔
がないため、せかされているように感じ、ムッっとしてつい「まだ取り消すとは
言ってないでしょ」ときつく答えてしましました。

笑顔はその場の雰囲気を作ります。笑顔がないために、起きなくてもいいよう
なクレームが起きるかもしれません。お店で笑顔の訓練を教育の一環として定着
させることは重要ですね。皆さんはいかがですか。



2009/11/22 第228号

先日、ある駅のタクシー乗り場からタクシーに乗りました。その会社に行くのは今年
3回目でした。その場所は一般の人はあまり行かないところです。

「〇〇まで」
「はい」
「分かりますか、高速道路のインターチェンジのそばで・・・」
「分かっていますよ、前に乗ってもらいました」
「えっ、前に乗ったの」
「この間は私の前の車に乗りましたね」
「この間は10月だったから、その前というと8月頃かな、その時乗ったの」
「はい」と答えて、その時に話した内容を覚えていたのです。
「へーそんなに来ないのに奇遇だね」
 その後世間話をしました。最近は暇で困ってしまうという話をしてくれました。
「何かの縁だから今日5時半ごろ迎えに来てくれる」
「いいですよ」
「じゃー名刺頂戴」
結局、帰りもそのタクシーの運転手さんを読んでくれるように、会社の人にお願いして
名刺を渡しました。

まさにコミュニケーションの力だと思いました。タクシーの運転手さんによっては、「帰り
はどうしますか」と帰りの移動の営業をする人がいますが、押し売りのように感じてほ
とんど断ります。なぜなら運転手さんと人間関係が出来ていないからです。

 今回の運転手さんは、覚えていることを何気なく話し、覚えていてくれた嬉しさから、
どうせタクシーを乗るなら知っている人が良いと、こちらから帰りの利用を持ちかけました。

少ない会話から、人間関係が出来ていたのでしょう。コミュニケーションの使い方って大事ですね。

皆さんはいかがですか。



2009/12/6  第229号

 先日、夜に会合があり、その前に少し時間があったので、某百貨店に寄って贈
答品を送ることにしました。商品を決め、支払いの場所に行くと、混んでいます。
年配の女性と男性がいて、
「どうしたらいいの」
「こちらです」と年配の女性が機械から整理券を取り、「40分待ちです」と言い
ました。確かに、そばにある時計が「待ち時間40分」と表示しています。40分
だと次の予定に間に合わないかもしれないので聞きました。
「えー、40分もかかるの」
「機械が出しています」
「40分なの」
「40分です」この言葉しか言いません。
間に合わないから、帰ろうかと思いましたが、まだ時間があるので、ぎりぎりま
で待ってみて、間に合わなければ帰ることにしました。

 待合いのスペースで、水の定期販売を営業しています。少し話を聞くと、販売
員の受け答えがうまいのです。そこで興味深く話をしていると整理券の番号が呼
ばれました。20分も経っていませんでした。

 支払いを済ませた後、そんな早く出来るなら、「40分と機械に出ていますが、
他のお客様の受付が早ければもっと早くなります。」そんなことを言ってもらえ
れば、最初に40分もかかるなら帰ろうかと思わなかったでしょう。
帰りに、整理券を配っている女性に言いました。
「40分て言われたけど、結局20分だったよ。40分なんて言われたら帰っちゃう人
もいるよ」
「機械が計算して出すので仕方ありません」
「でもそれでは帰っちゃう場合があるよね」
そういうと、嫌な顔をして、「ありがとうございました」。
クレームに対して向き合わないで、「ありがとうございました」と言う言葉で強
制的に終わらせています。隣にいた男性もニヤニヤしているだけで黙っていまし
た。

 これが百貨店の対応なのかなとびっくりしました。この二人のいる意味があり
ません。銀行や郵便局にも整理券を取る機械があります。それと一緒です。機械
が表示していることを言っているだけなら、そこに人間を配置する意味がありま
せん。人間の行うサービスは、コミュニケーションを活用して、機械では不足な
部分、状況を説明したり、事情をわかってもらう事でしょう。

 日頃から機械にならずに人間の行うサービスをしていますか。皆さんはいかが
ですか。



2009/12//20 第230号

 相手の名前(名字)が思い出せないで聞き出す時に次のようなテクニックがある
と聞いたことがありませんか。
「お名前は何て言いますか」
「〇〇です」
「名字は知っていますよ、下の名前です」
「〇〇です」
名字は知っているけど名前を知らないだけと思わせる方法です。でもこれを実際
にされたら相手を信じられなくなりますよ。

 先日、私の実家近くの眼鏡店にフレームの曲がりを直してもらおうと寄りまし
た。昔よく利用した店です。何年かぶりに行きました。主人も私の顔は覚えてい
ました。
「こんにちは」
「いらっしゃいませ」
「久しぶりです、ちょっとめがねを見てもらおうと思って寄ったんですよ」
「いやー久しぶりですね、相変わらずお元気そうで、」
コンピューターに向かいながら
「お名前は」
「小倉です」
「小倉さんは知っていますよ、下のお名前です」
「博行です」
コンピューターからデータを探して、それから話す度に「小倉さん」と名字をい
いました。

 何か不自然です。知っていれば「小倉さん、下の名前は何でしたっけ」と言う
でしょう。またデータをださなくても、フレームの曲がりだけなら簡単に直して
もらえるはずです。

