このホームページは最高裁のホームページの「知的財産権判決速報」のコーナーから注目すべきと思われる最新の判決を選び出し、筆者が判旨をまとめたものです。著作権法上、判決文には著作権が及ばないと考えられますが、判決も裁判官の知的労働の成果であることから、判決文の抜粋にあたっては、なるべく数段落を単位として抜粋することを心がけました。

No. 0001

著作権法20条1項、同一性保持権、原形をとどめないほどの改変

● H11. 9.21 東京高裁 H10(ネ)5108 恐竜のイラスト著作権

著作物に原形をとどめないほどの改変を加えて、表現手法を全く異ならせ、特定人の著作物だと感得する者は誰もいないほどになれば、同一性保持権の侵害にならないのか。

 著作権法二〇条にいう同一性保持権は、著作者が、その著作物及びその題号の同一性を保持する権利を有し、その意に反してこれらの変更、切除その他の改変を受けないというものであって、第三者が、本件表紙絵をみて被控訴人の作品であると認識できるかどうか、右表紙に被控訴人の氏名が表示されているかどうかは問題とならない。

No. 0002

意匠法3条2項、容易推考性、物品の機能による形状の制限、認定手法

● H11. 9.21 東京高裁 H10(行ケ)316 インクリボン付カートリッジ意匠

他の物品においてすでに知られた形状を一部に使用している意匠の容易推考性の認定手法

 上記形状は、置物台などを物品とした意匠においてすでに知られていることは否定できないから、インクリボン付カートリッジの意匠を創作する出発点とはなり得るものであるが、現実にこれをインクリボン付カートリッジに適用するに当たっては、置物台などと違って、意匠的要素とは別のその機能への配慮などのために、意匠に関する発想の自由が制限される面のあることは避けられず、その結果、事後的に考えれば、容易であったはずのものが、その時点では、現実には容易ではなかったということも、往々にして生じ得ることである。

No. 0003

特許法36条4項、明細書の開示要件、当業者が容易に実施できる程度

● H11. 9.21 東京高裁 H9(行ケ)145 ガラス板面取り加工方法及びその装置特許

本件発明を実施するにあたり、明細書の記載以上に更に工夫や選択が必要となるような場合、特許法36条4項の開示要件に違反するのか。

 発明の実施に当たって明細書の記載以上に更に工夫や選択が必要となる場合、明細書の記載に欠陥があり、特許法36条4項違反であるとの主張が当てはまるのは、実施のために必要とされる工夫や選択が出願当時の当業者の技術水準から見て困難と目される場合に限られる。本件において、当業者が、適宜工夫選択して具体的な彎曲の程度を決定することには何の困難性もないと認められるから、原告の主張は失当である。

No. 0004

著作権法2条1号、同2条2項、「書」の著作物性、応用美術

「書」である原告の趣及び華に著作物性が認められるか。「書」の享有すべき権利範囲は通常の著作物と同じ程度に認められるか。

原告の創作物である書は、いわゆる応用美術に類するデザイン書体であるが、応用美術と、専ら鑑賞を目的とする純粋美術とを截然と区別することは困難であり、また、作成者の主観の違いだけで同一の表現物に著作権の保護が与えられたり、与えられなかったりすることは合理的とはいえないから、広告に用いる目的の文字を素材とする造形表現物(応用美術)については、これを見る平均的一般人の審美感を満足させる程度の美的創作性を有すると認められるものについては、美術の著作物として、著作権の保護を与えるのが相当である。

No. 0005

商標法19条2項2号、商標更新登録無効、試作品、流通に置く意思

● H11. 9.22 東京高裁 H11(行ケ)52 カラータッチ商標

 テスト販売のためにわずか200本を生産されたに過ぎない商品に使用した商標について更新登録を認めることができるか。

登録された商標は、商標が付された商品についての出所表示機能を有するとともに、当該商品についての品質保障機能や宣伝広告機能をも有するものである以上、当該商品自体も、一般の流通市場において取引の対象となり得るような流通性を有するものでなければならないが、本件商品の生産量、商品ラベルの態様、宣伝活動などから見て、原告に流通に置く意思があったものとはおもれない。

No. 0006

実用新案法5条5項2号、登録請求の範囲の記載要件

● H11. 9.22 東京高裁 H10(行ケ)212 空気清浄装置実用新案

登録請求の範囲に、文言上、考案の課題を解決できないものが含まれる場合、実用新案法5条1項2号違反となるか。

 実用新案登録請求の範囲においては、実用新案登録を受けようとする考案に関する基本的事項を明確に記載すれば足りるのであって、当該考案の目的、作用効果の達成を困難とするようなすべての具体的構成を排除するように当該請求の範囲を記載しなければならないわけではない。

No. 0007

不正競争防止法5条1項、特許法等の類推、利益の額、経費控除

● H11. 9.16 大阪地裁 H10(ワ)5743 ビタミン製剤不正競争

 不正競争防止法5条1項にいう「利益の額」の意義

 特許法等の各規定における侵害者が受けた「利益の額」とは、侵害者が侵害行為によって得た売上額から、製造原価・販売原価のほか、侵害者が当該侵害行為たる製造・販売に必要であった諸経費を控除した額であると解するのが相当であるが、不正競争防止法においてもこれを類推し、同法五条一項にいう不正競争行為者が侵害行為により受けた「利益の額」についても、右と同様に解するのが相当である。

No. 0008

著作権法20条2項4号、同一性保持権、「やむを得ないと認められる改変」

● H11. 8.31 東京地裁 H9(ワ)27869 漫画カット著作権等

 漫画の引用に際して、漫画の原カット中の人物の人格的利益を守るために、描かれている人物の両目部分に目隠しをする改変が著作権法二〇条二項四号にいう「やむを得ないと認められる改変」に当たるか?

