n変数二次形式 quadratic form ― トピック一覧 [数学についてのwebノート] |
---|
・定義:二次形式/正値定符号二次形式/正値定符号行列/半正値定符号二次形式/半正値定符号行列 負値定符号二次形式/負値定符号行列/半負値定符号二次形式/半負値定符号行列 ・定理:単位ベクトル化の二次形式の計算/単位ベクトル化の二次形式の最大値・最小値定理 二次形式の基底変換公式/二次形式の標準化 正値定の必要十分条件-固有値/負値定の必要十分条件-固有値/正値定の必要条件-行列式/負値定の必要条件-行列式/ 正値定の必要条件-小行列/負値定の必要条件-小行列/正値定の必要十分条件-主小行列式/負値定の必要十分条件-主小行列式 |
※応用:n変数関数の極値問題 ※具体例:2変数の二次形式 →線形代数目次/総目次 |
定理:正値定符号行列になるための必要十分条件〜固有値に関連して | ||
---|---|---|
|
|
|
証明 |
[ 命題T ⇒ 命題S ] ・命題T「n次対称行列Aの固有値が全て正」 すなわち、 n次対称行列Aの固有値λ1,λ2,…,λn について、 λ1>0 かつ λ2>0 かつ … かつ λn >0 …(1) とする。(λ1,λ2,…,λn に重複を認める) ・定理より、 一般に、 うまく、実n次元数ベクトルx'=(x'1, x'2, …, x'n) を決めてあげると、 n次対称行列Aの固有値λ1,λ2,…,λn をつかって、 A[x]=λ1x'12+λ2x'22+λ3x'32+…+λnx'n2 …(2) と標準化できる。 ・したがって、 命題Tすなわち(1)が成り立つならば、 (2)より、 A[x]=λ1x'12+λ2x'22+λ3x'32+…+λnx'n2 >0 すなわち、二次形式A[x]は正値定符号 |
|
[ 命題S ⇒ 命題T ] ・一般に、 実n次対称行列Aの固有値は、すべて実数。実n次対称行列Aの固有ベクトルは、すべて実n次元数ベクトル。(∵) したがって、実n次対称行列Aの任意の固有値λにたいして、 λx =Ax …(1) かつ x≠0 …(2) を満たす実n次元数ベクトルxが存在する。 すると、実n次対称行列Aの任意の固有値λと、上記の実n次元数ベクトルxについて ・λ(x・x)=(λx)・x ∵自然な内積の性質 =(Ax)・x ∵(1) =A[x] ∵二次形式の内積表現 …(3) かつ ・x・x >0 ∵(2)と自然な内積の性質 …(4) が成り立つ。 ・命題Sが成り立つならば、すなわち、任意のxにたいして、A[x] >0 ならば、 実n次対称行列Aの任意の固有値λと、 (1)(2)を満たすその固有ベクトルxについて、 λ(x・x)=A[x] >0 ∵(3)と命題S かつ x・x >0 ∵(4) が満たされる。 よって、実n次対称行列Aの任意の固有値λ>0 |
→[トピック一覧:二次形式] →[線形代数目次/総目次] |
定理:負値定符号行列になるための必要十分条件〜固有値に関連して | ||
---|---|---|
|
|
※具体例:2変数の二次形式のケース |
証明 | [ 命題T ⇒ 命題S ] ・命題T「n次対称行列Aの固有値が全て負」 すなわち、 n次対称行列Aの固有値λ1,λ2,…,λn について、 λ1<0 かつ λ2<0 かつ … かつ λn <0 …(1) とする。(λ1,λ2,…,λn に重複を認める) ・定理より、 一般に、 うまく、実n次元数ベクトルx'=(x'1, x'2, …, x'n) を決めてあげると、 n次対称行列Aの固有値λ1,λ2,…,λn をつかって、 A[x]=λ1x'12+λ2x'22+λ3x'32+…+λnx'n2 …(2) と標準化できる。 ・したがって、 命題Tすなわち(1)が成り立つならば、 (2)より、 A[x]=λ1x'12+λ2x'22+λ3x'32+…+λnx'n2 <0 すなわち、二次形式A[x]は負値定符号 |
