Rnの部分空間の次元の性質トピック一覧  〜  数学についてのwebノート

 ・定理:Rnの次元とRnの部分空間の次元,ベクトル空間の2つの部分空間の次元 
 ・定理:
和空間の次元直和と線形独立直和の次元  

n次元数ベクトル空間関連ページ:n次元数ベクトル空間の定義/線形結合/一次独立・一次従属/線形結合と線形独立・従属の関係/次元   
Rnの部分ベクトル空間:定義/具体例/部分空間における線型独立と線型従属/部分空間の集合算/〜に張られた部分ベクトル空間
               
和・直和分解・補空間/部分空間の基底/部分空間の次元
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定理:Rnの次元と、Rnの部分空間の次元

設定

R実数体(実数をすべて集めた集合)  
Rnn次元数ベクトル空間 
W Rn部分ベクトル空間。 

[文献]
佐武
線形代数学』V§2(p.94)
柳井竹内
射影行列・一般逆行列・特異値分解』定理1.2(p.7);永田
理系のための線形代数の基礎』定理1.5.1(p.32):証明付;
志賀
線形代数3021(p.132);
ホフマン・クンツェ
線形代数学I2.3基底と次元定理51(p.47);
砂田
行列と行列式』§5.3-d定理5.62(p.179).

本題

1. n部分ベクトル空間次元が、n次元より大きくなることはない。   
  つまり、
     
Wが「n部分ベクトル空間ならば、    
     
dimWdimn=n  
2. n部分ベクトル空間」で、次元が「n次元」に等しいものがあるなら、それは、n自身。
  つまり、
  
Wが「n部分ベクトル空間」、かつ、 dimW=dim n=nならば、   
     
W=n 

証明

・「n部分ベクトル空間W次元dim Wは、
    
Wにおける線形独立なベクトルの最大個数に等しい()。
n部分ベクトル空間Wにおける線形独立なベクトルの最大個数は、
    
nをこえない。() 
dimn=n ()    
以上三点から、
dimWdimn=n      
    

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定理:包含関係にある部分空間の次元

設定

R実数体(実数をすべて集めた集合)  
Rnn次元数ベクトル空間 
W1Rn部分ベクトル空間  
W2Rn部分ベクトル空間

[文献]
佐武『
線形代数学』V§2(p.96)
永田『理系のための線形代数の基礎』系1.5.2(p.32);
斎藤『線形代数入門』4章§4[4.6](p.109);
ホフマン・クンツェ『線形代数学I2.3基底と次元定理6(p.47)

本題1

n次元数ベクトル空間Rn任意の部分ベクトル空間W1,W2について、
     
W1W2 ならばdimW1dimW2   

本題2

n次元数ベクトル空間Rn任意の部分ベクトル空間W1,W2について、
     
W1W2 かつ dimW1=dimW2 ならばW1=W2  

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定理:和空間の次元

設定

R実数体(実数をすべて集めた集合)  
Rnn次元数ベクトル空間 
W1Rn部分ベクトル空間  
W2Rn部分ベクトル空間

[文献]
佐武『
線形代数学』V§2定理4(p.96):証明付;(p.98)
永田『理系のための線形代数の基礎』定理1.5.3(p.33):証明付;
斎藤『線形代数入門』4章§4[4.7](p.109)
久米『数理統計学1.5(p.5)

本題1

n次元数ベクトル空間Rn任意の部分ベクトル空間W1,W2について、
  
dim(W1W2)=dimW1dimW2dim(W1W2)   

本題2

n次元数ベクトル空間Rn任意の部分ベクトル空間W1,W2について、
  
dim(W1W2)dimW1dimW2  

本題3

n次元数ベクトル空間Rn任意の部分ベクトル空間W1,W2について、
  
dim(W1W2)=dimW1dimW2  W1W2零部分空間 

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定理:直和と線形独立性

設定

R実数体(実数をすべて集めた集合)  
Rnn次元数ベクトル空間 
W1,W2, , Wk::Rn部分ベクトル空間  

[文献]
砂田『
行列と行列式』§5.3-a定理5.35(p.171):証明付

本題

1.
 n次元数ベクトル空間Rnが、その部分ベクトル空間W1 ,W2 ,,Wk直和に分解される 
      
 
ならば、 
 
W1 属す任意n次元数ベクトルv1  
 
W2 属す任意n次元数ベクトルv2  
  :          :  
  :          :  
 