 原著作物に相当な改変を施すことを許容しなければ、当該著作物を引用する際に、引用者において右第三者の人格的利益を侵害するという危険がある場合、原著作物に対し相当な方法で改変をすることは、著作権法二〇条二項四号にいう「やむを得ないと認められる改変」に当たる。上記「相当な方法」としては、一般に広くおこなれている方法であり、上記危険回避のために相当の効果があり、改変が引用者によることが明示されていることが要件である。

No. 0009

特許法2条3項、特許権侵害、製造方法発明と単純方法発明、実施行為、差止請求権

● 平成一一年七月一六日 第二小法廷判決 平成一〇年(オ)第六〇四号 特許権侵害予防請求事件

 製造工程中で単純方法(測定方法)の特許発明を使用して得られた結果物たる医薬品の販売行為を当該特許権に基づいて差し止めできるか。

 単純方法(測定方法)の特許発明を使用して品質規格を検定した物は、特許法2条3項3号のいわゆる製造方法の結果物として製造販売の差止めを請求することはできない。本件発明が単純方法の発明であるから、侵害行為が本件方法の使用行為であって、侵害差止請求としては本件方法の使用の差止めを請求することができるにとどまり、上告人医薬品の廃棄及び上告人製剤についての薬価基準収載申請の取下げは、差止請求権の実現のために必要な範囲を超えることは明らかである。

No. 0010

特許法70条、民法1条の3、特許権侵害、無効事由の主張、権利濫用の抗弁

● H11. 9. 2 大阪地裁 H8(ワ)4216 ボルト締付機特許

特許権侵害訴訟において、当該特許が無効であると認定することにより請求棄却の判断を行えるか。

 特許登録に明らかな無効事由がある場合、権利者が、第三者に対し、当該権利を行使し実施の差止等の民事的救済を得ることは、権利の濫用として許されない。本件特許出願優先日前である本件広告が掲載された「鋼構造ジャーナル」の発売時(昭和五六年六月一一日)には、既に原告価格表が作成され、原告において需要者に原告価格表を配布する用意があり、本件広告を見た需要者から購入の申し出を受けた場合には、同シャーレンチを販売する用意があったから、当業者が本件発明の内容を容易に知り得るような状態に至ったものと認められる。

No. 0011

特許法65条の3、特許法102条2項、補償金請求権、不当利得請求権、時効

● H11. 9.29 東京地裁 H6(ワ)14062 シート材料のウエブを受取るように構成され配置された巻返し装置特許

 補償金請求権に相当する損失の不当利得返還を求められるか。

 補償金請求権は、出願公開制度を設けたことにより、特許出願人が受ける不利益と第三者公衆の受ける利益との衡量を図る趣旨で、右規定によって創設的に定められた権利である。したがって、補償金請求権に相当する損失が発生したことを理由とする原告の主張は失当であり、不当利得返還権も認められない。

No. 0012

特許法70条、プロダクト・バイ・プロセスクレーム、技術的範囲の解釈

● H11. 9.30 東京地裁 H9(ワ)8955 酸性糖タンパク質特許

新規な酸性糖タンパク質に関する物質発明について、いわゆる「プロダクト・バイ・プロセス・クレーム」で規定されているとき、技術的範囲は当該プロセスによって製造された物に限定されるか。

 特許請求の範囲が製造方法によって特定された物であっても、対象とされる物が特許を受けられるものである場合には、特許の対象は飽くまで製造方法によって特定された物であって、特許の対象を当該製造方法によって製造された物に限定して解釈する必然はなく、これと製造方法は異なるが物として同一であるものも含まれると解することができる。

No. 0013

商標法4条1項8号、同条「他人」の解釈、特許法6条、権利能力のない社団、商標登録無効審判

● H11. 9.30 東京高裁 H10(行ケ)380 日本美容医学研究会商標

権利能力を有しない者は、商標法4条1項8号の「他人」に当たらないのか。

商標法が無効の審判の手続をする能力を権利能力なき社団に与えたのは(商標条77条2項において準用される特許法6条)、無効審判によって守られる類型の利益の範囲においては、権利能力なき社団に対しても法人と同じ保護を与える旨を手続の面から表明したものであるから、権利能力なき社団は、商標法4条1項8号の「他人」に当たると解すべきである。

 

No. 0014

実用新案法、特許法70条、特許請求の範囲、限定解釈、無効事由、記載せざる要件

● H11.10. 6 東京地裁 H8(ワ)21841 ゴルフクラブのヘッド実用新案

 現特許請求の範囲のままでは無効理由が存するということを前提に、手続経過、公知技術を参酌して、記載せざる要件を加味して技術的範囲を解釈して非侵害を認定した事案

 右手続経過及び公知技術の状況に照らし、本件実用新案登録に無効事由が存在しないように構成要件Cを解釈すると、「その突出させた長さ分だけ、ネックボスのヘッド本体外部への突出長さを短くした」という点に技術的な意義があると解すべきであるから、ネックボスの下端がヘッド本体の中空部内に突出している正にその長さだけ、ネックボスのヘッド本体外部への突出長さが短くなっているという関係の存在することが必要であり、そうだとすると、「ネックボス全体の長さは、あらかじめ、所定の長さに定まっている」という特許請求の範囲に記載せざる要件が必要であるというべきである。

