男性不妊症

最近は、女性の不妊症だけではな男性不妊症の症例も多く、その原因として精索静脈瘤、精子の運動不足(精子無力症)、精子の数が少ない(乏精子症)、精子の奇形(精子形成障害)、無精子症、精子輸送管閉塞、ED(勃起不全)などがそれに当たり、最も多いのが精索静脈瘤です。

 

 また、精神的ストレスが多く、不規則な生活で心身が疲れておられる方も多く心因性ED(心因性勃起不全)になるケースも多く、それらの改善を目的に、強壮、強精と共に抗ストレスを目標として、証に従って漢方薬を使われれば、大変お役に立ちます。特に男性不妊症においては、ストレスの解消・発散が大切な点でもあります。

 

 夫婦そろって漢方薬をのまれるとお二人の意識も高まり、お互いが理解でき、精神的にもプラスになることでしょう。特にタイミング療法をされている場合、男性は結構ストレスを感じEDになっている可能性もありますのでメンタルケアを含めた漢方薬が大変有効です。

 

 また、妻の方が一生懸命不妊治療をして、病院でも何ら問題ないと言われ、夫の方を検査すると、夫の方に精子数が少ない、精子の運動性が低いなどの問題が見つかり、
 結局、漢方薬を用いた夫の改善で無事子宝に恵まれたケースもあります。不妊症を意識し始めたら、早期の時点で夫も検査をお勧めします。

 

 最近では、ご夫婦でご一緒に、それぞれ証に合った漢方薬をのまれる方も増えてき、良い結果も多くなってきました。
 勿論、食養生(食生活)も大切ですので下段の法で食養生についてお話します。

 

男性不妊症の原因

造精機能障害
男性不妊症の最も多い原因の一つです。

  • 無精子症
  • 精子無能力症
  • 乏精子症
  • 染色体異常
  • 精索静脈瘤
  • 逆行性射精

性行為障害
事故、糖尿病、精神的その他の理由で勃起しない。

  • ED(勃起不全)
  • 早漏、遅漏
  • 膣内射精不能

精管通過障害
精子はあるが、精子の通過が妨げられている。

  • 精巣上体炎
  • 閉塞性無精子症

男性不妊症と漢方薬

男性不妊症ED(勃起不全)含めその人その人に合った処方を決定します。年齢に不相応な身体機能低下の場合もあります。漢方的には、原因の多くには腎虚がみられますが、単に腎虚だけのとらえ方だけではなく現代は、ストレスを感じておられる方も多く精神的ストレスケアを目標として竜骨・牡蛎の配合された漢方薬などを使ったりして精神的な男性不妊症改善へのアプローチも必要です。

 

 また、精神的ストレスを背景とした男性不妊症の随伴症状としては、動悸不眠症、神経質、興奮しやすい、疲れやすいなどの症状があります。このような場合は、麝香配合の漢方薬がお役に立ちます。
 麝香配合の漢方薬は、日本において研究、応用が進み江戸時代中期頃からは、庶民もよく使っていました。

 

 また、男性不妊症の方の多くは、食生活の乱れや胃腸機能が低下していてエネルギー産生がうまくできない人も多く、漢方で言う後天の気のパワー不足になっています。胃腸機能を高める漢方薬を使い、胃腸機能を高め気の産生を上げ、結果、腎の後天の気を高めます。

 

 年齢にそぐわず腎虚になりますと下半身の脱力感、倦怠感、陰萎(勃起不全ED)、早漏、遺精が起こり、随伴症状として、腰痛、坐骨神経痛、口渇、口乾、夜間頻尿、排尿障害、手足のほてり、気力の低下などが起こります。
この腎虚には、腎のパワーを補う漢方薬があり、随伴症状も含め心身全体を立て直し男性不妊症を改善します。この場合も麝香製剤を合わせることで更に効果が高まります。

 

 この様に脾胃の機能を高める漢方薬や腎を補う漢方薬は、最近の研究結果でも造精低下症の改善、精子の運動量の改善、精子1個の受精能力の向上に効果があることが明らかになっています。
 精子増強策として現代においても漢方薬は大変お役に立ちます。腎を補う代表的な漢方薬は、八味地黄丸などです。

 

 男女ともにストレスは大敵で、抗ストレス作用を目的に気剤をうまく使い自律神経を安定させ結果、不妊症改善に役立てます。不妊治療は、女性だけが負うのではなく夫婦のきずなで、ともに理解しあい、助け合い仲睦まじく前向きに取り組んでいただきたいと、不妊症に悩まれているご夫婦を心より応援いたします。

 

