漢方から見たアトピー性皮膚炎

【気の不足】
○先天の気の不足
 アトピー性皮膚炎は、遺伝的要素も原因の一つで、赤ちゃんの時から発症しているケースは、親が、アトピー性皮膚炎であったり、花粉症であったり、何だかのアレルギーをお持ちの場合があります。
 赤ちゃんは、まだまだ胃腸機能が発達していないので外から「気」を取り入れ全身にめぐらすことが出来ず、体を守ることができません。しかし小学生位になると胃腸機能も調い、アトピー性皮膚炎も自然に治るケースもあります。

 

○後天の「気」の不足
  もともと脾胃(胃腸機能)が弱く気虚ととらえます。食が細い人は「気」(エネルギー)を補充することがうまくできず、「血」「水」の巡りにも悪影響を与え、外からの刺激や外因である六淫(風、寒、暑、湿、燥、熱)のためにアトピー性皮膚炎を繰り返します。六淫は、アトピー性皮膚炎に限ったことでなく、全ての疾患に関係します。
【血毒(瘀血)】
  女性は、特に生理周期によって皮膚の状態が良くなったり、悪くなったりし、昔から「血の道」と言っていたものです。生理を整えたり、月経前症候群、月経困難症、冷え、貧血など女性特有の症状の改善でアトピー性皮膚炎も改善するケースも多くあります。
 「瘀血」は女性に限ったことではなく、男性にもあり、当然「瘀血」の改善が必要になります。漢方薬には、様々な駆瘀血剤というものがあり、その人の証に合った漢方処方を使用します。 

 

【水毒】
 アトピー性皮膚炎の方の原因の一つに水毒があります。アレルギー性鼻炎なども同じように水毒がその一因。
日頃から水分をとり過ぎていたり、とった水分がしっかりと尿として排出さてていなかったり、胃の中に長く停滞してたりして皮膚症状を悪化させる場合があります。
また、皮膚の内側に水分が停滞しやすい人では、患部から汁が出たりして悪化します。そういった時は、漢方薬でも水剤と言って水分代謝を良くする生薬が配合された処方を用います。

 

 日ごろからの食養生として、水分補給は、利水効果とお肌への効果のある「はと麦茶」を摂ることは、理にかなっています。

 

 日本は中国など大陸と違い海に囲まれ湿気が多くそれに対応できる日本独自の工夫が必要です。日本漢方はこの水毒をさばく工夫が長年なされており、アトピー性皮膚炎の改善にも大変有効です。

 

【食事の大切さ】
  漢方では、食養生と言って、食事の在り方を重要視します。いくら良い漢方薬を服用していても、食事がめちゃくちゃでは、良くなりません。アトピー性皮膚炎の人の好きな食べ物と言えば、

 

     肉類・乳製品・油もの・甘いもの・スナック菓子・果物

 

  があげられ、だいたいみなさん共通の様です。
 また、近郊の野菜、近海の魚、旬の食材がお勧めです。日本から遠く離れた土地の食材などは日常的ではなく、たまにいただく程度にしましょう。

 

【アトピー性皮膚炎とストレス】
 いわゆる、漢方で言う「気」「血」「水」の「気」ですが、ストレスが多くなると漢方では気欝・気帯・気逆などと言って、気の巡りが悪くなり、ストレスは、自律神経の調整を乱し、免疫にも悪影響を与えます。気鬱、気滞は胃腸虚弱な気虚を伴う場合があります。職場の環境が変わったり、進学、転校、人間関係などでアトピー性皮膚炎が悪化する場合もあります。

 

 漢方薬では、「気剤」と言って気の巡りを調整してくれる処方があり、ストレスに左右されない心身作りを助けてくれます。
ストレスに関してはカウンセリングの中でじっくりお話をお聞きし、もつれた糸をほどくお手伝いをいたします。

 

成長とアトピー性皮膚炎
【乳児期アトピー性皮膚炎】
 好発部位は、頭、顔などが多く、勿論、体幹部や四肢にも発症しますが、やはり、頭、顔に出るのが特徴です。

 

【幼児・小児期アトピー性皮膚炎】
 苔癬化、痒疹、乾燥性などが特徴で、様々な出方をする。

 

【思春期~成人アトピー性皮膚炎】
 苔癬化部分が広範囲になり、好発部位は頸部、腕や足の屈折部分(内側)。全身に見られる場合もあるが、上半身が多い。
 思春期は特にホルモンの変動期で、女性では特に生理の前後で状態が良くなったり、悪くなったり変化が起きます。漢方では、「瘀血」と言ってこれをを重要視し瘀血をさばく漢方薬が奏功します。

 

