ナノテク研究プロジェクト
ナノ物質規制 世界と日本の動向

安間 武(化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2009年12月22日
更新日:2012年 3月18日
追加:7.世界のナノ物質定義の動向

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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/project/nano_EHS_policies.html

1.ナノ物質規制の論点

 2004年7月に発表された英国王立協会・王立工学アカデミーの報告『ナノ科学、ナノ技術:機会と不確実性』[1](以後、英王立協会報告書)は、ナノ科学/ナノ技術の安全、規制、倫理の領域での新たな課題を提起し、英政府に21項目(R1〜R21)からなる勧告を行いました。この勧告は英政府だけでなく、全世界に大きな影響を与えました。その中に次のような勧告があります。
  • R8:全ての関連する規制機関は危険から人と環境を守るために既存の規制が適切であるかどうか検討し、どのように対処していくのかについての詳細を発表するよう勧告する。
  • R10:ナノ粒子又はナノチューブ形状の化学物質はREACHの下で新規物質として扱われるよう勧告する。
 現在、各国でナノ物質の規制の検討が行われはじめており、特にオーストラリアでは2009年11月に既存の化学物質規制の枠組みを改革した新たなナノ物質規制の枠組みが提案されました。これが立法化されれば、世界で最初のナノ規制法になります。

 本稿では、ナノ規制への国際的なアプローチ、オーストラリアの新たなナノ規制の枠組み提案をまず紹介し、次にアメリカ、ヨーロッパ、日本の各政府がナノテクノロジーにについて環境・健康・安全(EHS)の観点からどのように対応しているのか、また国際的なNGOや労働組合はどのように主張しているかについて、下記の4点を検証します。
  (1) ナノテクノロジー規制への国際的アプローチ
  (2) 既存の規制はナノ物質規制に対し適切か?
  (3) 既存の組織はナノ物質規制に対し適切か?
  (4) ナノ物質は新規物質か?既存物質化か?

2.ナノテクノロジー規制への国際的アプローチ

 Nanowerk 2009年5月25日 の記事[2]は、カナダの新たな研究報告『ナノテクノロジー規制/国際的なアプローチ』を紹介しています。同記事は、"ナノテクノロジー政策の開発に対する各国・地域のアプローチはどこも非常に似ている。各国・地域の大部分でとられる政策開発における第一段階はナノテクノロジーに関する戦略(又は政策声明)の発表である。米国、EU、豪州の全てはナノテクノロジー戦略と明示している。英国もまた、戦略とは称していないが特化したものを持っている。これらの声明は各国・地域を通じて著しく似ているということは驚くに当たらない"として、類似点を下記のように挙げています。

  1. その様な声明は、最初にナノテクノロジーの潜在的な便益に言及し、それから将来の経済的利益という観点からナノテクノロジー研究と開発を追求するという政府の意図を述べる。
  2. 次に、そのような声明の中で、ナノテクノロジーは潜在的なリスクを伴うが、それらの程度はまだ十分に分かっていないと一般的に述べる。
  3. 次に、国・地域は、ナノテクノロジーの潜在的なリスクについてもっと情報が得られるまで、消費者の健康安全、そして環境の活力を確保するために既存の規制の枠組みは十分に厳格であると強調する。
  4. 次に、国・地域は、現在のナノマテリアルの新奇な特性についての情報の欠如、及びハザード及び暴露評価、そして全体のリスク評価を実施するための測定基準、方法論、及び基準の欠如に言及する傾向がある。
  5. 最後に、国・地域は将来ナノ特定の規制の枠組みの必要性をレビューし、既存の規制の枠組みを必要に応じて変革するであろうと述べる。

 カナダ保健省(ヘルス・カナダ)は、『ナノ物質についてのカナダ保健省の作業定義に関する暫定政策声明』を発表して、2010年3月1日から8月31日までパブリックコメントにかけています[3]。この暫定政策声明の目的は、(1)ナノ物質を特定する作業手法の確立 (2)カナダ保健省のナノ物質情報収集と目録の確立を支援 (3)ナノ物質についての利害関係者とのコミュニケーション支援 (4)カナダ保健省のナノ物質政策、ガイダンス、プログラムの開発の支援−であるとしています。この暫定政策声明のスタイルはまさに上記の指摘の通りですが、その内容は必ずしも十分とはいえません。

 なお、カナダ保健省(ヘルス・カナダ)は、このパブリックコメントに基づき、2011年10月11日に、『ナノ物質についてのカナダ保健省の作業用定義に関する政策声明』を発表しました。(参照:7.1

 日本においては、ナノテクノロジーの環境・健康・安全(EHS)の観点からの一元化された国家戦略(声明)は示されておらず、環境省、厚生労働省、経済産業省がそれぞればらばらに、戦略や政策声明とは程遠い、主に技術的対応に関する報告書やガイダンスを2009年度末までに発表しました[4]。そこでの冒頭の記述内容は、ほぼ上記の指摘の通りです。
 また2008年12月に発表された上記3省による化審法見直し報告書[5]でもナノ物質の管理についてごく簡単に触れていますが、そこで述べられている結論は、"今後の科学的な知見の蓄積や国際的な動向を踏まえ、対応策について引き続き検討していくことが必要である"という、ナノの問題を先延ばしにした全く内容のない作文でした。

3.オーストラリアのナノ物質規制への新たなアプローチ

 2009年11月、オーストラリアの国家工業化学物質届出評価機構(NICNAS)は、ナノ物質の規制に対する新たなアプローチを導入するために、既存の化学物質の枠組みを見直して改革案を提示し、2009年11月から2010年2月までの3ヶ月間、パブリックコメントにかけました。このNICNASの提案がパブリック・コメントに基づいて立法化されれば、世界で初めてのナノ規制が実現することになります。

