初めにお断りしておくと僕は決してオーディオマニアではない。音のディテールにこだわるよりも音楽全体が気持ち良く鳴ってくれた方がイイ、というタイプです。とはいえ、より音楽を楽しく聴くために良い音であってほしいという気持ちを持っているのも確か。好きなときに良い音で良い音楽を聴く。音楽好きにとってこれ以上の贅沢はありません。 オーディオの評価 オーディオというもの、乱暴に言ってしまえば好みの世界です。たとえばレストランやラーメン屋などの好みに個人の嗜好があるのと同じで、その人が気に入っていればそれで充分。値段が高いかどうかなんて関係ない。気に入ったものを他人がとやかく言う資格などありません。 今はネットに製品の情報が氾濫しているし、掲示板などでは特定の製品について多くの人のコメントを読むことができて非常にありがたい。一方でそういった場では、その製品の音についてその人がどのような特徴を感じたかを書いてほしいものなんだけれど、残念ながら音のイメージが湧くような書き込みというのは非常に少ない。 でもそれは無理もないことかもしれない。食べ物の味を文章で表現して読み手にイメージさせることが難しいのと同じように音質を文章で表現して読み手に理解させることは誰にとっても困難を極めることだから。 オーディオ雑誌のレビューも言葉巧みにいろいろ書いてあるものの、よく読んだらどんな音なのかサッパリわからないものがほとんど。プロの評論家を名乗る以上、好みを超越した分析で音質を表現してほしいものなんですが、実態は単に文字を埋める術を知っているだけ(残念ながら文章を書く術ではない)のオーディオマニアの一員という人が殆どという感じがします。 また、たとえ信頼できる評論家のレビューであっても試聴は専用の試聴室で、一般家庭にとっては非常識な大音量で行われていることは忘れてはいけないでしょう。オーディオ雑誌のレビューは一般市民にとって非現実的な環境で聴いたものが書かれているのであって、普通の部屋で聴く一般人が同じ装置から同じような音が得られるとは到底思えない。 ネットの情報はさらに紛らわしい。そこで語られている「イイ音」「ワルイ音」は、その人がこう鳴ってほしいという理想、平たく言うと好みに基づくものであって、その人の好みがわからない限り読み手にとって有益かどうかが判断できない。低音が強調された音が好きだったとしても、それがどのように鳴るかによっても好き嫌いが分かれるわけですから、ほとんど落書きレベルの掲示板に書かれている情報から自分の好みに合っているかどうかの確信を得るのは不可能と言っても良いでしょう。 このような状況を鑑みると、ネットの情報も雑誌の記事もあんまりアテにならないことになる。一番良いのは信頼できるショップの人と仲良くなって製品の情報を引き出したり実物で聴いてみたりすることでしょうが、店員にも好みがあってバイアスがかかってしまうのは仕方がないことだし、試聴もお目当てのコンポーネント以外のシステムが自宅のものと違えば正しく評価できない。それにショップと自宅とではリスニング環境が違いすぎるために、試聴ではおおまかな特徴を知るのが精一杯。よってオーディオ製品の購入は常にギャンブル、特に高額製品になればなるほど大バクチになってしまう。できるだけ様々な情報からその製品の音の傾向を読み取っていくことを買い手に要求するのがオーディオという工業製品なのです。 僕の感覚では2chアンプで10万円、スピーカーのペアで20万円以上くらいの製品なら十分に音楽を楽める水準にあると思う。それがその人にとって良いものであるかどうかはまた別の話。10万円の製品でも好みに合えば値段では計れない価値を持つことになるし、100万円の製品でも好みに合わなければ10万円の価値も持たなくなってしまう。クセを売り物にしている一部メーカーの製品を別にすると、基本的に高額製品は音質がクリアであるために入手当初はそのオーディオ的パフォーマンスに満足するでしょうが、音の表現が好みに合っていないと音楽に没頭できず、自覚症状がないままにモヤモヤを引きずってしまうこともあるかもしれません。 オーディオマニア 音楽を楽しむことよりも音質を楽しむことが上回ってしまった本末転倒な人のことをオーディオマニア(=音質マニア)と僕は定義している。確かに、僕もオーディオ機器の聴き比べをするときは耳をそばだてて、いかに音が綺麗に分離されていて、クリアに音が再生できているかなどを聴き取るろうとする。凝視ならぬ凝聴とでも言いましょうか。