開集合の公理
【設定】
X : 集合(空間)。ここでの考察の範囲での 普遍集合。
𝔒: Xの 部分集合系。
【定義】
「『集合Xの部分集合系』
𝔒は、
『集合Xの開集合系 system of open sets』 である」
とは、
「集合Xの部分集合系」
𝔒が下記3条件を満たす
ということ。
(条件1)
𝔒
は、
集合X自体と
空集合∅
を自らの
元
として持っていること。
つまり、
集合X自体と
空集合∅
が
𝔒
に属す
。
すなわち
X
∈
𝔒
かつ
∅
∈
𝔒
(条件2)
𝔒
に属す
任意の
二つの集合
の重複部分
も、
𝔒
に属す
。
すなわち、
∀
O1 , O2
( O1
∈
𝔒
かつ
O2
∈
𝔒
⇒
O1
∩
O2
∈
𝔒
)
ないし、
∀
O1 , O2
∈
𝔒
(O1
∩
O2
∈
𝔒
)
(条件3)
𝔒
に属す
「Xの
部分集合
」の
任意の
合併
も、
𝔒
に属す
。
すなわち、
∀
Oλ
(λ∈Λ)
(Oλ
∈
𝔒
(λ∈Λ)
⇒
∪Oλ
∈
𝔒
)
ないし、
∀
Oλ∈
𝔒
(λ∈Λ)
(
∪
Oλ
∈
𝔒
)
【定義】
「集合Xの開集合系 𝔒」 とは、 「『集合Xの部分集合系』 𝔒は 『集合Xの開集合系』 である」 と言える 「集合Xの部分集合系」 𝔒のこと。
「集合Xの 開集合 open set ないし 開部分集合」 とは、 「集合Xの開集合系𝔒」 に属す 集合のこと。
【活用例】
・ 位相空間の定義
【比較】
距離空間における開集合:
距離空間上の開集合は、距離を用いて定義された。位相では、以上のように距離をつかわずに開集合が定義される。
【文献】
- 『 岩波数学事典』項目14B
- ブルバキ『位相 要約』§1-1( p.3 )
- 矢野『 距離空間と位相構造』2.1.1位相(p.56)
- 斉藤『 数学の基礎:集合・数・位相』項目4.1.1 (p.99.)
- 松坂『集合・位相入門』第4章§2-A (p.152)
- 彌永『集合と位相』II.§2.2閉集合開集(p.180)
- 西村『経済数学早わかり』第六章位相数学§1位相空間とは1.1-1.2 (pp.272-8) :「開集合の公理:条件3」で「任意の合併」を、あのように表現せざるをえない理由が説明されている。
- 大田春外『はじめよう位相空間』定義10.1(p.126)定義10.2(p.127).
- 大田春外 『はじめての集合と位相』定義11.1(p.143)