No. 0015

著作権法2条3項、同26条、同26条の2、同2条1項19号、20号、譲渡権、映画の著作物、頒布権、消尽、コンピュータゲームソフト

● H11.10. 7 大阪地裁 H10(ワ)6979 ゲームソフト著作権

平成一〇年()第六九七九号 著作権侵害行為差止請求事件(第一事件)

平成一〇年()第九七七四号 著作権侵害行為差止請求事件(第二事件)

 1 本件各ゲームソフトは、「映画の著作物」に該当するか。(結論肯定)

 2 本件各ゲームソフトは、「頒布権」を享受し得ないのではないか。(結論肯定)

 3 頒布権は、第一譲渡によって消尽しているのではないか。

我が国のように映画の著作物について消尽しない頒布権を認めているのが比較法的見地からは例外に属するとしても、立法政策の問題であり、解釈論の問題ではない。ゲームソフトについて、映画の著作物に該当するとの理由で、適法に複製された複製物が一般消費者に譲渡された後にも(この点は伝統的な映画の著作物ではあり得ない)、著作権者が消尽しない頒布権を行使して流通をコントロールする立場に立つことは、権利者に過大な保護を与えるように見えなくもないが、著作権法の規定上は消尽しない頒布権があると解さざるを得ない映画の著作物のうちから、ゲームソフトについて第一譲渡後の消尽を認めることは、解釈上十分な根拠がなく、採用することができない。

0016

★特許法70条、作用効果の認定、均等論、技術的範囲

H11.10.14 大阪地裁 H8(ワ)13483 混合材の塗布方法特許等

1. 特許請求の範囲の文言を明細書の記載、公知技術により導き出した作用効果により限定して非侵害を導いた事案

  1. 審査段階において「単なる均等物の置換」と認定した審判官の判断を採用せずに、1の作用効果が認められるから作用効果が異なゆえに均等物ではないと認定した事案

0017

★特許法126条、訂正の要件、請求の範囲の実質的変更、新たな技術課題の追加

H11.10.13 東京高裁 H10(行ケ)178 ジャンパー用チップ部品実用新案

 無効審判中における訂正が訂正前の明細書に記載されない考案の目的・効果を有する登録請求の範囲となっているから、実質上実用新案登録請求の範囲を変更する場合であるとして、訂正が違法であると認定した審決を取り消した事案

0018

★特許法70条、手段クレーム、明細書の記載要件

H11.10.20 東京高裁 H10(行ケ)71 印刷機のブランケットシリンダ洗浄装置特許

 ある目的とする機能や作用をなす「〜手段」として記載された構成要素は、極めて抽象的な表現であり、具体的にいかなる装置構成を有すればその手段たり得るか判然としないから、複数の具体的開示がない限り上位概念的に請求項を解釈できないのか。

0019

★商標法2条、商品、不動産、役務と商品との類否

H11.10.21 東京地裁 H11(ワ)438 ヴィラージュ商標

  1. 不動産は商標法上の「商品」足りうるか。

A「建物の売買」という役務と、被告が被告標章を使用した「建物」という商品が類似するか

0020

★著作権法21条、書の著作権、複製権

H11.10.27 東京地裁 H10(ワ)14675 書著作権

 原告の著作に係る書を撮影した写真を照明器具の宣伝広告用カタログに掲載した被告らの行為が、原告の有する複製権を侵害するか。

0021

★不正競争防止法2条1項1号、普通名称、営業との混同

H11.10.28 東京高裁 H9(ネ)2081 不正競争

タクシー運送などを業としている被控訴人らが営業用自動車に「京王」及び「京王交通グループ」と表示することは、控訴人(電鉄業)に対する不正競争行為となるか。

0022

★旧特許法41条、要旨変更概念、禁反言の原則

H11.10.26 東京高裁 H11(行ケ)7 ベルト金具係合用レール実用新案

 同時係属している侵害訴訟における被告の主張を審決取消訴訟における要旨変更の判断に取りこめるか。

0023

★著作権法12条、編集著作物、装丁の担当者

H11.10.28 東京高裁 H10(ネ)2983 「知恵蔵」レイアウト編集著作物

 「知恵蔵」(90−93年度版)の装丁などを担当した控訴人がほぼ同一と考えられる装丁で「知恵蔵」(94,95年度版)を発刊した被控訴人に対して損害賠償等を求めた事案。装丁の担当者が編集著作権を有するか。

0024

★商標法26条、自他商品識別力、地名の要部性

H11.10.29 東京高裁 H10(ネ)3707 筑後の国寒梅・筑後の寒梅商標

平成一〇年()第三七〇七号商標権侵害差止等請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成七年

 日本酒の名称においては地名の部分も自他商品識別機能を有するか。

0025            

★特許法44条、二以上の発明、分割要件

H11.10.28 東京高裁 H11(行ケ)62 電気掃除機特許

 実施例が一つの原出願からの分割出願が「二以上の発明」を具備するかどうかが争われた事案

0026

★実用新案法5条、機能的記載、登録請求の範囲

H11.10.28 東京高裁 H11(行ケ)36 マウス用マット実用新案

 クレームの構成要件についてそれ自体主観的、抽象的な表現であり、明細書においてもその外延について定性的な説明に終始している場合にクレームの記載要件を具備しないとされた事例。