そこで差異を見出そうとするわけですが、そういうときには「音」を聴いているだけで「音楽」は聴いていない。画質の観察に集中していては映画を味わえないのと同じことで、音楽を聴くのに微細な音の聴き分けをしている人(より具体的に言うと高級オーディオ店で目を閉じて頭を垂れながら石像と化して試聴しているような人)が音楽を楽しんでいるとは到底思えません。そんな聴き方をしなくても自然体で聴いて「イイ音だなあ」と思えて音楽が楽しく聴こえるオーディオこそが最高のオーディオだと思っている自分の立ち位置は、オーディオマニアとは明らかに違っていると思うわけです。 昔、クルマのチューン・アップに熱中したことがありました。いろいろな部品を変えてスポーティな走りに変わるのを楽しんでいたんですが、やりだすと際限なくお金がかかるという意味も含めて今思うとオーディオにとてもよく似ている。クルマいじりも、大きなものから小さなものまで部品をどんどん換えてその特性の変化を楽しむものとはいえ、モノによってはほとんど変わらないものがある。たとえばスタビライザー・リンクをピロボールのものに換えたら「ステアリング・レスポンスが上がった!」なんて嬉しそうな顔をして言う仲間がいて、まったく変わっていないと感じた僕はその時に思い始めた。この人たちは実際に変わったかよりも部品を交換して変わったような気がすること(いわゆるプラシーボ効果)を楽しんでいるんじゃないかと。 いやいや、あなたは違いを感じる能力がなかったんでしょうという声が聞こえてきそうです。でも僕はジムカーナという競技を仲間内ですると常にトップ、それも最初から速い天才肌だったわけではなく、クルマの挙動で感じたことを理詰めで研究しながら徐々にテクニックを身に付けて行ったタイプなので、競技会に出場するドライバー級とは言わないまでも人並み以上には感じ取る力があるつもりです(遊びでやったジムカーナで某メーカーのワークスドライバーに勝ったことだってある)。 それはさておき、そんなことを経験しているうちに僕は部品交換直後に「変わったような気がする」という程度のものは効果なしと断じ、1週間後にクルマに乗って「ああ、やっぱり違うなあ」と思えて「価値あり」と思うようになりました。投資したんだから良くなっている、いや良くなっていなければならないという感情は理解できるものの、僕はそのへんが妙に冷静なようで、いくら投資しようとも違いがわからなければ自分の選択が無意味だったと認めるようになりました。 これと似たようなことがオーディオにも言える。ケーブルなどを高額なものに交換したりして本当に明らかに変わるのかといえば「変わったような気がする」程度でほとんど変わらないと思う。交換したことを知らずに聴いても違うと感じるものなら意味がある。 申し遅れましたがワタクシ、宗教や占いのような科学的根拠のないものを信じない、踊るのはいいけど踊らされるのは大嫌い、そして長いものには巻かれない「自分で考えて物事を判断して行動する」タイプの人間です。以下、そんな人間が書いているということをご承知おきいただければと思います。 オーディオ機器の変遷 自宅にあったオーディオ機器(〜2002年) ホームシアターの導入(1999年) DVDレコーダーの入れ替え(2007年4月) AVアンプの導入(2007年8月) スピーカーの入れ替え その1(2007年10月) 底上げのためのあれこれ(2008年7月〜8月) サブ・オーディオ・システム(2008年10月) プリイメインアンプの導入 その1(2008年12月) スピーカーの入れ替え その2(2009年1月) CDプレイヤーの導入(2009年2月) プリメインアンプの導入 その2(2009年2月) ヘッドフォン・システムの導入(2009年2月) PCオーディオ(2010年3月) ネットワーク・オーディオ Part 1(2010年12月) プリメインアンプの導入 その3(2012年8月) センター・スピーカーの入れ替え(2013年1月) リア・スピーカーの入れ替え(2015年8月) ネットワーク・オーディオ Part 2(2017年3月) AVアンプの入れ替え(2019年8月) (番外編)プロジェクター(2008年2月)(2019年8月) 僕は決してオーディオマニアではない・・・こんな書き出しで始まっているこのページ。しかし、この履歴を読んでいただいた方にはお分かりの通り、普通のサラリーマンにしては投資額も決して軽いとは言えない領域まで踏み込んでしまいました。