3.1 NICNAS 提案の概要
 NICNASのコメント用討議資料[6]によれば、この提案は、見直しのポイントとして討議資料に添付された報告書(モナシュ・レポート)[7]が指摘する6つのトリガー領域に目を向けていると解説しています。
  1. ”新規”又は”既存”
     ナノ形状の化学物質は、”新規化学物質”(したがって通常の形状の化学物質とは異なる)とみなされるのか、又は”既存化学物質”(したがって通常の形状の化学物質と同じ)とみなされるのか?
  2. 重量/容量という現状の閾値
     重量又は容量による閾値が、少量生産のナノ物質にとって適切か?
  3. ナノ物質の存在又はリスクがわかっていること
     ナノ物質の存在やナノ物質によって引き起こされるリスクがわかっていることがトリガーとなる規制は、ヒト健康と環境に及ぼすナノ物質の影響が不確実なので、効果的ではないかもしれない。
  4. リスク評価手法又は従来の技術への依存
     ナノ物質は独自の物理的及び科学的特性をもつことがあるので、従来の化学物質のために設計されたリスク評価手法や分析技術はナノ物質の正確なリスク評価のためには適切ではないかもしれない。
  5. 研究開発における免除
     研究開発段階における従来の化学物質の評価が重量閾値に基づき免除されているものがあるが、ナノ物質におけるこれらの閾値を見直す必要性があるのではないか?(上記トリガー2参照)
  6. 国際的な文書への依存
     国際的文書に依存する場合、それがナノ物質によって引き起こされる健康と環境に対応していないなら、潜在的なギャップとなり得る。
3.2 FoE オーストラリアのコメント
 FoE オーストラリアは27頁にわたるコメント)[8]を提出しましたが、その概要は次の通りです。
  • NICNAS は規制のギャップを埋めるために、既存化学物質のナノ形状のもの及び新規化学物質のナノ形状のものの両方を製品中で使用される前に義務的な安全テストを確実に受けさせるようにしなくてはならない。
  • 安全科学が追いつきリスク評価手順が有効になるまで、ナノ物質の商業的利用に関するモラトリアムを求める強い状況がある。欧州食品安全機関(EFSA)を含む主導的な国際的規制当局は、私達が信頼性あるリスク評価を設計するためにはナノ物質の挙動についてまだ十分に分かっていないということを警告している。
  • NICNAS はナノ物質の取り扱いにおいて予防原則の適用を約束すべきである。2008年ダカールにおける第6回政府間化学物質安全性フォーラムで、71 政府、12 国際機関、及 び39 NGOs が、”ナノテククノロジーリスク管理の一般原則のひとつとして予防原則を適用すること”を勧告した(訳注1)。
  • NICNAS は、”地域社会の”知る権利を含んで公衆の利益になるナノ物質管理を優先することを約束すべきである。使用されているナノ物質のタイプと量、及び、特定の製品及び工業化学物質中でのそれらの使用に関する情報は、製品ラベルでの表示を含んで、自由に入手できるようにすべきである。
  • ナノ物質は、”ひとつ又はそれ以上の外形寸法が約0.3ナノメートル(nm)から300nmである粒子、又はこのようなスケールの内部構造を持つ粒子”として定義されるべきである。この定義は、300nmまでの多くの粒子が新たなナノ特有の健康と環境リスクを示すので、必要である。
  • NICNASによって提案される100nm以下とする定義は、範囲が狭すぎ、新たなハザードを及ぼす多くのナノ粒子を取り残すことになる。ナノ毒性学者ケン・ドナルドソン教授は英上院におけるナノテクノロジーと食品に関する審査において、ナノ粒子の定義をを100nm以下に限定する”毒性学的根拠はどこにもない”と証言した。
  • ナノ粒子は不溶解性のものであるとして定義されべきではない(訳注2)。不溶解性というのは複雑でありほどんど分かっていない。さらに、部分的にまた完全に水溶性のナノ粒子が有毒であり得ることを示す多くの証拠がある。
  • ナノ粒子は生物残留性のものであるとして定義されるべきではない(訳注2)。生物残留性はほとんと研究されておらずほとんど分かっていない。重要なことは、顕著な生物蓄積性を示さない粒子であっても短期間で有毒かも知れないということである。
  • 一次粒子がナノスケールであるアグリゲート(aggregate)及びアグロメレート(agglomerate)(ナノ粒子の塊)もまた、ナノ粒子として認められ評価されるべきである。
  • ナノテクノロジー(のデータ収集)に関する自主的取組は、オーストラリア、アメリカ、及びイギリスで失敗した。 NICNAS は、ナノ物質の義務的規制を追求すべきである。
  • ナノ物質規制の透明性は本質的にj通用である。リスク評価レポートは完全に公開されるべきである。
  • NICNAS 規制の枠組みの公式な見直しは制定2年後に行われるべきである。
4.既存の規制はナノ物質規制に対し適切か?

4.1 アメリカ
 有害物質規正法(TSCA)については米環境保護庁(EPA)が2008年1月に発表した『TSCA ナノスケール物質のインベントリー・ステータス 一般的アプローチ』 [9](以後、TSCA一般的アプローチ)では、TSCAにおけるナノ物質の扱いを規定しています。そこでは新たなナノ物質管理のための法律を制定することはもちろん、ナノ物質管理のために既存のTSCAを修正する考えはなく、既存のTSCAや連邦殺虫剤殺菌剤殺鼠剤法(FIFRA)で対応するように見えます。

 しかし2002年5月25日、米国会計検査院(GAO)は、米国のナノ物質規制に関する見解とEPAに対する勧告を発表しました[10]。そこでは次のような勧告を行なっています。
  • 勧告:ナノ物質のための重要新規利用規則(SNUR)を発行するという計画を完了させるべきである。
  • 勧告:農薬中のナノ物質成分を特定することを申請者に求めるために、連邦殺虫剤殺菌剤殺鼠剤法(FIFRA)農薬規制ガイドラインを修正すべきである。
  • 勧告:すでに登録されている農薬、及び、登録しようとされている農薬の中のナノスケール成分がEPAに報告されることになっており、EPAがナノスケール成分は新規であるとみなすであろうことを明確にするための計画を完了させるべきである。
  • 勧告:既存の環境法の下で情報を収集するためのEPAの権限の使用をより大きくすべきである。特に、EPAは、ナノ物質に関する情報を収集するためにTSCAの下に、製造量、製造及び加工方法、曝露と放出、及び入手可能な健康と安全研究を含んで、EPAのデータ収集及びテスト実施権限を利用する計画を了させるべきである。
  • 勧告:既存の環境法の下で情報を収集するためのEPAの権限の使用をより大きくすべきである。特に、EPAは、ナノ物質を含む潜在的な排出についての情報を収集するために水質浄化法の情報収集条項を利用すべきである。
  • 勧告: EPAがナノ物質の製造と使用に関する情報を把握することができるよう、またEPAがこの物質に関する定期的な更新を受けることができるよう、有害物質規正法1976(TSCA)のインベントリー更新規則を修正することを検討すべきである。
4.2 EU
(1) 欧州委員会
 2008年6月発表の『欧州共同体委員会におけるナノマテリアルの規制状況についての報告書』[11](以後、EC報告書)は、"ヒト健康、労働安全及び環境に及ぼす影響に関する法律は、化学物質、労働者保護、製品及び環境保護に分類される。全体として、ナノ物質に関する大部分のリスクは現行の化学物質規則REACHによりカバーでき、現行制度により対応可能であると結論付けることができる。しかし、法律で定められている閾値を修正するなど、新たに収集される情報に基づき法律を修正する必要があるかもしれない"としています。

(2) 欧州議会
 2009年4月7日、欧州議会の環境公衆健康食品安全委員会はナノ物質の規制面に関する報告書 [12](以降、欧州議会報告書)を発表しました。同報告書は欧州委員会に対し、全ライフサイクルにわたって潜在的な健康、環境、又は安全に関する影響を持つ製品中のナノ物質の全ての応用についてノーデータ・ノーマーケット原則を完全に実施するために、全ての関連する法規をレビューするよう欧州委員会に要求しています。

 アメリカのNGO、エンバイロンメント・ディフェンスのリチャード・デニソンは、最も注目に値することは、この報告書が REACH の要である"ノーデータ・ノーマーケット"をナノ物質にまで拡大することを求めていることであり、このことは、ナノ物質はその製造者によって少なくとも安全性を評価するための基本的な情報が提出されない限り、市場に出すことも市場にとどまることもできないことを意味すると明快に解説しています[13]。

 2009年4月24日発表の欧州議会プレスリリース[14](以降、欧州議会プレスリリース)は、"議会は欧州委員会に対し特に下記の観点からREACHを見直すことの必要性を検討するよう求める"としています。
  • 1トン以下で製造又は輸入されるナノ物質の簡略化された登録
  • 全てのナノ物質を新規物質としてみなすこと
  • 全ての登録されたナノ物質について暴露評価を伴った化学物質安全報告書の要求
  • ナノ物質自身、調剤中、または成型品中の市場に出される全てのナノ物質への届け出要求
4.3 日本
 アメリカと同様、関連する既存の規制の適切性について網羅的に評価したものはありません。
 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)については、2008年12月22日に発表された厚生労働省、経済産業省、及び環境省による『今後の化学物質環境対策の在り方について(答申)−化学物質審査規制法の見直しについて−』[5](以後、化審法見直し報告書)が、"ナノマテリアルの安全対策、環境中への放出の可能性等について検討を行っているところである。今後の科学的な知見の蓄積や国際的な動向を踏まえ、対応策について引き続き検討していくことが必要である"と述べており、現状ではナノ物質規制のために化審法を修正するつもりはないことを明らかにしました。

