実正方行列の固有値問題 ― トピック一覧 [数学についてのwebノート]

・定義:固有ベクトル/固有値/固有多項式・特性多項式/固有方程式・特性方程式/特性根 
・定義:対角化可能
・定理:相異なる固有値に対する固有ベクトルは一次独立/固有値は特性根に一致する
    対角行列の固有値・固有ベクトル/対角行列であるための必要十分条件―固有値固有ベクトルの観点
    相似な行列の固有値は同一
・定理:対角化可能な行列の固有値固有ベクトル/行列対角化可能の条件−固有ベクトルの観点/行列対角化可能の条件−固有値の観点
・定理:実対称行列の固有値固有ベクトル/実対称行列の固有ベクトルの直交性/実対称行列の対角化 

※固有値問題関連ページ:実n次元数ベクトル空間上の一次変換の固有値問題/実ベクトル空間上の一次変換の固有値問題
※線形代数目次・総目次


定義:実正方行列の固有ベクトルeigenvector 固有値eigenvalue固有空間eigenspace  


定義


「実数λは
   『n次正方行列Aの(実)固有値eigenvalue』であり、
 実n次元数ベクトルxは
   『固有値λに属する/対応する/に対する固有ベクトルeigenvector』である」
とは、
n次正方行列Aにたいして、
  
実数λ, 実n次元数ベクトルxが、
     
Ax=λx かつ x≠0 
  を満たす
ことをいう。

・つまり、
  (
∃λ∈R)(∃x∈Rn)(Ax=λx かつ x≠0) 
 となる場合に、
 このλ
∈R, x∈Rnを、
 「固有値λに属する
/対応する/に対する固有ベクトルeigenvector」
 と呼ぶ。

[文献]
・『岩波数学辞典』83行列L (p.222);
[
文献−線型代数]
*志賀『線型代数
30講』27講(p.171):対角化との関連で;
*木村『線形代数:数理科学の基礎』3.8(p.69):不変部分空間との関連で。
・斎藤『
線形代数入門』5章§1(pp.131-8):体上のベクトル空間一般;
・佐武『線形代数学』�W§1(p.133):複素ベクトル空間・複素行列のケース;
[
文献−数理経済・計量経済]
・
Chiang,Fundamental Methods of Mathematical Economics,11.3(p.326)
*西村『経済数学早わかり』2章§5.3(p.94):;
・岡田『経済学・経営学のための数学』定義2.6(p.94)
・久我入谷『数理経済学入門』4.3.2(p.103)
・岩田『経済分析のための統計的方法』12.5.1(p.300)
・佐和『回帰分析』2.3.1(p.30)
・戸田・山田『計量経済学の基礎:統計的手法の理論とプログラミング』2.7(pp.102-5)

※n次正方行列Aの固有値・固有ベクトルは、
 
n次正方行列Aによって定義される一次変換の固有値・固有ベクトル
 でもある。
[→一次変換の固有値・固有ベクトルと、一次変換の行列表現の固有値・固有ベクトルの関係]

 

・「正方行列Aの実固有値」は、
 存在しないこともあれば、
 一つしかないことも、
 複数存在することもある。
 正方行列Aの固有値の有無と個数は、
 正方行列Aに依存する。 

・おのおのの「
正方行列Aの固有値」に対する固有ベクトルは、無数に存在する。
 
実n次元数ベクトルxが「正方行列Aの固有値λに対する固有ベクトル」ならば、
 
実n次元数ベクトルxの任意スカラー倍はどれも、
 「
正方行列Aの固有値λの固有ベクトル」となるからである。
 なぜなら、
  
実n次元数ベクトルxが「正方行列Aの固有値λの固有ベクトル」ならば、
  すなわち、「
Ax=λx かつ x≠0」ならば、[仮定]   
   
任意のa∈Rにたいして、
   
A(ax)=a(A x)  ∵行列積とスカラー積の性質  
      
= a(λx) ∵上記[仮定]より
      
=λ(ax) 

定義
固有空間とは、 
 

※固有値・固有ベクトルの求め方→特性根との一致 
※n次正方行列Aの固有値・固有ベクトルは、
 
n次正方行列Aによって定義される一次変換の固有値・固有ベクトル  
 でもある。
  
[→一次変換の固有値・固有ベクトルと、一次変換の行列表現の固有値・固有ベクトルの関係] 

活用例

2次形式の符号判定/多変数関数の極大の2階十分条件


 

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定義:実正方行列の固有多項式・特性多項式characteristic polynomial・固有方程式・特性方程式characteristic equation・特性根characteristic root




[文献]
・『岩波数学辞典』83行列L (p.222);
[
文献−線型代数]
*志賀『線型代数
30講』27講(pp.173-4);
・木村『線形代数:数理科学の基礎』3.8(p.69)。
・斎藤『
線形代数入門』5章§1(pp.134-5):体上のベクトル空間一般;
・佐武『線形代数学』�W§1(pp.133-4):複素ベクトル空間・複素行列のケース;

[
文献−数理経済]
*西村『
経済数学早わかり』2章§5.3(p.94):;
・岡田『経済学・経営学のための数学』2.6(p.102)
・岩田『経済分析のための統計的方法』12.5.1(p.300)

定義

n次正方行列Aの固有多項式・特性多項式characteristic polynomialとは、
 
det ( A−λIn ) 
のこと。

定義

n次正方行列Aの固有方程式・特性方程式characteristic equationとは、
 
det ( A−λIn )=0 
のこと。

定義

n次正方行列Aの特性根characteristic rootとは、
    固有方程式・特性方程式 
det ( A−λIn )=0 
の解・根のこと。

※
n次正方行列Aの特性根は、n次正方行列Aの固有値に一致(→定理)  



 

定理:実正方行列の固有値と特性根の一致



[文献−線型代数]
・斎藤『
線形代数入門』5章§1[1.3](p.136):体上のベクトル空間一般:証明つき;


n次正方行列Aの(実) 固有値は、
n次正方行列Aの実特性根に一致する。

したがって、
n次正方行列Aの(実) 固有値と固有ベクトルを求めるためには、
まず、
n次正方行列Aの固有方程式・特性方程式を解いて、
n次正方行列Aの実特性根を求め、
そのうえで、
  
