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「声」

突然ですが、「自分の声」って意識したことありますか?

このごろ朗読講座や自己表現講座で受講生の人たちと話して、自分の声を嫌っている人が多いことに気づきました。テープに吹き込まれた自分の声を聞いて、「いやだ、私の声ってこんなに暗いの?こんなにぶっきらぼう?」

実はこれ、テープや録音機の性能のせいじゃないのです。自分では、自分の声がよく聞こえないというトリックがあるからです。はっきり言いましょう。そのテープから聞こえてくる声が正真正銘のあなたの声、正確に言うと、人が聞いているあなたの声なのです。

あらためて聞くと、声の質だけではなく、高さや抑揚も思っていた感じと違いますよね。自分ではかなり感情表現豊かに話しているつもりなのに。


朗読ノススメ

「顔」は、女性なら毎日鏡を見て多少なりとも認識しているはずですが、「声」となると途端に不安におそわれます。私の声ってどんな声?

なのに、自分の声に無頓着な人でも、人の「声」には敏感なのです。だって、人の第一印象を良くも悪くも決めてしまう力を「声」は持っているのですから。

でも悲観しないでください。まだ目覚めていないあなたの一番いい声は必ず見つかります。そう、「声」を意識したこの瞬間から。

今、朗読がブームなのはご存じですよね。さっそく始めてみましょう。テーブルの上の新聞だって素晴らしいテキストです。一人になったら思い切って感情豊かに声を出して読んでみましょう。初めは思うような表現はできないけれど、だんだん朗読の深い世界が広がってゆきます。

自分の声を見つめること。それは、あなたの心のあり方を見つめ、あなたの人生に輝きを増していくことなのです。


「名古屋リビング新聞」2001年6月
『わ・た・しの時間』