倫理の公民館
倫理学は広義の「哲学」の一部で、「実践哲学」とも位置づけられます。
ですから、主要な哲学者の倫理学説は、「哲学の畑」の方を見てもらうとして、
ここでは、狭い意味での倫理学の諸々のテーマを扱っています。
功利主義、義務倫理、徳の倫理
この辺り(近現代の倫理思想)に関する一般的な参考書としては、
加藤尚武『現代倫理学入門』(講談社学術文庫)
レイチェルズ『現実をみつめる道徳哲学』古牧徳生・次田憲和訳(晃洋書房)―"The
Elements of Moral Philosophy "第三版(1999)の翻訳
辺りが薦められる。もっと分かり易いものでは、
ライナー・エアリンガー『なぜウソをついちゃいけないの? ゴットフリートおじさんの倫理教室(モラル・レッスン)』高木教之・犬飼彩乃訳(KKベストセラーズ)
話が具体的かつ平易で、小中学生でも読めそうだが、倫理学説を勉強しながら読むと、より面白いと思う。
生命倫理(バイオエシックス)
生命倫理の全般的な参考文献として、
『資料集
生命倫理と法』(2003太陽出版)は基本的な文献を集めていて便利。簡約版も出版されている。
マンガだが、
佐藤秀峰『ブラックジャックによろしく』(13巻 講談社)も、ガンの告知、障害児の安楽死といった生命倫理の問題を具体的に扱っているので、誰にでも勧められる(しかも著作権がフリーになっており、AmazonやEBooksJapanなどで無料で読める)。2007年から始まった新シリーズ『新・ブラックジャックによろしく』
(小学館)では、臓器移植の問題がテーマになっている。
また、少しばかり専門的だが、
加藤・飯田編『バイオエシックスの基礎』(東海大学出版局)
ペンス『医療倫理』(みすず書房)
は、この分野(特に学説)に関心のある人には、必読ではなかろうか。
環境倫理
環境倫理の全般的な参考書としては、少し古くなってきたが、
加藤尚武編『環境と倫理』(有斐閣アルマ)
辺りが、標準的なテキストであろう(2005年に改訂版が出ている)。また、少し専門的ではあるが、
シュレーダー=フレッチェルト編『環境の倫理』(上/下)(晃洋書房)
には、この分野の代表的な論文が収められている。
現代の倫理
生命倫理と環境倫理も含めて、「応用倫理(Applied Ethics, Practical Ethics)」と総称されることが多いが、
全般的な参考書というものは挙げ難いので、各項目を参照してほしい。
基本的な知識を得るためには、『現代用語の基礎知識』のような用語集が便利だろう。
いくつかあるが、個人的には『イミダス』(集英社)が読んで一番面白いと思う。
―と書いていたら、書籍としての『イミダス』と『知恵蔵』はともに2007年で休刊になり、現在はウェブ上に移行しています。本の形では、『現代用語の基礎知識』しかありません。