 テクニックを使ったのか、本当に知っていたのか本当のところは分かりません。
でも、何かテクニックを使って正直でない人だなという印象を持ちました。

 名前を覚えていないで分からない時は、お詫びして素直に聞くことが大切です
ね。そのほうが、ずるい感じはしないでしょうし、結果的に正直さが印象に残る
でしょう。

 皆さんはいかがですか。



2010/1/10 第231号

新年明けましておめでとうございます。
今年も「接客バンザイ」を読んで可愛がってください。

新年早々、知人からお医者さんの言葉で心がいやされた話を伺いました。

知人の高齢の母親が年末から年始にかけて入院しました。病院に運ばれたときに、
盲腸かもしれないので、精密検査をしてから手術と言われたそうです。高齢ですから、
手術と聞いて大変心配したそうです。

その後軽い腸閉そくと分かった段階で若い担当医は「申し訳ありません、手術になると
ご心配をかけて。手術でなく薬を服用して治してゆきましょう」と言葉丁寧に接してくれて
ホッとしたそうです。その後も結局正月も退院できなかった時に「すみませんね、退院が
伸びてお正月も入院になってしまって」。

病院の医師で言葉丁寧に接する人、まして「申し訳ありません、すみません」というクッ
ション言葉を多く使う人は少ないので、とても感じがいいと知人の家族に評判がよかっ
たそうです。それだけでなく、病状を説明する時も、MRIの記録を見せながら、わかりや
すく説明してくれたので、不安も大分薄らぎました。

年末に洋食、和食と料理店で食べる機会が多かったので、食べ過ぎたことも原因だった
ようですが、それを聞く時も相手を傷つけないように言葉を選らんで話してくれます。「か
なり美味しいものを食べ過ぎたのかもしれませんね。それだけが原因じやないですよ、
他に何かあるかもしれません、それだけ食べられるのは元気な証拠ですよ。」退院を
告げる時は、病床に来て、「明日退院できますよ。よかったですね」と手を叩いて喜ん
でくれたそうです。

このように、喜びを一緒に感じてくれる姿勢、また相手の心情を理解した言葉づかいに、
知人は「とても気持ちが救われた。いい先生に巡り合った」と語っていました。

やはりお医者さんもコミュニケーション力によって、その評価が倍増しますね。
皆さんはいかがですか。



2010/1/24 第232号

夜自宅の電話の留守録に次のような内容が吹き込まれていました。
「・・・の高橋です。御社にお電話をいただけませんでしょうか」
声を入れるのが早すぎたのか、最初の社名は入っていなくて聞こえません。名前
だけが分かります。そしてその後に、自分の会社に対して「御社」と言っている
のです。「弊社」の間違いで敬語を勘違いしたのでしょう。しかも要件は何も言
わないのです。当然不審な電話と思います。そのまま放っておきました。

翌日の夜に、ある電気店から電話があり、前に商品について説明を求めていた
ことの解答を伝えてくれました。それを聞いた後に昨日電話くれましたかと尋ね
ると違う社員が電話をしたとの事です。

社名、名前をはっきり聞こえるように吹き込まない。また何のための用件かも
を話さない。最後は早く答えを知りたいだろうと親切に考えたのかもしれません
が、電話をよこせと伝えているのです。おまけに敬語が間違っている。これだけ
電話のマナーを守らない対応をされると、どこの会社から何なのか、やはり不気
味な電話、いい加減な会社の電話と思ってしまいますね。

この時「〇〇会社の高橋です。先日ご依頼のあった件についてのご報告で電話
をしました。また明日の夜にあらためて電話しますが、もし今夜お戻りになって
午後9時までに弊社にお電話いただけたら、即答できるようにしておきますので
よろしくお願いいたします」このように言われたら、夜遅くまで頑張っている会
社だなと思うでしょう。

仕事に慣れてくると、基本を忘れてしまうことがあります。でも基本は常にお
客さまにとって便利あるいは気分が良くなるような工夫があるので、それを忘れ
てしまったら、知らないうちに会社の信用がなくなるかもしれません。どんなに
経験を積んでも基本は大事ですね。

皆さんはいかがですか。



2010/2/7 第233号

先日、学生時代の友人3人で久しぶりに会う機会を作りました。予約をしてい
なかったので、駅で待ち合わせて店を探しましたが、午後7時ごろはもうどの店
も一杯です。入れる店を探して歩き回りました。ただ、経験上すいている店は、
必ず何か理由があります。値段が高い、料理がまずい、接客が悪いなど。でも昔
話に花を咲かせればいいと思い探しました。

1軒、夫婦で営業している焼き鳥店がありました。入ると常連が何組かいまし
たが、すいています。接客者はそこの奥さんらしく、おしぼりを運びながら注文
を取ります。
「今日は寒いね、どこも空いてなくてずいぶん歩いちゃった」
「そうですか、お飲み物は」
「とりあえず、生ビール3つ」
「生ビール三つですね」
話しかけても、話に乗らないのです。笑顔もないのでつまらなそうに感じます。

料理を注文した後も、飲み物、料理を運んだり、皿や空いたジョッキを下げる
時も、何か聞いても必要最低限の内容は話しますが、何か義務的でいやいや話し
ている感じがします。