固有値・固有ベクトルの定義式 Ax=λx 
のλに、
Aの実特性根を代入し、
固有ベクトルを求めればよい。



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定理:相異なる固有値に対する固有ベクトルは一次独立


要旨


n次正方行列Aの相異なる(実)固有値に対応する固有ベクトルは、一次独立。

[文献]
・松坂『解析入門4』18.1-B-命題5 (p.87):数ベクトル空間限定;
・志賀『線型代数30講』28講(p.177):R2上の一次変換;29講(p.183):固有空間:R2上の一次変換;
・斎藤『線形代数入門』5章§1[1.1](p.131):体上のベクトル空間上の一次変換:証明つき;
・戸田・山田『計量経済学の基礎:統計的手法の理論とプログラミング』2.8.1(pp.108-9)2次正方行列の証明。

・西村『経済数学早わかり』2章§5.3定理5.2(p.95):証明つき;

※一次変換の固有値・固有ベクトルについての同じ定理。
※活用例:
行列対角化の条件−固有値の観点の証明 

設定

R:実数体(実数をすべて集めた集合)  
Rn:実n次元数ベクトル空間。 
  すなわち、
Rn=R×R×…×R={ ( v1, v2, …, vn )|v1∈Rかつv2∈Rかつ…かつvn∈R }に、
        
ベクトルの加法とスカラー乗法を定義したもの。 
  ただし、
Rnに属すすべての実n次元数ベクトルは、 n次元縦ベクトルの形式で表されているものとする。
A
:n次正方行列 

定理

k個の実数λ1 ,λ2 ,…,λkはそれぞれ異なる値 
     
(∀i,j∈N) ((1≦i≦kかつ1≦j≦kかつi≠j ⇒ λi≠λj ) ) 
かつ   
k個の実数λ1 ,λ2 ,…,λkは、どれもn次正方行列Aの(実)固有値  
     
(∀i∈N)( (1≦i≦k ⇒ (∃xi∈Rn)( Axi=λI xi かつ xI≠0) ) ) 
ならば   
k個の実n次元数ベクトル   
 ・『n次正方行列Aの(実)固有値』λ1に対応する固有ベクトルx1 
 ・『
n次正方行列Aの(実)固有値』λ2に対応する固有ベクトルx2 
 :              :            : 
 ・『
n次正方行列Aの(実)固有値』λkに対応する固有ベクトルxk    
は、
一次独立である。   

証明

松坂『解析入門4』18.1-B-命題5 (p.87):帰納法による証明。
斎藤『線形代数入門』5章§1[1.1](p.131):背理法による証明。



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定理:固有空間の次元

定義


※一次変換の固有空間の次元 




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定理:対角行列の固有値・固有ベクトル、対角行列であるための必要十分条件―固有値・固有ベクトルの観点


要旨


[命題1]
 実数λ1,λ2,…,λnは、「n次対角行列 diag(λ1,λ2,…,λn)の固有値」であり、
 
基本ベクトルe1は『固有値λ1に対応する固有ベクトル』 
 
基本ベクトルe2は『固有値λ2に対応する固有ベクトル』
       :      : 
 
基本ベクトルenは『固有値λnに対応する固有ベクトル』
 である。

[命題2]
 実数λ1,λ2,…,λnが、「n次正方行列Bの固有値」であり、
 
基本ベクトルe1は『n次正方行列Bの固有値λ1に対応する固有ベクトル』 
 
基本ベクトルe2は『n次正方行列Bの固有値λ2に対応する固有ベクトル』
       :      : 
 
基本ベクトルenは『n次正方行列Bの固有値λnに対応する固有ベクトル』
 である
ならば、
 
n次正方行列Bは、n次対角行列 diag(λ1,λ2,…,λn)である。
 


[文献]
・松坂『
解析入門4』18.1-C (pp.87-8);
※発展:定理「相似な実n次正方行列は同じ固有値をもつ」とあわせて考えると、
    
n次対角行列 diag(λ1,λ2,…,λn) に相似である行列、
    すなわち、
対角化可能な行列の
    
固有値固有ベクトルも、把握できたことになる。
    
[→対角化可能な行列の固有値固有ベクトル]  


詳論


[命題1]
(1)
実数λ1, 基本ベクトルe1は、実n次対角行列 diag(λ1,λ2,…,λn)に対して、
  ・
diag(λ1,λ2,…,λn) e1 
       
    
=λ1 e1 
 
かつ
  ・
e1≠0 
 を満たすので、
 
実数λ1 , 基本ベクトルe1は、
  「
実n次対角行列 diag(λ1,λ2,…,λn)の『固有値』,『固有値λ1に対応する固有ベクトル』」
 の定義を満たしている。 
(2)
実数λ2, 基本ベクトルe2は、実n次対角行列 diag(λ1,λ2,…,λn)に対して、
  ・
diag(λ1,λ2,…,λn) e2 
      
    
=λ2 e2 
 
かつ
  ・
e2≠0 
 を満たすので、
 
実数λ2 , 基本ベクトルe2は、
  「
実n次対角行列Aの『固有値』,『固有値λ2に対応する固有ベクトル』」
 の定義を満たしている。
:
:
(n)

実数λn, 基本ベクトルenは、実n次対角行列 diag(λ1,λ2,…,λn)に対して、
  ・
diag(λ1,λ2,…,λn) en 
     
    
=λnen 
 
かつ
  ・
en≠0 
 を満たすので、
 
実数λn , 基本ベクトルenは、
  「
実n次対角行列Aの『固有値』,『固有値λnに対応する固有ベクトル』」
 の定義を満たしている。




[命題2]
・「実数λ1,λ2,…,λnが、「n次正方行列Bの固有値」であり、
  
基本ベクトルe1は『n次正方行列Bの固有値λ1に対応する固有ベクトル』 
  
基本ベクトルe2は『n次正方行列Bの固有値λ2に対応する固有ベクトル』
        :             : 
  
基本ベクトルenは『n次正方行列Bの固有値λnに対応する固有ベクトル』
 である」とは、
       
Be1=λ1e1  
       
Be2=λ2e2  
       :   : 
       
Ben=λnen  
 が成り立つということを意味する。(∵
固有値・固有ベクトルの定義) 
・   Be1=λ1e1 
    
Be2=λ2e2 
    :  :

    Ben=λnen 
 が成り立つ
ならば、
 
行列と基本ベクトルの積の性質から、 
    
Bの第1列=Be1=λ1e1=λ1t( 1,0,…,0 )=t(λ1,0,…,0 ) 
    
