WWICS/PEN 2009年4月28日
元EPA高官 新たな環境消費者保護機関の設立を要求
技術の進歩が新たな監視を求める


情報源:Woodrow Wilson International Center for Scholars (WWICS)
Project on Emerging Nanotechnologies (PEN), April 28, 2009
Former EPA Official Calls For New Environmental & Consumer Protection Agency
Technological Advances Require New Oversight
http://www.nanotechproject.org/news/archive/davies4/

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2009年7月21日
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/PEN/090428_Call_for_New_Agency.html


【ワシントンDC】 既存の健康及び安全機関はナノ技術の進歩に対応したリスク評価、標準化、及び監視に対処することができない。アメリカは、現状の汚染の形態に対応し、急速な21世紀の科学進歩によって約束された技術的に複雑な製品の健康と環境影響を扱うための新たな機関を必要としている。

 画期的な論文、『次世代ナノテクノロジーの監視(Oversight of Next Generation Nanotechnology)』で、J. クラレンス(テリー)・デービスは、製品規制、汚染管理監視、及び技術評価を監督するために新たな環境消費者保護庁の設立を求めている。

 デービスによれば、”連邦規制当局はすでに予算不足と官僚的硬直化の害を被っており、新たな技術の潜在的な有害影響を適切に扱うためには、彼らは単に予算の増額や小さな規則の修正以上のものを求めるであろう。新たな思考、新たな法律、そして新たな組織形態が必要である。これらの変化の多くは完成するのに10年以上かかるであろうが、急速な技術変化があるのだから、それらについて今、考え始めるべき緊急の必要性がある”。

 21世紀には、各国政府は普通の材料や化学物質をナノスケール下で極めて複雑な方法によって操作することを可能とする新興の技術に直面するであろうが、これらの技術は人の健康環境に未知のそしてまだ理解できないリスクを及ぼすかもしれない。これらの新規の物質は、化粧品から車のバッテリー、そしてがんの治療まで、およそ考えられる全ての製品の性能を改善するが、それらが及ぼすかも知れないリスクについてはほとんど知られておらず、それらのライフサイクル影響に関する多くの疑問がある。

 ”新たな環境消費者保護庁というアイディアはある人々には突飛に見えるかもしれないが、1970年にEPAが設立される前は、人の健康と環境に有害な汚染物質を規制することに特化した組織などというアイディアもまた、突飛であった”と新興ナノテクノロジーに関するプロジェクト(PEN)のディレクターであるデービッド・リジェスキーは述べている。”今日、EPAや消費者製品安全委員会のような機関は、先端的ナノテクノロジーや合成バイオロジーによって可能となる製品により及ぼされる課題に対応するために必要なリソースやツールが不足している”。

 報告書の序文で、初代EPA長官ウイリアム D. ラッケルズハウスは報告書の中で概要が示されている環境消費者保護庁について次のように指摘している。”現在の規制機関よりもっと科学的な機関であり、管理のためのもっと統合されたアプローチと監視を導入することになるであろう”。提案される機関は、子どものおもちゃに含まれる有害物質やナノテクノロジーのように、より新しい現在の問題を処理するために、製品規制のより統合された管理と統一されたメカニズムを促進するであろう。デービスによれば、汚染管理に対するより統合されたアプローチはEPAが設立される前にも必要であったし、その時以来、その必要性はますます増大している。

 ”約40年前、EPAは、人が環境に及ぼすたダメージの統制と規制を大きく変えた”とリジェスキーは述べている。”しかし現在、新たな世紀に入り10年近く経過したが、アメリカは大胆に前進し、もっと全体論的で先を見越した方法で汚染と暴露に対応する必要がある。最小の環境影響で技術的革新を確実なものにするために、新たな展望と使命をもった新たな機関が必要である”。


訳注:関連情報


化学物質問題市民研究会
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