ウィリアム・ハーシェルはどんな人物だったのでしょうか。 天王星の発見者、優れた望遠鏡製作者、極めて精密な観測家。それらはみな事実ですが、ここでは彼の姿を彼自身の生きた時代と場所において描くことを試みたいと思います。彼を偉人伝中の文字の羅列以上の存在として感じられるように、彼がどんな影響を受け、どんな影響を遺したのかという時代との関わりについて探ってみたいと思います。 そしてカロライン・ハーシェル、ジョン・ハーシェルについても、ウィリアムの妹あるいは息子であったというだけでなく、その時代が映しだす彼ら自身の肖像を描いてみたいのです。 彼ら3人のハーシェルたちは、18世紀から19世紀に高名な科学者として大英帝国に生きた、そのことで科学史上に十分ユニークな意義を持っています。七つの海を支配した帝国における天文学の役割、音楽家から天文学者への転身、科学者の組織化(学会の誕生)、女性科学者の立場など、彼らの生涯から様々なテーマが浮かび上がってきます。彼らのユニークさとは結局なんなのでしょうか。そしてわたしたちは彼らのどんなユニークさに魅かれるのでしょうか。 |