Rock Listner's Guide To Jazz Music

ホームシアターの導入
(1999年)



とにかく新しい音楽を追い求めていた僕はレコードやCDへの投資が最優先で、一般的な価値観で見れば十分立派なオーディオ環境が家にあったことも手伝い、学生から社会人になってもオーディオそのものにはほとんど興味を持つことなく過ごしてきました。

一方、オーディオとはまったく別の話として、99年ころに突然映画に目覚めはじめたという自身の変化があったんです。そして当時最新の映画館で「プライベート・ライアン」を観たとき、四方八方から銃声が飛んでくるその臨場感に驚嘆。しかも、やはり当時新しいメディアとして出てきたDVDとやらはそのサラウンドで音声が収録されているという(LDから実現されていたことすら当時は知らなかった)。電器屋さんのデモで試聴してみると、なるほど映画館に似た臨場感がある。これを買えば家で疑似的な映画館ができてしまうなんて夢のようではないか。そうは言っても、30歳そこそこの若造がいきなり高額なものを買えるはずもなく、ほどほどの値段のものでまずは一式を揃えました。

ONKYO DR-90 \96,600 (AVアンプ内蔵DVDプレイヤー)
ONKYO D-305F \53,500 (Pair)
ONKYO D-305C \23,100
ONKYO D-305SR \26,250 (Pair)
ONKYO SKW-305 \31,500 (以上、定価)

実売合計で約17万円程度。

当時(99年の秋ごろ)は、5.1chスピーカーの最下級クラスだと6個セットで60,000円くらい。これだとさすがに音がチープだったので、そのひとつ上のクラスを探すことに。今のように多くのメーカーで様々な価格帯の5.1chスピーカーセットが存在したわけではなく、ホームシアター用のスピーカーは所詮ピュア・オーディオとは別世界の低レベルなものという風潮が今よりも更に支配的であったためか選べる製品はごく限られていたんです。このオンキヨーのスピーカー・セットと同じくらいの価格の競合製品は、少なくとも国産メーカーにはなかったように記憶しています(当時はインターネットの情報もそれほど充実していなかった)。

さて、マニアでもない一般人がホームシアターを構築するときに障壁となるのは、テレビラックの中にビデオとは別にAVアンプとDVDプレイヤーを納めなければならないところ。我が家には当時ブラウン管としては最大サイズの29インチ・テレビがありましたが純正テレビラックにそのすべてはとても納まらない。DR-90はその点もクリアにしてくれるだけでなく、DTSデコーダーを内蔵しているなど当時最新の規格を押えた逸材でした。おまけにアンプ内蔵で実売70,000円を切るという価格は、単なるDVDプレイヤーが40,000円くらいしていた当時としては破格の安値に映ったのも無理はありません。

そのシアターセットを使ってDVDを5.1chで、WOWOWで録画した映画も4.1chの疑似サラウンドで、おおいに楽しませてもらいました。音楽を聴くには父のオーディオ・セットとは比べる気にならないほどの差があったものの、そもそもは映画を観るために購入したもの。テレビのスピーカーで聴くよりずっと上質な音に不満はなく、これで十分と満足していたのです。

ホームシアター・システムの満足度(当時):★★★ コスト・パフォーマンス:★★★