0027

★商標法2条1項3号、商標法50条、商標の使用、包装

H11.10.28 東京高裁 H10(行ケ)214 商標

審判請求の予告登録日以前に商品である「時計」の包装箱に通常使用権者が登録商標を付した行為が商標の使用に該当するかどうかが争われた事案。

0028

★旧特許法六七条の三第一項四号、延長登録出願期間、終期

平成一一年一〇月二二日 第二小法廷判決 平成一〇年(行ヒ)第四三号 審決取消請求事件(第二小法廷判決、破棄自判、原審・ 東京高等裁判所)

 旧法六七条の三第一項四号にいう「特許発明の実施をすることができなかった期間」の終期は、「右政令で定める処分を受けた日の前日」と規定されているが、これは実際の処分日か、特許権者がこれを知った日か。

0029

★特許法70条、「包含する」クレームの解釈、実施後の成分変化

H11.11. 4 東京地裁 H9(ワ)938 芳香性液体漂白剤組成物特許-損害賠償等請求事件

1 構成要件(1)は、芳香性液体漂白剤組成物の香料成分が、特許請求の範囲に記載された香料のみから構成される場合に限定されるか。

2 被告が製造時に配合する香気性化合物A(請求項に規定されていない)がその後変化してX(請求項に規定されている)になった場合には、構成要件(1)の充足が妨げられるか。

3 上記Xの量が微少であることを理由に、本件被告製品が構成要件(1)を充足しないといえるか。

4 実施料相当額における料率の定め方

0030

★商標法4条1項16号、商標法46条、無効審判の請求人適格、公益性

H11.11. 4 東京高裁 H11(行ケ)105 商標・審決取消請求事件

 商標法4条1項16号は公益的規定ゆえに、「何人も」無効審判の請求人適格を有すると解するべきか。

0031

★特許法131条、審判請求書、請求の理由、補正命令、手続の違法

H11.11. 9 東京高裁 H10(行ケ)312 パチンコ遊技機実用新案・審決取消請求事件

 審判請求書の「請求の理由」中の[3]本願考案が登録されるべき理由の欄に「詳細な理由は、追って補充する。」とのみ記載されていた場合に審判請求の理由の補充を命ずることなく、約2年7箇月後にされた拒絶審決に手続の違法があるか。

0032

★著作権法2条1項、学校名の著作物性、不正競争防止法2条1項2号、著名性の判断

H11.11.18 大阪地裁 H10(ワ)1743-B ゲームソフト著作権等・損害賠償等請求事件

  1. 原告の創作したとされる架空の高校名は著作物か。
  2. ゲームソフトの表示「甲子園」は原告の表示として著名か。

0033

★著作権21条、権利濫用、著作権侵害者の実施料請求

H11.11.17 東京地裁 H10(ワ)13236 キューピー著作権等・著作権侵害差止等請求事件

 長年の間、著作権を侵害している事実を隠して著作権者であると称して被告から実施料を受け取ってきた原告の被告に対する使用差止請求の可否

0034

★不正競争防止法11条1項1号、商標法26条、普通名称、原産地、原材料

H11.10.14 大阪高裁 H11(ネ)473 健康茶不正競争等・差止等請求控訴事件

 不正競争防止法11条1項にいう普通名称とは何か。

0035

★特許法79条、先使用権、事業の準備、事業準備発明とイ号物件との同一性

平成一〇年()第五二〇号実用新案権侵害行為差止等請求事件

  1. 1 先使用権における「事業」または「事業の準備」の解釈
  2. 先使用にかかる発明とイ号の同一性

0036

★ 不正競争防止法2条1項1号、4号、商品形態、商品等表示性、営業秘密、秘密として管理されていることの要件

H11.11.17 名古屋地裁 H10(ワ)3311 昇降装置不正競争・差止等請求事件

  1. コンベヤーラインの昇降装置の商品形態が商品等表示に該当するか。
  2. 1を肯定したときに、混同誤認を生じ得るか。
  3. 営業秘密の「秘密として管理されていること」という要件の解釈

0037

★特許法121条、数値限定発明、臨界的意義、実験報告書の信用性

H11.11.17 東京高裁 H9(行ケ)280 溶融熱可塑性組成物及び該組成物の基質への適用方法特許・審決取消請求事件

 実験報告書に信用性がなく、数値限定発明の臨界的意義を認めるに足りないとして、拒絶審決を維持した事案

0038

★ 商標法46条、商標法4条1項7号、商標の意味の誤信

H11.11.30 東京高裁 H10(行ケ)289 特許管理士商標 審決取消請求事件

「特許管理士」なる商標が商標法4条1項7号により無効とされたことは適法か

0039

★ 商標法4条1項7号、公序良俗、便乗登録

H11.11.29 東京高裁 H10(行ケ)18 母衣旗商標 審決取消請求事件

 町おこしに当該標章が使用されることを知りつつ取得した商標権設定登録の公序良俗性

0040

★ 特許法29条2項、進歩性、クレームの文言の解釈

H11.11.30 東京高裁 H8(行ケ)55 封止用組成物及び該組成物による封止方法特許

審決取消請求事件

「透明性」の用語が記載されており、「視覚的透明性」なる用語は記載されていない明細書において、「透明性」が「視覚的透明性」であることを認めた上で、顕著な効果を認定して審決を取り消した判決