4.4 国際的なNGOsと労働組合の主張
(1) 国際技術評価センター・国際NGO連合の共同声明 2007年
 同センターが中心となり、当研究会を含む多くの国際NGOsが賛同した共同声明『ナノ技術とナノ物質の監視のための原則』[15]では、次のように指摘しています。
  • ナノ物質の監視に関する現在の法律の規定は、不十分である。ナノに特化した規制制度を修正する、あるいは独立させることは、ナノ技術の開発に不可欠な要件としなければならない。
  • ナノ物質の開発及び商業化がすでに高度かつ急速に進展していることを考慮すれば、政府がナノ物質の示す斬新な特性を勘案して現在の監視メカニズムを評価することが至急必要である。
  • ナノに特化した監視メカニズムの構築及び設置が可能になるまで、現在の規制制度を調整してナノ物質に適用し、暫定的に対応しなければならない。
  • 規制措置は、すでに市場に出ている全てのナノ物質製品に遡及して適用されるべきである。
  • ナノ技術を監視するためには、自主的な取り組みでは全く不十分である。法的強制力のある監視とすべきである。
(2) 欧州労連(ETUC)
 欧州労連執行委員会が2008年6月25日に採択した「ナノ技術とナノ物質に関する欧州労連決議」[16]では、既存の規制について次のように求めています。
  • 予想される又は立証された健康又は環境影響をもつナノ物質の消費者製品中での使用について、ノーデータ・ノーマーケット原則を完全に実施するために、2009年末までに全ての関連する法規のレビューを提案するよう欧州委員会に要求する。
  • 欧州委員会に対し全ての潜在的に製造可能なナノ物質をより良くそしてより広く包含できるよう、REACH規則を修正するよう要求する。
  • ナノ物質は年間1トンという閾値以下で製造又は輸入されるかもしれないので、実際、REACH登録要求を潜り抜けるかもしれない。REACHの下におけるナノ物質の登録のために異なる閾値及び/又は単位(例えば容積当たりの表面積)が用いられることを要求する
  • 年間10トン以上の製造量の物質だけに化学物質安全報告書(CSR)を作成する義務を求めるのは、ナノ物質が上市される前に製造者又は輸入者がリスク評価をすることを回避するのを許すことになるので、ナノスケール用途が特定されているREACH規則の下で登録される全ての物質に化学物質安全報告書(CSR)が求められることを望む。
(3) オーストラリア労働組合連合(ACTU)
 ACTUは2009年4月にナノに関するファクトシート[17]を発表し、下記内容を含む勧告をしました。
  • 政府機関はナノテクノロジーの取り扱いのための新たな基準を開発すべきである。
  • ナノ物質を含む製品を製造、輸入、供給する全ての会社と組織の連邦登録が確立されるべきこと。
  • ナノ物質のためのハザード特定、評価、管理メカニズムの開発と改善。
  • ナノ物質を含む全ての製品は表示されるべきとする義務的要求。
  • この規制の枠組みの実施を監視するために第三者機関が設立されるべきこと。
5.既存の組織はナノ物質規制に対し適切か?

 ナノ物質及びナノ製品を規制するために既存の組織が適切かどうかということについては、世界各国の共通の課題のはずですが、アメリカ以外では活発な議論はないようです。ここではアメリカの「ウッドロー・ウィルソン国際学術センター(WWICS)/新興ナノテクノロジーに関するプロジェクト(PEN);以降、WWICS / PEN」の研究者らを中心に主張されている既存の組織を強化すべきとする意見、及び当研究会を含む日本のNGOの日本の行政組織を一本化すべきとする意見を紹介します。

5.1 WWICS / PEN の主張
(1) 新たな環境消費者保護機関の設立
 2009年4月28日のWWICS / PENの記事[18]は、元EPA高官J. クラレンス(テリー)・デービスは、2009年に発表した報告書『次世代ナノテクノロジーの監視』の中で、製品規制、汚染管理監視、及び技術評価を監督するために新たな環境消費者保護庁の設立を求めているとして、次のように紹介しています。
  • 現在のEPAや消費者製品安全委員会のような機関は、先端的ナノテクノロジーや合成バイオロジーによって可能となる製品により及ぼされる課題に対応するために必要なリソースやツールが不足している。
  • 新たな思考、新たな法律、そして新たな組織形態が必要である。これらの変革の多くは完成するのに10年以上かかるであろうが、急速な技術変化があるのだから、それらについて今、考え始めるべき緊急の必要性がある。
(2) EPA とナノ技術:21世紀の監視
 WWICS / PEN 2007年5月23日のクラレンス・デービスの報告書『EPA とナノ技術:21世紀の監視』[19]は、主に米環境保護庁(EPA)に目を向けた行動提案をしています。
  • 既存のEPAの権限を検証してみると多くの弱点が明らかになる。特に、ナノ技術の一般的な監視を行える可能性を持つ唯一の既存の法律である有害物質規正法(TSCA)は多くの点で非常に不十分であり、改正される必要がある。
  • しかし、TSCAからはなれても、実際、EPAの裁量範囲のどのような権限もナノ技術の監視という観点からは弱点を持っている。
  • ナノ技術はまた、EPAの再活性化のための触媒となり、EPAを21世紀の舞台に押し出す機会を与える可能性がある。
  • 強化が求められる主要な分野は、科学、プログラムの統合、人事、国際的な活動、そしてプログラムの評価である。
  • 不適切なリソース、金と人は全ての連邦規制機関と同様にEPAにとっても問題である。
(3) FDA はナノテク対応の準備ができているか?
 WWICS / PEN 2006年10月5日の記事『FDA はナノテク対応の準備ができているか?』[20]によれば、元米食品医薬品局(FDA)政策部門副長官ミカエル・テイラーは、新たな報告書 『ナノ技術製品の規制:FDAは必要なツールを持っているのか?』の中で次のように指摘していると紹介しています。
  • 食品、薬品、医療品、サプリメント(栄養補助食品)、及び化粧品などのナノ技術物質を含む新たな製品を適切に管理するためのソースが深刻に失われている。
  • FDAのナノ対応の欠如は金額だけの問題ではない。ナノ技術の潜在的なリスクを理解し管理するための能力を妨げているFDAの法的権限の中に重要なギャップがある。このことは特に化粧品とサプリメントの分野において、及びそれらの製品が市場に出された後の監視おいて真実である。
 WWICS / PEN 2008年12月18日の記事『ナノ食品・添加物 新たな監視が必要と専門家らが主張:来るべきオバマ政権下での新たな食品安全局の創設が議論されているこの時期の懸念』[21]は、次のように述べ、FDAの改組を示唆しています。
  • 政策専門家らはナノスケール物質を含む食品添加物は、それらの使用が意図しないリスクを及ぼさないということを確実にするために、新たな安全テストを受けるべきである。
  • この要求は、来るべきオバマ政権が直面する主要な規制の課題としてナノテクノロジーが出現するであろうことに関連する。
  • 食品医薬品局(FDA)の組織をどのように改革し、別の食品安全局を創設するというような議論がある中で、ナノ食品・添加物の監視のあり方が提起されている。
(4) 米消費者安全委員会はナノ製品への準備ができていない
 WICS / PEN 2008年8月21日の記事『米消費者安全委員会はナノ製品への準備ができていない−ナノ製品の安全を確保するための予算、権限、専門的知識がない』[22]は、ハーバード大学E.マルラ・フェルチャーの報告書『米消費者製品安全委員会とナノテクノロジー』を引用して次のように同委員会の無能振りを指摘しています。
  • 米消費者製品安全委員会(CPSC)の子どもの宝石やおもちゃの汽車のような単純でローテクな製品に対する任務遂行の無能ぶりは、ナノテクノロジーを用いて作られた複雑でハイテクな製品の安全性を監督する能力がないことを示す前兆である。
  • 同委員会は、たとえば哺乳びんの乳首、幼児の歯固め、塗料、ワックス、台所用品、家電製品などを含む現在市場にある数百のナノ製品が安全であることを確実にするための予算、権限、科学的専門知識を持っていない。
  • この問題は、もっと複雑なナノテクノロジーに基づく製品が消費者市場に入ってきたために、ますます悪くなっている。
5.2 当研究会のNGOの主張
(1) 総合的化学物質管理
 当研究会は2008年11月28日に、「化審法見直し合同委員会報告書(案)に対する当研究会意見(パブリックコメント)」[23]を提出しましたが、その中で次のように指摘しています。
  • 化学物質関連の様々な法律が省庁縦割り行政の下で、ばらばらに実施されている現行管理体制と法体系を全面的に見直して、総合的化学物質管理を目指す省庁を超えた一元管理体制と総合的法体系を構築するための検討を直ちに開始すべきである。
  • 化学物質管理に関する現在の省庁縦割り行政には人の健康と環境を守るための一貫した理念や整合性がなく、省庁間/各法間の齟齬や抜けがある。
(2) 化学物質安全委員会の設立の提案
 当研究会もメンバーである国内NGOの連合体「化学物質政策基本法制定ネットワーク(ケミネット)」が提案している「化学物質政策基本法案」(最新版:2009年1月)[24]では、現状の日本の化学物質行政は縦割りで、ばらばらな管理が行われているとして、管理の一元化をはかるためにナノ物質管理も含めて、省庁から独立した「化学物質安全委員会」の設立を提案しています。

