エンバイロンメンタル・ディフェンス
リチャード・デニソン 2009年4月2日
REACH ナノに手を伸ばす

情報源:Environmental Defense, April 2, 2009
REACHing for nano
by Richard Denison
リチャード・デニソン(上席科学者)
http://blogs.edf.org/nanotechnology/2009/04/02/reaching-for-nano/

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2009年4月22日
このページへのリク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/e_defence/e_090402_REACHing_for_nano.html


 私の以前の記事で、私は欧州連合の化学物質のための規則 REACH は、ナノについて言及したことはなかったしナノを想定して開発されなかったという事実があるにもかかわらず、ナノ物質に必要な規制に対応するのに役に立つと主張した。しかし、私はまたREACHは適切なナノ管理を確実にするためには微調整以上のものが明らかに必要であるということを述べた。どうも欧州議会はついにそのことに同意したらしい。

 つい先日、欧州議会環境委員会は REACH のナノに特化した見直しと更新を求める報告書を承認した。(参照:1月の報告書の更新を今週承認された修正版

 最も注目に値することは、この報告書が REACH の要石である”ノーデータ・ノーマケット”をナノ物質にまで拡大することを求めていることであり、このことはナノ物質はその製造者によって少なくとも安全性を評価するための基本的な情報が提出されない限り市場に出すことも市場にとどまることもできないことを意味する。

 この報告書はまた、REACH の下に、ナノに特化した定義、テスト及び評価の手順、及びデータ要求の開発を求めている。

 この報告書は欧州委員会が REACH の下でどのようにナノ物質に対応するかについての自身の勧告を発表してから長い時間が経たずに出てきた。欧州委員会は多くの課題、とりわけ安全データの不足と現在のリスク評価手法を適用することの難しさに言及しているが、欧州委員会は REACH は”原則として”ナノ物質の潜在的なリスクに対応していると主張している。同じ基本的な問題に目を向けながら、欧州議会の報告書は、REACH は現状の形ではナノ物質に適切に対応できないという正反対の結論に達している。

 議会の委員会が勧告する REACH の変更点は下記の要求を含む:

  • 製造又は輸入されるナノ物質のための簡略化した登録 (閾値は重量ではなく、例えば、表面活性度に基づく)、及び物理化学的特性に加えて毒性学的及び生態毒性学的影響に関するデータの供給
  • ハザード特定のあるなしに関係なく、全ての登録されるべきナノ物質について暴露評価を伴った化学物質安全報告書
  • 重量及び濃度の閾値に関係なく、全ての市場に出されたナノ物質自身、調剤中又は成形品中のナノ物質の届出
 更なる詳細とドキュメントリストについては、Euractiv, ENDSEurope 及び ChemicalWatchを参照のこと。(後の二つはsubscriptionsが必要)


訳注:関連情報


化学物質問題市民研究会
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