二項述語の二重量化「∃xSyT  P(x,y)」   : トピック一覧


「∃xSyT P(x,y)の定義
「∃xSyT P(x,y)意味
・「xSyT P(x,y)読み下し例
xSyTの定義に遡った「∃xSyT P(x,y)意味 
集合S,Tが内包的に定義された場合の「∃xSyT P(x,y)意味 
集合S,Tが外延的に定義された場合の「∃xSyT P(x,y)意味
 


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「∃xSyT  P(x,y)」 の定義



【要旨】

 「xSyT P(x,y)」は、

  P(x,y)を2回存在量化した
   「xS (yT P(x,y) )
 を表す。


【詳細】

 「xSyT P(x,y)」とは、

 下記手順でつくった命題「xS (yT P(x,y) )」の略記。


  【step1:存在量化1回目】  
 
  二項述語P(x,y)
    「x,yは関係・条件Pを満たす
  の変項yを存在量化子で束縛して存在量化し、

  変項xのみを含む一項述語 yT  P(x,y)  
     「xは、あるyにたいして関係・条件Pを満たす
  をつくる。

関連事項: 
 ・xy P(x,y)の定義   
 ・「∀xS ∀yT P(x,y)の定義/「∃xS ∀yT P(x,y)定義/「∀xS ∃yT P(x,y)定義 





【文献−数学一般】
 ●齋藤『日本語から記号論理へ』2章§3存在量化子による二重量化(pp.60-61)限定なし議論領域設定例あり:x2+y2=1;xn<0
 ・中内『ろんりの練習帳』2.5(pp.100-2):"∃xy":例2.5.3友人、例2.5.7恋人どおし:
 ・新井紀子『数学は言葉』2.3脚注8(p.57);例題3.2.7∃mZnN(x=m/n) (pp.81-2);
 ・井関『集合と論理』1.2 例1(2) (p.10): 「∃x,yZ  (x<y) 」
  


 


  【step2:存在量化2回目】  

  step1で得られた
  変項xのみを含む一項述語 yT  P(x,y)
     「xは、あるyにたいして関係・条件Pを満たす
  の変項xも存在量化子で束縛して存在量化

  得られた命題が

   xS (yT P(x,y) ) 
   「あるyにたいして関係・条件Pを満たすxが存在する。」

【具体例】 
  →「∃xSyT ( x loves y )
  →「xSyT ( yxの師匠 )
  →「nS xT ( n>x )




xSyT P(x,y)
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「∃xSyT  P(x,y)」  の意味



 ・ P(x,y)は、変項xの議論領域X, 変項yの議論領域Yとする二項述語・2変数命題関数
 ・ Sは「X部分集合
 ・ Tは「Y部分集合

 とすると、 

 「xSyT P(x,y)」 すなわち 「xS (yT  P(x,y) ) は、
 
 以下を主張する命題。
      
 「部分集合Sに属す対象》《部分集合Tに属す対象》をそれぞれうまく選んで
  《部分集合Sに属す対象》を変項xへ、
  《部分集合Tに属す対象》を変項yへ代入することによって、
  x-y間の関係・条件P(x,y) を成り立たせることができる」


具体例
  →「∃xSyT ( x loves y )
  →「xSyT ( yxの師匠 )
  →「nS xT ( n>x )

関連事項: 
 ・xy P(x,y)の意味   
 ・「∀xS ∀yT P(x,y)意味/「∃xS ∀yT P(x,y)意味/「∀xS ∃yT P(x,y)意味 





【文献−数学一般】
 ●齋藤『日本語から記号論理へ』2章;§3存在量化子による二重量化(pp.60-61)限定なし議論領域設定例あり
 ・中内『ろんりの練習帳』2.5(pp.100-2):"∃xy":例2.5.3友人、例2.5.7恋人どおし:
 ・井関『集合と論理』1.2 例1(2) (p.10): 「∃x,yZ  (x<y) 」