その人の性格なのかもしれませんが、店の雰囲気を盛り上げるための接客が機
能していなくて、仲間全員がもうこの店は止めようねという気持ちになりました。

会話ってその内容に応じて喜怒哀楽の感情が共有できた時に、雑念に惑わされ
ず、話に集中できた気になります。接客も同じではないでしょうか。その対応が
お客様の喜怒哀楽に合わせる事って重要でしょう。

言葉なら「今日は本当に寒いですよね」「大変でしたね」「楽しそうですね」
「よかったですね」そんな短い言葉も必要です。また話す時の表情も相手の気持
に合わせるように工夫すれば、店全体の雰囲気がお客様に合わせた居心地の良さ
を演出できるでしょう。

皆さんはいかがですか。



2010/2/21 第234号

昨日、友人数人と不耕起栽培で有機農業を行っている農園に見学に行きました。
不耕起栽培とは水田や畑を耕さないまま農作物を栽培する農法です。自然生態系
の中で自然と共生しながら、その恵みを最大限に取り込むという考え方に興味を
持って行きました。

 ちょうど研修生として現在半年間その農法を学び、近い将来独立する夢を持っ
ている女性がいました。彼女は30代の半ばですが、料理を作るのが好きで、より
安全な食材でおいしい料理を作ることに興味を持っていたことから、最終的に作
ることまで興味を持ち、一念発起、それまで勤めていた大手のレジャー施設をや
め、農業の勉強を始めました。

彼女に農場を案内されながら、土壌の管理方法、種の蒔き方、収穫の方法など
日ごろの仕事を詳しく教えてもらいました。彼女も無農薬の野菜を毎日食べて、
体調も変わったことを実感し、農業が好きで好きでたまらない気持が伝わり、話
す姿が、生き生きとして本当にうれしそうだったのが印象に残りました。途中で
説明を受けながら、畑から取り立てのセロリ、ルッコラなどを食べると、野菜の
味が濃くて美味しい印象が強烈に残りました。

自分の仕事をきちっと相手に伝える事が出来るって素敵ですね。自分ではわか
っていても、それが相手に分かるように伝える事は結構難しいものです。その仕
事の良さ、それから自分にどのような影響があるか、そんなことを自分自身で分
析できないとなかなか言えないものです。

「昔は虫を見れば野菜の成長に邪魔なものと思っていましたが、テントウ虫も害
虫を食べてくれます。猫が来ればシッシッと追い払っていましたが、何かの役に
立っている。今は共生の気持ちが強くなって邪魔にしなくなりました。」と話し
た言葉が印象に残りました。

皆さんはご自分の仕事を、もし人に話すとしたら、その良さを相手に分かって
もらえるように話せますか?

皆さんはいかがですか。



2010/3/7 第235号

ある年配の女性が、お孫さんの友達の結婚式に呼ばれたので、出席するのに洋
服を探しに近所のブティックに娘さんと行ったそうです。

50歳ぐらいの女性の接客者が対応しました。色々な服を見ながら、どれにし
ようか迷っているときに、「お似合いですよ」「いいですね」などと会話をかけ
てきます。
娘さんが、飾りのあるドレスをさして
娘「これはどうかしら」
接「あなたが着るならいいけど、おかーさんにはキラキラし過ぎていてお似合い
じゃないですよ」

今度は襟が開いたドレスを娘さんが勧めると、
接「あなたにはいいけど、私もそうだけどおかーさんは首にしわがあるから、失
礼だけど襟が立ってるるほうがいいですよ、それに襟もぎゅっと立ってるわけで
はないからこっちのほうがいいですよ」色々試着しているうちに、
娘「着物はいっぱいあるのに」
接「女のひとはね、目的があれば買ったほうがいい、いつまでもおしゃれをした
いの。着物なんて買って置いておけばいいの、着るのは面倒くさいのだから。皆
さんそう言っていますよ。パーティなんか着物で行ったらきついし良くないです
よ。こういうお洋服のがいいですよ」
娘「たった一回で、もったいない」
接「目的があるんだからいいじゃないの、1回の目的のためにおしゃれをしてあ
げる、それが親孝行というものですよ。」

だんだん話を聞いているうちに不快になってきたそうです。「あなた」という
言葉を連発して、友達でもないのにすごく馴れ馴れしく話すのだそうです。何万
円の商品を買うのにお客様に対する話し方ができないのかしら。他の店に探しに
行く時間もなく、よく似合っていたので、結局買ったのですが、なんとなく不快
感が残ったと話しています。

接客者は親しみを演出して、そのような話し方を日ごろからしているのでしょ
う。お客様の受け止め方はそれぞれですから、事例のように親しみと感じずに無
礼と思うかもしれません。この場合も結局購入していますので、接客者はお客様
が不快に思っているとは思わないでしょうね。

怖いですね。自分の常日頃行っている対応がすべてOKと考えないで、お客様は
どのように感じているか、常に考える必要がありますね。

皆さんはいかがですか。



2010/3/22 第236号

最近、町を歩いて気がつくのは、あれあそこにあった店いつの間にかなくなっ
ちゃった、あるいは違う店に変わっちゃったということが多いですね。確かに不
景気、不景気といわれて久しいですから、体力のない店は続けていけないのでし
ょう。

新規開店したイタリアンレストランに入りました。40歳ぐらいでしょうか、店
長が明るく感じのよい男性で、話しぶりもソフトで料理の説明も分かりやすく、
ワインの知識も豊富でした。