6.ナノ物質は"新規"か?"既存"か?

 物質がナノサイズになると物理的、化学的・生物学的特性、及び、体内動態(ADME)が大きく変化する可能性があるので、新たな有害性が懸念されます。実際にその有害性を報告する研究が次々に発表されています[25]。英王立協会報告書や欧州議会プレスリリースがナノ物質は新規物質として扱う事を勧告しているのはこの理由のためです。
 したがって、ナノ物質を規制する法律の下で、あるナノ物質が新規化学物質又は既存化学物質のどちらとして扱われるのかは、その物質の安全性評価を新たに行うのか/行わないのかに関わる重大事です。

6.1 アメリカ:有害物質規正法(TSCA)
 『TSCA一般的アプローチ』[9]でナノ物質が新規か既存かの区分の基準を次のように規定しています。
  • TSCAでは、既存の化学物質はTSCAインベントリー(目録)に掲載されており、ある化学物質について既存化学物質の中に"同じ分子的同一性()"を持つものがない(すなわち、インベントリーに掲載されていない)場合に、その物質は新規化学物質であると定義される。
  • 物質のサイズは分子的同一性の属性ではないので、化学物質のサイズは新規か既存かの決定に関係ない。
  • したがって、例えばカーボンナノチューブやフラーレンは、既存のカーボン物質と分子構造が異なるので新規化学物質となり得るが、酸化亜鉛、二酸化チタン、銀などのナノ粒子は、既存のバルク物質と分子的同一性が同じなので既存化学物質である。
 このことは、酸化亜鉛、二酸化チタン、銀などは、これらのナノサイズの物質の有害性が報告されているにもかかわらず、新たな規制の対象とはならないことを意味しています。
(注)分子的同一性
 EPAの定義する分子的同一性とは、分子中の原子のタイプと数、化学結合のタイプと数、分子中の原子の結合、分子内の原子の空間的配置のような構造的及び組成的特徴に基づくものとし、これらの特徴のいずれかが異なる化学物質は異なる分子的同一性を持つ、すなわちTSCAにおいて異なる化学物質であるとみなされる。

6.2 EU:化学物質の登録、評価、認可及び制限に関する規則(REACH)
(1) 欧州委員会
 EC報告書[11]は、ナノ物質について次のように述べています。
  • すでに市場にあるナノサイズではない既存化学物質を新たにナノサイズの物質(ナノ物質)として上市する場合には、ナノの特性を示すための登録書類の更新が必要である。
  • その場合、ナノ形態の分類、表示及びリスク管理方法といった情報を含む追加情報を登録しなければならない。
  • リスク管理方法と取扱条件については、サプライチェーンに伝達しなければならない。 このような記述は、REACHではナノ物質は実質的には"新規化学物質"として扱われることを意味し、英王立協会報告書はや欧州議会プレスリリースの要求と合致しているように見えます。
(2) 欧州議会
 欧州議会報告書[12]は、欧州委員会に対し、全ライフサイクルにわたって潜在的な健康、環境、又は安全に関する影響を持つ製品中のナノ物質の全ての応用について、ノーデータ・ノーマーケット原則を完全に実施するために、全ての関連する法規をレビューするよう欧州委員会に要求しています。

6.3 カナダ:カナダ環境保護法(CEPA)
 カナダ環境省が2007年6月発表した『新規物質プログラム 助言ノート』[26]では、ナノ物質がカナダ環境保護法1999(CEPA 1999)の下に、規制対象となるかどうかの基準を規定しています。その考え方は基本的にはアメリカと同様に物質のサイズではなく、国内物質リスト(DSL)に記載されているかどうか、独特の構造又は分子配列を持つかどうかで決まります。Q/Aの形で次のように解説しています。
  • どのようなナノ物質が規制の対象となるのか?
    • 国内物質リスト(DSL)に記載されていないカナダで製造される又は輸入されるナノ物質は新規である。
    • DSL上の物質と同一の化学成分でナノスケール形状のものは、もし独特な構造又は分子配列を持つなら、"新規物質"であると考えられる。
    • 新規のナノ物質は規則の下に届出対象となる。例えば、ナノ物質フラーレン(CAS No. 99685-96-8)はDSL上にリストされていないので、新規物質であると考えられる。
  • どのようなナノ物質が規則の対象ではないのか?
    • DSLにリストされている物質で、そのナノスケール形状が独特な構造又は分子配列でない場合には既存であると考えられる。
    • 既存ナノ物質は規則の対象ではなく届出は求められない。例えば、二酸化チタン(CAS No. 13463-67-7)はDSL上に記載されており、そのナノスケール形状は独特の構造又は分子配列を持たないので、規則の対象とはならない。
    • これに加えて非意図的に生成されるナノ物質又は自然に発生するナノ物質は届出の対象外である。
6.4 日本:化審法及び労働安全衛生法
 日本では、化審法及び労働安全衛生法がそれぞれ別々に既存化学物質を定義しており、この既存化学物質以外が新規化学物質であり、規定の製造量/輸入量以上の場合に、届出が求められます。化審法及び労働安全衛生法はともに、化学物質の形状や大きさに着目して化学物質を区分していないことから、ナノサイズのものであっても、それが既存化学物質からなる場合には、あくまでも既存化学物質としか取り扱われず届出の対象とはなりません。
(1) 化審法の既存/新規化学物質
 化審法では、下記が既存化学物質の定義であり、それ以外が新規化学物質となります。
  • 既存化学物質名簿に記載の化学物質(昭和48年10月16日)
  • 白公示化学物質(法第4条第3項に基づき公示された物質 )
  • 化審法規制物質(第1種、第2種特定化学物質、指定化学物質)
(2) 労働安全衛生法の既存/新規化学物質
 労働安全衛法では、下記が既存化学物質の定義であり、それ以外が新規化学物質となります。
  • 元素(一種類の原子で同位体の区別を問わない )
  • 天然に産出される化学物質
  • 放射性物質
  • 公表化学物質(昭和 54年6月29日までに製造、輸入された物質)
 2008年12月に答申された『化審法見直し報告書』[4]では、ナノについては今後の検討課題であるとし、ナノに関わる改正は提案されていません。
 2006年7月20日 経産省化学物質政策基本問題小委員会第3回[27]、及び2008年5月29日 第3回化審法見直し3省合同WG[28]で、"化審法ではナノ物質は新たな化学物質と見なさないのか?"とのNGO側委員の質問に対し、事務局は"粒子径が小さいことをもって新たな物質と見なしていない"と答えました。