Bの第2列=Be2=λ2e2=λ2t(0,1,0,…,0 )=t(0,λ2, 0,…,0) 
       :  
    
Bの第n列=Ben =λn en=λn t(0,…,0,1)=t(0,…,0,λn ) 
・以上二点から、
 
実数λ1,λ2,…,λnが、「n次正方行列Bの固有値」であり、
 
基本ベクトルe1は『n次正方行列Bの固有値λ1に対応する固有ベクトル』 
 
基本ベクトルe2は『n次正方行列Bの固有値λ2に対応する固有ベクトル』
       :      : 
 
基本ベクトルenは『n次正方行列Bの固有値λnに対応する固有ベクトル』
 である
ならば、
 
n次正方行列Bは、n次対角行列 diag(λ1,λ2,…,λn)になる。




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定理:相似な実正方行列の固有値の一致


概要


相似な実n次正方行列は、同じ固有値をもつ。

[文献]
・松坂『
解析入門4』18.1-B命題4(p.86):数ベクトル空間限定;
・永田『理系のための線形代数の基礎』定理5.1.4(p.133):複素n次元数ベクトル。固有多項式の一致を証明。その系として。

※発展:対角行列の固有値固有ベクトルとあわせて考えると、
    
n次対角行列 diag(λ1,λ2,…,λn) に相似である行列、
               すなわち、
対角化可能な行列の
    
固有値固有ベクトルも、把握できたことになる。
    
[→対角化可能な行列の固有値固有ベクトル]  

→[トピック一覧:固有ベクトル固有値]
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詳細


以下の命題
Pが成り立つならば、命題Q,命題Rは同値である。
つまり、命題
P ⇒ (命題Q⇔命題R)  

命題P「実n次正方行列Aと実n次正方行列Bとは相似である」
     すなわち、
       
B=P−1APを満たす n次正則行列Pが存在する
命題Q「実数λは『n次正方行列Aの実固有値』であり、
      
実n次元数ベクトルxは『実固有値λに属する固有ベクトル』である」
     すなわち、
        
Ax=λx かつ x≠0 
命題R「実数λは『n次正方行列Bの実固有値』であり、
      
P−1xは『実固有値λに属する固有ベクトル』である」 
     すなわち、
       
B(P−1x)=λ(P−1x) 

証明

[命題P ⇒ (命題Q⇒命題R) ] 
命題
Qで仮定された「n次正方行列Aの実固有値λに属する固有ベクトル」xと、
命題
Pで存在すると仮定された n次正則行列P
をつかって、
実n次元数ベクトルx'=P−1xを定義する。
この
実n次元数ベクトルx'の定義式より、
 
x = P x' 
である(両辺に対し、左から
Pをかけて、左辺右辺を入れ替えただけ)。
これを命題
Qで仮定された
  
Ax=λx 
に代入すると、
  
A(Px')=λ(Px') 
この左辺に行列積の結合則を、右辺に行列積とスカラー積の性質を適用すると、
  APx'=P (λx') 
と書き換えられる。
この等式が成り立つならば、
この等式の左辺に左から
P−1をかけたものと、この等式の右辺に左からP−1をかけたもの
も等しくなるから
 
P−1AP x'=λx' 
が得られる。
これを、命題
Pの実n次正方行列Bを用いて、言い表すと、B=P−1APだから、
 
Bx'=λx' 
ここで、われわれが勝手に定義した
実n次元数ベクトルx' を、もとの記号P−1xに戻すと、
 
B(P−1x)=λ(P−1x) 
以上、命題
P,命題Qが成り立つという仮定のもとで、命題Rの成立を示した。
[命題P ⇒ (命題R⇒命題Q) ] 
命題
Rで仮定された
  
B(P−1x)=λ(P−1x) 
に、命題
Pで仮定されたB=P−1APを代入すると、 
  
P−1AP (P−1x)=λ(P−1x) 
この左辺を、
行列積の結合則をつかって書き換えると、
  
P−1A(PP−1)x=λ(P−1x) 
  
P−1Ax=λ(P−1x) 
この右辺を
行列積とスカラー積の性質を使って書き換えると、
  
P−1Ax=P−1 (λx) 
この等式が成り立つならば、
この等式の左辺に左から
Pをかけたものと、この等式の右辺に左からPをかけたもの
も等しくなるから
  
PP−1Ax= P P−1 (λx)  
  
Ax=λx  
以上、命題
P,命題Rが成り立つという仮定のもとで、命題Qの成立を示した。
 

 
   

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定義:実正方行列の対角化diagonalization対角化可能diagonalizable



[文献]
・松坂『解析入門4』18.1-C (p.88):数ベクトル空間限定;
・岡田『経済学・経営学のための数学』2.6 (p.100)
・志賀『線型代数30講』27講(p.170)
・永田『理系のための線形代数の基礎』5.1 (p.133):
・http://mathworld.wolfram.com/DiagonalizableMatrix.html
・戸田・山田『
計量経済学の基礎:統計的手法の理論とプログラミング』2.8.1(p.110)
・西村『経済数学早わかり』2章§5.3 (p.99);

・
※理論的には、一次変換に関する対角化可能の文脈のなかで、
 「実正方行列の対角化可能」を理解することが望ましい。
※発展事項:
  ・
対角化可能な行列の固有値固有ベクトル
  ・
行列対角化の条件−固有ベクトルの観点
  ・
行列対角化の条件−固有値の観点


・「実n次正方行列Aは対角化可能」とは、
  
実n次正方行列Aが対角行列と相似であること
  つまり、
実n次正方行列Aに対して、
        
B=P−1APを満たす
          
n次対角行列Bと n次正則行列Pが存在すること
をいう。
・「
実n次正方行列Aは n次正則行列Pによって対角化可能」とは、
        
B=P−1APを満たす
          
n次対角行列Bが存在すること   
をいう。
 
* B=P−1AP ⇔  A= PBP−1 だから、
  「
実n次正方行列Aは対角化可能」とは、
   
実n次正方行列Aに対して、
    
A= PBP−1を満たすn次対角行列Bと n次正則行列Pが存在すること
  と定義しても、同じこと。   



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定理:行列の対角化可能の必要条件−対角化可能な行列の固有値固有ベクトル