0041

★ 不正競争行為、継続的契約、解除原因、背信性、販売代理店契約

H11.12. 9 大阪地裁 H9(ワ)7373 カリタ化粧品不正競争等 損害賠償等請求事件

 販売代理店が独自開発の類似商品を自己の顧客に売り込む行為について、販売代理店契約にこれを禁止する明文がなかった場合、当該契約の継続を著しく困難ならしめる事情に当たるか

0042

★ 実用新案法26条、技術的範囲の解釈、技術常識

H11.12. 2 東京高裁 H10(行ケ)383 防獣ネット実用新案取消決定取消請求事件

 先願考案に開示された金属細線(径の開示なし)が本件考案の要件である直径0.3o以上のものを含むかどうかが争われた事案において、「金属細線」の一般的技術事項からその径を認定して、審決の判断に誤りがあると判断した事案

0043

★実用新案権、明らかな誤記の訂正、既判力、前訴で示された判断

H11.12.16 東京高裁 H11(ネ)3800 汗吸収パッド実用新案損害賠償請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成八年()第五七八四号)

 確定した審決取消訴訟の理由中の判断おいて示された事実関係について特許権侵害訴訟で争うことは既判力に抵触するか。

0044

★不正競争防止法2条1項1号、同法旧6条、権利行使の抗弁、先使用の抗弁

H11.12.16 大阪高裁 H8(ネ)3445 営業表示不正競争 平成一〇年()第二八四二号 営業表示差止等請求控訴、同附帯控訴事件(原審・神戸地方裁判所平成四年()第二一五六号)

@「RITZ」の標章を付して営業する別主体がいる場合「他人」の営業表示に該当しないか。

A 権利行使の抗弁(旧法6条)が現行法において許されるか。

    B原告が日本国でホテル業を行っていないことをもって、営業上の利益の侵害を否定できるか。

0045

★特許法70条2項、特許請求の範囲の用語の解釈、詳細な説明の参酌

H11.12.14 東京地裁 H8(ワ)19970 カテーテル用ガイドワイヤ特許権侵害差止等請求事件

 「超弾性」という用語の意義について、明細書を参酌して解釈した事案

0046

★不正競争防止法2条1項1号、営業表示の周知性、周知性の消滅

H11.12.15 東京地裁 H10(ワ)18224 営業表示不正競争行為差止等請求事件

 営業表示の周知性が営業の中止によって消滅していると判断した事案

0047

★著作権法27条、翻案権、写真の著作物

H11.12.15 東京地裁 H11(ワ)8996 写真著作権侵害差止等請求事件

 写真の著作物において翻案というための要件

0048

★商標法4条1項15号、出所の具体的混同、海外の営業主体

H11.12.14 東京高裁 H11(行ケ)108 Island Snow商標 審決取消請求事件

(事案)

 米国ハワイでのみ営業している営業主体の屋号と類似の商標について出所混同のおそれがあるとして商標登録を4条1項15号により無効にした審決を維持した事案

0049

★商標法46条、商標法4条1項11号、普通名称同士の組み合わせ、類比判断基準

H11.12.16 東京高裁 H11(行ケ)134 さくらサブレー商標審決取消請求事件

(事案)

「さくらサブレー」(本件商標)と「サクラ」との類比判断

0050

★ 商標法4条1項7号、商標法53条の2、輸入代理店、許諾なき商標登録出願

H11.12.22 東京高裁 H10(行ケ)185 ドゥーセラム商標審決取消請求事件

(事案)

輸入代理店が勝手に商標登録出願して受けた登録商標について、別件審決において商標法53条の2について棄却審決を得ていたとしても、商標法4条1項7号に反し無効であるとされた事案

0051

★商標法50条、不使用取消審判、指定商品の類比

H11.12.15 東京高裁 H11(行ケ)147 ばんどう太郎商標審決取消請求事件

(事案)

指定商品「すし」と「鰻のかばやき」は非類似商品か。

0052

★特許法100条、特許法70条、特許請求の範囲の用語の解釈、実施例の参酌

H11.12.21 東京地裁 H10(ワ)11634 血液凝固の制御能を持つムコ多糖組成物特許侵害差止等請求事件

(事案)

明細書に定義のない「可溶」という特許請求の範囲の用語の意義が争われた事案

0053

★不正競争防止法2条1項12号、不正競争防止法2条1項13号、宣伝広告、虚偽事実の流布

H11.12.21 大阪地裁 H10(ワ)14101 呼び線不正競争損害賠償等請求事件

(事案)

  1. 被告の宣伝広告の表示が競合製品である原告製品の低品質を示唆しているものと認定した上で、このような表示が虚偽であるとして被告に不正競争行為を認めた事案
  2. 宣伝広告の表示、回数、広告媒体などの事実を勘案の上、強度の信用毀損はなかったとして50万円の損害賠償を認めた事案

0054

★特許法101条、プレアンブル部分、「のみ」の要件、修理行為、間接侵害

H11.12.22 名古屋地裁H7(ワ)4290 片面段ボールの製造装置における中芯保持装置特許権侵害行為差止等請求事件

(争点)

1 請求項のプレアンブル部分に規定された部品の製造は間接侵害の対象となるか。

2 実施品が別の特許にも使用することのできる場合に「のみ」の要件を満足するか。

3 修理または改造行為は特許法2条3項にいう「生産」に該当しうるか。

4 修理が前提とされている部品の場合、修理する行為は予定されているとして特許権侵害にならないか。

5  特許法一〇二条二項所定の「侵害により利益を受けているとき」における「利益」とは何か。

0055

★ 実用新案法12条、実用新案法29条の3、技術評価書、法的性質、処分性

H11.12.24 東京地裁 H11(行ウ)216 照明装置付歯鏡実用新案技術評価取消請求事件

(争点)

