白樺八青(しらかば・やお)オフィシャルウェブサイト〜風の通る部屋〜 

エッセイ>白樺八青のHeartの休息

「こころ」

体がだるい、何をするにも今まで以上のエネルギーがいる。そんな状態がしばらく続き、心配する家族を安心させるために病院で検査を受けました。

案の定、体のどこにも異常はありません。やっぱりと思ったその時、お医者さんから思いがけない言葉をかけられました。「軽いうつ状態ですねえ」。いきなりそう診断されたのです。まるで、はやりの風邪ですねえ、と言われるように。

自分が「うつ」と診断されるタイプの人間だとは思っていなかったので、少なからず驚きました。その上先生は、「梅雨のない北海道へでも出かけてみたらどうでしょう」。日々に追われる私に無理難題のアドバイスまでくれます

病院からの帰り道、夕空の向こうに北海道の広い空を思い描きながら、自分の心を見つめてみました。ささやかな日常の中で、「責任」という名の数え切れない荷物を背負い、いい人と思われたくて、断り切れなかったたくさんのこと。そんな積み重ねが体にまで「無理」を及ぼしていたようです。

とにかく休むこと、それが経験者の助言でした。それは北海道旅行に比べたらかなり現実的です。思い切って、一日何もしないで休んでみました。

翌朝、いつになく目覚めもよく公園の木々の緑が深くなっていることに気づきました。心が少しだけ息を吹き返した感じです。あなたは自分の心が見えますか。どうぞ時々のぞいてみてください。


「名古屋リビング新聞」2003年07月
『白樺八青の Heartの休息』