Wk 属す任意n次元数ベクトルvk  
 のなかで、
零ベクトルでないn次元数ベクトルは、線形独立となる。
2. 
 
n=W1W2Wn 
 
かつ  
 
W1 属す任意n次元数ベクトルv1  
 
W2 属す任意n次元数ベクトルv2  
  :          :  
  :          :  
 
Wk 属す任意n次元数ベクトルvk  
 のなかで、
零ベクトルでないn次元数ベクトル線形独立となる  
 
ならば、 
 
n次元数ベクトル空間Rnが、その部分ベクトル空間W1 ,W2 ,,Wk直和に分解される 
         

 

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定理:直和の次元

設定

R実数体(実数をすべて集めた集合)  
Rnn次元数ベクトル空間 
W1,W2, , Wk::Rn部分ベクトル空間  

[文献]
佐武『
線形代数学』V§2(p.98)
永田『理系のための線形代数の基礎』系1.5.4(p.34);
砂田『行列と行列式』§5.3-d例題5.67(p.181):証明付
久米『
数理統計学1.5(p.5)

本題

1. 
 
n次元数ベクトル空間Rnが、その部分ベクトル空間W1 ,W2直和に分解される 
     
 
 
ならば、 
 
dimn=dimW1dimW2 
2.  
 
n次元数ベクトル空間Rnと、その部分ベクトル空間W1,W2について、
  ・
n=W1W2  
  
かつ  
  ・
dimn=dimW1dimW2 
 が成り立つ
ならば、 
 
n次元数ベクトル空間Rnは、部分ベクトル空間W1 ,W2直和に分解される 
 
 
3.  
 
n次元数ベクトル空間Rnが、その部分ベクトル空間W1 , W2 , ,Wk直和に分解される 
      
 
ならば、 
 
dimn=dimW1dimW2+…+dimWk   
4.  
 
n次元数ベクトル空間Rnと、その部分ベクトル空間W1 ,W2 , ,Wk について、
  ・
n=W1W2Wk   
  
かつ  
  ・
dimn=dimW1dimW2+…+dimWk    
 が成り立つ
ならば、 
 
n次元数ベクトル空間Rnは、部分ベクトル空間W1 , W2 , ,Wk直和に分解される 
       

活用例

直交補空間の次元

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(reference)
日本数学会編集『
岩波数学辞典(第三版)』 岩波書店、1985年、項目210線形空間(pp.570-576)
線形代数のテキスト

ホフマン・クンツェ『
線形代数学I』培風館、1976年、2.3基底と次元定理5-6(pp.46-9)
砂田利一『現代数学への入門:
行列と行列式2003年、§5.3-d(p.179).
永田雅宜『理系のための線形代数の基礎』紀伊国屋書店、1986年、1.3ベクトル空間(pp.14-6)
佐武一郎『
線形代数学(44)』裳華房、1987年、Vベクトル空間§6ベクトル空間の公理化(p.115)
志賀浩二『数学
30講シリーズ:線形代数30』朝倉書店、1988年、13講ベクトル空間へ(pp.85-7);14講ベクトル空間の例と基本概念(pp.88-90)
藤原毅夫『理工系の基礎数学
2線形代数』岩波書店、1996年、4.1線形空間と写像(p.91)
斎藤正彦『
線形代数入門』東京大学出版会、1966年、第4章§4線形部分空間(p.107-112)
柳井晴夫・竹内啓『
UP応用数学選書10:射影行列・一般逆行列・特異値分解 東京大学出版会、1983年、§1.2定義1.2(p.6)
数理経済学のテキスト
神谷和也・浦井憲『
経済学のための数学入門』東京大学出版会、1996年、§3.1ベクトル空間とは何か(p.105)

数理統計学のテキスト
佐和隆光『
回帰分析 朝倉書店、1979年、2.1ベクトルとベクトル空間。
久米均『
数理統計学』コロナ社、1984年、1.線形代数1.5部分空間の和(p.5)

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