WWICS/PEN 2008年12月18日
ナノ食品添加物
新たな監視が必要と専門家らが主張

来るべきオバマ政権下での
新たな食品安全局の創設が議論されているこの時期の懸念

情報源:Woodrow Wilson International Center for Scholars (WWICS)
Project on Emerging Nanotechnologies (PEN)
December 18, 2008
Experts Argue Nano Food-Additives Require New Oversight
Concern comes as new food safety agency is discussed under Obama
http://www.nanotechproject.org/news/archive/7055/

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2008年12月26日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/PEN/081218_Nano_Food-Additives.html


【ワシントン DC】ナノテクノロジー政策専門家らはナノスケール物質を含む食品添加物は、それらの使用が意図しないリスクを及ぼさないということを確実にするために、新たな安全テストを受けるべきであると主張している。

 この要求は、来るべきオバマ政権が直面する主要な規制の課題としてナノテクノロジーが出現するであろうことに関連する。それはまた、食品医薬品局(FDA)の組織をどのように改革し、別の食品安全局を創設するというような議論もある中で起きている。

 PENの政策専門家らは、FDAが食品添加物の既存リストと”一般的に安全であるとされる(generally recognized as safe (GRAS) )”物質(訳注1)をどのようにナノスケール物質に適用するかに関する指針をFDAが発行するよう強く求めている。FDAによるそのような措置は消費者と新たな技術に対する民間企業の投資を高めるであろう。食品中でナノスケール物質を使用している会社によれば、この技術は食品の味、品質、及び安全性を改善するために用いられる。

 ”FDAがナノ食品添加物のための指針を示さないので、物質が新たな特性を持っているにもかかわらず、製造者が自分自身で判断し、FDAの認可を得ずに市場に出すことを自由にさせている”とPENのディレクター、デービッド・リジェスキーは述べた。”上市前安全評価と組み合わせたナノスケール食品添加物のための明確なFDA指針ができれば、それはナノスケール物質に基づく新たな応用を産業が開発するための平等な土俵と交通ルールを提供するであろう”。議会は、真に安全であるとみなされる添加物を上市前承認要求から免除することにより、システムの監督に柔軟性を与えるGRASコンセプトを生み出した。FDAと産業界は、安全性が専門家により認められているよくテストされた物質のための食品添加物承認手続きを回避するために長年この権威を利用してきた。

 ”今や、ナノスケール食品添加物の安全性を示す科学的証拠は GRAS 基準を十分に満たしていることを示すべき時である。しかし、科学は現在、信頼を満たすレベルにはない”とPENの主席顧問アンドリュー・メイナードは述べている。

 世界のナノテクノロジー食品市場は2010年までに200億ドル(約2兆円)以上の成長を遂げると見積もられている。現在、消費者が入手可能であり、製造者がナノテクノロジーであると主張する食品・飲料分野における84の消費者製品を含む目録はここをクリックしてアクセスできる。

 食品おけるナノテクノロジーがFDAの監視と消費者の認識を求める課題を詳しく述べた多くのPENの報告書を及び声明はここをクリックして入手できる。


訳注1GRAS/ウィキぺディア
 GRAS(グラス)とはGenerally Recognized As Safeのアクロニムであり、日本語では一般に安全と認められると翻訳されるアメリカの食品添加物のステータスである。 動物実験などによる充分な毒性データがないものの、長年の食経験や科学的な知見などを総合して評価した場合に、食品添加物としての使用に際立ったリスクがないとみなされた物質がこれに該当する。

訳注:関連情報


化学物質問題市民研究会
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