身体表現性障害と漢方薬
身体表現性障害(身体症状症)は、一般的な身体疾患を思わせるような症状を表しますが、一般的な身体疾患や他の精神疾患では説明できないもので、著しい苦痛、社会的な機能障害があり仮病ではないもので
- 身体化障害(ヒステリー)
- 心気症
- 疼痛障害
- 身体醜形障害
- 転換性障害
などを総称しています。
背景には、社会的、家庭的な人間関係のストレスが考えられます。
身体表現性障害の症状
身体化障害
身体化障害の症状は、頭痛、吐き気、下痢、便秘、疲労感、生理痛、性交痛、性欲減退、勃起不全(ED)、不安、抑うつ感、失神などがあり青年期から30歳代の女性に多く見られます。人に助けてもらいたい感情が強くなり、それが満たされなければ怒りや不満といった感情に変わります。
心気症
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身体醜形障害
実際には身体的欠陥がないか、些細なことであっても自分の外見に欠陥があると思い込むことを身体醜形障害と言います。思春期に多く見られ、人と会うのを嫌がったり人目を避けるようになります。
転換性障害
昔はヒステリーと言われていたもので、若い世代に症状が出やすく、女性に多い傾向にあります。手足のマヒ、体の一部の感覚がなくなります。単発的な発作で収まることが多いですが、慢性化する場合もあります。
疼痛障害(心因性疼痛)
疼痛障害(心因性疼痛)は、精神的な要因により起こる痛みで、痛みやその強さを具体的に説明したり、痛みのある部位を見ても客観的変化はない場合を言います。痛みを繰り返すことで不安感や恐怖感が強くなってきます。
身体表現性障害と漢方薬
身体表現性障害は、心と体のアンバランスと心と体の連絡がうまく行っていない状態と見ます。以前から使われている病名の心身症を含む広い捉え方で、現在では身体表現性障害と表現しています。
漢方は「心の医学」であり、心や気のあり様を大切にし、心と体を一体として全人的にその病態と病人を把握しようとします。
漢方理論の一つである「気血水」でみると気が巡らなければ、血水のめぐりが悪くなり不調となります。身体表現性障害の特徴的な症状である疼痛は、漢方では、瘀血(血毒)、水毒が原因として把握し、それに対応す漢方処方を使います。元は気のめぐりがうまく行かないことに起因します。
漢方の古い言葉に「通ざれば則ち痛む」というものがあり、まさにこのことを言っています。
人には恒常性というものが備わっており常に心身のバランスを正常な状態に保つように働き各臓器、各器官、神経、精神の安定を保っています。しかし、様々なストレスに対して対応できなかったり、過剰反応をしてしまうことで心身のバランスを損ね症状として現れます。
漢方は、心と体のバランスを気血水、陰陽・虚実・表裏・寒熱、五行論と言った漢方独自の物差しで、宇宙の中の小宇宙としての人の心身のゆがみを把握し、それによって生じた気毒、血毒、水毒をさばき、病める人自らの力で立ち直る手助けをしてくれます。そして、その処方は、その人その人の証に従った漢方処方を使うオーダーメイドの心身トータルケアと言えます。
特に気持ちを安定させたり、元気ややる気を生み出してくれる気剤というものがあり、西洋薬にはない大変ありがたい薬です。その最たるものが麝香で、1300年前から日本でも使われてきており、江戸時代以降は、一般的に庶民も使っていました。
昔から、人は感染症だけでなく、心の病も抱えていました。その背景には今で言うストレスがあり、外からのストレスは勿論のこと内からの要因として自らの七情(怒・喜・思・憂・恐・悲・驚)をどうコントロールするかを漢方理論に基づき養生・食養生(薬膳)・心養生そして漢方薬を使い対処してきました。
たとえばパニック障害は、最近の病気のように思えますが、すでに1800年前の漢方薬の聖典「傷寒論」金匱要略」には奔豚気病としてその病態、症状が記され、更にそれに対応する漢方薬も記されており、現代でもその漢方薬が、パニック障害や予期不安で困られている方の改善に大変役立っています。
身体表現性障害を訴える女性は、更年期障害を考慮することも必要ですが、更に広い範疇である「血の道症」と捉えることも重要で、江戸時代に出来上がった日本独自の漢方的な女性の心身の病態把握を理解し、先人の叡智を利用し改善したいものです。
人は、昔から、大なり小なりストレスの中で生きてきました。昔は人間関係をはじめ戦争や飢餓、感染症などのストレスが大きかったと思いますが、現代では、更に人間関係は複雑になり、複雑化した社会ストレスやハイテク化によるストレスなどもあり、また、食生活の変化も心身に大きなストレスを与えています。一見豊かな食生活に見えますが、季節を感じない食材、気候風土の違う地球の裏側の食材、食品添加物、腐らないカビないコンビニ食など。人は体だけではなく心も食べ物で出来ていると思い、一食一食の食事に生きた気のあるものをいただかなければ、正しい健康は保てません。まさに漢方の食養生・薬膳の実践は現在なくてはならない私たちの命の源とも言えます。
身体表現性障害などストレスに関する漢方薬・養生法のご相談は。上郡町の漢方芍薬堂へお気軽にご相談ください。
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