五行論から見たアトピー性皮膚炎
 アトピー性皮膚炎が発症する部位は皮膚ですが、皮膚は、五行論の「肺」と関連しています。「肺」は、鼻~気管~肺とつながる一連を指して、慢性鼻炎、ぜんそく、アレルギー性鼻炎(花粉症)なども「肺」に関連しており、アトピー性皮膚炎の人が、花粉症やぜんそくを伴っていることも深い関係があります。漢方の見方をすれば、これは当然と言えます。

 

 「肺」はまた「大腸」と関係が深く便の調子を良くすることでアトピー性皮膚炎が改善することもあります。腸の働きは、消化器としての働きだけではなく、免疫にも深く関わっており、最近では、腸管免疫として腸内フローラのバランスが注目されプロバイオテックス・プレバイオテックスの研究も盛んになってきています。アトピー性皮膚炎は免役機能がうまく働いていない状態なので、免疫機能を調整することは、大変有意義に思います。
特にT細胞のTh1とTh2のバランスが大切でこの調整にもプロバイオテックスによる腸内フローラの安定が注目されています。

漢方薬でアトピー性皮膚炎を改善

日本漢方では、「証」を重要視します。症状が同じ、病名が同じでも人それぞれ「証」(体質・タイプに近い意味)があり、陰陽・虚実・寒熱や気血水、外因・内因など漢方の物差しで「証」を決定します。
「証」が決定すれば漢方処方も決定します。

 

 また、総じて成長とともに体質も変化します。乳児期のアトピー性皮膚炎はジュクジュクとして滲出性の湿の面があり、黄耆の配合された漢方薬を用いますが、幼児期になると乾燥して苔癬化して落屑が起こります。これが長期化すると乾燥肥厚傾向になり難治性になりますと熱を冷ましながら乾燥を潤す漢方薬を用います。
成人のアトピー性皮膚炎は、更にストレスを多く感じるようになり清熱しながら気のめぐりをよくする漢方薬を用います。
その上で、それぞれの陰陽・虚実・寒熱や気血水を勘案した漢方薬の運用を行います。

 

 つまり、同じアトピー性皮膚炎でも人によって処方が異なります。
アトピー性皮膚炎の改善は、養生(食養生を含む)・漢方薬・スキンケアの三位一体となった治療が大切で人により治療に要する日数は異なりますが、コツコツ継続することが勝利への近道だと思います。
スポーツ選手が、日々のトレーニングを欠かさないのと同じです。

アトピー性皮皮膚炎に基本は養生

アトピー性皮膚炎改善の基本は、何と言っても「養生」・・・・日々の生活を正しいものにしなくてはなりません。
それには

 

「養生」(日常生活・スキンケア)
「食養生」(正しい食生活)
「心養生」(ストレスケア)
の3本柱が大切。

 

アトピー性皮膚炎の養生
 不規則な生活を改め、規則正しい生活をする。特に睡眠は大切で、十分な睡眠時間と質の良い睡眠が必要。寝る時間も午後11時くらいには寝た方がいいですね。
 この時間帯は、五行で言う「腎」の気が盛んになる時で、「腎」は、免疫にも深く関係していることからも重要です。成長ホルモンもこの時間帯に分泌されます。

 

 スキンケアは、アトピー性皮膚炎の方に限らず誰しも生活の一部として行っていますが、アトピー性皮膚炎の方は、ちょっとだけ気を使う必要があります。
 石油系の化学物質を出来るだけ使っていない物を見つけ、自分の肌に合ったものを探しましょう。高価なものが必ずしも良いものとは限りません。

 

漢方芍薬堂では、漢方スキンケアをお勧めしています。
その他、お客様からの評判もよく続けやすい、お奨めのスキンケア商品「全身うるおい保湿液Ⅱ」・オリーブ油をベースにしたスキンケア、無添加漢方石鹸などがございますので是非、お試し下さい。

 

スキンケア
 アトピー性皮膚炎のスキンケアについては、国産オリーブオイルを使用したボディーシャンプー、オリーブオイル、オリーブの実から採れるスクワラン、ナチュラルバームをご愛用いただいています。

⁠また、新商品として、日本漢方家が認める生薬会社と阿蘇薬草園が東洋医学の英知で練り上げた無添加石鹸「純白石鹸」「艶美石鹸」「よもぎ石鹸」が登場し、早くも皆様のご好評を得ています。

アトピー性皮膚炎にタイツコウ 漢方芍薬堂 上郡町 赤穂市

 アトピー性皮膚炎の方に人気の外用剤タイツコウ(神仙太乙膏)」をお勧めいたします。
その他、紫雲膏、中黄膏なども使用する場合があります。詳しくは是非お尋ねください。

 

アトピー性皮膚炎の漢方薬・養生法のご相談は、上郡町の漢方薬専門「漢方芍薬堂」へお気軽にどうぞ。

【アトピー性皮膚炎の食養生】

先にも述べましたが、食事は大切で、後天の気を左右するのも食事です。

 

  肉類・乳製品・油もの・甘いもの・スナック菓子・果物

 