男性不妊症と養生

男性不妊症(ED)の養生は、腎虚に対する養生になります。若い方では、精神的ストレスも大きな要因で、ストレスの負荷から精力減退(腎虚)つまり、心因性ED(心因性勃起不全)になっています。
 加齢とともに進む腎虚は、アンチエイジングを目標に養生をします。
 腎虚の養生の面では食養生が大切で、男性不妊症に役立つ食べ物は身近にもあります。それをうまく取り入れ薬膳の理論で毎日の食事が出来ればさらにお役に立つと思います。

 

 漢方芍薬堂では、漢方薬は勿論のこと、養生・食養生(漢方食育・薬膳)も丁寧にご提案いたします。特に食養生は、大切で、食材の選択・組み合わせ、食べ方で心身に与える影響は大きな違いがあります。食の違いで健康にもなり病気にもなると言えます。「薬食同源」たる所以です。
身近な食材を使った薬膳から、漢方食材を使った薬膳まで、漢方理論に基づいた薬膳を漢方の専門家ならではの薬膳をご自宅で実践できる方法でご提案いたします。
薬膳は、その人その人に合った薬膳を具体的にご提案いたします。

 

男性不妊症の漢方薬・養生法(薬膳)のご相談は赤穂郡上郡町の漢方薬専門「漢方芍薬堂」へお気軽にどうぞ。

男性不妊症と食養生

男性不妊症ED等の食養生については、基本的には、他の食養生と同じですが、食材については強精・強壮作用が期待できる日常的な食材とその組み合わせが重要になってきます。その代表的なものをご紹介いたします。その中でも特に特筆すべき腎虚に用いられる漢方薬の八味地黄丸、六味丸、牛車腎気丸に配合されている山芋については少し詳しく説明いたします。

 

山芋 (山薬・薯蕷)
ヤマノイモ(山薬)別名:自然薯、自然生、山の芋、薯蕷山薬 漢方芍薬堂 上郡町

 

日本では、本州、四国、九州に分布し山野の日当たりのよい場所に自生する蔓性の多年草。
山の芋には、大きく3種類に分かれ
・長く伸びるものに、長いも、自然薯
・手のひら様にできるものに、イチョウイモ
・丸い根塊になるもの、ツクネイモ(大和芋、丹波芋、伊勢芋)関西系
などと呼んでいる。

 

山の芋の特徴はネバネバの粘液質でこれは蛋白質とマンナンが結合したものです。主成分はでんぷんで、消化酵素のアミラーゼ(ジアスターゼ)やコリン、アルギニンなどのアミノ酸が含まれます。
昔から「精が尽きたらぬめりのあるものを食べよ。根が尽きたら根のものを食べよ。」と言われているようにヤマノイモは精のつく代表の食べ物です。井原西鶴の「好色一代男」にも山芋と八味丸が登場します。

 

古典でみるヤマイモ
【本草綱目】
気味「甘し、温、平にして毒なし」
主治【傷中。虚羸を補し、寒熱邪氣を除き、中を補し、氣力を益し、肌肉を長じ、陰を強くす。久しく服せば、耳、目を聰にし、身を輕くし、饑ゑず、天年を延べる】(本経)【頭面の遊風、頭風、眼眩に主効があり、氣を下し、腰痛を止め、虚労、羸痩を治し、五臓を充て、煩熱を除く】(別録)【五勞、七情を補し、冷風を去り、心神を鎮め、魂魄を安じ、心氣不足を補し、心孔を開達し、記憶を善くする】(甄權)【筋骨を強くし、泄精、健忘に主効がある】(大明)【腎氣を益し、脾、胃を健にし、洩痢を止め、痰涎を化し、皮、毛を潤す】(時珍)【生で擣いて腫硬毒に貼れば能く消散する】(震亨)
詵曰く「男子の精力を利し、陰力を助ける」とある。
山薬 漢方芍薬堂 上郡町

 

また、本草綱目の中で「時珍は、薯蕷は薬に入れたるには野生のものを勝れりとし、食品としては栽培したものを良しとする」と述べています。
ヤマノイモに生じる「むかご」については、本草綱目の中で
「零余子」
気味「甘し、温にして毒なし」
主治「虚損を補し、腰脚を強くし、腎を益す。これを食へば饑ゑぬ」と言っており、功用は薯蕷(ヤマイモ)よりも強いといっています。

 

古来、ヤマイモは山薬として滋養、強壮、止瀉の目的で漢方薬に配合されています。代表的な漢方薬に八味地黄丸(八味丸)、六味丸、参苓白朮散などがあります。

 