|
[ 命題S ⇒ 命題T ] ・一般に、 実n次対称行列Aの固有値は、すべて実数。実n次対称行列Aの固有ベクトルは、すべて実n次元数ベクトル。(∵) したがって、実n次対称行列Aの任意の固有値λにたいして、 λx =Ax …(1) かつ x≠0 …(2) を満たす実n次元数ベクトルxが存在する。 すると、実n次対称行列Aの任意の固有値λと、上記の実n次元数ベクトルxについて ・λ(x・x)=(λx)・x ∵自然な内積の性質 =(Ax)・x ∵(1) =A[x] ∵二次形式の内積表現 …(3) かつ ・x・x >0 ∵(2)と自然な内積の性質 …(4) が成り立つ。 ・命題Sが成り立つならば、すなわち、任意のxにたいして、A[x] <0 ならば、 実n次対称行列Aの任意の固有値λと、 (1)(2)を満たすその固有ベクトルxについて、 λ(x・x)=A[x] <0 ∵(3)と命題S かつ x・x >0 ∵(4) が満たされる。 よって、実n次対称行列Aの任意の固有値λ<0 |
→[トピック一覧:二次形式] →[線形代数目次/総目次] |
|
定理:正値定符号行列になるための必要条件〜行列式に関連して | ||
---|---|---|
|
※具体例:2変数の二次形式のケース |
|
※ |
||
→[トピック一覧:二次形式] →[線形代数目次/総目次] |
定理:負値定符号行列になるための必要条件〜行列式に関連して | ||
---|---|---|
|
|
※具体例:2変数の二次形式のケース |
(証明) |
||
→[トピック一覧:二次形式] →[線形代数目次/総目次] |
定理:正値定符号行列になるための必要条件〜小行列の符号に関連して |
||
---|---|---|
|
|
|
→[トピック一覧:二次形式] →[線形代数目次/総目次] |
定理:負値定符号行列になるための必要条件〜小行列の符号に関連して |
||
---|---|---|
|
|
|
※ |
||
→[トピック一覧:二次形式] →[線形代数目次/総目次] |
定理:正値定符号行列になるための必要十分条件〜主小行列式に関連して |
||
---|---|---|
|
※具体例:2変数の二次形式のケース
|
|
|
つまり、行列Ak (k=1,2,…n)は、 |
|
※ |
(例) |
|
(証明) |
||
→[トピック一覧:二次形式] →[線形代数目次/総目次] |
定理:負値定符号行列になるための必要十分条件〜主小行列式に関連して |
||
---|---|---|
|
|
※具体例:2変数の二次形式のケース |
※ |
(例) |
|
(証明) |
||
→[トピック一覧:二次形式] →[線形代数目次/総目次] |
斎藤正彦『基礎数学1:線形代数入門』東京大学出版会、1966年、pp.153-158。
Chiang, Fundamental Methods of Mathematical Economics: Third Edition, McGraw Hill,1984,pp.319-331.極値問題で利用。
岩田暁一『経済分析のための統計的方法(第2版)』東洋経済新報社、1983年、pp.310-322。
永田雅宜『理系のための線形代数の基礎』紀伊国屋書店、1986年、pp.142-150。
藤原毅夫『理工系の基礎数学2:線形代数』岩波書店、1996年、pp.152-157。
石村園子『すぐわかる線形代数』東京図書、1994年、pp.219-225。
縄田和満『EXCELによる線形代数入門』年、朝倉書店。
高橋一『経済学とファイナンスのための数学』新世社、1999年、pp.203-205。
William H. Greene Econometric Analysis (3rd Edition) , Prentice Hall International, 1997,pp.46-47...
→[トピック一覧:二次形式] →[線形代数目次/総目次] |