新規開店の店はほとんどが接客の指導もきちっとしていますから、接客者も感
じよく対応してくれます。帰りは、ドアの外まで接客者だけでなく厨房スタッフ
までが見送ってくれました。新規に開店したばかりですから、スタッフ全員で頑
張ってゆくんだという気持ちが伝わってきました。この姿勢がいつまでも続いて
欲しいなという思いで店を後にしました。

お見送りは接客の重要な要素で、店によっては、お客様が何歩か進んだら、も
う一度挨拶をしてお客様を振り向かせて印象を残すところがあります。ただ、最
初はやっていたのに、慣れてくるとやらなく店が結構あるんですね。

久しぶりに行った店が、前はお身送りをしてくれたのに今は金払ったら知らん
顔の店が結構多いんです。その時にたまたま忙しかったか、何かできない事情が
あったのかもしれませんが、やはり店への印象が違ってきます。

昔から言い古された言葉ですが「継続は力なり」を、経営環境の厳しい時ほど
意識して、接客へ活用することが必要ですね。ものまねでない「継続できる身の
丈に合った対応」が重要です。

皆さんはいかがですか。



2010/4/4 第237号

先日、喉が痛くて、あいにくかかりつけの耳鼻咽喉科が休みだったため、電話
帳で探し別の病院に電話してみました。
「もしもし、〇〇医院ですか」
「はい」
「実は朝起きた時から、喉が痛くて声を出すのがつらいのですが、見てもらいた
いんですが・・もしもし」
あまりに反応がないために、聞こえているのか心配になりました。
「はい」
「あの-、いつやっているんでしょうか」
「もうやっています」
「やっている時間と曜日を聞きたいのですが」
「いいですか、書いて下さい。日曜、木曜、祝日は休み、金曜は午後、土曜は午
前中のみです」
「済みません、もう少しゆっくり話してもらえますか」
「時間は午前が9時から12時まで、午後は2時30分から5時30分です」
「受付もその時間ですね」
「はい」
「すいている時間帯は何時ですか」
「ありません、受付から治療完了まで1時間半から2時間を見て来て下さい」
「はい、分かりました」

 字に書くと普通の対応に聞こえますが、非常に語調が強いため、面倒臭さそう
にいやいや答えている感じがしました。おまけに早口なため、時間等をメモして
いたのですが、書き取ることが大変でした。結局こんな不親切な病院に行かなく
ても、1日我慢してかかりつけに行こうと決めました。

受付の方は普通に話していたのかもしれませんが、電話ですと相手の表情が見
えません。声だけですごく不親切な受付の人という印象を持ってしまいました。

ご自分の声を他の方にチェックしてもらったことがありますか。声で誤解され
ては損ですね。皆さんはいかがですか。



2010/4/18 第238号

昔よく行った居酒屋に何十年かぶりに寄りました。たまたま旧友と会い、今で
もたまに利用している彼に連れて行ってもらいました。

お店は相変わらずビジネスマンで一杯です。昔すらっと細かった主人も、でっ
ぷりと貫禄が加わっていました。友人が店主に「何十年かぶりに連れてきたけど、
覚えている?」と尋ねました。私も「懐かしいね、久しぶり、お覚えてますか?」
「もちろんですよ、目元なんか面影があるもの、でもちょっと太ったんじゃない」
との答え。

覚えていてくれたんだとうれしく思いましたが、考えてみると中年の男性には
誰にでも当てはまる言葉ですね。しかし「ごめんなさい、忘れました」と言われ
るよりは気分いいものです。

店が何十年も続いて営業しているということは、必ず何か魅力があります。こ
の店は刺身類は鮮度もよく、料理にお値打ち感がありましたが、それ以外にもこ
んな気配りの言葉が言えることが魅力かもしれませんね。

皆さんはいかがですか?



2010/5/2 第239号

家庭菜園に興味があり、この時期になると苗を買ってきて植えています。先日
の休みの日に午前中に園芸店に行って苗を買い、午後に植えて1日で仕事を終わ
らせようと計画しました。

園芸店では、堆肥や肥料の袋や、好みのハーブ、野菜、そして花の苗を数種類
選んでカートに入れ、会計レジに行こうとして、たまたま園芸相談コーナーを通
りました。そこに年配の男性相談員がいたので、花で気になっていることを質問
したのです。午後にはすべての植えこみ作業を終わらせる予定ですから、立ち話
で簡単に聞こうと思っていました。

「水仙とチューリップが植わっているんですが、今年はあまり花が咲かないんで
すけど、花が枯れたら取った方がいいのですか、それともそのままにした方がい
いのですか」
「そこに座ってください」そばのテーブルに座るように勧めます。時間がないの
で断っても、とにかく座ってくださいと勧められるので座りました。
「チューリップとか水仙は秋植球根でして・・・。10月から12月までに定植し
て・・・・・。」

紙を取り出して、話している内容を紙に書きながらチューリップと水仙の話を
始めます。しばらく話を聞いた後、時間が惜しいので、話の腰を折って質問しま
した。
「あの、それで花は終わった後は、取った方がいいのですか、そのまましておい
た方がいいのか、チューリップ、水仙にとってはどちらがいいのですか」
「まず聞きなさいよ、そのことも話しますから」
そう言った後、球根とはどういうものか、秋から冬にかけて植える時の注意点
から始まって、球根がどのように成長するのか、その管理方法まで延々と30分ぐ
らい話してくれました。

