ユークリッド空間Rnの部分ベクトル空間の基底の諸定義トピック一覧〜数学についてのwebノート

  定義:直交系正規直交系直交基底正規直交基底 

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          計量実ベクトル空間の基底/ユークリッド空間Rnの基底
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和・直和分解・補空間/部分空間の基底/部分空間の次元   
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定義:ユークリッド空間Rnの部分ベクトル空間の直交系 orthogonal system

設定

R :実数体R  
Rnn次元数ベクトル空間 
+n次元数ベクトル空間Rnにおいて定義されているベクトルの加法 
スカラーに続けてベクトルを並べて書いたもの:n次元数ベクトル空間Rnにおいて定義されているスカラー乗法 
v1, v2n次元数ベクトル
   具体的に書くと、v11, v12, , v1nRとして、v1=( v11, v12, , v1n )n  
           
v21, v22, , v2nRとして、v2=( v21, v22, , v2n )n  
v1v2n次元数ベクトルv1,v2自然な内積。これによって、n計量実ベクトル空間となる。 
v‖:計量実ベクトル空間Rnにおけるユークリッドノルム自然な内積を用いて定義される) 
d (v1,v2)ユークリッドノルムから定められたユークリッド距離  
Rn,d ):n次元ユークリッド空間  
Wn次元数ベクトル空間Rn部分ベクトル空間 
  すなわち、
Wは以下を満たす。 
   
1. WRn かつ Wφ     
   
2. n次元数ベクトル空間Rnにおいて定義されているベクトルの加法+」に関して、     
      
W属す限りで任意n次元数ベクトルu,v に対して、u+v Wに属す。 
   
3. n次元数ベクトル空間Rnにおいて定義されているスカラー乗法に関して、
     
W属す限りで任意n次元数ベクトルvに対して、その任意スカラー倍au、もWに属す。 
W, ):n部分ベクトル空間Wに、Rnにおける自然な内積を定義した計量実ベクトル空間  
W,‖‖ ):n部分ベクトル空間Wに、Rnにおけるユークリッドノルムを定義したノルム空間   
W,d ):n部分ベクトル空間Wに、ユークリッド距離dを定義した距離空間    

定義

n次元数ベクトルv1,v2,, vkが『n部分ベクトル空間W』において直交系orthogonal systemであるとは、  
   ・
v1,v2,, vkがいずれも零ベクトルではなく、
   ・
v1,v2,, vkからどのように異なるn次元数ベクトルのペアをとっても、
    そのペアが
直交する
ことをいう。   
すなわち、
n次元数ベクトルv1,v2,, vnが『n部分ベクトル空間W直交系orthogonal systemであるとは、 
  ・
v1,v2,, vn  
  
かつ 
  ・
任意i,j=1,2,,kについて、ij ならば vivj =vi1vj1+ vi2vj2+ + vinvjn =0 
となることをいう。  

[文献]
柳井竹内
射影行列・一般逆行列・特異値分解』§1.2(p.7);
佐武
線形代数学』V§3(pp.99-100);
佐和
回帰分析2.1.4(p.21);

計量実ベクトル空間の直交系/ユークリッド空間の直交系  

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定義:ユークリッド空間Rnの部分ベクトル空間の直交基底 orthogonal basis

設定

R :実数体R  
Rnn次元数ベクトル空間 
+n次元数ベクトル空間Rnにおいて定義されているベクトルの加法 
スカラーに続けてベクトルを並べて書いたもの:n次元数ベクトル空間Rnにおいて定義されているスカラー乗法 
v1, v2n次元数ベクトル
   具体的に書くと、v11, v12, , v1nRとして、v1=( v11, v12, , v1n )n  
           
v21, v22, , v2nRとして、v2=( v21, v22, , v2n )n  
v1v2n次元数ベクトルv1,v2自然な内積。これによって、n計量実ベクトル空間となる。 
v‖:計量実ベクトル空間Rnにおけるユークリッドノルム自然な内積を用いて定義される) 
d (v1,v2)ユークリッドノルムから定められたユークリッド距離  
Rn,d ):n次元ユークリッド空間  
Wn次元数ベクトル空間Rn部分ベクトル空間 
  すなわち、
Wは以下を満たす。 
   
1. WRn かつ Wφ     
   
2. n次元数ベクトル空間Rnにおいて定義されているベクトルの加法+」に関して、     
      
W属す限りで任意n次元数ベクトルu,v に対して、u+v Wに属す。 
   
3. n次元数ベクトル空間Rnにおいて定義されているスカラー乗法に関して、
     
W属す限りで任意n次元数ベクトルvに対して、その任意スカラー倍au、もWに属す。 
W, ):n部分ベクトル空間Wに、Rnにおける自然な内積を定義した計量実ベクトル空間  
W,‖‖ ):n部分ベクトル空間Wに、Rnにおけるユークリッドノルムを定義したノルム空間   
W,d ):n部分ベクトル空間Wに、ユークリッド距離dを定義した距離空間    

