オーストラリア労働組合連合(ACTU)
ファクトシート 2009年4月 ナノテクノロジー なぜ労働組合は懸念するのか 情報源:Australian Council of Trade Unions (ACTU), April 2009 FACT SHEET April 2009 Nanotechnology - why unions are concerned http://www.actu.asn.au/Images/Dynamic/attachments/6494/actu_factsheet_ohs_-nanotech_090409.pdf 訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会) 掲載日:2009年4月18日 このページへのリンク: http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/union/0904_ACTU_nano_fact_sheet.html ナノテクノロジーは微小な科学として知られている。ナノ粒子は10億分の1メートル、あるいはヒトの髪の毛の太さの10万分1である。サイズだけがナノ粒子に特異さを与える特性ではない。物質がそのように小さくなるとそれらは新たな特性、例えば、新たな光学的特性又は磁気的特性を示すようになる。 ナノテクノロジー研究と開発は急速に動いており、すでに日焼け止めや化粧品、食品や建材のような日用品が800種以上存在する。ナノ物質で開発された製品は、航空機、自動車、食品、コンピュータから医療や治療にいたるまで、多様な産業分野で見つけることができる。 なぜナノ粒子について懸念があるのか? ナノ粒子は、そのサイズ、表面積、及び毒性のために有害となることがある。それらは吸入又は皮膚を通じて吸収されうる。スコットランドのエジンバラ大学MRC炎症研究センター(CIR)の研究者によりネイチャー・ナノテクノロジーに発表された研究は、多層カーボンナノチューブはアスベスト繊維と同じ細い針のような特性を持っており、マウスがナノチューブに暴露するとアスベスト繊維と同じ物理的反応を中皮にもたらす[1]。 他の研究はナノ物質が腸又は肺に堆積するとそれらは血流に入り込み肝臓や脳に移動する[2]。 ナノ物質を扱う職員に対する助言の中で、米マサチューセッツ工科大学は、”一度体内に入り込むとある種のナノ粒子は転移する能力を持ち、中枢神経を含む他の器官にまで分布するかもしれない”と述べている[3]。 オーストラリア及び国際的な規制の動向 労働組合はナノテクノロジーが重要な潜在的能力を持つということに同意するが、規制が必要であるということを主張する。ナノ物質が健康と安全に独特の有害性を示す証拠が増大しているにもかかわらず、世界中でナノに特化した規制を導入している国はない。オーストラリアを含む規制当局は労働者をナノサイズ物質から守るよう設計されていない既存の規制に頼っている。 つい最近、発表された欧州労働安全衛生機構(European Agency for Health and Safety at Work)の報告書の中でナノ粒子は労働者のリスクのリストのトップを占めた[4]。 フランス政府はナノ物質を規制するためのタイムテーブルを策定した。 労働安全オーストラリア(Safe Work Australia)もまた、ナノテクノロジー労働安全衛生研究プログラムを立ち上げ、ナノテクノロジーの労働安全衛生(OHSを)評価する研究が必要であることを認めた[5]。 ニューサウスウェールズ(NSW)州地域開発局の最近のナノテクノロジー調査は国家義務的ラベル表示制度が職場で使用される全ての工業的ナノ物質に適用されるべきことを勧告した。 欧州議会議員ら(MEPs)は最近、ナノテクノロジーを利用して製造した食品(ナノ食品)の安全評価のためのより厳格な新たな規則を制定した[6](訳注1)。 オーストラリア国立大学 (ANU)アカデミックのトーマス・ファウンス教授は、OECDはナノ粒子毒性を調査しているが、その結果はいつ出るのかわからない。一方、オーストラリア政府は化粧品と食品に安全基準を導入しなくてはならない[7]。ファウンス教授の見解を示したプレゼンテーションは下記からダウンロードできる。 http://www.actu.asn.au/Images/Dynamic/attachments/6365/Regulatory%20Aspects%20for%20Nanoscience%20-%20Tom%20Faunce.pdf ナノ物質に関わる職場の作業 職場における下記の作業はナノ物質への暴露のリスクを増大するかもしれない。
http://www.actu.asn.au/HealthSafety/Campaigns/ACTUSeminarNanotechnologyTheNextAsbestos.aspx
訳注1
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