 肉類は、動物性蛋白質でアレルギーの原因になります。牛乳に含まれるカゼインもアレルギーの原因になります、油もののリノール酸は、アレルギー物質を作り、最近話題のトランス脂肪酸は、アレルギーだけでなく動脈硬化、ガンの危険性があると言われています。

 

 基本は、旬の食材で近場(近郊、近海)でとれたものを、和食中心に変えるということです。多国籍化した食事は、やはり日本人や、日本の気候風土に合わないようです。
 また、食物の旬が分からなくなってきていますが、一度、調べておくのもいいかもしれません。また、アトピー性皮膚炎の方には特に体を冷やす食べ物は、よくありません。

 

 食べ物には体を冷やすもの、体を温めるもの、冷やしも温めもしないものなど様々です。それぞれ栄養があり、漢方の観点からも様々な食能があります。それらをバランスよく四季に従い、その人の状態にあわせ食べることが食養生であり薬膳でもあります。薬膳はまさに漢方理論が基になっている訳で、食材の組み合わせ方によっては、益にもなったり、そうでなかったりします。
 詳しくは、ご相談ください。あなたに合った薬膳・食養生をご指導いたします。

 

 また特に食べていただきたい物は発酵食品(味噌、醤油、納豆、ぬか漬け)などでこれらには、乳酸菌や酵素が多く含まれ、乳酸菌や酵素はお腹の調子を整え免疫を調整してくれて大変お役に立ちます。
お茶は、前述のはと麦茶がいいですね。国産のはと麦茶をご用意しています。

 

 

漢方コラム
はとむぎの歴史
 はとむぎは、インド、東南アジアが原産で、紀元前には、インドで栽培されていたと考えられています。中国へは後漢の時代、名将馬援がベトナム遠征の際持ち帰ったとされ、漢方生薬の古典である「神農本草経」(後漢時代)には上品(命を養う薬)として記載されており、古来、薬だけでなく長寿食として薬膳に用いられてきました。
⁠ 日本への伝来は、弘法大師が入唐した際に持ち帰り全国に広めたとの説もありますが、記録に残っているものとして、享保年間(8代将軍吉宗時代)飢饉の時の救荒作物として栽培されるようになりました。
現在では国内生産は少なく流通の6%位が国産と言われています。はと麦 ヨクイニン 上郡町 赤穂市
 はとむぎによく似た植物に、河原でよく見かけるジュズダマがありますが、これは、はと麦の原種で、多年草で、はとむぎは一年草です。成分ははとむぎの方が優れています。種子の外見はよく似ていますが、はとむぎは、外皮が柔らかく種子は粘着性があるもち種です。ジュズダマは、外皮も種子も硬くうるち種です。

 

はとむぎの栄養
 はとむぎの成分は、水分8.5%、たんぱく質18%、脂肪分7%炭水化物50%、ミネラル2%と穀物の中では大変栄養価の高い食物です。たんぱく質は白米の2倍以上あります。また、はとむぎ特有の成分コイクセエノライドは日本人が発見し、抗がん作用があることが明らかになっています。(WTTC)
 一般的には、外皮が付いた状態を「はとむぎ」と呼び、外皮をむいたものを薏苡仁(ヨクイニン)と呼びます。

 

はとむぎの効能効果
 漢方の古典である「本草綱目」には、甘・微寒、「脾を健にし、胃を益し、肺を補し、熱を清し、風を去り、湿に勝つ、飯に炊いて食へば冷気を治し、煎じて飲めば小便熱淋を利す」とあり、
〇健胃作用
〇消炎、排膿、鎮痛作用
〇滋養強壮、疲労回復
〇美肌作用(ニキビ、いぼ、サメ肌、シミ)
〇利尿作用(むくみ)
〇デトックス作用
いぼ取りの薬としてヨクイニンは有名ですが、この効果を発見したのは、江戸時代の日本人ででした。
はとむぎは、ヨクイニンとして漢方薬、薬膳に広く使われており、私たちになじみのある、はとむぎを焙じてお茶にした「はと麦茶」は、香ばしく、日ごろからの健康増進に家族で飲むお茶としては、最高です。

【アトピー性皮膚炎の心養生】

これが一番大切な養生かもしれません。現代は、ストレスから避けることはできないようで、職場、学校へ行っても、家に帰ってもストレスは、いっぱい。
 おまけにストレスを解消するのが下手になってきています。
 ストレスは、自律神経を乱し免疫を低下させるだけでなく、様々なトラブルを生みます。自然の中に身をおき五感で自然を感じましょう。
 そして、自分に合ったストレス解消法を見つけ、ON、OFFの切り替えをメリハリのついた生活が必要ですネ。漢方薬では、「気剤」と言って精神(こころ)に対して調整的に働いてくれる漢方薬があります。
 これをうまく使うのが改善の秘訣でもあります。
 ご相談をお受けする時もリラックスしていただけるよう心掛けております。

 

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