 




xSyT P(x,y)
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「∃xSyT P(x,y)」の読み下し例


type1】
 
・「ある『Sに属す対象』xとある『Tに属す対象』y を選ぶと、P(x,y)。」
               [齋藤『日本語から記号論理へ』2章§3(p.60)] 
・「ある『《Sに属す対象》と《Tに属す対象》との組』(x,y)をとれば、P(x,y)が成立する。」
               [井関1.2 例1(2) (p.10): 「∃x,yZ  (x<y) 」]

・「適当な『Sに属す対象』x,Tに属す対象』y を選ぶと、P(x,y)。」
               [齋藤『日本語から記号論理へ』2章§3(p.59)]  


type2】

・「P(x,y)となるような『Sに属す対象』xと『Tに属す対象』y が存在する。」
               [齋藤『日本語から記号論理へ』2章§3(p.61)] 


【その他】
 
・「ある『Sに属す対象』x0とある『Tに属す対象』y0がとれ、このx0,y0にたいして、P(x,y)が真のとき、このときにかぎって真になる命題を表す 」[井関1.5 (pp.28-29)]


具体例 

 ・「∃xSyT ( x loves y )
 ・「xSyT ( yxの師匠 )
 ・「nS xT ( n>x )
 

  
関連事項: 
 ・xy P(x,y)の読み   
 ・「∀xS ∀yT P(x,y)読み/「∃xS ∀yT P(x,y)の読み/「∀xS ∃yT P(x,y)の読み 





【文献−数学一般】
 ・中内『ろんりの練習帳』2.5(pp.100-2):"∃xy":例2.5.3友人、例2.5.7恋人どおし:
 ・井関『集合と論理』1.2 例1(2) (p.10): 「∃x,yZ  (x<y) 」
 ●齋藤『日本語から記号論理へ』2章§3存在量化子による二重量化(pp.60-61)限定なし議論領域設定例あり



 







xSyT P(x,y)
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xSyTの定義に遡った「∃xSyT P(x,y)意味 



・「xSyT P(x,y)」すなわち「xS (yT  P(x,y) ) は、

 「 x ( xS かつ y ( yTかつP(x,y) ) ) 」の省略表現。  

  

なぜ?「yT  P(x,y)」「 xS Q(x) 」のそもそもの定義に立ち返ると一目瞭然。


step1】 「xS (yT  P(x,y) )xS ( y ( yTかつP(x,y) ) )」 

    「yT  P(x,y)」は「 y ( yTかつP(x,y) ) 」の省略表現であるから、

     「xS (yT  P(x,y) )」は、
      「xS ( y ( yTかつP(x,y) ) )」  
    の省略表現。

step2】 「xS ( y ( yTかつP(x,y) ) )x ( xS かつ y ( yTかつP(x,y) ) )

    「 xS Q(x) 」は「 x ( xS かつ Q(x) ) 」の省略表現であるから、
      
     Q(x) に「y ( yTかつP(x,y) )」を代入した   

    「xS ( y ( yTかつP(x,y) ) )」は、
 
    「x ( xS かつ y ( yTかつP(x,y) ) )」の省略表現。

step3】 結論
 
    step1,step2でおこなった考察を合わせると、
    「xSyT P(x,y)xS ( y ( yTかつP(x,y) ) )
                x ( xS かつ y ( yTかつP(x,y) ) )
 

関連事項:
 ・xS,∀yTの定義に遡った「∀xS ∀yT P(x,y)意味  
 ・xS,∀yTの定義に遡った「∃xS ∀yT P(x,y)意味  
 ・xS,∃yTの定義に遡った「∀xS ∃yT P(x,y)意味 








xSyT P(x,y)
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集合S,Tが内包的に定義された場合の「∃xSyT P(x,y)意味 


集合Sの内包S'であるとき、 つまり、 S{ x | S'(x) } であるとき、 
 集合Tの内包T'であるとき、 つまり、 T{ y | T'(y) } であるとき、 

 「xSyT P(x,y)」すなわち「xS (yT  P(x,y) )」は、

 「 x ( S'(x) かつ y ( T'(y) かつP(x,y) ) )
   
 に言い換えてよい。

なぜ?

