直交補空間の基底・次元トピック一覧  〜  数学についてのwebノート

 ・ユークリッド空間の部分空間の直交補空間の次元
 ・ユークリッド空間・その部分空間・その直交補空間の正規直交基底

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定理:ユークリッド空間Rnの部分空間の直交補空間の次元

舞台
 設定

R 実数体R  
Rnn次元数ベクトル空間 
v1, v2n次元数ベクトル
   具体的に書くと、v11, v12, , v1nRとして、v1=( v11, v12, , v1n )n  
           
v21, v22, , v2nRとして、v2=( v21, v22, , v2n )n  
v1v2n次元数ベクトルv1,v2自然な内積
     これによって、
n計量実ベクトル空間となる。 
v‖:計量実ベクトル空間Rnにおけるユークリッドノルム
           (
自然な内積を用いて定義される) 
d (v1,v2)ユークリッドノルムから定められたユークリッド距離  
Rn,d):n次元ユークリッド空間  
W :n次元数ベクトル空間Rn部分ベクトル空間 
W :W直交補空間。したがって、Rn部分ベクトル空間でもある()。

[文献]

佐武
線形代数学』V§3定理6(9) (pp.101-2):証明付;

佐和
回帰分析2.1.4-2.27(p.23);

柳井竹内
射影行列・一般逆行列・特異値分解』§1.2定理1.3(p.9);

本題

n次元数ベクトル空間Rn部分ベクトル空間W直交補空間次元は、
  
nから「W次元」を差し引いた値に等しい。 
すなわち、 
 
dim (W ) ndimW   

証明

Wは、n次元数ベクトル空間Rn部分ベクトル空間で、 
Wは「W直交補空間」であるから、
Rnは、WW直和分解されて、
  
と表せる。 (

これに対して、
直和の次元に関する定理を適用して、 
   
dimn dimWdim (W )   
となる。
dimn nであるから()、 
   
n dimWdim (W )

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定理:ユークリッド空間Rn、その部分空間、その直交補空間の正規直交基底


舞台
 設定


R 実数体R  
Rnn次元数ベクトル空間 
v1 , v2n次元数ベクトル
   具体的に書くと、v11, v12, , v1nRとして、v1=( v11, v12, , v1n )n  
           
v21, v22, , v2nRとして、v2=( v21, v22, , v2n )n  
v1v2n次元数ベクトルv1,v2自然な内積
     これによって、
n計量実ベクトル空間となる。 
v‖:計量実ベクトル空間Rnにおけるユークリッドノルム
           (
自然な内積を用いて定義される) 
d (v1,v2)ユークリッドノルムから定められたユークリッド距離  
Rn,d):n次元ユークリッド空間  
W :n次元数ベクトル空間Rn部分ベクトル空間 
{
u1 , u2 , , ur } : W正規直交基底 
W :W直交補空間    

[文献1]
佐武『
線形代数学』V§32(p.102):証明なし;

本題

{u1 , u2 , , ur }
 
n次元数ベクトル空間Rn部分ベクトル空間W正規直交基底
を成しており、
これに、
Rnのなかから取り出したn次元数ベクトルur1 , ur2 , , un を付け加えた
  {
u1 , u2 , , ur , ur1 , ur2 , , un } 
が 
 
n次元数ベクトル空間Rn正規直交基底 
を成すならば、
 {
ur1 , ur2 , , un } は、  
W直交補空間Wの基底をなす。   

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(reference)
日本数学会編集『岩波数学辞典(第三版)』 岩波書店、1985年、項目341ヒルベルト空間C.正規直交系(pp.1006-7)
線形代数のテキスト
ホフマン・クンツェ『
線形代数学I』培風館、1976年。
永田雅宜『
理系のための線形代数の基礎』紀伊国屋書店、19864.3(p.119);
佐武一郎『
線形代数学(44)』裳華房、1987年。
志賀浩二『数学
30講シリーズ:線形代数30』朝倉書店、1988年。
藤原毅夫『理工系の基礎数学
2線形代数』岩波書店、1996年。
斎藤正彦『
線形代数入門』東京大学出版会、1966年、4章§6計量線形空間(p.123)
砂田利一『現代数学への入門:
行列と行列式2003年、§7.1-(e)直交補空間 (pp.249-250).

解析学のテキスト
杉浦光夫『
解析入門I』東京大学出版会、1987年、I章§4(pp.33-38)
数理経済学のテキスト
神谷和也・浦井憲『
経済学のための数学入門』東京大学出版会、1996年、§3.2.3(p.124)

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