 一方、厚生労働省が2008年11月26日に発表した「ヒトに対する有害性が明らかでない化学物質に対する労働者ばく露の予防的対策に関する検討会報告書(ナノマテリアルについて)」[4]では次のように述べています。
 現行の労働安全衛生法では化学物質の形状や大きさに着目して化学物質を区分していないことから、ナノサイズのものであっても、あくまでも既存化学物質としか取り扱われず、届出の対象とはならない"。
 "しかし、物質がナノサイズになるとナノ特有の性質を示すことが知られており、生体影響についてもそれまでとは異なる可能性があることから、現行のナノマテリアルの取扱いについては、検討の余地があると思われる"。

6.5 国際的なNGO/労働組合の主張
(1) WWICS / PEN(アメリカ)
 2008年7月に発表された『ナノテクノロジー監視 次期政権の課題』[29]の中で、WWICS / PENのクラレンス・デービスは、環境保護庁(EPA)は有害物質規正法(TSCA)の下でナノ物質を"新規化学物質"として定義することを求めています。

(2) ETCグループ(カナダ)  2006年10月10日 米食品医薬品局のナノ技術に関する公聴会でカナダのNGOであるETCグループ証言次のように証言しています[30]。
  • 我々はFDAが、サイズが問題であるという科学的合意を受け入れるよう強く主張する。
  • 人工ナノ粒子はもっと大きな同一成分の物質と異なる挙動をするので、それらは新たな物質として規制されるべきである。
  • FDAは、予防的な立場をとらなくてはならず、有害性の証拠がないことは安全であることの適切な保証であるとする説得力のない考えに逆戻りすべきではない。
  • 規制は法的義務であり、自主的ではないものでなくてはならない。
  • 人工ナノ粒子を含んだ製品は、そのように表示されなくてはならない。
  • "FDAは、会社の健康ではなく、公衆の健康を守る責任を全うすべきである。
(3) 欧州労連(ETUC)
 欧州労連執行委員会は2008年6月25日に採択した『ナノ技術とナノ物質に関する欧州労連決議』[11]で次のように述べています。
  • REACH の"ノーデータ、ノーマーケット"原則に完全に従うことを要求する。
  • 製造者がナノサイズ形状の物質の製造、上市、使用がライフサイクルの全ての段階で人の健康と環境に害を与えないことを確実にするために求められるデータの供給をしない場合には、欧州化学物質庁(ECHA)が登録を拒否するよう要求する。
(4) オーストラリア労働組合連合(ACTU)
 オーストラリア労働組合連合(ACTU)は2009年4月のナノに関するファクトシート[12]で、下記内容を含む勧告をしています。
  • ナノスケール化学物質は国家産業化学物質届出評価制度(NICNAS)の下で、新規化学物質として分類されなくてはならない。
7.世界のナノ物質定義の動向 (11/12/24)

7.1 ナノ物質についてのカナダ保健省の作業用定義に関する政策声明 (11/12/24)
 2011年10月11日にカナダ保健省(ヘルスカナダ)は、『ナノ物質についてのカナダ保健省の作業用定義に関する政策声明』を発表しました[
31]。この政策声明は、2010年3月1日から8月31日までのパブリックコメント[3]の結果に基づくものです。
 カナダ保健省は、ナノ物質の潜在的な健康リスクを緩和し、それらの健康上の利益を実現するのに役立てるために、既存の法的及び規制の枠組みを用いることによって、健康を保護することを促進しているとし、カナダ保健省のナノ物質の作業用定義を述べ、その目的、範囲、適用、指針に関して比較的詳細に記述しています。以下に”目的”と”作業用定義”を紹介します、

■目的
  1. 目的ナノ物質を特定する作業手法を確立する。
  2. カナダ保健省が、規制される物質、製品、ナノ物質である要素物質、成分、デバイス、又は構造に関する情報を収集し、内部用目録を確立するのを支援する。
  3. 関心を持つ関係者の幅広いコミュニティとのナノ物質についての情報伝達を支援する。
  4. カナダ保健省の権限の下に法的及び規制的枠組みの管理を支援し、ナノ物質に適用可能な政策、ガイダンス、プログラムの更なる開発を促進する。
■カナダ保健省のナノ物質の作業用定義
 カナダ保健省はどのような製造された(manufactured)物質又は製品及びどのような要素物質(component material)、成分、装置(device)又は構造が下記を満たすなら、ナノ物質であると考える。
  1. 少なくともひとつの外形寸法がナノスケール又はその範囲内、又は内部又は表面構造がナノスケールである、又は;
  2. 全ての次元がナノスケールよりも小さいか又は大きく、ひとつ又はそれ以上のナノスケール特性(properties)/現象(phenomena)を持つ。

この定義の目的のために:
  1. ’ナノスケール’という用語は、1〜100ナノメートル(nm)を意味する(inclusive 訳注:1及び100を含む)。
  2. ’ナノスケール特性/現象’という用語は、サイズとそれらの影響に帰す特性を意味し、これらの特性は、個々の原子、個々の分子、及びバルクマテリアルの化学的又は物理的特性から区別できる。
  3. ’製造された(manufactured)’という用語は、工業プロセス及び物質の管理を含む。
7.2 欧州委員会 ナノ物質の定義を勧告 (11/12/24)
 欧州委員会は、2011年10月18日、ナノ物質に関する定義を発表しました[32]。欧州連合では昨年10月から11月にかけて、ナノ物質の定義がパブリック・コンサルテーションにかけられましたが、その結果を反映したものが、今回発表された最終勧告です。

