白樺八青(しらかば・やお)オフィシャルウェブサイト〜風の通る部屋〜 

エッセイ>わ・た・し・の時間

「日帰りひとり旅」

ずいぶん日差しがまぶしくなりました。太陽が輝きを増すと、人はなぜか水のある場所が恋しくなります。川のほとり、噴水のある公園、ボートの浮かぶ池、それとも…今日は思い切って海を見に行きませんか。

ここ中部地方は、海が比較的近くにあります。知多半島も渥美半島も志摩半島も、ちょっとがんばれば日帰りで出かけられる距離にあります。

何かの拍子に半日自由になれる日ができたら、ぶらっと朝から出かけてみませんか?そうですね、お友達を誘ってもいいでしょうけど、たまには思い切って、ひとりっきりはいかがでしょう。「そういえば、ひとりで遠出するなんて今までなかったわ」…そういう人に、ぜひお薦めなのが、この「日帰りひとり旅」です。

出かけるには、車も便利だけれど…やっぱり電車ですよね。窓外の景色を楽しみましょう。街の風景、キラキラお日さまが反射する田植えあとの水田、見知らぬ鳥の飛ぶ青空、小さな木造校舎、なだらかな丘陵。そしてようやく、水平線を惜しまず描く海が広がります。


優雅なひとときの中で

浜辺に出てみると、雄大な海に、よくもこれだけのディテールが存在するものだと感心するくらいの小さな命が生きています。そして無数に散らばる貝殻、打ち上げられた流木、人々が落としていった、あるいは流していったモノ…。

その一つ一つに、歴史やドラマが想像できたら、あなたのひとり旅は大成功!「うちは大丈夫かしら?」「晩ご飯の買い物を帰りにしなきゃ」、なんてことは今は考えない、考えない!

お昼は海の幸を使った少し贅沢なランチです。食後のお茶も、海を眺めながらゆっくりと楽しみましょう。

これだけの優雅な時間を過ごしても、意外に時間とお金はかからないものです。ただ必要なのは、思い切りだけ。出かけようと行動すること。

「何かいいことあったの?」ちょっといつもと違うあなたに、その日のテーブルで顔を合わせた家族から、そんな声がかかるでしょう、きっと。


「名古屋リビング新聞」2001年5月
『わ・た・しの時間』