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「専業主婦」

ひと昔前、「主婦」対「キャリアウーマン」などと、お互いが宿敵のように描かれた時代がありました。そして私自身、子供のころから母も働き、いわゆる専業主婦の方とおつきあいするチャンスがほとんどありませんでした。

そんな私が、最近主婦の会話をとても楽しんでいるのです。それは、講師で招かれる朗読サークルでのこと。受講者はほとんどが主婦。講座終了後、お昼ご飯に誘って頂くと、時間が許す限りいそいそとついていきます。

お話しの中身は、私にとって新鮮そのものです。ハーブや野菜作り、ガーデニング、手芸、洋裁、ピクルスや漬け物、アイロンのかけ方、あるいは、お年寄りとの過ごし方。

彼女たちは、家事のエキスパートであり、周りの人の喜びが彼女たちの喜びでもあります。ただ悲しいかな、こんなにも豊かな主婦の仕事が、社会の中であまりにも認知されていないのです。勤続何十年の男性諸氏に比べても、引けを取らないキャリアと自信を兼ね備えているというのに。

さてさて私は、と自らを省みると…手抜きと即席、落ちこぼれ主婦。情けない限りです。

そんな私の気持ちを察してか、こんな言葉をもらいました。「主婦業まで完璧にしようなんて、欲張りね。あれもこれもと欲張って、イライラ過ごすより、手抜きでも笑っている方が自分も家族も幸せなはずよ。」

「主婦」という人生を楽しむ達人からの素敵なメッセージでした。


「名古屋リビング新聞」2003年08月
『白樺八青の Heartの休息』