■勧告されたナノ物質の定義
  1. 加盟国、欧州連合、及び産業界は、ナノテクノロジー製品に関する法律と政策及び研究プログラムを採択し実施するときに、用語"ナノ物質"について、下記の定義を使用するよう要請される。
  2. "ナノ物質"は、非束縛状態(unbound)、又はアグロメレート(agglomerate)又はアグリゲート(aggregate)の状態で、1又はそれ以上の次元の外部寸法が1nmから100nmの範囲にある粒子の数の分布が50%以上であるような粒子からなる天然、非意図的、又は工業的物質を意味する。特別の場合には、そして環境、健康、安全、又は競争力に関する懸念について正当化される場合には、50%というサイズ分布数閾値は、1%から50%の間の閾値によって置き換えてもよい。
  3. 上記第2項にもかかわらず、1又はそれ以上の外形寸法が1nm以下のフラーレン、グラフェンナノフレーク、及び単層カーボンナノチューブはナノ物質とみなされるべきである。
  4. 上記第2項の目的のために、"粒子"、"アグロメレート"及び"アグリゲート"は次のように定義される。
    1. ”粒子(particle)”は、物理的境界を持つ物質の微細な断片を意味する。
    2. ”アグロメレート(agglomerate)”は、外部表面積が個々の要素の表面積の和とほぼ同じであり、弱く束縛された粒子又はアグリゲートの集合を意味する。
    3. ”アグリゲート(aggregate)”は強く束縛された又は溶解された粒子を意味する。
  5. 技術的に実行可能であり、特定の法律で要求される場合には、上記第2項の定義に従うかどうかは、容積による比表面積に基づき決定されるかもしれない。容積による比表面積が60 m2/cm3より大きい物質は、第2項の定義に入ると考えられるべきである。しかし、サイズ分布数に基づいてナノ物質であるとされる物質は、たとえ比表面積が60 m2/cm3より小さくても、第2項の定義を満たしているとみなされるべきである。
■NGOが指摘する問題点
 欧州委員会の10月18日の発表は、ナノ物質の問題に関心を持つ世界中のNGOに瞬く間に広がり、その内容についての検討が直ちに始まりました。特にナノサイズ粒子の数が50%以上とする定義や、粒子径を100nm以下とする定義に批判が出ています。[33]
 欧州委員会自身が設置した科学委員会(SCENIHR)の2010年の意見は、「粒子数分布の閾値は0.15%」を勧告し、「ナノ物質の上限100nmという数値には科学的な根拠がない」としています。このように、今回の欧州委員会の勧告は科学委員会の意見から大きく後退しており、この勧告はナノ物質の範囲を大きく狭めるので、産業界にとって好都合であり、また欧州委員会には常に産業界の強い働きかけがあったと言われています。

■地球の友(FoE)オーストラリアの批判要約 [33] (12/03/18)
  • サイズ粒子数分布が50%以上“というナノ粒子含有の閾値は、欧州委員会自身が設置したSCENIHRの勧告(0.15%)よりも333 倍も大きな値である 。
  • このことは、例えばサイズが 95nm の粒子数が45% 、105nm の粒子数が55% からなる物質は、ナノ物質として規制されないということを意味する。
  • 欧州委員会は定義の中で、この“抜け穴”について、正当化されるなら50%以下の閾値にしてもよいとしているが、ある特定の分率が危害を及ぼすことを人々が証明するのは非常に大変なことであり、実際には不可能である。
  • ナノ物質の上限サイズを100nmとしたが、SCENIHRはこの100nmという上限値には科学的根拠は何もなく、これまでのナノ毒性研究でこの値より大きな粒子においてナノ特有の毒性が見出されているということを警告している。
  • FoEオーストラリアを含む世界のNGOは、300nmのサイズまでの粒子をナノ物質の定義に含めるよう要求していた。
  • ナノ製品の製造者らが、この狭い1-100nmというナノ物質の規制のための定義を悪用して、彼等の製品を再調整するであろうことはありそうなことである。
■SCENIHR によるナノ物質という用語定義のための科学的根拠 (12/03/18)

 欧州委員会のナノ定義勧告のベースとなているのは、新規の及び新たに特定された健康リスクに関する科学委員会(SCENIHR)による2010年7月6日の勧告です[34]。その概要を以下にまとめます。
  • 上限として100nmが一般的に使用されているが、この値が妥当であるとする科学的な証拠はない。
  • どのようなナノ物質も、その測定のための方法論を含んで、そのサイズとサイズ分布によって記述されるべきである。
  • 外形寸法と同じ特定の範囲を持つ内部構造”への参照を含めることが、定義の範囲の中に凝集塊、凝集体、及び多種要素構成物からなる物質を含めることになる。
  • 比表面積が 60m2/cm3 以上の場合には平均サイズが 100nm 以下であることが多い。
  • 平均値又は中央値及びその標準偏差に基づいて、ある物質の0.15%以上が規定された上限以下のサイズを持つなら、
  • その物質はナノ物質であるとみなされるかもしれない。
  • 図的に適用された及び環境的に得られたコーティングは、ナノ物質の生物学的システムとの相互作用に大きな影響を与える。
7.3 アメリカのナノ物質定義に関する考え方 (11/12/24)

 2011年6月9日に、大統領府、環境保護庁(EPA)及び食品医薬品局(FDA)が揃って、それぞれの立場でナノ政策についての見解を示す文書を発表しました。
 同じ日に発表されたこれら3つの文書の概要は次の通りです。
  • 大統領府の文書:『ナノテクノロジーとナノ物質の応用の規制と監督に関する米国の意思決定のための政策原則』[35]
  • FDAの文書:『FDA 規制製品がナノテクノロジー応用に関わるかどうかを検討するための産業向けガイダンス』[36]
  • EPAの文書:『ナノテクノロジーを使用する農薬の規制』[37]
 これらの文書の全体的な解説は、当研究会ピコ通信第160号(2011年12月21日発行)の『アメリカのナノ政策 最近の動向大統領府、EPA、FDAの発表文書から』をご覧いただくこととし、ここでは、大統領府とFDAの文書のナノ物質の定義に関連する部分を紹介します。現時点ではアメリカはナノ物質の定義を明確にすることを回避しており、考え方だけを示しています。

■米大統領府
 ”NNIは、独自の現象が新たな応用を可能にする、寸法が概略1から100ナノメートルの間の物体を理解し制御することと記述している”と紹介した上で、”監督と規制のために重要な論点は、ナノスケールで出現する新たな又は変化した特性と現象はどのようにして生じるのか、又は特定の応用におけるリスクと便益をどのように変えるのかということである。ナノ物質で観察される新しい特性と現象に目を向けることは、サイズだけに基づく断定的な定義より最終的には有益かもしれない”として、サイズ以外のナノ特性も考慮することを示唆していますが、具体的なナノ物質の定義は示していません。

■米食医薬品局(FDA)
▼考慮すべき2点
 FDAが規制する医薬品や食品などの製品がナノ物質を含んでいるかどうか、あるいはナノテクノロジーの応用に関わっているかどうかの産業側の検討用に、主にナノ物質の定義について考慮すべき2点を挙げています。
  • 工学的物質(engineered)又は最終製品が、少なくともひとつの外形寸法がナノスケール(概略1 nm〜100 nm)の範囲にあるかどうか?
  • 工学的物質又は最終製品のナノスケールで示される物理化学的特性、又は生物学的影響は、その寸法がナノスケールの範囲を超えて最大1,000 nmまでの寸法になっても、その特性又は現象を示すか?
▼少なくともひとつの外形寸法がナノスケール(概略1nm〜100nm)
 ナノスケールとして1nm〜100nmを定義、作業用定義、又は記述の中で引用している事例としてNNI、EPA、欧州委員会、国際標準化機構、OECD、ヘルス・カナダ他の多くの組織を列挙しています。

▼1,000 nmまでのサイズについての論点
 ”物質又は最終製品はまた、概略 100 nm 以上の寸法に帰すことができる特性又は現象を示すことがある。物質や製品は必ずしもナノスケールの範囲になくても、例えば、ナノ物質が凝集してできた構造や階層的に組み立てられた構造のように、従来サイズの物質の特性とは明らかに異なる特性をもつことがある。そのような物質を説明するために、国際的なナノ物質のいくつかの定義が100 nm 以上の寸法を適用している。FDAは、1,000 nmという上限が、その物質の寸法に由来し、ナノテクノロジーに関連する特性又は現象を示すかどうかを検証するために、合理的なパラメータであると考える"とFDAは述べています。

7.4 国際機関/各国機関等の定義に関する情報 (12/03/18)


参照

[1] Nanoscience and Nanotechnologies : Opportunities and Uncertainties Summary and Recommendations / The Royal Society & The Royal Academy of Engineering, published on 29 July 2004
http://www.nanotec.org.uk/report/summary.pdf
http://www.nanotec.org.uk/finalReport.htm
ナノ科学、ナノ技術:機会と不確実性−要約と勧告/英国王立協会・王立工学アカデミー報告 2004年7月29日
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/royal_society/RS_summary.html