本当に分かりやすく、話してくれるのですが、時間がある時ならいいのですが、
時間が気になって、自分が知りたい内容が出てくるまでは聞くことに集中できず
話が上の空になっていました。

その相談員は、とても簡潔に分かりやすく説明してくれるのです。ですからも
ったいないなと思いました。相手の聞きたいことに焦点を絞って、そのことと関
連することだけを話してくれたら、もっと話に集中できたし、話した内容がすべ
て記憶に残ったでしょう。

説明する時って自分なりに体系づけて話そうとしますが、それが相手の聞きた
いことに関する情報かどうか、意識しないとせっかく話した情報も無駄になるか
もしれませんね。

皆さんはいかがですか。



2010/5/16 第240号

最近、夫婦2人で営業している小さな店に何軒か連れて行かれる機会がありま
した。それぞれご主人が修行した技術を精一杯お客さまに喜んでもらおうと頑張
っていました。それぞれに料理がうまくお値打ち感がありました。ただ、どの店
も接客に関してもったいないなという部分が気になりました。

一軒は焼き鳥屋さんです。素材もしっかりしていて、焼き具合が絶妙で一度食
べたらその味のフアンになってしまいました。ただ料理を提供する奥さんが暗い
んです。あまり話すのが得意でないのでしょう。注文、提供時にお客と殆んど会
話をしません。とても美人なのですが、笑顔がないのです。それで暗く感じてし
まうのでしょう。

次は、宮崎県の料理を提供する店です。食材が良くて酒と共に十分楽しめまし
た。そこの奥さんは、人見知りなのでしょうか、新規客とはほとんど接点を持ち
ません。常連客とは大きな笑い声で楽しく喋っています。そのあまりの落差にび
っくりしました。

最後はてんぷら屋さんです。行ったのはひどい雨の日です。こんな日はお客は
いないだろうと思って入るとやはり誰もいません。カウンターの真ん中に座ると
「こちらにおつめください」とカウンターの端を勧めます。「この雨の日にあま
りお客さん来ないんじゃないの、来たら動くからここでもいいでしょ」と答える
と「どうぞ、どうぞ、すみません」と答えました。結局私たちがいる間に誰もお
客は来ませんでした。混雑している時の案内を、いつものパターンでやってしま
ったのでしょうか。

接客とはお客様の希望をかなえるように工夫し、笑顔で気分よくお客様を平等
に接することです。足りないものがあれば日々の練習で補わなければならないで
しょう。せっかくの料理を生かすためにも、日々の自分に対するチェックって大
事ですね。

皆さんはいかがですか。



2010/5/30  第241号

午後5時ごろ新宿を歩いていましたら、突然何か液体が顔にかかりました。ち
ょうど眼鏡にあたって少し眼に入ってしまいました。周りにいた何人かの通行人
も「ウァ」と言いながら、頭を触ったり、服を触りながら空を見上げていました
から何かがビルの中から落ちてきてかかったのでしょう。周りは5,6階建ての
ビルが多くあります。人らしき姿は見えません。空調の水滴?ただ周りの人にも
かかっていますから、グラス1杯の水ぐらいの量をいたずらに落としたのかもし
れません。

急に不安になりました。何の液体だろう。眼に入っていますから、心配です。
とにかく洗わなくては。近くの薬局を見つけて飛び込みました。
「歩いていたら何か液体が眼に入ってしまったので、気持ち悪いから洗いたいけ
ど何かありますか」
「それは心配ですすね、早く洗った方がいいですね。コンタクト使用者用のがあ
りますが、それをお使いになったらいかがですか」
一緒に商品の場所まで連れて行ってそれぞれの商品の説明をしました。器に洗浄
液を入れて、目に当てて洗うものです。
「多分、応急手当で済むと思いますが、洗ってから何か病状が出たらお医者様に
行った方がいいと思います。トイレの場所はご存知ですか」
「トイレで洗わなくてはダメですか」
「洗い終わった後に容器を洗った方がいいので、その階段を下りてすぐに男性ト
イレがありますから」
と使い方や、その後の対応を説明してくれました。


その接客者の表情や話しぶりが、私の不安に対して、同じ気持になって心配し
てくれるように感じました。薬局へ行って良かったと安心した気持になりました。
幸いにもその後何も起きずに、ほっとしましたが、同じ商品説明でもお客様の感
情をくみ取り、その気持ちを落ち着かせる話し方って印象に残りますね。

皆さんはいかがですか。



2010/6/13  第242号

私の友人の話です。女性二人でお昼を食べようとホテル1階にあるレストラン
に入ったそうです。ここのランチメニューは価格も手ごろでおいしく、いつも混
んでいます。昼時でしたが久しぶり行ったら「あれっ、珍しくすいている」と感
じたそうです。

ランチを食べ終わってコーヒーを飲んでいると、犬をそれぞれ連れた3人の若
い女性客が入って、すぐそばのテーブルに着きました。犬が入ってきたのにはび
っくりしました。

3匹とも小さな犬でしたが、皆テーブルの上に乗ってじゃれたり、また中には
椅子の上に降りて、椅子の背もたれに足をかけて、こちらを向いて顔を見ていま
す。今にもなめてきそう。そして足で身体をかいている犬もいて、何か不潔な感
じがしてウェートレスさんを呼びました。

