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「子育ての季節」

私には、子どもが小さかったころに作ったいくつかの歌があります。

赤ちゃんがお腹にいるときの気持ちを描いた「マタニティ」、月の光の中で我が子の寝顔を見ながらごめんねとつぶやく「夜想歌〜かあさんのひとりごと」、育児に悩む友の電話にエールを送る「育児相談・深夜便」、ふと見上げた青空に赤ちゃんのころの姿を思い出す「飛行機雲」…。

我が子もあっという間に成長してしまい、久しく歌わなくなった歌をこのごろまた歌うようになりました。子育てまっ最中の時とは違う気持ちで歌えるようになったからでしょうか。

もちろん、我が子はまだ中学生。今も現役ママに違いはないのですが、鼻水もご飯粒も一緒くたで化粧っけもなく走り回っていた時代を思えば、ずいぶん終盤さしかかっていると言ってもいいでしょう。

思いを書きとめよう

そんな私が歌う子育てソングは、どうやら現役ママにとっていわゆる癒しの歌になっているようです。「わかる、わかるわ、子どもはかわいいけど大変なのよね子育てって…。」

作ったときには見過ごしそうな出来事が、距離と時間をおくことでくっきりと浮かび上がります。また、思ってもみなかったことですが、私の子どもたちにとっても、大切な歌になりつつあるのです。

子育てのひととき、ほんの一瞬の思いを書きとめてみませんか。当たり前だったことが時の流れの中でどんなにたくさん忘れられてしまうものか、その小さな作品は教えてくれます。

そして、子どもに訳もなく感情をぶつけたくなったときにぜひ引き出しから取り出してみてください。


「名古屋リビング新聞」2002年03月
『わ・た・しの時間』