ここまでオーディオに投資することは普通の価値観から言えば立派なビョーキと言っていいでしょう。つまり、このページは「そこそこの投資で十分に楽しく音楽が聴ける」と思っていた人間が「もう少し良い音を」という欲望に流されていく過程を綴ったものになってしまったのです。そうは言っても僕のオーディオの楽しみ方は、やはり音楽あってのもの。製品の特徴を示すために分析的なことを書いてはみたものの、音楽がどのように聴こえてくるかの方が圧倒的に重要という考えにいささかの変化もありません。 実はここまでオーディオに力を入れてしまったのは、ジャズを聴くようになったからというのが大きな理由です。生楽器の音をリアルに再現するのはオーディオ装置への要求度が極めて高い。60年代後半〜70年代前半にダイレクトでソリッドに録音されていたロックは例外として、加工された音が中心のポップスやロックを聴くだけなら今のシステムは正直必要なく、投資の半分以下のシステムで十分だと思います。オーディオマニアにクラシックやジャズの愛好家が多いのはひとえに生楽器の再生リアリティが必要だからに他なりません。世間では何を聴くかを抜きにオーディオ機器の評判が語られていますが、聴く音楽によって求められる音の性格だけでなく、レベル、質も大きく違うということは忘れない方が良いでしょう。逆に生楽器の良さを真剣に楽しみたいのであればオーディオに投資するのは大いに価値があると思います。 グレードアップに連れてクオリティが向上していくことにほぼ満足してきたものの、同じ価格帯の製品をあまり聴き比べしていません。自分の好みを理解した上で十分に下調べをして、特にスピーカーについては必ず試聴して決めてきたので大きな勘違いには至っていないだろうと思うものの、それで本当に自分にとっての最良の一品に巡り合えたかどうかは確かに疑問です。 経験上、ショップの試聴ではスピーカーの実力は7割程度しかわからないと思っているので実はいくら試聴しても最良の一品なのかどうかの判別は難しい。実際、家に導入して何枚もCDを聴いてみてやっと本当の実力がわかってくる。つまり最良の一品を本当に探そうとするのなら自分の部屋に候補モデルを次から次へと設置して長時間聴き比べなければならない。そんなことはお金と時間が唸るほどあり余っている人でもない限り無理です。 だから、やはりこういう結論に至ってしまう。 まずは自分の音の好み、あるいは自分の好きな音楽がこう鳴って欲しいという音の特性を知った上で、アテにならないながらも雑誌やネットの情報からおおまかな特徴を把握した上で試聴して決めるということ。ネットの掲示板にある質問の投稿を見ていると、そもそも自分の好みを把握できていない人、どんな音楽をどう聴きたいのかわかっていない人が実に多い。オーディオ的なパフォーマンスについて言えば解像度が高いことは100%善ですが、だからと言って自分の好きな音楽が気持ちよく楽しく鳴ってくれるかというとそれははまた別の話で、だからこそ好みの音を知っておく必要がある。好きな音楽が如何に自分の好み通りに鳴ってくれるか。これがオーディオのすべてと言ってもいい。好みの音がわかっていないうちは自分に合う製品は見つからないでしょう。 また、特に強調したいのが情報にせよ試聴にせよ努めて冷静に判断することです。直感的にその製品が気に入ってしまうと情報を自分の都合の良いように解釈し、試聴も舞い上がって判断を狂わせてしまうもの。買ってみてから「やっぱり違うかも」と気づいたときに襲われるモヤモヤ感はずっと引きずってしまうものなので、やはり冷静さというのは極めて重要に思えます。 オーディオ選びの経験から学んだこと 「ジャズ向きは」 は本当か? 当たり前のことではありますが、オーディオ選びに際してはどんな音楽を聴くかという前提が極めて重要です。理想を言えばどんな音楽も良い音で鳴らせるべきとはいえ、そもそもオーディオ機器というのは矛盾の塊の中から何を取り、何を捨てるかで製品の性格が決まるものだからして得意/不得意があるのは当然のこと。従って製品作りの哲学が音の性格となって現れる。そこでオーディオ雑誌では、試聴にどのようなディスクを使うかを明記してそれらがどのように表現されるかを示していることが多く、それは確かにありがたい。 ところが、例えばジャズを追求したことがある人ならわかる通り、ひとくちにジャズといっても実にさまざま、繊細さを楽しむものもあれば豪快さを楽しむものもある。