[2] Nanowerk News, : May 25, 2009 Nanotechnology regulation - international approaches by Michael Berger
http://www.nanowerk.com/spotlight/spotid=10791.php
Nanowerk 2009年5月25日ナノテクノロジー規制 国際的なアプローチ マイケル・バーガー
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/news/090525_nanotech_regulation_international_approaches.html

[3] Health Canada, March 1, 2010 Consultation Document Interim Policy Statement on Health Canada's Working Definition for Nanomaterials
http://www.hc-sc.gc.ca/sr-sr/consult/_2010/nanomater/draft-ebauche-eng.php
カナダ保健省2010年3月1日 パブリックコメント文書 ナノ物質についてのカナダ保健省の作業定義に関する暫定政策声明
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/canada/100301_Canada_Interim_Policy.html

[4] 厚労省、環境省、経産省の報告書・ガイダンス
  1. 平成21年3月31日ナノマテリアルに対するばく露防止等のための予防的対応について/厚生労働省労働基準局
    http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/2001K210331013.pdf
  2. 平成20年11月26日ヒトに対する有害性が明らかでない化学物質に対する労働者ばく露の予防的対策に関する検討会(ナノマテリアルについて)報告書について/厚労省労働基準局
    http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/11/dl/s1126-6a.pdf
  3. 平成21年3月31日ナノマテリアルの安全対策に関する検討会報告書/厚労省医薬食品局
    http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/11/dl/s1126-6a.pdf
  4. 平成21年3月10日工業用ナノ材料に関する環境影響防止ガイドライン/環境省
    http://www.env.go.jp/press/file_view.php?serial=13177&hou_id=10899
  5. 平成21年3月31日ナノマテリアル製造事業者等における安全対策のあり方研究会報告書/経済産業省製造産業局
    http://www.meti.go.jp/press/20090331010/20090331010-2.pdf
[5] 平成20年12月22日化審法見直し合同委員会報告書
http://www.meti.go.jp/press/20081222004/20081222004-4.pdf

「今後の化学物質環境対策の在り方について(答申)-化学物質審査規制法の見直しについて-」
http://www.env.go.jp/press/file_view.php?serial=12722&hou_id=10590

[6] Proposal for Regulatory Reform of Industrial Nanomaterials Public Discussion Paper, November 2009
http://www.nicnas.gov.au/Current_Issues/Nanotechnology/Consultation%20Papers/NICNAS_Nano_PUBLIC_DISCUSSION_PAPER_PDF.pdf

[7] Attachment 3 SUMMARY OF FINDINGS FROM REVIEW OF THE POSSIBLE IMPACTS OF NANOTECHNOLOGY ON AUSTRALIA' S REGULATORY FRAMEWORK
http://www.nicnas.gov.au/Current_Issues/Nanotechnology/Consultation%20Papers/Attachment_3_PDF.pdf

[8]FoEA submission to NICNAS regulatory consultation on Proposal for Regulatory Reform of Industrial Nanomaterials February 2010
http://nano.foe.org.au/sites/default/files/FoEA%20submission%20to%20NICNAS%20regulatory%20consultation%20Feb%202010.pdf

[9] EPA Nanotechnology under the Toxic Substances Control Act TSCA Inventory Status of Nanoscale Substances - General Approach January 23, 2008
http://epa.gov/oppt/nano/nmsp-inventorypaper2008.pdf
EPA 2008年1月23日 TSCA ナノスケール物質のインベントリー・ステータス 一般的アプローチ
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/epa/epa_080123_TSCA_nano.html

[10] United States Government Accountability Office (GAO) May 25, 2010 Nanotechnology: Nanomaterials Are Widely Used in Commerce, but EPA Faces Challenges in Regulating Risk
http://www.gao.gov/Products/GAO-10-549
GAO 2010年5月25日 ナノ物質は市場で広く使用されているがEPAはリスクを規制する課題に直面している
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/GAO/GAO_100525_nano_EPA.html

[11] COMMUNICATION FROM THE COMMISSION TO THE EUROPEAN PARLIAMENT, THE COUNCIL AND THE EUROPEAN ECONOMIC AND SOCIAL COMMITTEE / REGULATORY ASPECTS OF NANOMATERIALS / Brussels, 17.6.2008 COM(2008) 366 final
http://ec.europa.eu/nanotechnology/pdf/comm_2008_0366_en.pdf
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/11/dl/s1127-15e.pdf(2008年11月27日厚生労働省 第4回ナノマテリアルの安全対策に関する検討会 資料)

[12] EUROPEAN PARLIAMENT 7.4.2009 / REPORT on regulatory aspects of nanomaterials (2008/2208(INI)) / Committee on the Environment, Public Health and Food Safety / Rapporteur: Carl Schlyter
http://www.europarl.europa.eu/sides/getDoc.do?pubRef=-//EP//NONSGML+REPORT+A6-2009-0255+0+DOC+PDF+V0//EN
Nanotechnology Law Blog 2009年4月3日 欧州議会委員会報告書 ナノ物質について ノーデータ・ノーマーケット原則を要求
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/news/090403_EP_no_data_no_market.html

[13] Environmental Defense, April 2, 2009 REACHing for nano by Richard Denison
http://blogs.edf.org/nanotechnology/2009/04/02/reaching-for-nano/ エンバイロンメンタル・ディフェンス リチャード・デニソン 2009年4月2日 REACH ナノに手を伸ばす
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/e_defence/e_090402_REACHing_for_nano.html

[14] European Parliament Press release 24-04-2009 Nanomaterials: MEPs call for more prudence
http://www.europarl.europa.eu/news/expert/infopress_page/066-54261-111-04-17-911-20090422IPR54260-21-04-2009-2009-false/default_en.htm
欧州議会プレスリリース 2009年4月24日 ナノ物質:欧州議会もっと慎重さを要求 消費者製品中のナノ物質の表示を強く求める
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/eu/090424_MEPs_more_prudence.html

[15] Principles for the Oversight of Nanotechnologies and Nanomaterials NanoAction: A Project of the International Center for Technology Assessment
http://nanoaction.org/nanoaction/doc/nano-02-18-08.pdf
国際技術評価センター・国際NGO連合 2007年 ナノ技術とナノ物質の監視のための原則
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/CTA/Principles_Oversight_Nano.html

[16] European Trade Union Confederation (ETUC) Resolution on Nanotechnologies and Nanomaterials on 25 June 08
http://www.etuc.org/IMG/pdf_ETUC_resolution_on_nano_-_EN_-_25_June_08.pdf
欧州労連執行委員会2008年6月25日採択 ナノ技術とナノ物質に関する欧州労連決議
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/ETUC/080625_ETUC_Resolution_nano.html

[17] Australian Council of Trade Unions (ACTU), April 2009 FACT SHEET April 2009 Nanotechnology - why unions are concerned
http://www.actu.asn.au/Images/Dynamic/attachments/6494/actu_factsheet_ohs_-nanotech_090409.pdf
オーストラリア労働組合連合(ACTU)ファクトシート 2009年4月 ナノテクノロジー なぜ労働組合は懸念するのか
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/union/0904_ACTU_nano_fact_sheet.html

[18] WWICS / PEN, April 28, 2009 Former EPA Official Calls For New Environmental & Consumer Protection Agency Technological Advances Require New Oversight
http://www.nanotechproject.org/news/archive/davies4/
WWICS/PEN 2009年4月28日 元EPA高官 新たな環境消費者保護機関の設立を要求 技術の進歩が新たな監視を求める
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/PEN/090428_Call_for_New_Agency.html

