欧州議会プレスリリース 2009年4月24日
 ナノ物質:欧州議会もっと慎重さを要求
消費者製品中のナノ物質の表示を強く求める


情報源:European Parliament Press release 24-04-2009
Nanomaterials: MEPs call for more prudence
http://www.europarl.europa.eu/sides/getDoc.do?language=en&type=IM-PRESS&reference=20090422IPR54260

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会
掲載日:2009年5月2日
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/eu/090424_MEPs_more_prudence.html

 欧州議会は消費者製品中のナノ物質の使用に関する消費者への情報の提供を求める。実質的ナノ物質、混合物またはナノ粒子の形状で存在する全ての成分は製品のラベルにはっきりと表示されるべきである(例えば、成分リストの中でそのような成分の名前はかっこをつけて”ナノ”と表示する)。

 欧州議会議員らは、ナノ物質の実際の特性を考慮すれば、欧州共同体における法律に事実上のナノ応用について適切に評価をする条項が存在しないことを残念に思う。

 議会は、ナノ物質は一方で その小さなサイズのために反応性と移動性が高まり、人の体への無制限な侵入との組み合わせで、おそらく毒性が高まり、ヒトや環境中の生物種の生理機能を阻害する全く異なるメカニズムがおそらく関与して、新たな重大なリスクを引き起こすかもしれないと述べている。

 ナノ物質は通常の形状で同一組成の物質に比べて異なる、あるいは新たな特性を持つことができるので、ナノ物質とナノテクノロジーの利用は、消費者、患者、そして環境のための数えきれない応用で多くの便益をもたらす重要な進歩を約束する。

 議会は欧州委員会に対し、特に下記の観点からREEACHを見直すことの必要性を検討するよう求める。
  • 1トン以下で製造又は輸入されるナノ物質の簡略化された登録
  • 全てのナノ物質を新規物質としてみなすこと
  • 全ての登録されたナノ物質について暴露評価を伴った化学物質安全報告書
  • それ自身、調剤中、または成型品中の市場に出される全てのナノ物質に対する届け出要求
 議会議員らはまた、特に欧州委員会に対し、特に下記の点に関する労働者の立法保護を見直すことの必要性を検討するよう求める。
  • 閉鎖系でのみ、又は信頼性をもって暴露を検出又は管理することが可能でない限り、労働者が暴露しない他の方法でのナノ物質を使用すること
  • ナノ物質の使用から生じる製造者及び雇用者に対する責任を明確にすること
  • 全ての暴露経路(吸入、皮膚、その他)に対応しているかどうか
消費者保護

 議会は、消費者製品中のナノ物質の使用に関する消費者への情報の提供の要求を繰り返す。実質的ナノ物質、混合物またはナノ粒子の形状で存在する全ての成分は製品のラベルにはっきりと表示されるべきである(例えば、成分リストの中でそのような成分の名前はかっこをつけて”ナノ”と表示する)

 議会議員らは、多領域アプローチを用いて、ナノ物質のハザードと、事故時を含んでナノ物質の全ライフサイクルにおける労働者、消費者、環境の暴露を評価するための適切なテスト手法と測定基準を緊急に開発することを要求する。

 報告書(訳注1)は賛成391、反対3、棄権4で採択された。



訳注1:
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化学物質問題市民研究会
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