「テーブルの上に乗ってじゃれているけどいいの。犬を下に置くとか、入り口で
預かるようにしたらどう?」
「はーぁ、うちは別にかまわないんですが。トリマー専門店が隣にありますから、
犬を連れて入っていいんですよ。それにテーブルも消毒して拭いていますから」
さも当然で、そんなこと言うのはおかしいと言わんばかりの態度。隣接して犬猫
トリマー専門店があるので、ここはペットの入店が認められていると初めて気付
きました。

友人は動物が好きで、子犬などにはすぐ声をかけてしまうような人です。しか
し、いくら可愛い犬でも、テーブルの上でじゃれあってるのを見ると、消毒して
いるとはいえ、そのようなテーブルで食事をするのは不潔な感じがします。それ
は飼い主のマナー違反で、それを注意してもらいたいと思いました。

でも聞いてもらえないので、支払いの時に
「この店は入口に犬を連れて入ってもいいと書いてある?」
「ないです」
「知らないから入ったんで、書いてあったら入らなかったわよ」
「すみません」
その時初めて「すみません」という言葉を言っただけで、ずーと「なんで文句言
うのかしら」という顔で対応していたそうです。もちろん支払い後、店を出る時
も何も言わなかったそうです。

動物が入れる店は、動物好きにはとても便利な店です。ただ一般客と共用する
のですから、マナーが必要でしょう。動物をテーブルの上にあげるのはマナー違
反ですし、もしマナーを理解していないお客様がいたら、それを教えるのも店側
の責任でしょうね。そうしないと、知らないうちに一般客が敬遠するようになる
かもしれません。

皆さんはいかがですか。



2010/6/27  第243号

先日3人で石川県のある町のホテルで昼食を取りました。コースメニューだっ
たのですが、料理を運ぶ接客者がとても感じがよかったのです。若い接客者でし
たが、笑顔がよくて料理の説明も上手で楽しそうに仕事をしているように見えま
した。

途中で女性接客者がパンを出しました。
「本日はこのパンになります。この中にニンジンが入っています。赤く見える粒
粒がニンジンでして、練りこんで焼いています。このパンはお客様にとても評判
がいいのですよ」
パンの説明をしたところ、連れの一人が
「私ニンジン嫌いなんだけど、ニンジンの匂いや味が強いの?」と質問しました。
日ごろから、ニンジンが苦手で、料理にニンジンが入っているときれいに取り出
して食べているぐらいです。

すると接客者はあわてずに
「私もニンジンが駄目なんです。ニンジンが入ってると聞いたときは私も苦手な
ので困ったと思いました。でも食べてみたら美味しいんです。ニンジンが入って
いる感じがしなくて全然いやな感じがないんです」

「へー、全然入っている気がしないの?じゃー食べてみようかな。お願いします」
とニンジン入りパンを受け取り食べました。そして「美味しい」と喜んでいまし
た。この切り返しはうまいなと思いました。店や自分の好みを押し付ける感じが
なく、お客様に興味を持たせ薦めています。

よくメニューの中でどれがよいか接客者に尋ねると「好みは色々ですから」と
か「私は飲めないので分かりません」と答える人がいますが、何か頼りない感じ
がします。「私の好みですが・・・」と教えてくれると楽しく料理を選ぶことが
出来ます。

皆さんはいかがですか



2010/7/11  第244号

先日、郵便受けに宅配便の不在連絡票が入っていました。通販の商品が送られ
てきていました。たまたま留守にしたため、受け取れなかったのです。そこで自
動音声案内に電話して、翌日土曜日の午前中配達を依頼しました。お昼から出か
ける予定があったため午前中にしたのです。

翌日、なかなか来ません。午前11時過ぎに郵便物を取りに郵便受けに行きまし
たが、何も入っていないので、配達に来たのに気がつかなかったということはあ
りません。

そこで午前11時30分ごろ会社に電話しました。
「午後留守になるので、昨夜自動音声で午前中配達をお願いしたのですが、まだ
来ないのですが」
「確かに、依頼は受けています。運転手に確認して連絡します」
「午後からは誰もいませんから、12時までに電話ください」
「はい分かりました」

夜帰って留守番電話を確認しても記録がありませんから、会社からは電話はあ
りませんでした。郵便受けを見ると、不在配達票が入っているのです。しかも午
前10時30分に配達と記録されています。インターフォンも故障していませんし、
11時過ぎに郵便受けを確認していますから、そんなわけは絶対にないのです。

あくる日商品を持ってきた係員に、その時間はいたはずなのにと話すと、何も
答えず、照れ笑いのような態度で帰って行ったそうです。

本当のことは分かりませんが、これでは会社から電話があった時に、何か配達
者にとって都合のよいような操作をしたのではないかと疑ってしまいます。何か
の都合で12時までに行けないのであれば、詫びの電話を入れればいいのに、わざ
わざ午前中に来たような小細工をされたように思え、その担当者を信用できなく
なりました。

誤解されるような行為になると信用を落とします。自分の行為がどのように見
られるか考える事も重要ですね。

皆さんはいかがですか。



2010/7/25  第245号

先日親戚のお見舞いに栃木県まで行きました。やはり遠方から来た親戚がいて、
お昼に「ちたけそば」を食べてきて「美味しかった」という話を聞きました。
「ちたけそば」という名前を聞くのは初めてでしたので、興味を持ちました。
この地方に生息するちたけ(乳茸)とナスを炒め、だし汁を加えて醤油ベースで
味付けするものだそうです。食べたいと思い、夕方近くになったのですが、帰り
にその親戚が利用した店に連れて行ってもらいました。