定義

n次元数ベクトルv1,v2,, vnが『n部分ベクトル空間W』の直交基底orthogonal basisであるとは、  
   ・
v1,v2,, vnがいずれも零ベクトルではなく、
   ・
v1,v2,, vnが、n次元ユークリッド空間Rn,d )において直交系であり、
   ・
v1,v2,, vnが『n部分ベクトル空間W』の基底でもある 
ことをいう。   
すなわち、
n次元数ベクトルv1,v2,, vnが『n部分ベクトル空間W直交基底orthogonal basisであるとは、 
  ・
v1,v2,, vn  
  
かつ 
  ・「
任意i,j=1,2,,nについて、ij ならば vivj =0 」
  
かつ 
  ・「
v1,v2,, vnが『n部分ベクトル空間W基底である」こと   
をいう。  

[文献]
柳井竹内
射影行列・一般逆行列・特異値分解』§1.2(p.7);
佐武
線形代数学』V§3(pp.99-100);
佐和
回帰分析2.1.4(p.21);

計量実ベクトル空間の直交基底/ユークリッド空間Rnの直交基底  

n次元ベクトル空間Rnの基底/n次元ベクトル空間Rnの部分空間の基底

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定義:ユークリッド空間Rnの部分ベクトル空間の正規直交系 orthonormal system

設定

R :実数体R  
Rnn次元数ベクトル空間 
+n次元数ベクトル空間Rnにおいて定義されているベクトルの加法 
スカラーに続けてベクトルを並べて書いたもの:n次元数ベクトル空間Rnにおいて定義されているスカラー乗法 
v1, v2n次元数ベクトル
   具体的に書くと、v11, v12, , v1nRとして、v1=( v11, v12, , v1n )n  
           
v21, v22, , v2nRとして、v2=( v21, v22, , v2n )n  
v1v2n次元数ベクトルv1,v2自然な内積。これによって、n計量実ベクトル空間となる。 
v‖:計量実ベクトル空間Rnにおけるユークリッドノルム自然な内積を用いて定義される) 
d (v1,v2)ユークリッドノルムから定められたユークリッド距離  
Rn,d ):n次元ユークリッド空間  
Wn次元数ベクトル空間Rn部分ベクトル空間 
  すなわち、
Wは以下を満たす。 
   
1. WRn かつ Wφ     
   
2. n次元数ベクトル空間Rnにおいて定義されているベクトルの加法+」に関して、     
      
W属す限りで任意n次元数ベクトルu,v に対して、u+v Wに属す。 
   
3. n次元数ベクトル空間Rnにおいて定義されているスカラー乗法に関して、
     
W属す限りで任意n次元数ベクトルvに対して、その任意スカラー倍au、もWに属す。 
W, ):n部分ベクトル空間Wに、Rnにおける自然な内積を定義した計量実ベクトル空間  
W,‖‖ ):n部分ベクトル空間Wに、Rnにおけるユークリッドノルムを定義したノルム空間   
W,d ):n部分ベクトル空間Wに、ユークリッド距離dを定義した距離空間    

定義

n次元数ベクトルv1,v2,, vkが『n部分ベクトル空間W』において正規直交系orthonormal systemであるとは、  
次の
同値な条件のいずれかが満たされることをいう。  
 
P1v1,v2,, vk直交系であり、
    
かつ
   
v1,v2,, vkのそれぞれのユークリッドノルム1であること 
 
P2任意i,j=1,2,,kについて、ij ならば vivj =0 
   
かつ 
   
v1v2=…=vk1 」が満たされること 
 
P3任意i,j=1,2,,kについて、ij ならば vivj =vi1vj1+ vi2vj2+ + vinvjn =0 
   
かつ 
   
v1v1v2v2=…=vkvk1
        つまり、i=1,2,,kについて、vi12+ vi22+ + vin2 =1  
   が満たされること
 
P4任意i,j=1,2,,kについて、vivj =δij  (δクロネッカーのデルタを表す) 
   

[文献]
柳井竹内
射影行列・一般逆行列・特異値分解』§1.2(p.7);
佐武
線形代数学』V§3(pp.99-100);
佐和
回帰分析2.1.4(p.21);

計量実ベクトル空間の正規直交系/ユークリッド空間の正規直交系  

[トピック一覧:ユークリッド空間Rnの部分空間の基底]
線形代数目次総目次

 