要旨


命題T「実n次正方行列Aは、 n次正則行列P によって、対角行列 diag(λ1,λ2,…,λn)に対角化可能。
     すなわち、
実n次正方行列Aに対して、
           
diag(λ1,λ2,…,λn)=P−1APを満たす n次正則行列Pが存在する。」
が成り立つ
ならば、
命題S「実数λ1 ,λ2 ,…,λnが、実n次正方行列Aの実固有値であって、
    
n次正則行列Pの第1列p1, 第2列p2,…, 第n列pn は、
        『
実n次正方行列Aの固有値λ1,λ2,…,λnに対応する固有ベクトル』となる」
           
Ap1 =λ1 p1 
           
Ap2 =λ2 p2 
            :  :
           
Apn =λn pn 
が成り立つ。
※固有値λ1 ,λ2 ,…,λnのなかに等しいものが存在するケースであれ、
 固有値λ
1 ,λ2 ,…,λnが全て異なるケースであれ、
 この定理は成り立つ。
※この定理の逆は成り立つとは限らない。
 この定理の逆を成り立たせるには、固有値λ
1 ,λ2 ,…,λnが全て異なるケースに限定しなければならない。
 →
行列の対角化の十分条件  

[文献]
・松坂『解析入門4』18.1-C定理1 (p.88)定理2 (p.89):数ベクトル空間限定;
・草場『線型代数』4.2(pp.100-1)
・岩田『経済分析のための統計的方法』定理12.17(p.303)
※行列対角化の条件−固有ベクトルの観点/行列対角化の条件−固有値の観点 
※
一次変換が対角化可能となるための必要十分条件 

 

証明

[命題T⇒命題S]
(step1) 対角行列の固有値・固有ベクトル
 定理「
対角行列の固有値・固有ベクトル」より、
 
実数λ1,λ2,…,λnは、対角行列 diag(λ1,λ2,…,λn) の固有値であり、
 
基本ベクトルe1は『固有値λ1に対応する固有ベクトル』
 
基本ベクトルe2は『固有値λ2に対応する固有ベクトル』
       :      : 
 
基本ベクトルenは『固有値λnに対応する固有ベクトル』
 である。
 すなわち、
e1, e2, …, enを「基本ベクトルの縦ベクトル」としたとき、 
  
diag(λ1,λ2,…,λn) e1=λ1 e1 
  
diag(λ1,λ2,…,λn) e2=λ2 e2 
      :       :
  
diag(λ1,λ2,…,λn) en=λn en 

→[トピック一覧:固有ベクトル固有値]
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[文献]
・松坂『解析入門4』18.1-C定理1の証明の前半 (p.88)

※ここで利用した定理:対角行列の固有値・固有ベクトル/相似な行列の固有値の一致

 

(step 2)  Aの固有値・固有ベクトルを、対角行列の固有値・固有ベクトルに還元
・
対角化可能の定義より、
 
命題T「実n次正方行列Aは、 n次正則行列P によって、対角行列 diag(λ1,λ2,…,λn)に対角化可能である」
 とは、
 「
実n次正方行列Aが対角行列 diag(λ1,λ2,…,λn) と相似である」ということ、
 すなわち、 
 「
実n次正方行列Aに対して、 diag(λ1,λ2,…,λn)=P−1APを満たす n次正則行列Pが存在する」
 ということを意味する。
・だから、
 命題
Tが成り立つならば、定理「相似な実正方行列の固有値の一致」が適用され、
 
実n次正方行列Aの固有値は、対角行列 diag(λ1,λ2,…,λn) の固有値に一致し、
 
実n次正方行列Aの固有ベクトルは、
   
対角行列 diag(λ1,λ2,…,λn) の固有ベクトル(縦ベクトル)の左から n次正則行列Pをかけたものに等しくなる。
・したがって、
 命題
Tが成り立つならば、
 
(step 1)で「対角行列 diag(λ1,λ2,…,λn) の固有値」であると明らかにされた「n個の相異なる実数」λ1,λ2,…,λnは、
  
実n次正方行列Aの「n個の相異なる固有値」でもあり、
 
(step 1)で「対角行列 diag(λ1,λ2,…,λn) の固有値λ1,λ2,…,λnに対応する固有ベクトル」であると明らかにされた
   
基本ベクトルe1, e2, …, enの縦ベクトル 
  の左から
n次正則行列Pをかけてつくった 
        
Pe1, Pe2, …, Pen 
  は、「
実n次正方行列Aの固有値λ1,λ2,…,λnに対応する固有ベクトル」でもある。
  すなわち、
  
A(Pe1)=λ1(Pe1) 
  
A(Pe2)=λ2(Pe2) 
   :
  
A(Pen)=λn(Pen) 
・なお、
Pe1, Pe2,…, Pen は、それぞれ、Pの第1列,Pの第2列,…,Pの第n列である。
   (→
行列と基本ベクトルとの積)
(結論)
以上から、
命題
T「n次正方行列Aは、 n次正則行列P によって、対角行列 diag(λ1,λ2,…,λn)に対角化可能である」ならば、
命題
S「実数λ1 ,λ2 ,…,λnが、実n次正方行列Aの実固有値であって、
    
n次正則行列Pの第1列p1, 第2列p2,…, 第n列pn は、
        『
実n次正方行列Aの固有値λ1,λ2,…,λnに対応する固有ベクトル』となる」
       
Ap1 =λ1 p1 
       
Ap2 =λ2 p2 
        :  :    
       
Apn =λn pn 

   

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定理:行列が対角化可能となるための条件−固有ベクトルの観点


要旨


以下の命題
S,命題Tは同値。
命題S:「以下の2条件を満たすn個の実n次元数ベクトルp1, p2,…, pn が存在する。 
    
[条件1] n個の実n次元数ベクトルp1, p2,…, pn は、実n次正方行列Aの固有ベクトルである。
         すなわち、
         
・実n次正方行列Aと実n次元数ベクトルp1に対して、ある実数λ1 が存在して
             
Ap1 =λ1 p1 を満たす
         
かつ 
         
・実n次正方行列Aと実n次元数ベクトルp2に対して、ある実数λ2 が存在して
             
Ap2 =λ2 p2 を満たす
         
かつ 
         
: 
         