[19] WWICS / PEN, May 23, 2007 EPA and Nanotechnology: Oversight for the 21st Century A Report by J. Clarence (Terry) Davies
http://www.nanotechproject.org/file_download/files/Nano&EPA_PEN9.pdf
2007年5月23日 クラレンス・デービスの報告書 EPA とナノ技術:21世紀の監視(エグゼクティブ・サマリー)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/wwics/070523_clarence_davies_EPA.html

[20] WWICS / PEN, October 5, 2006 Is FDA Nanotech-Ready? http://www.wilsoncenter.org/index.cfm?topic_id=166192&fuseaction=topics.item&news_id=202942
WWICS 2006年10月5日 FDA はナノテク対応の準備ができているか?
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/wwics/061005_Is_FDA_ready.html

[21] WWICS / PEN, December 18, 2008 Experts Argue Nano Food-Additives Require New Oversight Concern comes as new food safety agency is discussed under Obama
http://www.nanotechproject.org/news/archive/7055/
WWICS/PEN 2008年12月18日 ナノ食品添加物 新たな監視が必要と専門家らが主張 来るべきオバマ政権下での新たな食品安全局の創設が議論されているこの時期の懸念
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/PEN/081218_Nano_Food-Additives.html

[22] August 21, 2008 Consumer Product Safety Commission Not Ready For Nanotech Agency lacks budget, authority and expertise to ensure nanoproducts are safe
http://www.nanotechproject.org/news/archive/cpsc/
WWICS/PEN 2008年8月21日 米消費者安全委員会はナノ製品への準備ができていない ナノ製品の安全を確保するための予算、権限、専門的知識がない
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/PEN/080821_CPSC.html

[23] 化審法見直し合同委員会報告書(案)に対する当研究会意見(パブリックコメント)化学物質問題市民研究会 2008年11月28日提出
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/iken/shiryou/081128_kashinhou_minaoshi_public_comment.pdf

[24] 化学物質政策基本法制定ネットワーク 2009年1月版 化学物質政策基本法(試案)
http://www.toxwatch.net/cheminet/pdf/kihonhouan090111.pdf

[25] ナノ有害性研究リスト (化学物質問題市民研究会がウェブ上で紹介したナノ物質の有害性を報告する論文リスト)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/project/Nano_EHS_Paper_List.html

[26] Environment Canada New Substances Program Advisory Note 2007-06 Requirements for nanomaterials under the New Substances Notification Regulations (Chemicals and Polymers)
http://www.ec.gc.ca/substances/nsb/eng/a200706_e.shtml
カナダ環境省2007年6月新規物質プログラム 助言ノート 2007-06 新規物質届出規則(化学物質及びポリマー)の下でのナノ物質への要求

[27] 第3回産業構造審議会化学バイオ部会化学物質政策基本問題小委員会平成18年7月20日議事録 http://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/07/seisaku4/dai4kaipdf/s3b.pdf

[28] 第3回中央環境審議会環境保健部会化学物質環境対策小委員会化審法見直し分科会合同会合(第3回化審法見直し合同WG)平成20年5月29日議事録
http://www.env.go.jp/council/05hoken/y057-03b.html

[29] July 23, 2008 Nanotechnology Oversight: An Agenda for the Next Administration by J. Clarence Davies
http://207.58.186.238/process/assets/files/6709/pen13.pdf
WWICS/PEN 2008年7月23日 ナノテクノロジー監視 次期政権の課題 (エグゼクティブ・サマリー)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/PEN/080723_Nanotech_Oversight.html

[30] News Release ETC Group, October 10, 2006 ETC Group testifies at US Food & Drug Administration's public meeting on nanotechnology, October 10
http://www.etcgroup.org/en/materials/publications.html?id=594
ETCグループ ニュース・リリース 2006年10月10日 ETCグループ 米食品医薬品局のナノ技術に関する公聴会で証言
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/etc/ETC_061010_FDA.html

[31] Health Canada, October 11, 2011 Policy Statement on Health Canada's Working Definition for Nanomaterial
http://www.hc-sc.gc.ca/sr-sr/pubs/nano/pol-eng.php
カナダ保健省2011年10月11日 ナノ物質についてのカナダ保健省の作業用定義に関する政策声明
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/canada/111011_Canada_Policy_Statement_on_Nano.html

[32] Official Journal of the European Union 20.10.2011 RECOMMENDATIONS COMMISSION RECOMMENDATION of 18 October 2011 on the definition of nanomaterial
http://ec.europa.eu/environment/chemicals/nanotech/pdf/commission_recommendation.pdf
欧州委員会2011年10月18日 ナノ物質の定義に関する勧告
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/eu/EC_RECOMMENDATION_Nano_Definition.html
ピコ通信/第158号 欧州委員会2011年10月18日 ナノ物質の定義に関する勧告を発表
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/tsuushin/tsuushin_11/pico_158.html#158-3

[33] European Commission caves to industry pressure on nano definition, leaves people and environment at risk
http://nano.foe.org.au/european-commission-caves-industry-pressure-nano-definition-leaving-people-and-environment-risk
FoE オーストラリア 2011年10月21日 欧州委員会 産業側のナノ定義への圧力に屈し、人々と環境をリスクに曝す
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/FoE_au/FoE_au_EC_nano_definition.html

EUROPE - Adoption of the new definition of nanomaterials by the European Commission: first reactions and analyses
http://veillenanos.fr/wakka.php?wiki=EuropeanCommissionNanomaterialsDefinition
[34]Scientific Committee on Emerging and Newly Identified Health Risks / SCENIHR, 6 July 2010 Scientific Basis for the Definition of the Term “Nanomaterial”for public consultation
http://ec.europa.eu/health/scientific_committees/emerging/docs/scenihr_o_030.pdf
2010年7月6日 新規の及び新たに特定された健康リスクに関する科学委員会(SCENIHR) ”ナノ物質”という用語定義のための科学的根拠 パブリック・コンサルテーション用(エグゼクティブサマリー)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/eu/SCENIHR_100706_definition_nano.html

[35] MEMORANDUM FOR THE HEADS OF EXECUTIVE DEPARTMENTS AND AGENCIES June 9, 2011 Policy Principles for the U.S. Decision-Making Concerning Regulation and Oversight of Applications of Nanotechnology and Nanomaterials
http://www.whitehouse.gov/sites/default/files/omb/inforeg/for-agencies/nanotechnology-regulation-and-oversight-principles.pdf
米大統領府 2011年6月9日 米国省庁の長へのメモランダム ナノテクノロジーとナノ物質の応用の規制と監督に関する米国の意思決定のための政策原則
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/US_White-House/Policy_Principles_Nano.html

[36] U.S. Department of Health and Human Services Food and Drug Administration Office of the Commissioner June 2011 Considering Whether an FDA-Regulated Product Involves the Application of Nanotechnology Guidance for Industry
http://www.fda.gov/RegulatoryInformation/Guidances/ucm257698.htm
FDA 長官室 2011年6月9日 FDA 規制製品がナノテクノロジー応用に関わるかどうかを検討する産業向けガイダンス
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/FDA/FDA_110609_Draft_Guidance.html

[37] EPA News Release, 9 June 2011 EPA Proposes Policy on Nanoscale Materials in Pesticide Products
http://yosemite.epa.gov/opa/admpress.nsf/0/05FF063E9205EB3C852578AA005AA0F8
EPA 農薬 2011年6月9日/7月更新 ナノテクノロジーを使用する農薬の規制
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/epa/epa_110609_proposal_nano_pesticides.html



化学物質問題市民研究会
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