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「詩的暮らし」

最近聞いた話ですが、人間が「感動」するとき、「言葉」は無くてはならない存在なのだそうです。

文字を知らない人が「青空」という言葉を知り、はじめて空の美しさを知る。「美しい」という言葉で、見過ごしていた小さな「美しさ」に気づく。

そう言えば、小さな子どもはお母さんと散歩をしながら言葉と感動を同時に覚えていますね。「ほら、あの木、きれいな葉っぱが出てきたね」「あら、雨の匂いがするよ」…。言葉と同時に、その存在をどう認識するか、生かすも殺すも言葉次第とも言えます。

感動することは、地球上で人間だけがもらった特権かも知れません。あなたも、ご自分の言葉をもう一度見つめてみませんか?


言葉選びの楽しさ

「…いいお天気ですねえ」、「つまらない物ですが…」。あたりまえのように話す会話の中にも、「あれ?」と思う言葉が隠れています。日照り続きで、雨が降らないかと願う農家の人がいるかも知れません。あなたが差し出している物は、本当に「つまらない物」なのでしょうか。

「詩的暮らし」は、見過ごしていたことに目を向け潤いをもたらしてくれます。さあ、言葉選びのレッスン始めてみましょう。

見上げた空は、何色?(空色、なんて言わないで)鏡に映ったあなたはどんな人?自分のどこが好き?感謝したい人はだれ?その人にひとつだけ言葉を贈るとしたら?子どものころに見た夢は?今、一番行きたい場所は?そこには何がある?「まあ!」「あら!」…「!」のつく言葉を最近口にしましたか?

言葉にする前に、ひとつひとつ想像をめぐらせて、よーく感じてみてください。


「名古屋リビング新聞」2002年09月
『わ・た・しの時間』