 ・「xSyT P(x,y)」すなわち「xS (yT  P(x,y) )」は、
   「 x ( xS かつ y ( yTかつP(x,y) ) ) 」…(1)
  の省略表現()。 

 ・この設定の下では、 S{ x | S'(x) } とされているので、 
   xSは、x{ x | S'(x) }に言い換えてよい。
  また、x{ x | S'(x) } は、S'(x)に言い換えてよい()。
  以上二点より、設定下、xSは、S'(x)に言い換えてよい。…(2)

 ・この設定の下では、T{ y | T'(y) } とされているので、 
   yTは、y{ y | T'(y) } に言い換えてよい。
  また、y{ y | T'(y) } は、T'(x)に言い換えてよい()。
  以上二点より、設定下、yTは、T'(x) に言い換えてよい。…(3)

 ・(2)(3)により、
  「 x ( xS かつ y ( yTかつP(x,y) ) ) 」…(1)
  は、
  「 x ( S'(x) かつ y ( T'(y) かつP(x,y) ) )
  に言い換えてよい。

関連事項:
 ・集合S,Tが内包的に定義された有限集合である場合の「∀xS ∀yT P(x,y)意味  
 ・集合S,Tが内包的に定義された有限集合である場合の「∃xS ∀yT P(x,y)意味  
 ・集合S,Tが内包的に定義された有限集合である場合の「∀xS ∃yT P(x,y)意味 









xSyT P(x,y)
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集合S,Tが外延的に定義された有限集合である場合の「∀xSyT P(x,y)意味 


S有限集合 { s1 , s2 , … , sn }
 T有限集合 { t1 , t2 , … , tn }
 であるとき、 

 「xSyT P(x,y)」すなわち「xS (yT  P(x,y) ) は、

 「『P( s1 ,t1) または  P( s1 ,t2 ) または  … または P(s1,tn)
  または 
  『P( s2 ,t1) または  P( s2 ,t2 ) または  … または  P(s2,tn)
  または  
  :
  または  
  『P( sn ,t1) または  P( sn ,t2 )  または  …  または  P(sn,tn)』」

 に言い換えてよい。


なぜ?

 ・この設定の下では、 T有限集合 { t1 , t2 , … , tn } とされているので、
  
  「xSyT P(x,y)」すなわち「xS (yT  P(x,y) )」 は、
  
   「 xS ( P(x,t1) または P(x,t2) またはまたは P(x,tn) ) 」…(式1)

   に言い換えてよい。()。 

 ・この設定の下では、S有限集合 { s1 , s2 , … , sn } とされているので、
  
  (式1) 「 xS ( P(x,t1) または P(x,t2) またはまたは P(x,tn) ) 」は、
   
   「『P( s1 ,t1) または  P( s1 ,t2 ) または  … または P(s1,tn)
   または 
   『P( s2 ,t1) または  P( s2 ,t2 ) または  … または  P(s2,tn)
   または  
   :
   または  
   『P( sn ,t1) または  P( sn ,t2 )  または  …  または  P(sn,tn)』」…(式2)

   に言い換えてよい()。 


関連事項:
 ・集合S,Tが外延的に定義された有限集合である場合の「∀xS ∀yT P(x,y)意味  
 ・集合S,Tが外延的に定義された有限集合である場合の「∃xS ∀yT P(x,y)意味  
 ・集合S,Tが外延的に定義された有限集合である場合の「∀xS ∃yT P(x,y)意味 





【文献−数学一般】
 ・中内『ろんりの練習帳』定理2.5.4証明のなかを参照(p.101); 注意2.4.4(p.95)


 






xSyT P(x,y)
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「∃xSyT P(x,y)別表現  〜 順序対・直積を用いて。 



・「xSyT P(x,y)」  は、

 「(x,y) S×T  P(x,y)

 と表現してもよい。

※なぜ? → 2項述語を1項述語として解釈〜順序対    


※具体例
 「xSyT ( x loves y )」 
 「nSxT ( n>x )
関連:「∀xS ∀yT P(x,y)のケース    





【文献】


 ・井関『集合と論理』1.2 例1(2) (p.10): 「∃x,yZ  (x<y) 」