WASI 「和紙について」

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「三椏(ミツマタ)の花」4月・私の庭にて
「黄蜀葵(トロロアオイ)の花」9月・私の庭にて
-三椏日記-
2006年01月09日 撮影
私の庭のミツマタは、寒さの中、枝先に蕾を付けています。
やがて春先に黄色い花を咲かせます。
2005年5月2日「三椏」の実(左)、  実が落ちて葉が出る(中)、  旺盛な葉の繁り始め(右)。
2005年4月14日「三椏」の葉が出始めました。
2005年4月4日「三椏」が満開です。(同上)  未だ葉は出ていません。
2005年3月19日「三椏」が開花しました。(私の庭にて)

「三椏(ミツマタ)は、版画用紙にはあまり使われません。私は花を楽しむために植えています。
名前は、枝がみつまたに分れるところからです。沈丁花科ですので、花の香りも楽しめます。
規則的に三又に枝分かれしますので、横への広がりも大きくて場所が大変です。」

「黄蜀葵(トロロアオイ)は、和紙を漉くときに、その根の粘液が使われます。
花の直径は、これで20cmはあります。
花を楽しむためと、種を絶やさないためにも、
毎年播種をしています。
花の後に、オクラをずんぐりしたような朔果となり、種子を持ちます。
若い朔果は、オクラと同じように食べることが出来ます。
若い時期を過ぎると、繊維質が多くて噛み切れません。
トロロアオイの茎そのものも繊維質が多くて、私はいたづらに紙を作ってみたことがあります。
トロロアオイで紙を作ると、繊維とネリがそのまま使えて良いなぁとも思います。
アオイ科ですので、オクラ、ハイビスカス、フヨウ、ケナフの仲間です。」

和紙のできるまで(流し漉きの場合)
1.楮の刈り取り   楮を、冬の12月〜1月に刈り取る。
2.蒸し・皮はぎ   楮は、刈り取って生のうちに蒸し、皮(靭皮部)を剥ぐ。
3.白皮加工   剥いだ皮の表皮(黒皮)を、刃物で削り取る。

↑ここまでを、楮の産地で処理して、乾燥させ出荷する。               

↓紙漉きの現場で、乾燥され在庫・保存しておいた白皮を準備する。
4.煮熟   アルカリ液で煮て、可溶成分を除く。
5.ちり取り   楮の皮・きずの部分を除く(手作業)。
6.叩解(こうかい)   楮の皮の繊維をほぐす(手打ち、機械打ち)。
7.紙漉き   漉き槽にネリを加え、繊維を漉き簀で漉きあげる(流し漉き)。
8.圧搾   漉き上げた紙の束(紙床)を、圧力で搾って水分をとる。
9.紙干し(乾燥)   天日干し・板干し(屋外)。蒸気乾燥(屋内)。
10.検品・加工   染め。ドーサ引き。ロール掛け。裁断。

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晒した楮を集める 紙漉き 蒸気による乾燥機
東秩父村 和紙の里にて
 
和紙の原料 重要(楮・三椏・雁皮)、その他(麻・綿・パルプ)

 

原料

用途

楮紙、木版画用紙、型染原紙、傘紙、古文書修復用紙、
三椏 三椏紙、画仙紙、紙幣、
雁皮 雁皮紙、謄写版の原紙、銅版画用紙、鳥の子紙、
麻紙、日本画用紙、
綿 水彩用紙、銅版画・石版画用紙、
パルプ 新鳥の子紙、機械鳥の子紙、画用紙、
その他(ケナフなど)

抄紙(紙漉き)
手漉き和紙 流し漉き(ネリの使用)
溜め漉き(局紙など)  
機械漉き和紙

パルプだけではなく楮紙、三椏紙なども作られています

和紙を入手できる所(ほんの一部ですが・・・)

(株)東秩父村 和紙の里

〒355-0375 埼玉県秩父郡東秩父村大字御堂441番地
Tel.1493−82−1468.Fax.0493−82−1334

山田商会

〒104-0028 東京都中央区八重洲 2-6-10
Tel.03‐3281‐1667(代).Fax.03‐3278‐9854

小津和紙博物舗

〒103-0023 東京都中央区日本橋本町 2-6-3
Tel.03‐3663‐8788(代).Fax.03‐3663‐9460

清水青林堂

〒 103-0023 東京都中央区日本橋本町 1-8-11
Tel.03-3241-1494

和紙は、原材料・色・厚み・肌合い・加工により、とにかく色んな種類があります。
また、各人の好み・技法・作品によって、選ばなくてはなりません。
まず、見本帳(有料の場合あり)を、取り寄せて、選択しましよう。
一般論としては、高い和紙は良い和紙です。
安い和紙(?)は、それなりに安い材料か、手間を省くか、でしよう。
ほぼ値段の通りに、紙質も並んでいると、考えて良いと思います。
懐具合の許す限り、良い和紙を選んでください。
良い和紙は、摺りに耐え、摺り上がりも、良い結果が得られます。
安い和紙(?)で摺るには、摺る技術が相当求められます。
湿した和紙を扱う技術は、水気を加えたり、乾いた新聞紙などを挟んで水気を抜いたり、
そうして和紙は常に一定に湿り加減を保ち、いつも和紙を平らに保つことで、
和紙がたるんで汚れたりしないで、見当も合う訳です。
良い和紙は、平らに戻る力があるのです。
安価な和紙(?)は、ひずんだり波打ったりすると、平らに戻すのが難しいです。
用紙を平らに戻すことは出来ないし、
摺りに集中できなくて、摺り上がりにも不満が残ることになります。
この点が、高いとはいえ良い和紙を使うことで良好になります。
摺り上がりに不満が残ったとしても、
それは和紙のせいではなく、ひたすら腕を磨くことに集中することです。
このように出来上がりの不満を一つ一つ解決してゆけば、
あとは何をどうすれば良いかが、はっきりします。
安価な用紙、安価な道具、安価な材料では、
何が出来上がりの不満なのか判然としません。


五所菊雄のメールアドレス 画像ですので打ち直して下さい。
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