店に入ると、店主は親戚を覚えていて、
「あれー、わざわざ新しいお客さんを連れてきてくれたんですか。ありがとうご
ざいます」と身体全体で喜びを表現しお礼を言っていました。せっかく連れてき
てくれたんだからと、コーヒーやアイスクリームをサービスしてくれます。

また、ちたけ(乳茸)について質問すると、写真を見せながら「こんな風に黄
色い色をしていて、裂くと乳白色の汁が出るんですよ。ナスと相性が良くてちた
けの成分を良く吸い取るから、とても美味しいんです」
「こ地方はちたけが自生していて、味と香りがいいので、ちたけ汁として食べた
り、麺類の汁として食べられて来たんですよ」などと丁寧に説明してくれます。

連れてきた親戚には、「うちはお客さんを紹介してもらうと、食事サービスな
ど色々サービスがあります」と説明して、住所を聞いて店の得意先データに入れ
るからと話していました。

思いもよらぬ歓待に、親戚は「あんなに喜ばれるとまた紹介したくなるね」と話していました。

夕方近くですが、お客さんが多く入っていて、店主と親しく話しています。そ
んな地道な喜びの演出で常連客を増やしているんだろうなと感じました。

喜びを相手に分からせるように工夫して演出するって印象に残りますね。
皆さんはいかがですか。



2010/8/8  第246号

夏の時期は割りと時間が取れるので、結構直接芸術に触れる時間を多くしてい
ます。最近では、アメリカのゴスペル音楽のライブとTVで活躍しているタレント
の劇団の講演に行きました。

 どちらも観客と一体感を作る工夫が随所にあります。

ゴスペル音楽の方は、さすがアメリカという感じ。踊りながら出場し、ステー
ジを下り、観客を巻き込んだ歌の数々に、観客は総立ちで手拍子を打って共に踊
りながら歌っていました。講演後は、出口においてCD・DVD販売と握手会、歌の
すばらしさが余韻として残っていました。多くの観客が満足して帰ったことだと
思います。
 
劇団の方も、いろいろな工夫をしています。この劇団は、コント、歌、踊りな
ど数々の出し物が3時間続きます。各パートで役者さんたちが客席に入り、客い
じりをして観客を楽しませていました。たまたま用事があり終わる寸前会場を出
ました。後5~10分ぐらいで終了するところです。ホールを出て出口に行くと、
パンフ、CD・DVD販売の準備はすっかり整っています。20人ぐらいのスタッフ
が、思い思いに話をしたり、手持無沙汰に時間を潰している人など終了までのん
びり待っているようでした。
 
その前を歩いて出口まで進んだのですが、「何で最後まで見ないんだ」とでも
思っているかのように、じろじろ見たり、怖い顔でにらんでいるように感じまし
た。目が合っても「ありがとうございました」と挨拶した人は皆無です。会釈す
らしません。ホールでは役者さんが一生懸命サービス精神を振りまいているのに、
外のスタッフはサービスとはまるで関係ないといった感じです。すごく後味の悪
い感じがしました。
 
お客様に接する人はサービス意識を持っていますが、裏方さんはつい忘れがち
になることが多くありますが、組織の目的はひとつのはずです。裏方さんに意識
を持たすことは重要ですね。

皆さんはいかがですか。



2010/8/22  第247号

横浜に仕事で行く機会があるときは、年に何回かは中華街で食事をすることが
あります。せっかくだから、あれだけ多い店の中で、気に入った店を探したいな
といつも思っています。そこで横浜在住の人にどこがお勧めと尋ね、行ってみる
のですが私にとって一長一短があって、なかなか気に入った店がなかったのです。
ところがある時、気に入った店ができました。紹興酒の美味しいのが置いてある
と紹介されて行ったのですが、紹興酒も美味しく、料理も凝っていて、すっかり
気に入りました。特に接客者がすばらしかったのです。若い男性の接客者ですが、
酒の種類から料理の説明まで丁寧にわかりやすくしてくれました。笑顔が素敵で
終始感じのよい応対をしてくれました。

先日横浜に行く機会があり、しばらくぶりでその店に行きました。メモしてあ
った店名と場所は確かにそこなのですが、何か雰囲気が違うんです。料理は凝っ
ているんですが、若い男性の接客者がいませんし、接客がよくないのです。担当
してくれた接客者がまだ日本になれていない中国の女性でした。言葉もよくわか
らないので、料理を聞いても中途半端です。わからなくても聞いてこようとしま
せん。それに空いている皿を下げるスピードが速く落ち着かないのです。最後に
料理を食べ終わり紹興酒をゆっくり飲んでいましたら、残った皿すべてを片付け、
上に置かれた箸をテーブルに直に置いて、小皿を下げてゆきました。接客に慣れ
ていれば、こんなことは絶対やらないでしょう。

この店は、テーブル何席かの受け持ち制になっているようで、他の接客者は全
然よってきません。帰りに、レジの女性に聞いてみました。
「前に来てるんだけど、とても対応のよい若い男性の接客者がいませんでしたか」
「今、ほかの店に修行に行ってます」
やはりこの店でした。でも接客者の対応によって味も雰囲気も違ってしまいます。
また行こうかなという気にはなりませんでした。