実用新案技術評価書の評価は取消訴訟の対象足りうるか。

0056

★特許法153条2項、「当事者又は参加人が申し立てない理由」の意義、周知技術

H11.12.28 東京高裁 H10(行ケ)218 カム式自動工具交換装置実用新案審決取消請求事件

(争点)

  1. 特許法153条2項にいう「当事者又は参加人が申し立てない理由」には、適用条文に該当するとするための論理(周知である点)も含まれるか。
  2. 種々の技術雑誌に異なる著者によって紹介された事実、出願公開の前後に本件考案の構成を含む発明、考案がいくつか出願された事実は効果の顕著性の間接事実となるか。

0057

★不正競争防止法2条1項1号、称呼類似、類比判断の際の主観的側面

H11.12.28 東京地裁 H10(ワ)28675 アーゼオン営業表示不正競争使用差止等請求事件

(争点)

「日本ゼオン」と「アーゼオン」は類似するか。

0058

★不正競争防止法2条1項1号、退職後の表示不使用の誓約書、民法90条、

H11.12.27 東京地裁 H6(ワ)11157 高島易断総本部営業表示不正競争差止等請求事件

(争点)

「高島易断」との表示が識別力を喪失したと判断したうえで、退職者に対しこれを使用しない旨の制約は公序良俗に反し無効であるとした事案

0059

★特許法70条、特許請求の範囲の文言の解釈、無効事由の発生回避

H11.12.21 東京地裁 H10(ワ)8345等 養殖貝類の耳吊り装置特許権差止請求権不存在確認等請求事件、平成一〇年(ワ)第一七九九八号 特許権侵害差止等反訴請求事件

(事案) 特許請求の範囲の用語の解釈についてA、Bの二つが考えられる場合、Aのように解釈すれば本件特許に無効事由が生じるという理由でBを解釈として採用した事案

0060

  • 商標法4条1項11号、称呼類似

H11.12. 7 東京高裁 H11(行ケ)161 LABRA商標 無効審判審決取消請求事件

(争点)

 商標の類比判断にあたっては、引用商標の称呼として、通常の読み方と取引に用いられてきた称呼のいずれが重視されるべきか。

0061

H12. 1.18 大阪地裁 H10(ワ)4202 支索の保護具実用新案製造販売差止等請求事件

(争点)

 均等の要件である「本質的部分」についての判断手法

0062

★米国特許権、差止請求権、損害賠償請求権、法例11条

平成一一年()第三〇五九号 損害賠償等請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成九年()第二三一〇九号)

(争点)

米国特許権について寄与侵害行為を日本国内で行った者に対し、米国特許権によって日本国内で差止請求権、損害賠償請求権を行使できるか。

0063

★意匠法46条、意匠法3条2項、創作非容易性の判断基準、周知形状の組み合わせ

H12. 1.18 東京高裁 H10(行ケ)304 根付け意匠審決取消請求事件

(事案)

当該意匠が周知な二つの形状を組み合わせたものであり、この組み合わせを妨げるべき事情はないとして無効棄却審決を取り消した事案

0064

★特許法70条、均等論、請求項の文言解釈、明細書の記載の参酌、先行出願の記載の参酌

H12. 1.28 東京地裁 H10(ワ)16017 光脱毛装置特許権使用差止等請求事件

(争点)

「付属照射プローブ」という言葉の意義が争われた事案

0065

★著作権28条、翻案権、書籍の著作物、依拠性

H12. 1.28 東京地裁 H7(ワ)23527 書籍著作権謝罪広告等請求事件

(争点)

被告の出版した書籍が原告の出版した書籍に依拠したものであるとして、原告の書籍の著作権の翻案権侵害が争われた事案

0066

H12. 2.29 東京地裁 H10(ワ)5887 サッカー選手パブリシティ等損害賠償請求事件

(争点)

  1. 本件書籍が原告のパブリシティ権を侵害するものか。
  2. 本件書籍が原告のプライバシーの権利を侵害するものか。

0067

★商標法25条、完成品、部品、侵害の罪、最高裁判決

判例 平成一二年二月二四日 第一小法廷決定 平成八年(あ)第三四二号 商標法違反被告事件

要旨:

 完成品に組み込まれた部品の商標について商標権侵害罪の成立が認められた事例

0068

★特許法2条1項、最高裁判決、自然法則の利用、反復実施の可能性

判例 平成一二年二月二九日 第三小法廷判決 平成一〇年(行ツ)第一九号 審決取消請求事件

0069

★特許法70条、プレアンブル、「おいて」書き、均等論、意見書の参酌、本質的部分

H12. 2.18 大阪高裁 H10(ネ)3763 シュレッダー用切断刃実用新案等

平成一〇年()第三七六三号 実用新案権等侵害行為差止等請求控訴事件(原審・神戸地方裁判所平成九年()第一二九一号)

(争点)

プレアンブル部分に示されている「嵌着」という言葉が考案の本質的部分として均等論の適否が争われた事案

0070

H12. 2.22 大阪地裁 H10(ワ)12235 シュレッダー用切断刃特許権侵害行為差止請求事件

(争点)