かつ 
         
・実n次正方行列Aと実n次元数ベクトルpnに対して、ある実数λnが存在して
             
Apn =λn pn を満たす
    
[条件2] n個の実n次元数ベクトルp1, p2,…, pn は一次独立である。  
命題T: 「n次正方行列Aは、 n次正則行列P によって、対角行列 diag(λ1,λ2,…,λn)に対角化可能」
    すなわち、
    「
実n次正方行列Aに対して、
      
diag(λ1,λ2,…,λn)=P−1APを満たす n次正則行列Pが存在する。」
※ここで、
 ・命題
Sのもとで、命題Tに登場する実n次正方行列Pの実在を示す例は、
     命題
Sに登場するp1, p2,…, pn を第1列,第2列,…,第n列とする実n次正方行列。 
 ・命題
Tのもとで、命題Sに登場する「n個の実n次元数ベクトルp1, p2,…, pn 」の実在を示す例は、
     命題
Tに登場した「 n次正則行列Pの第1列p1, 第2列p2,…, 第n列pn」である。 

[文献]
・松坂『解析入門4』18.1-C定理1 (p.88)定理2 (p.89):数ベクトル空間限定;
・志賀『線型代数30講』27講(pp.170-1):固有値がn個未満のケースの検討が必読。
・斎藤『線形代数入門』5章§1[1.2]'(p.133):体上のベクトル空間上の一次変換:証明つき;
・草場『線型代数』4.2(pp.102-5)
・西村『経済数学早わかり』2章§5.3 (p.99):証明つき;
・戸田・山田『計量経済学の基礎:統計的手法の理論とプログラミング』2.8.1(pp.109-110) : 証明つき;。
・岡田『
経済学・経営学のための数学』定理2.30(p.106):証明つき。

※関連事項:
  ・
対角化可能な行列の固有値固有ベクトル
  ・
対角化可能となるための条件−固有値の観点  
  ・
一次変換が対角化可能となるための必要十分条件 

証明

[命題S⇒命題T]
ここでは、命題Sに表現された以下の仮定のもとで、考察を進める。
  
[仮定0] p1=t( p11, p12,…, p1n ) , p2=t( p21, p22,…, p2n ) ,…, pn=t( pn1, pn2,…, pnn )  
  
[仮定1] Ap1 =λ1 p1 
      
Ap2 =λ2 p2 
       :  : 
      
Apn =λn pn 
  
[仮定2] n個の実n次元数ベクトルp1, p2,…, pn は一次独立 
 

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[文献]
・西村『
経済数学早わかり』2章§5.3 (p.99):証明つき;
・戸田・山田『計量経済学の基礎:統計的手法の理論とプログラミング』2.8.1(pp.109-110) :基底や一次変換を持ち出さず、行列計算の枠内で示しているのが特徴的。西村の論法を踏襲。
・岡田『
経済学・経営学のための数学』定理2.30(p.106):証明つき-西村を踏襲。
・松坂『
解析入門4』18.1-C定理2 (p.89):数ベクトル空間限定;
・志賀『線型代数30講』27-30講(pp.170-193):固有値がn個未満のケースの検討が必読。

 

(step1―Pを定義)
・第1列をp1, 第2列をp2,…, 第n列を pnとする実n次正方行列Pをつくる。
(step2―Pは正則)
・ [仮定2]が成り立つならば、step1で定義した実n次正方行列Pは正則行列となる。(∵正則行列になるための必要十分条件)
(step3―AP=P diag(λ1,λ2,…,λn) )
・
[仮定0][仮定1]が成り立つならば、
 つまり、
実数λ1 ,λ2 ,…,λnが、「実n次正方行列Aの実固有値」であって
     
p1=t( p11, p12,…, p1n ) , p2=t( p21, p22,…, p2n ) ,…, pn=t( pn1, pn2,…, pnn )が
       『
実n次正方行列Aの実固有値λ1,λ2,…,λnに対応する固有ベクトル』であるならば、
  
AP=P diag(λ1,λ2,…,λn) である。
・なぜなら、
 
行列積APの各列を書き出すと、 
   「
APの第1列」=「実行列Aと『実行列Pの第1列』との行列積」
   「
APの第2列」=「実行列Aと『実行列 Pの第2列』との行列積」
       :                :

   「APの第n列」=「実行列Aと『実行列 Pの第n列』との行列積」 
 
step1より、『Pの第1列』がp1, 『Pの第2列』がp2,…, 『Pの第n列』がpnであったから、
   「
APの第1列」=Ap1
   「
APの第2列」=Ap2
        :   : 
   「
APの第n列」=Apn  
 
[仮定1]より、
   「
APの第1列」=Ap1=λ1 p1
   「
APの第2列」=Ap2=λ2 p2
        :  :   :

   「APの第n列」=Apn=λn pn 
 
[仮定0]をつかうと、  
   「
APの第1列」=Ap1=λ1 p1=t(λ1 p11,λ1 p12,…,λ1 p1n )   
   「
APの第2列」=Ap2=λ2 p2=t(λ2 p21,λ2 p22,…,λ2 p2n )   
        :  :   :

   「APの第n列」=Apn=λn pn=t(λn pn1,λn pn2,…,λn pnn )   
 だから、
   
AP 
   
 他方、
   
P diag(λ1,λ2,…,λn)
    
    
 したがって、
AP=P diag(λ1,λ2,…,λn) となる。
(step4―P−1AP= diag(λ1,λ2,…,λn) )
・
[仮定0][仮定1] [仮定2]が成り立つならば、P−1AP = diag(λ1,λ2,…,λn) 
・なぜなら、
 
step3より、[仮定0][仮定1]が成り立つならば、AP=P diag(λ1,λ2,…,λn) …(等式1)。
 
step2より、[仮定2]が成り立つならば、Pは正則行列となって、P−1が存在する。
 したがって、
[仮定0][仮定1] [仮定2]が成り立つならば、
 等式
1の両辺に、左からP−1をかけて、次の等式を得られる。
    
P−1AP = diag(λ1,λ2,…,λn) 
(step5―結論) 
 「
対角化可能」という語の定義より、
 「 
P−1AP = diag(λ1,λ2,…,λn) 」が成立することは、
 「 
Aは、 n次正則行列P によって、対角行列 diag(λ1,λ2,…,λn)に対角化可能」と言い表せる。
 したがって、
step4より、
 
[仮定0][仮定1] [仮定2]が成り立つならば、
 命題
T「n次正方行列Aは、 n次正則行列P によって、対角行列 diag(λ1,λ2,…,λn)に対角化可能」
 が成立する
 といってよい。

