定義:直交補空間 orthogonal complement, orthogonal complementary space 

【舞台設定】
 R  :実数体 
 V  :計量実ベクトル空間。なお、計量実ベクトル空間の定義により、実ベクトル空間でもある。
 S  :V部分空間  
    ※この設定は、どういう訳か、テキストによって異なる。
     ・「SV部分集合」:永田『理系のための線形代数の基礎』4.3(p.119);砂田『行列と行列式』 
     ・「SV部分空間」:斎藤『線形代数入門』4章§6(p.123);志賀『固有値問題30講』9講(p.71) 
 〈x,y〉:計量実ベクトル空間Vにおけるベクトルx,y内積  

【本題】 
 ・計量実ベクトル空間V部分空間S直交補空間とは、    
  S属すすべてのベクトル直交する「V属すベクトル」の集合のこと。 

 ・計量実ベクトル空間V部分空間S直交補空間を記号Sで表す。     
     すなわち、 S={ xV | すべてのySVにたいして、x,y=0 }  

【関連項目】
 ・計量実ベクトル空間一般における直交補空間関連:直交補空間の性質/部分空間の直交/直交射影 
 ・具体化:Rnにおける直交補空間

【文献】
 ・永田『理系のための線形代数の基礎』4.3(p.119)
 ・布川『線形代数と凸解析』定義4.7(p.73).
 ・砂田『行列と行列式』§7.1-(e)(p.250)
 ・斎藤『線形代数入門』4章§6(p.123)
 ・志賀『固有値問題30講』9講(p.71)


計量実ベクトル空間目次
線形代数目次 
総目次 


(reference)


日本数学会編集『岩波数学辞典(第三版)』 岩波書店、1985年、項目341ヒルベルト空間C.正規直交系(pp.1006-7)

【線形代数のテキスト】

ホフマン・クンツェ『線形代数学I』培風館、1976年。
永田雅宜『理系のための線形代数の基礎』紀伊国屋書店、1986年4.3(p.119);。
佐武一郎『線形代数学(第44版)』裳華房、1987年。
志賀浩二『数学30講シリーズ:線形代数30講』朝倉書店、1988年。
藤原毅夫『理工系の基礎数学2:線形代数』岩波書店、1996年。
斎藤正彦『線形代数入門』東京大学出版会、1966年、4章§6計量線形空間(p.123)。
砂田利一『現代数学への入門:行列と行列式』2003年、§7.1-(e)直交補空間 (pp.249-250). 解析学のテキスト
杉浦光夫『解析入門I』東京大学出版会、1987年、I章§4(pp.33-38)。

【数理経済学のテキスト】

神谷和也・浦井憲『経済学のための数学入門』東京大学出版会、1996年、§3.2.3(p.124)。
布川昊,谷野哲三,中山弘隆『線形代数と凸解析』コロナ社、1991年、4.1.3直交補空間(pp.73-4)。