均等要件としての置換容易性の判断基準

0071

★特許法29条2項、数値限定発明、進歩性、臨界的意義、

H12. 2.15 東京高裁 H10(行ケ)402 ジルコニアセラミック製包丁特許

平成10年(行ケ)第402号 審決取消請求事件

(争点)

数値限定発明における公知文献中の記載の認定判断

0072

★著作権法2条1項、建築設計図、著作物性、複製、同一性、判断基準

H12. 3. 8 名古屋地裁 H4(ワ)2130 設計図著作権損害賠償請求事件

口頭弁論終結日 平成一一年一二月二二日

(争点)

  1.  建築設計図は著作物か。
  2.  複製における同一性の判断基準

0073

★不正競争防止法2条1項1号、不正競争防止法2条1項3号、商品表示性、商品形態、改良品、最初の販売の日、起算点、他人の商品、

H12. 2.17 東京高裁 H11(ネ)3424 商品表示不正競争行為差止請求控訴事件

(争点)

  1.  形態の商品表示性を論じることなく、形態の周知性のみをもって不正競争防止法2条1項1号該当性を主張できるか。
  2.  改良品について同法2条1項3号の「最初の販売の日」はいつから起算されるべきか。

0074

★特許法120条の4、単なる誤記の訂正、特許請求の範囲の訂正

H12. 3.14 東京高裁 H11(行ケ)213 ロータリー耕耘装置特許取消決定取消請求事件

(事案)

特許請求の範囲に記載された「該耕耘カバーを弾圧するハンガーロッド」という文言を「該後部カバーを弾圧するハンガーロッド」に訂正した手続が単なる誤記の訂正であるとして適法とされた事案

0075

★実用新案法3条2項、進歩性、審決の判断方法、概括的な対比、

H12. 3. 8 東京高裁 H10(行ケ)278 建方補助具実用新案審決取消請求事件

(事案)

きわめて概括的に引用例と本件考案との対比を行った上で、進歩性を否定した審決の判断方法に違法があると結論づけた例

0076

★意匠法3条2項、類比判断、機能上当然に有している形状、

H12. 3.15 東京高裁 H11(行ケ)173 卵包装容器意匠審決取消請求事件

(事案)

 物品が機能上当然に有している形態は類比判断上どのように参酌されるべきか。

(0077)

★意匠法3条2項、類比判断、機能上当然に有している形状

H12. 3.15 東京高裁 H11(行ケ)173 卵包装容器意匠審決取消請求事件

 物品が機能上当然に有している形態は類比判断上どのように参酌されるべきか。

(0078)

★実用新案法3条2項、進歩性、審決の判断方法、概括的な対比

H12. 3. 8 東京高裁 H10(行ケ)278 建方補助具実用新案審決取消請求事件

きわめて概括的に引用例と本件考案との対比を行った上で、進歩性を否定した審決の判断方法に違法があると結論づけた例

(0079)

★著作権法2条1項、建築設計図、著作物性、複製、同一性、判断基準

H12. 3. 8 名古屋地裁 H4(ワ)2130 設計図著作権損害賠償請求事件

  1.  建築設計図は著作物か。
  2.  複製における同一性の判断基準

(0080)

★特許法120条の4、単なる誤記の訂正、特許請求の範囲の訂正

H12. 3.14 東京高裁 H11(行ケ)213 ロータリー耕耘装置特許取消決定取消請求事件

 特許請求の範囲に記載された「該耕耘カバーを弾圧するハンガーロッド」という文言を「該後部カバーを弾圧するハンガーロッド」に訂正した手続が単なる誤記の訂正であるとして適法とされた事案

(0081)

★不正競争防止法2条1項1号、不正競争防止法2条1項3号、商品表示性、商品形態、改良品、最初の販売の日、起算点、他人の商品

H12. 2.17 東京高裁 H11(ネ)3424 「FASU」表示不正競争行為差止請求控訴事件

  1.  形態の商品表示性を論じることなく、形態の周知性のみをもって不正競争防止法2条1項1号該当性を主張できるか。
  2.  改良品について同法2条1項3号の「最初の販売の日」はいつから起算されるべきか。

(0082)

★著作権法12条の2,編集著作権、データベースの著作権、創作性

H12. 3.17 東京地裁 H8(ワ)9325 タウンページデータベース著作権

 被告の作成する「業種別データ」が原告の「タウンページデータベース」及び「タウンページ」の編集著作権を侵害するとされた事案

(0083)

★商標法25条、民法1条の3、権利濫用

H12. 3.23 東京地裁 H8(ワ)5748 ユベントス商標

 ユベントス商標の権利行使が権利の濫用であるとされた事案

(0084)

★特許法70条、技術的範囲、出願経過参酌、作用効果、限定解釈

H12. 3.21 東京地裁 H9(ワ)1512 液体充填容器実用新案

 出願経過を参酌して、「開口」という文言の解釈を縮小した事案

(0085)

★特許法70条、技術的範囲、均等論、作用効果の同一、発明の本質的部分

H12. 3.23 東京地裁 H10(ワ)11453 生海苔の異物分離除去装置特許

 均等論による侵害を認めた判決

(0086)

★特許法70条、技術的範囲、文言の解釈

H12. 3.24 東京地裁 H10(ワ)30302 散布及び電照設備に於ける走行体の移動装置特許権侵害差止等請求事件

 特許請求の範囲の「下方」という言葉について実施例の記載、発明の効果などを参酌して限定的に解釈した事案

(0087)