証明

[命題T⇒命題S]
・命題T「n次正方行列Aは、 n次正則行列P によって、対角行列 diag(λ1,λ2,…,λn)に対角化可能」ならば、
 
対角化可能な行列の固有値固有ベクトルより、
 「
実数λ1 ,λ2 ,…,λnは、実n次正方行列Aの実固有値であって、
    
n次正則行列Pの第1列p1, 第2列p2,…, 第n列pn は、
        『
実n次正方行列Aの固有値λ1,λ2,…,λnに対応する固有ベクトル』となる」
           
Ap1 =λ1 p1 
           
Ap2 =λ2 p2 
            :  :
           
Apn =λn pn 

[文献]
・松坂『解析入門4』18.1-C定理1の証明の前半 (p.88)

 

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・一般に、 n次正則行列を構成するn個の列はベクトルとして一次独立であるから、
 命題
Tに登場した n次正則行列P のの第1列p1, 第2列p2,…, 第n列pn は、一次独立。 
  となる。 
・上記二点より、命題
Tが成り立つならば、
 以下の
2条件を満たすn個の実n次元数ベクトルp1, p2,…, pn が存在することが示された。 
    
[条件1] n個の実n次元数ベクトルp1, p2,…, pn は、実n次正方行列Aの固有ベクトル。
    
[条件2] n個の実n次元数ベクトルp1, p2,…, pn は一次独立。
 このような
n個の実n次元数ベクトルp1, p2,…, pn の実在を示す例は、
 命題
Tに登場した n次正則行列P のの第1列p1, 第2列p2,…, 第n列pn である。 
 だから、命題
T⇒命題Sである。

   

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定理:行列が対角化可能となるための条件−固有値の観点


要旨


以下の命題
S,命題Tは同値。
命題
S: 「n個の相異なる実数λ1 ,λ2 ,…,λnが、実n次正方行列Aの実固有値である。」
     すなわち、
       
Ap1 =λ1 p1 
       
Ap2 =λ2 p2 
        :  :    
       
Apn =λn pn 
      
かつ 
       
(∀i,j∈N) ((1≦i≦kかつ1≦j≦kかつi≠j ⇒ λi≠λj ) ) 
命題
T: 「n次正方行列Aは、 n次正則行列P によって、対角行列 diag(λ1,λ2,…,λn)に対角化可能であって、
     
かつ
     
対角行列 diag(λ1,λ2,…,λn)の対角成分λ1 ,λ2 ,…,λnは、n個の相異なる実数である」
    すなわち、
    「
実n次正方行列Aに対して、
      
diag(λ1,λ2,…,λn)=P−1APを満たす n次正則行列Pが存在し、
      
かつ
      
対角行列 diag(λ1,λ2,…,λn)の対角成分λ1 ,λ2 ,…,λnは、n個の相異なる実数である」
したがって、
上記命題
Sは、
命題
Tから「λ1 ,λ2 ,…,λnは相異なる」という条件をはずした命題T'
 「n次正方行列Aは対角化可能」
の
十分条件。

[文献]
・松坂『解析入門4』18.1-C定理1 (p.88)定理2 (p.89):数ベクトル空間限定;
・志賀『線型代数30講』27-30講(pp.170-193):固有値がn個未満のケースの検討が必読。
・斎藤『線形代数入門』5章§1[1.2]'(p.133):体上のベクトル空間上の一次変換:証明つき;
・草場『線型代数』4.2(pp.102-5)
・木村『線形代数:数理科学の基礎』3.8定理3.5(p.72).
・戸田・山田『計量経済学の基礎:統計的手法の理論とプログラミング』2.8.1(pp.109-110)
・西村『経済数学早わかり』2章§5.3定理5.5(p.99):証明つき;


※関連事項:
  ・対角化可能な行列の固有値固有ベクトル
  ・行列対角化の条件−固有ベクトルの観点  
  ・一次変換が対角化可能となるための必要十分条件 

証明

[命題S⇒命題T]
命題S「n個の相異なる実数λ1 ,λ2 ,…,λnが、実n次正方行列Aの実固有値」が成り立つとし、
 「
実n次正方行列Aの実固有値λ1に対応する固有ベクトル」をp1=t( p11, p12,…, p1n ) 、
 「
実n次正方行列Aの実固有値λ2に対応する固有ベクトル」をp2=t( p21, p22,…, p2n ) 、
               :              :   :  
 「
実n次正方行列Aの実固有値λnに対応する固有ベクトル」をpn=t( pn1, pn2,…, pnn ) 
で表すとする。
つまり、ここでは以下の仮定のもと考察を進める。
  
[仮定1]  Ap1 =λ1 p1 
       
Ap2 =λ2 p2 
        :  : 
       
Apn =λn pn 
  
[仮定2] λ1 ,λ2 ,…,λnは、どれも異なる実数。
         
(∀i,j∈N) ((1≦i≦kかつ1≦j≦kかつi≠j ⇒ λi≠λj ) ) 
  
[仮定3]  p1=t( p11, p12,…, p1n ) , p2=t( p21, p22,…, p2n ) ,…, pn=t( pn1, pn2,…, pnn ) 

→[トピック一覧:固有ベクトル固有値]
→線形代数目次・総目次

[文献]
・戸田・山田『計量経済学の基礎:統計的手法の理論とプログラミング』2.8.1(pp.109-110):基底や一次変換を持ち出さず、行列計算の枠内で示しているのが特徴的。
・松坂『
解析入門4』18.1-C定理2 (p.89):数ベクトル空間限定;
・志賀『線型代数30講』27-30講(pp.170-193):固有値がn個未満のケースの検討が必読。

 

(step1―Pを定義)
・第1列をp1, 第2列をp2,…, 第n列を pnとする実n次正方行列Pをつくる。
(step2―Pは正則)
・[仮定1][仮定2]が成り立つならば、
 つまり、
n個の相異なる実数λ1 ,λ2 ,…,λnが、「実n次正方行列Aの実固有値」であるならば、
 『
実n次正方行列Aの実固有値λ1,λ2,…,λnに対応する固有ベクトル』p1, p2,…, pnは一次独立となるので(∵)、
 
step1で定義した実n次正方行列Pは正則行列となる。(∵正則行列になるための必要十分条件)
(step3―AP=P diag(λ1,λ2,…,λn) )
・
[仮定1][仮定3]が成り立つならば、
 つまり、
実数λ1 ,λ2 ,…,λnが、「実n次正方行列Aの実固有値」であって
     
p1=( p11, p12,…, p1n ) , p2=( p21, p22,…, p2n ) ,…, pn=( pn1, pn2,…, pnn ) が
       『
実n次正方行列Aの実固有値λ1,λ2,…,λnに対応する固有ベクトル』であるならば、
  