にもかかわらず、「これはジャズに向いている」などと一括りにされてしまうことが少なくない。さらに、多くの人にとって指標となりやすいはずであるにもかかわらずジャズ愛好家がもっとも重点的に聴いている50〜60年代の名盤が試聴に使われていることは少ない。確かに録音が古いためにオーディオ機器のパフォーマンスを測りにくいというのは理解できますが、そのようなヴィンテージ録音がどのように聴こえてくるかは極めて重要なことなのにもかかわらずあまりそのような観点でレビューされていないのはどういうことなのか。この点だけとっても、「オーディオ評論家:音質>音楽」ということがよくわかります。 これがジャズならまだいい。ロックの名盤を試聴ディスクに選ぶ人は稀だから、良い音でロックを楽しみたい人にとってオーディオ雑誌から有益な情報を得ることは相当難しい。オーディオ雑誌が強く推奨するオーディオ的パフォーマンスが優れているモデルというだけで製品選びをすると大失敗する可能性もあると僕は思います。 ネットで作られる定説 たとえば B&W CM1 は能率が低いためか、ネットの評価ではドライブ力のあるアンプでないと鳴らせないという意見が支配的です。ただ、そこではCM1の低い能率とアンプのスペック(出力やダンピング・ファクター)を見比べて断定的に「力不足です」と聴きもしないで、あるいはショップでの試聴程度(ショップのチョイ聴きでアンプの違いを聴き分けるのは難しい)でコメントしていると思われる人が多くて驚いてしまう。とにかくCM1のコメントは「駆動力のあるアンプ」の大合唱。普及帯のアンプでCM1を鳴らして満足するなんてオーディオを楽しむ資格がないと言わんばかりの画一的かつ宗教的な洗脳が繰り広げられていて恐ろしい。本当に自分の家で長時間聴いてみて得た情報なのか疑わしい人たちが、皆が判で押したように同じようなモデルのアンプを勧めているところも不気味です。一般家庭で鳴らせる音量で駆動力のあるアンプを使うことにどんな価値があるのかについて正論を語っている人が皆無であるところがネット情報の危うさです。 どうにも神経質または頭でっかちになっている人が多い。CM1の試聴のときに60万円以上のアンプと30万円以上のCDプレイヤーで聴きましたが家でRCD-CX1で鳴らしてガッカリするようなことにはなっていません。感覚的に例えて言えば、ポテンシャルを100%引き出しているとは言えないかもしれないけれど90%は出していて少なくともCM1の魅力を味わうのに支障が出るほどRCD-CX1のアンプ部が足枷になっているとも思えない。経験上、CM1の半額クラスのスピーカーでもアンプのレベルに差があれば違いが出るのは同じこと。エントリー・クラスから、出力に余裕があるミドル・クラスのアンプに換えて音が良くなるという当たり前のことを表して「CM1にはドライブ力のあるアンプを・・・」と言っている人が多いように思えてならない。上を見ればキリがないないのがオーディオの世界。さすがに30,000円程度のミニコンポでCM1を鳴らすのはちょっと勿体ないような気がするけれど、60,000円クラスのアンプが用意できれば十分楽しめるでしょう。 ペアで90,000円クラスのスピーカーのポテンシャルを、あと数%引き出すために20万円、30万円とさらに投資する。そのスピーカーの個性がとことん気に入った人にはそういうアプローチもアリでしょうが、普通の金銭感覚からすれば馬鹿げています。マニア未満の方に声を大にして言いたいのは、重度なオーディオマニアの辞書にコスト・パフォーマンスという言葉はないということ。そして、ネットの掲示板への書き込みにはそういうマニアによる独断的なものが多いということ。自分がオーディオマニアでないと思っている人なら必要以上にネットの定説に踊らされない方がいい。実力の90%しか発揮できなくなると急に色褪せるほどCM1というスピーカーが魅力に欠けるとは思えません。強力な駆動力を誇るクレルのアンプでCM1を鳴らしてみても大音量で鳴らさない限りRCD-CX1との差は僅かで、逆にアンプの実力を出し切れていないと感じる部分さえありました。 一方で、マニアをはじめとした他人の評判が良くないと不安でたまらないという主体性のない人がネットの情報を頼りしているケースもありそうですが「オーディオは自分さえ満足できればそれがすべて」ということをもう一度強調しておきたい。