定義:ユークリッド空間Rnの部分ベクトル空間の正規直交基底 orthonormal basis

設定

R :実数体R  
Rnn次元数ベクトル空間 
+n次元数ベクトル空間Rnにおいて定義されているベクトルの加法 
スカラーに続けてベクトルを並べて書いたもの:n次元数ベクトル空間Rnにおいて定義されているスカラー乗法 
v1, v2n次元数ベクトル
   具体的に書くと、v11, v12, , v1nRとして、v1=( v11, v12, , v1n )n  
           
v21, v22, , v2nRとして、v2=( v21, v22, , v2n )n  
v1v2n次元数ベクトルv1,v2自然な内積。これによって、n計量実ベクトル空間となる。 
v‖:計量実ベクトル空間Rnにおけるユークリッドノルム自然な内積を用いて定義される) 
d (v1,v2)ユークリッドノルムから定められたユークリッド距離  
Rn,d ):n次元ユークリッド空間  
Wn次元数ベクトル空間Rn部分ベクトル空間 
  すなわち、
Wは以下を満たす。 
   
1. WRn かつ Wφ     
   
2. n次元数ベクトル空間Rnにおいて定義されているベクトルの加法+」に関して、     
      
W属す限りで任意n次元数ベクトルu,v に対して、u+v Wに属す。 
   
3. n次元数ベクトル空間Rnにおいて定義されているスカラー乗法に関して、
     
W属す限りで任意n次元数ベクトルvに対して、その任意スカラー倍au、もWに属す。 
W, ):n部分ベクトル空間Wに、Rnにおける自然な内積を定義した計量実ベクトル空間  
W,‖‖ ):n部分ベクトル空間Wに、Rnにおけるユークリッドノルムを定義したノルム空間   
W,d ):n部分ベクトル空間Wに、ユークリッド距離dを定義した距離空間    

定義

n次元数ベクトルv1,v2,, vn
n部分ベクトル空間W』の正規直交基底orthonormal basisであるとは、  
  ・
v1,v2,, vnがいずれも零ベクトルではなく、
  ・
v1,v2,, vn正規直交系であり、
  ・
v1,v2,, vnが『n部分ベクトル空間W』の基底でもある 
ことをいう。   
すなわち、
n次元数ベクトルv1,v2,, vnが『n部分ベクトル空間W正規直交基底orthonormal basisであるとは、 
 ・
v1,v2,, vn  
 
かつ 
 ・「
任意i,j=1,2,,nについて、vivj ==δij (δクロネッカーのデルタを表す)」
 
かつ 
 ・「
v1,v2,, vnが『n部分ベクトル空間W基底である」こと   
をいう。  

[文献]
柳井竹内
射影行列・一般逆行列・特異値分解』§1.2(p.7);
佐武
線形代数学』V§3(pp.99-100);
草場『線形代数』定義5.4(p.131)
佐和
回帰分析2.1.4(p.21);

計量実ベクトル空間の正規直交基底/ユークリッド空間Rnの正規直交基底  

n次元ベクトル空間Rnの基底/n次元ベクトル空間Rnの部分空間の基底

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(reference)
日本数学会編集『岩波数学辞典(第三版)』 岩波書店、1985年、項目341ヒルベルト空間C.正規直交系(pp.1006-7)
線形代数のテキスト
ホフマン・クンツェ『
線形代数学I』培風館、1976年。
永田雅宜『
理系のための線形代数の基礎』紀伊国屋書店、1986年、4.1内積(p.114);
佐武一郎『
線形代数学(44)』裳華房、1987年、Vベクトル空間§6ベクトル空間の公理化(p.117)
志賀浩二『数学
30講シリーズ:線形代数30』朝倉書店、1988年。
藤原毅夫『理工系の基礎数学
2線形代数』岩波書店、1996年。
斎藤正彦『
線形代数入門』東京大学出版会、1966年、4章§6計量線形空間(p.121)
砂田利一『現代数学への入門:
行列と行列式2003年、§7.1-(b)正規直交系 (c)正規直交基底 (pp.242-7).
草場公邦『線形代数(増補版)』(森毅、斉藤正彦責任編集『すうがくぶっくす』2巻)朝倉書店、1999年、5.2(p.131)
解析学のテキスト
杉浦光夫『
解析入門I』東京大学出版会、1987年、I章§4(pp.33-38)
数理経済学のテキスト
神谷和也・浦井憲『
経済学のための数学入門』東京大学出版会、1996年、§3.2.3(p.124)
布川昊
,谷野哲三,中山弘隆『線形代数と凸解析』コロナ社、1991年、4.1.1内積と直交(pp.65-70)

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