AP=P diag(λ1,λ2,…,λn) である。
・なぜなら、
 
行列積APの各列を書き出すと、 
   「
APの第1列」=「実行列Aと『実行列Pの第1列』との行列積」
   「
APの第2列」=「実行列Aと『実行列 Pの第2列』との行列積」
       :                :

   「APの第n列」=「実行列Aと『実行列 Pの第n列』との行列積」 
 
step1より、『Pの第1列』がp1, 『Pの第2列』がp2,…, 『Pの第n列』がpnであったから、
   「
APの第1列」=Ap1
   「
APの第2列」=Ap2
        :   : 
   「
APの第n列」=Apn  
 
[仮定1]より、p1, p2,…, pn は、『実n次正方行列Aの実固有値λ1,λ2,…,λnに対応する固有ベクトル』であるから、
   「
APの第1列」=Ap1=λ1 p1
   「
APの第2列」=Ap2=λ2 p2
        :  :   :

   「APの第n列」=Apn=λn pn 
 
[仮定3]をつかうと、  
   「
APの第1列」=Ap1=λ1 p1=t(λ1 p11,λ1 p12,…,λ1 p1n )   
   「
APの第2列」=Ap2=λ2 p2=t(λ2 p21,λ2 p22,…,λ2 p2n )   
        :  :   :

   「APの第n列」=Apn=λn pn=t(λn pn1,λn pn2,…,λn pnn )   
 だから、
   
AP 
   
 他方、
   
P diag(λ1,λ2,…,λn)
    
    
 したがって、
AP=P diag(λ1,λ2,…,λn) となる。
(step4―P−1AP= diag(λ1,λ2,…,λn) )
・
[仮定1][仮定2] [仮定3]が成り立つならば、
 つまり、
n個の相異なる実数λ1 ,λ2 ,…,λnが、「実n次正方行列Aの実固有値」であって、
     
p1=( p11, p12,…, p1n ) , p2=( p21, p22,…, p2n ) ,…, pn=( pn1, pn2,…, pnn ) が
       『
実n次正方行列Aの実固有値λ1,λ2,…,λnに対応する固有ベクトル』であるならば、
 
P−1AP = diag(λ1,λ2,…,λn) 
 
かつ
 
対角行列 diag(λ1,λ2,…,λn)の対角成分λ1 ,λ2 ,…,λnは、n個の相異なる実数  
・なぜなら、
 
step3より、[仮定1][仮定3]が成り立つならば、AP=P diag(λ1,λ2,…,λn) …(等式1)。
 
step2より、[仮定1][仮定2]が成り立つならば、Pは正則行列となって、P−1が存在する。
 したがって、
[仮定1][仮定2] [仮定3]が成り立つならば、
 等式
1の両辺に、左からP−1をかけて、次の等式を得られる。
    
P−1AP = diag(λ1,λ2,…,λn)    
 なお、仮定
2より、このとき、対角行列 diag(λ1,λ2,…,λn)の対角成分λ1 ,λ2 ,…,λnは、n個の相異なる実数である。
(step5―結論) 
 「
対角化可能」という語の定義より、
 「 
P−1AP = diag(λ1,λ2,…,λn) 」が成立することは、
 「 
Aは、 n次正則行列P によって、対角行列 diag(λ1,λ2,…,λn)に対角化可能」と言い表せる。
 したがって、
step4より、
 
[仮定1][仮定2] [仮定3]が成り立つならば、
 命題
T「n次正方行列Aは、 n次正則行列P によって、対角行列 diag(λ1,λ2,…,λn)に対角化可能であって、
      
かつ
     
対角行列 diag(λ1,λ2,…,λn)の対角成分λ1 ,λ2 ,…,λnは、n個の相異なる実数である」
 が成立する
 といってよい。

証明

[命題T⇒命題S]
・「n次正方行列Aは、 n次正則行列P によって、対角行列 diag(λ1,λ2,…,λn)に対角化可能」ならば、
 
対角化可能の必要条件より、
 「
実数λ1 ,λ2 ,…,λnは、実n次正方行列Aの実固有値であって、
    
n次正則行列Pの第1列p1, 第2列p2,…, 第n列pn は、
        『
実n次正方行列Aの固有値λ1,λ2,…,λnに対応する固有ベクトル』となる」
           
Ap1 =λ1 p1 
           
Ap2 =λ2 p2 
            :  :
           
Apn =λn pn 

[文献]
・松坂『解析入門4』18.1-C定理1の証明の前半 (p.88)

 

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・したがって、
 命題
T「n次正方行列Aは、 n次正則行列P によって、対角行列 diag(λ1,λ2,…,λn)に対角化可能であって、
     
かつ
     
対角行列 diag(λ1,λ2,…,λn)の対角成分λ1 ,λ2 ,…,λnは、n個の相異なる実数である」
ならば、
 「
実数λ1 ,λ2 ,…,λnは、実n次正方行列Aの実固有値であって、
    
n次正則行列Pの第1列p1, 第2列p2,…, 第n列pnは、『実n次正方行列Aの固有値λ1,λ2,…,λnに対応する固有ベクトル』」
           
Ap1 =λ1 p1 
           
Ap2 =λ2 p2 
            :  :
           
Apn =λn pn 
  
かつ
  「
実数λ1 ,λ2 ,…,λnは、n個の相異なる実数」
となる。 
つまり、命題
T⇒命題Sである。

   

→[トピック一覧:固有ベクトル固有値]
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定理:行列が対角化可能となるための条件−固有空間の観点


定義






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定理:実対称行列の固有値・固有ベクトル



[文献]
・佐武『
線形代数学』�W§3定理4(pp.152-3);
・佐和『回帰分析』2.3.1(i)(p.30)
・木村『線形代数:数理科学の基礎』4.5(p.91)
・西村『経済数学早わかり』2章§5.3定理5.3(p.97):証明つき;
・岩田『経済分析のための統計的方法』12.5.2定理12.24(p.307)
・岡田『経済学・経営学のための数学』2.6定理2.32(p.109)
・戸田・山田『計量経済学の基礎:統計的手法の理論とプログラミング』2.8.2(p.111)



実n次対称行列Aの固有値は、すべて実数。
実n次対称行列Aの固有ベクトルは、すべて実n次元数ベクトル。
※なぜ?→略。
 証明は、複素数まで広げて考えなければ、得られない。