★ 特許法101条、他の用途、効用の科学的立証

H12. 3.23 東京地裁 H11(ワ)5323 電解生成殺菌水特許権侵害差止等請求事件

 間接侵害の成立を妨げる「他の用途」に当たるためにはその効用が科学的に立証されている必要があるのか。

(0088)

★特許法70条、訴訟活動、随時提出主義、適時提出主義、信義則

H12. 3.27 東京地裁 H2(ワ)5678 新規芳香族カルボン酸アミド誘導体の製造方法特許権損害賠償請求事件

 被告らの訴訟活動が公正さを欠き、信義則に反すると裁判所が非難した事案

(0089)

★特許法79条、先使用権、事業の準備、プラントの基本計画

H12. 4.27 東京地裁 H10(ワ)10545 芳香族カーボネート類の連続的製造法特許等侵害差止等請求事件

 化学工業製品に関する発明における「事業の準備」(先使用権)の程度

(0090)

★商標法2条1項、商標法上の商品、商標法50条

H12. 4.27 東京高裁 H11(行ケ)183 ビッグサクセス商標審決取消請求事件

@ 単独では販売していない付属品の商品性

A 著作物の題号としての使用は商標としての使用か

 

(0091)

★著作権法44条、著作権法102条、レコード制作者の権利、「放送」の定義、著作権法30条、私的録音、ベルヌ条約9条(2)、RAMへの一時的記憶、反復可能性、立法論

 H12. 5.16 東京地裁 H10(ワ)17018 レコード製作者複製権侵害差止等請求事件

@ 著作権法44条1項の「放送」事業者とは何か。

A 被告の運用態様が同条の「一時的固定」に該当するか。

  1. 著作権法30条1項を越えて、直接ベルヌ条約9条(2)の適用の主張ができるか。
  2. 音楽データを再生するにあたりRAMへ一時的に記憶されることは複製権の侵害か。

(0092)

★著作権侵害、免責条項、少女漫画

H12. 5.25 東京地裁 H11(ワ)8471 少女漫画著作権損害賠償請求事件

契約中に著作権侵害についての免責条項が存在しても具体的事情を加味すれば責任を免れることはできないと判断した事案

(0093)

★特許法70条、明細書の記載、出願経過参酌、語句の解釈

H12. 5.25 東京地裁 H9(ワ)5415 金属ガスケット特許

「冷却水を流通させる冷却水流通空隙」の解釈について明細書の記載と出願経過を参酌して限定解釈した事案

(0094)

★特許法70条、均等論、特許発明の本質的部分、本質的部分の不備

H12. 5.25 大阪地裁 H10(ワ)4551 採光窓付き鋼製ドアの製造方法特許差止請求権不存在確認等請求事件

(争点)均等要件@の本質的部分の解釈が問題となった事案

(0095)

★不正競争防止法2条1項11号、営業誹謗、虚偽の事実、一般論、評価

H12. 5.30 東京地裁 H11(ワ)13592 営業誹謗行為不正競争差止請求事件

競業者の製品に対してこれを誹謗中傷する告知はどこから違法となるか。

(0096)

★ 著作物性、デザイン図、デザイン図の一部、応用美術

H12. 6. 6 大阪地裁 H11(ワ)2377 デザイン図著作権損害賠償請求事件

 被告が原告に委託して作成されたデザイン図に記載された街路灯のデザインを被告が別の業者をして設置させた行為が何らかの不法行為にあたるか。

 

(0097)

★36条、無効棄却審決、審決取消、特許請求の範囲、発明の詳細な説明、発明の構成に欠くことができない事項

H12. 7. 4 東京高裁 H9(行ケ)320 磁気信号記録用の金属粉末特許審決取消請求事件

特許請求の範囲に記載された「金属コア」「孔」という文言の解釈が確定できないために無効棄却審決を取消した事案、製造方法の特定

(0098)

★旧特許法42条、旧特許法64条、公告後の補正、無効審判の対象、特許原簿、職権探知主義の限界

H12. 6.13 東京高裁 H11(行ケ)181 IC検査用ソケット特許審決取消請求事件

公告後の補正に係る発明について無効審判を提起した原告が、審決が旧特許法42条を適用して当該補正をなかったものとみなして公告時の発明について審理をしたことが違法であるとして審決の取消を請求した事案

(0099)

★特許法29条の2、同一、実質的な同一、周知技術、技術的意義

H12. 6.22 東京高裁 H10(行ケ)274 パチンコ機特許審決取消請求事件

先願発明と本願発明との相違点が「ドットマトリクス方式LED」と「セグメントLED」との相違しかない場合に特許法29条の2の「同一」を肯定した事案

(0100)

★旧特許法196条、刑事罰、刑事告訴の適法性、事前警告を省略した事案、民法709条、弁理士の鑑定意見、特許権侵害の罪

H12. 6.29 大阪地裁 H10(ワ)6066 携帯用定容積比率混合容器特許侵害不存在確認等請求事件

弁理士の鑑定意見書を鵜呑みにして警告状の送付を経ることなく特許権侵害の罪に該当するとして刑事告訴を行った被告の行為が民法上の不法行為に該当するか

(0101)

★特許法102条、民法709条、民法722条、不法行為による損害賠償請求権、消滅時効、時効の中断

H12. 6.23 東京地裁 H8(ワ)17460 空気の除去および遮断機構付血液採取器特許権侵害差止等請求事件

 訴状に損害賠償債権の発生について一部しか特定しなかったために、時効が中断しないと判断された事案