【本朝食鑑】江戸時代の食養生の書物
也未乃伊毛あるいは長伊毛と訓む、昔は和名 夜万都伊毛、俗に山乃伊毛という。
家種のものは長くて肥豊なるものを厨房で用いるのがよい、味は自生の山産のものに及ばない。
和州(奈良)、城州(京都南部)、河州(河内)、丹州(丹波、丹後)、江州(近江)、紀州(和歌山)のものが最も好い。
主治「腎気を益し、脾胃を健やかにし、洩痢を止め、痰、涎を化し、皮、毛を潤す」

食養生としてのヤマイモ
 食用にするには、主にすりおろしてとろろ汁として食べたり、麦とろ、山掛け麦とろご飯 漢方芍薬堂 上郡町蕎麦にして食べます。麦とろや山掛け蕎麦は、あまり噛まずに食べてしまいますが、胃もたれしないのは、ヤマノイモに含まれるアミラーゼのおかげかも知れません。丸塊のヤマノイモが一番粘り気があり美味しいとされています。自然薯は高級品でよく贈答品として使われます。
薬膳では、加熱して用いますが、粥や蒸し物に使い、肉類との相性もよく幅広く使われます。

 

胡桃(クルミ)
 市場でよく見かけるのは、アメリカや中国からの輸入ものですが、日本特産の胡桃としては、オニグルミ、ヒメクルミがあります。
クルミは良質の蛋白質を含みリノール酸、オレイン酸、ビタミン、ミネラルが豊富で腎機能を高め、腰を強くする作用があるので強壮・強精作用効果が期待でき、精力減退や元気をつけたい時にとりたい食材。また、ゴマと同様に脳の働きを助ける健脳食品であり、薬膳によく用いられる食材でもある。

 

古典でみる胡桃
「本草綱目」李時珍
 「胡桃仁は頗るその物の状態に類して、外皮、水汁がみな青黒である。故に能く*北方に入り命門に通じ、三焦を利し、氣を益し、血を養ひ、破故紙と共に同じく下焦、腎、命の薬であって、かの命門の氣と腎とは、通じて精血を蔵するもので、燥を惡む。若し腎、命が燥せねば、精気が内充するから飲食が自ら健やかになり、肌膚は光澤になり、腸腑は潤ほひ、かくて血脈が通ずるのである。これが胡桃が薬を祐けて、人をして肥健にして能く食せしめ、肌を潤ほし、髪を黒くし、精を固くし、燥を治し、血を調える甲である。~」
*黒は四神の北を守る玄武神で黒を意味し、五行論では、黒色は腎に配当する色

 

にんにく(大蒜)
 ニンニクの主成分はアリシンで、すぐれた殺菌・抗菌作用があります。もう一つの有効成分としてスコルジンがあり、これは、強壮、強精作用にすぐれ昔から精がつく食べ物として食されてきました。精進料理で避けられる禁葷食ニンニク、タマネギ、ネギ、ニラ、ラッキョウの一つ。
 アリシンは、胃を刺激して食欲増進を促しますが、胃の弱い日本人にとっては刺激が過ぎると胃もたれ、下痢を起こしやすくなります。すりおろしニンニクなどは、刺激が強いので避け、食養生としては、加熱して料理に使いその弊害を避けます。

 

本朝食鑑 気味:辛温

 

ニラ(韮)
 ニンニクと同じようにアリシンが主成分で、ビタミンB1の吸収を助け疲労回復、血行促進に役立ちます。また、腎の働きを高める作用があり、強壮、強精作用が期待できます。その他、健胃、整腸作用も期待できます。
炒め物やスープなど幅広く使える食材です。

 

本朝食鑑
気味:辛温
主治:肝経の病を主る。心腎に帰し、胃口の瘀血を散し、欝痰の食道を塞ぐのを除く。故に噎膈の病を治す。~

 

エビ(海老・蝦)
 低カロリー、高蛋白で美味なエビは、身体を温めスタミナをつけ、足腰の冷え、腰から下のだるさ、疲れ、夜間頻尿、精力減退の改善に役立つ強壮効果の期待できる食材です。

 

本朝食鑑
気味:甘温

 

本草綱目
「腎を補い、陽を興す」

 

羊肉
 薬膳では、産後に羊肉を用い元気を補い、血を養う目的で用います。日本人は、胃腸が弱いので、産後には用いませんが、食養生として用いる場合は、しっかりと辛温のスパイス(香辛料)を用い肉が腸内で腐敗させないようにし消化を促進させましょう。羊肉と会うスパイスは、山椒、胡椒、八角(大茴香)、生姜、ネギなど。

 

本草綱目
気味:甘温
「風眩、痩病、男子の五労、七傷、小児の驚癇を治す」孟詵

 

本草経集注(陶弘景)
「腎陽不足」

 

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