白樺八青(しらかば・やお)オフィシャルウェブサイト〜風の通る部屋〜 

エッセイ>わ・た・し・の時間

「美術館の楽しみ」

その場所へしょっちゅう足を運ぶ人、一方で、足を踏み入れた記憶もほとんどない人。ふたつに分かれるのが美術館でしょう。さて、あなたはどちらですか?私は、といえば…普段それほど美術館へ出かける趣味はないのですが…。

でも、たまたま興味のわく作品展のポスターを目にしたり、思いがけずチケットを頂いたりすると、日常からしばし「心の旅」に出かけます。まさにそう、「非日常の空間」としてこれほどパーフェクトな場所は、ほかにありません。

まず美術館へ出かけたら、入館する前に、その「建物」を楽しみましょう。郊外や、山の中に建つそれは、そのものが芸術作品という佇まいのものが多いのです。外回りの景観を見るだけでも一層心楽しくなります。


好きな作品との出会い

ひとつ贅沢を言わせて頂けるなら、比較的すいている平日に、しかもひとりで行きましょう。(本当に贅沢!)なぜなら、楽しみは一人一人ちがうので、自分のペースを保つためです。

芸術作品との出会いは、インスピレーションです。向こうからこちらめがけて視界に飛び込んでくるものがあるはずです。それは、運命の出会い。「あなたに出会うために私ここへ来たのね!」…なんて、ちょっとドラマティックに思ってみれば、さらにさらに非日常度は増します。

美術館の空間に身を置くと、小さな不思議が息づいています。人の話も半分しか聞かない、新聞も斜め読みの私が、ひとつところでこんなにも時間を忘れて見つめていられる。

そして、再び日常の世界に戻ったときには、吹く風が、世界が、少しだけ変わって見えるかも知れません。


「名古屋リビング新聞」2002年07月
『わ・た・しの時間』