人の意見に左右されて自分の選んだ製品が良いのか悪いのか不安という人はもう不幸そのものですから、いっそオーディオ趣味なんてやめた方がいいです。楽しむための趣味で不安になるなんてこんなにバカげたことはありません。 試聴の注意点 試聴環境は家とは違う。その違いがかなり大きいことには既に触れていますがもう少し補足しておきます。家に持ち込んだ機材が、試聴で得た印象そのままで鳴ることはまずありません。自分の経験で言うと、クリプシュRF-82とJBL project 1000 ARRAYは家で鳴らした方が解像度も高くパワフルでよりメリハリのあるサウンドになり、一方で B&W CM1は家で鳴らしたらダイナミズムが薄れ、繊細で小綺麗に聴こえるようになりました。特にスピーカーは環境(部屋)とセッティングによって音が変わる。ウチではリビングに置くとダイナミックに、寝室に置くと繊細になるということを経験から学びました(もちろんこれは常用する音量が違うからという理由も大きい)。また、引越しのときを利用して、ほとんど家具がないリビングでオーディオを鳴らしてみたら音の反響が明らかに変わり、布生地のソファから革のソファに変えたことでも僅かに音の響き方が変わりました。そのくらい聴く環境によって音は変わってくるわけですから試聴で製品のすべてを理解するのは困難なことなのです。 つまり、(これはとても難しい話ですが)より失敗を少なくするためには、自分のオーディオルームの音の特徴を把握し、試聴しながら自室に置いたらどのように変わるかということをイメージできた方が良いということです。 また、試聴のときにはいくつかのモデルと聴き比べることが多いと思いますが、解像度が高くパワフルなものの方が音が良いと感じ、地味ながら聴き疲れせずに味わい深い音を出すモデルの音を悪く感じてしまいがち。自分の好みの音を把握しておかないと短時間の試聴の印象で前者を選んでしまい、付き合っていくうちに感性と合わないことに気づいたときにはもう遅い、なんてことになってしまう可能性もあります。 そして当然のことながらチョイ聴きでそのスピーカーの本質が理解できるほどオーディオは底が浅いものではないですから、店員の目をあまり気にせず、しかし迷惑にならない程度にじっくり試聴することをお勧めします(ただし、欲しいモデルが決まったらその店で買うのがマナーだと思います)。 音の性格が最も顕著に現れるスピーカーですらこうなのだから、アンプやCDプレイヤーに至っては試聴で判断するのは困難を極めるということも付け加えておきましょう。 僕のオーディオ遍歴は、自分の音探しの旅でもありました。文中で、自分好みの音を知ることの重要性を強調しておきながら、今思うと本当に自分が求める音はどんな音だったのかというのは、ハマリはじめてから4年以上も経ってようやくわかってきたように思えます。オーディオに凝りだした初期の段階から大まかには欲しい音の傾向を掴んでいたから大きな回り道こそしていないけれど、その過程で「良いと思うけれど、こういう音はあんまり好きじゃないんだな」とか「想像もしていなかったけれど、こういう音も好きだったんだ」という発見に何度か遭遇しました。実は自分の好きな音を知ることというのは、時間と経験が必要だということです。 世の家庭にあるオーディオは、どれひとつとして同じ音で鳴っていない。オーディオには無限大の可能性があり、正解はありません。だからオーディオは奥が深く、楽しい。 オーディオ・システム・サマリー 【リビング用オーディオ】 アンプ PIONEER SC-LX701 KRELL KAV-400xi Mcintosh MA6900 NuForce Dia フロント・スピーカー JBL Project 1000 Array BG センター・スピーカー SONY SS-NA8ES サラウンド・スピーカー KEF T301 サブ・ウーファー YAMAHA YST-SW1500 Blu-rayレコーダー SONY BDZ-ET1000 DVD(ユニバーサル)プレイヤー SONY UBP-X800 ネットワーク・プレイヤー Logitech Squeezebox Touch YAMAHA WXC-50 DAコンバーター ONKYO DAC-1000 NAS QNAP TS-112 (番外)プロジェクター SONY VPL-VW315 ヘッドフォン・システム STAX SRS-4040A (イヤースピーカー SR-404 → SR-507) (2019年9月現在) |