慣れない接客者が担当しなければならないことはあります。未熟なのにすべて
任せてしまうと、お客がどのような印象を持って帰るかわかりません。でももし
他の慣れた接客者と交互に対応させれば、未熟さも薄まり、お客に与える印象は
違ってくると思います。接客者が一人前になるまではそうした配慮は必要ですね。

皆さんはいかがですか。



2010/9/5  第248号

先日、ある商業施設に車で出向き、帰りに駐車場から道路に出ようとしました。
その場所は左に曲がったところに信号があるため、混雑しやすい場所で、ガード
マンが立っていて、スムーズにお客様が道路に出られるように、また道路を通行
中の車が混乱しないように調整していました。

駐車場からの出口で、ガードマンが頭を下げお辞儀しながら、赤い指示灯で止
まるように指示されました。日に焼けて真っ黒でいかつい顔のガードマンでした。
道路に出られるまで少し止められるかなと思いながら、何気なくガードマンを見
ていると、左右を見てからこちらを向いてニコッとしました。そして指を2本立
てています。

何かなと思っていたら車が前をすごいスピードで過ぎて行きました。すると、
今度はまたニコッとして、指を1本立てて私に合図しています。そうなんです、
私が道路に出られるまで、あと何台通過したらいいか知らせていたのです。すぐ
に1台が通過しました。すると持っていた信号灯を振りながら、ニコニコしなが
ら道路に出るように誘導しました。

ガードマンに誘導されながら道路に出る時は、少し待たされると結構時間が長
く感じるものです。でもちょっとした合図の工夫で時間が短く感じました。同じ
仕事でも、ただ決められた事をやるだけでしたらこのような工夫はないでしょう。
やはり、同じ待たせるにしても、いかにしたらお客様を快適に待たせることが出
来るのかと考える気持ちがあったから、このような工夫が出来たのでしょうね。

皆さんはいかがですか。



2010/9/19  第249号

夏は結構時間が取れるので、普段会えない友人と会う機会があります。先日も
学生時代の友人4人と会いました。友人の一人が、築地市場外の寿司屋に行きた
いと言い、ガイド本を買って色々の店を調べ、その中から接客もいいと紹介され
ていた店を選び、そこへ案内してくれました。5時開店でちょうど4時50分ごろ
店に着きました。

地図を見ながら行ったのですが、ちょっと分かりにくくて、探していると、店
名が書いてある店を見つけました。入ってみると、若い男性の板さんがいて、カ
ウンターだけになっていました。話をすると、「ここはどんぶり中心でカウンタ
ーのみです。テーブルなら、本店にあります」。目的の店はそこではなく、30
mぐらい離れたところにありました。「ご案内しましょうか」と言ってくれたの
ですが「分かりますからいいですよ」と断りましたが、板さんが出てきて連れて
行ってくれたのです。

「すぐそこですから」と案内し、「ここです」といった後、店に入り、店の人
に知らせてくれました。そして「もうすぐ始まりますので、ごゆっくりお過ごし
ください」と帰って行きました。

すぐに店内から担当者が来て、「立って待っていただくのも大変ですから、ま
だ準備中ですが、中のテーブルでお待ちください」と店内に案内しました。テー
ブルで座っていると、「先にお飲み物でしたら出せます」と飲み物の注文を受け
てくれました。皆で生ビールを注文し、その後は新鮮な肴や寿司を堪能しました。

取り立てて、特別なサービスを受けたわけではないのですが、ちょっとしたお
客の不便に対して助ける気持ちの対応がとても印象に残りました。いい接客は親
しい友人に対する対応と言いますが、まさにそうですね。

皆さんはいかがですか。



2010/10/3  第250号

先日、仕事で茨城県に行くために、常磐線の特急電車に乗りました。電車が出て
しばらくすると、カートを引いて車内女性販売員が乗客に、飲み物、お菓子、弁当などを
売りに歩いていました。

 彼女は笑顔が素敵で、歩きながらそれぞれのお客さまの顔を見て販売しています。
笑顔が素敵なので、気にして彼女の動きを眼で追っていました。あんなに笑顔の
いい子は珍しいと思いました。

ただ、笑顔はいいのですが、声が聞こえてきません。声を飲み込んでしまうような
発声で聞こえないのです。電車の騒音に完全に消されてしまって、何を伝えたいのか
聞こえてきません。

 不思議ですね。どんなに笑顔が良くても、声が聞こえないと販売商品に気持ちが
行きません。逆に笑顔だけが目立っておかしな雰囲気を醸し出します。私も飲み物を
買おうかなと思っていたのですが、その気になりませんでした。

販売員はカートで車内を一周した後、カートを置いて、今度はアイスクリームを売りに
来ました。アイスクリームの入ったバックを背負いながら、手にアイスのカップを持ち
ながら売り歩いています。やはり声が聞こえません。そうすると商品より、販売員の
しぐさが気になり、手で持っていてアイスが溶けないかな~なんて関係ないことが気に
なってしまいました。

 販売は表情しぐさ、言葉とともに声も大事ですね。まず聞こえなければ、何も話さない
のと同じですから。でも声を出せば聞こえるものと思っている販売員が多く、周りの
音に消されてしまう声の販売員が結構多いですね。とても残念です。

 声はきちっとした練習法を続ければ誰でも、通るはっきりした声に変わります。
接客に従事する人は誰でも声を意識することが大事ですね。

皆さんはいかがですか。