※
対称変換と対称行列との関連 
※
対称変換の固有値・固有ベクトルについての同様の定理。



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定理:実対称行列の固有ベクトルの性質



[文献]
・木村『線形代数:数理科学の基礎』4.5(pp.92-93)
・西村『経済数学早わかり』2章§5.3定理5.4(p.98) :証明つき;
・佐和『回帰分析』2.3.1(iii)(p.31)
・戸田・山田『計量経済学の基礎:統計的手法の理論とプログラミング』2.8.2(p.111)

・永田『理系のための線形代数の基礎』系5.2.9(p.141)


実n次対称行列Aの異なる固有値に対応する固有ベクトルは、直交する。


※
対称変換と対称行列との関連 
※
対称変換の固有値・固有ベクトルについての同様の定理 



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定理:n次実対称行列の固有ベクトルからなる「Rnの正規直交基底」の存在



次の二つの命題は同値。
命題S「実n次正方行列Aは、実n次対称行列である。」
命題T「実n次正方行列Aの固有ベクトルから『n次元ユークリッド空間Rnの正規直交基底』をつくれる。」

実n次正方行列Aの固有ベクトルを列とする直交行列をつくれる。 

 

[文献]
・永田『理系のための線形代数の基礎』定理5.2.7系5.2.8(p.141)


・固有空間への直和分解と次元(→一次変換の対角化)。各固有値の固有空間の基底を、全ての固有値についてあつめてくると、n個になるから、Rnの基底になる。

・直交行列の性質より、
 正方行列が直交行列であること⇔正方行列の各列がRnの正規直交基底であること。

・直交系・正規直交系は一次独立
・n個の一次独立な実n次元数ベクトルがそろえば、Rnの基底になる。







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定理:実対称行列の対角化


文脈


1. 行列対角化可能の条件−固有値の観点によって、
   
n個の相異なる実数λ1 ,λ2 ,…,λnが、《実n次対称行列Aの実固有値》であるならば、
     
実n次対称行列Aは、対角化可能
 である。   

2. それでは、
  「
n個の相異なる実数λ1 ,λ2 ,…,λnが《実n次対称行列Aの実固有値》とならないケース」では、
  どうだろうか。

  
実対称行列の固有値はすべて実数だから、
  「
n個の相異なる実数λ1 ,λ2 ,…,λnが《実n次対称行列Aの実固有値》とならないケース」とは、
  《
実n次対称行列Aの実固有値》に重複があるケースになる。
  このような設定下でも、
  
実n次正方行列AとAは、対角化可能である。

3.だから、結局のところ、
 
実n次対称行列Aは、無条件に、対角化可能
 となる。   
 

[文献]
・永田『理系のための線形代数の基礎』定理5.2.7系5.2.8(p.141)
・佐武『線形代数学』�W§3定理4(pp.152-3);
・斎藤『線形代数入門』5章§3系[3.2](p.150):対称変換がメイン。
・木村『線形代数:数理科学の基礎』4.5(pp.92-93)
・佐和『回帰分析』2.3.1(iv)(p.30) 1.のみ証明。スペクトル分解
・西村『経済数学早わかり』2章§5.3定理5.6(pp.98-9):1.のみ証明2は結果のみ;
・岩田『経済分析のための統計的方法』12.5.2定理12.22-23(p.307):証明なし
・岡田『経済学・経営学のための数学』2.6定理2.32(p.109)
・戸田・山田『計量経済学の基礎:統計的手法の理論とプログラミング』2.8.2(pp.112-3) :1.のみ証明2は大まかな解説のみ;


※活用例:実二次形式の標準化 
※対称変換と対称行列との関連 
※対称変換についての同様の定理 

1.

 n個の相異なる実数λ1 ,λ2 ,…,λnが、《実n次対称行列Aの実固有値》であるならば、
     
実n次対称行列Aは、直交行列Pによって、対角化可能
 である。
※なぜ?
 以下二点から
  ・
行列対角化可能の条件−固有値の観点と、
  ・
対称行列の相異なる固有値に対する固有ベクトルは直交する 

[文献]
・佐和『回帰分析』2.3.1(iv)(p.30) 1.のみ証明。
・西村『経済数学早わかり』2章§5.3定理5.6(pp.98-9);
・戸田・山田『計量経済学の基礎:統計的手法の理論とプログラミング』2.8.2(pp.112-3)

2.

 実n次対称行列Aは、無条件に、対角化可能
 
 次の二つの命題は同値。
 命題1: 実n次正方行列Aは、実n次対称行列である。
 命題2:実n次正方行列Aは、直交行列Pによって、対角化可能 
     すなわち、
     「実n次正方行列Aに対して、
        diag(λ1,λ2,…,λn)=P−1APを満たす直交行列Pが存在する。」
     ※直交行列の性質より、P−1= tP だから、   
      「実n次正方行列Aに対して、
         diag(λ1,λ2,…,λn)= tPAPを満たす直交行列Pが存在する」
       といっても同じこと。   
  固有空間の視点。固有空間に直和分解される。          

            

            

            

            

  
 


[文献]
・戸田・山田『計量経済学の基礎:統計的手法の理論とプログラミング』2.8.2(pp.112-3) おおまかな解説。
・佐武『線形代数学』�W§3定理4(pp.152-3)基底の変換、正方行列の次数に関する帰納法、…;
・岡田『経済学・経営学のための数学』2.6定理2.32(p.109) 正方行列の次数に関する帰納法、直交補空間、正規直交系、基底変換:
・永田『理系のための線形代数の基礎』定理5.2.7系5.2.8(p.141):正規行列の文脈で。

3.

 diag(λ1,λ2,…,λn)=P−1APの両辺に、左からP,右からP-1をかけると、
   A=P diag(λ1,λ2,…,λn) P−1

 という等式が得られる。
 これを、Aのスペクトル分解という。  
   ※直交行列の性質より、P−1= tP だから、   
            A=P diag(λ1,λ2,…,λn) tP   
    としてもよい。   

[文献]
・佐和『回帰分析』2.3.1(iv)(p.30)



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定理:実対称行列と正値定符号行列・負値定符号行列



[文献]
・柳井竹内『
射影行列・一般逆行列・特異値分解』§1.4(p.18)。
・戸田・山田『
計量経済学の基礎:統計的手法の理論とプログラミング』2.9.2(pp.117-8)





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