1変数関数の定義 real-valued functions of a real variable :トピック一覧   

・1変数関数本体の定義:は じめに読む定義/厳密な 定義  
1変数関数を組み立てている パーツ: 定義域 / 値 / 逆像  
関数と対応: 「関数で はない対応」と「関数である対応」との違い


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【一般化】 2変数関数/n変数関数/実数値関数/ベクトル値関数/写像 
【具体化】  ・y=x/y=x2/y=x3/反比例べき関数
      ・定数値関数/比例/一次関数/二次関数 →多項式関数 
      ・指数関数/対数関数/絶対値関数/三角関数/ガンマ関数 
      ・単関数 

1変数関数本体の定義

はじめに読む定義

Dで定義された1変数関数とは、
 「『実数の集合』D属す実数の各々に対して、1個の実数を対応づける規則」  
 のこと。

・個々の実数間の対応規則に着目して、「y=f(x)=xの式》」 と表したり、
 対応付けられる「実数の集合」に着目して、「f:DR」「f:RDR」などと表す。 





【文献】
 ・啓林館『高等学校 数学I』5章1(p.122):よく読むと「xの一つ一つの値に応じて、yの値が一つずつ決まる」と明言している
 ・小平『解析入門I』§2.1(p.75):写像を踏まえず、単に、実数の部分集合に属す実数にそれぞれ一つの実数を対応させるものとして関数を定義。


 ・小林昭七『微分積分読本:1変数』2章1(pp.36-):同上。

実数に対して広義の実数を対応づける1変数関数「 f:RDR* 」 もよく使われる。

上記ビギナー向け「1変数関数」定義最大のポイ ントは、「…に対して、1個実数を対応づける」の「1個」 にある。
 これを外してしまうと、《関数ではない対応》と区別がつかなくなってし まう。

    * どういうこと? → 関数と対応: 「関数ではない対応」と「関数である対応」との 違い 

厳密な定義

1変数関数は、厳密には、「写像」という一般的な雛形の一つの具現化として、定義される。

・多くの教科書を比較検討すると、
 写像を雛形とした1変数関数の厳密な定義は、以下の2タイプに分かれている事に気づく。
 この2タイプの定義には、終集合の扱いに関して、微妙な差異が認められる。

 





【写像の概念を用いた厳密な定義―タイプA

Dで定義された1変数実数値関数とは、

 「《実数体R部分集合D(定義域)》から《実数体R》への写像

      f:DR 、ないし、f:RDR 

 すなわち、

 「実数体R部分集合D(定義域)》に属す実数にたいして、
                1個ずつ実 数を対応づける規則」
 のこと。






 





【写像の概念を用いた厳密な定義―タイプB

Dで定義された1変数実数値関数とは、

 「《実数体R部分集合D(定義域)》から《実数体R部分集合Sへの写像
 「《実数の集合D(定 義域)》から《実数の集合S》への写像
     f:DS (DRSR

 のこと。

・このとき、S終集合,終域などと呼ぶ。










【文献】

  ※写像における終集合を重視する立場と終集合を重視しない立場について→松坂『集合・位相入門』第1章§4.E(p.37);

[文献タイプA―1変数実数値関数の終集合はRでなければならないと定義しているもの]

 ・松坂『解析入門1』2.1-A(p.58);3.1-A(p.95):Rの空でない部分集合からRへの写像
 赤攝也『実数論講義』§1.6写像(p.20):1変数関数での単射・全射の例も。p.22で、「区間和Iで定義された関数y=f(x)と、IからRへの写像fとを同一視することにする」と宣言。

[文献タイプB―1変数実数値関数の終集合はRの部分集合でもよいと定義しているもの]

 ・岡田章『経済学・経営学のための数学』1.4(p.18)
 黒田『微分積分学』3.1.1(p.84);
    3.1.2写像(p.86):「一般に、AからBへの写像fにおいて、BRまたはRの部分集合であるとき、fAで定義された関数またはA上の関数という」。
    例3.2(p.87)で「(i)関数f(x)RからRへの写像とみると…fは上への写像ではない…。
            (ii)関数f(x)をRから[0,∞)への写像とみると、fは上への写像となる。…このように、fが上への写像であるかどうかはBの選び方に関係する」と述べている。
[文献―1変数実数値関数の終集合について曖昧に定義しているもの]

 ・青本『微分と積分1』§1.4(a)(p.29): 「…とき、f(x)を[a,b]上の実数値関数と言い、f:[a,b]→Rと書く」。他方、pp.33-34の全射の説明で、f:[a,b]→[c,d] も考えているので、実数値関数の定義から、:Rの部分集合からRの部分集合への写像を排除しているわけではない。
 ・ラング『ラング現代微積分学』0章§2例1-例3(pp.5-6);2章§2(pp.45-6)
    2章§2(pp.45-6)では、終集合をRとして、実数値関数を定義。
  他方、0章§2例3-注(p.6)で、f(x)=x2という対応を、
  f:R→Rとみなすことも、f':R→[0,∞)とみなすこともできる
    (したがって、f(x)=x2が全射かどうかは終集合のとり方に依存する)と指摘;
 ・Fischer, Intermediate Real Analysis, U.2.Def2.2 (p.45):定義域値域Rのなかにある写像を、real-valued functions of a real variable と呼んでいる。




   * どういうこと? どう違うの?
    → 定義間の差異
    → タイプBの定義を採用した場合に起こること〜終集合の設定範囲に幅〜同一規則だが別の関数
    → タイプAの定義を採用した場合に起こること

   * 重要な相違?
    →〈タイプAの定義〉〈タイプBの定義〉の違いがもたらす影響―全射の判定   
    →〈タイプAの定義〉〈タイプBの定義〉の違いがもたらす影響―《逆関数の定義》と《逆写像の定義》との関係 

【定義間の差異】

タイプAの定義タイプBの定義は、一致していない。
 タイプBDで定義された1変数実数値関数という言葉が指す範囲は、
 タイプADで定義された1変数実数値関数という言葉が指す範囲を含むが、
 タイプBDで定義された1変数実数値関数という言葉が指す範囲は、
 タイプADで定義された1変数実数値関数という言葉が指さない範囲まで
 射程に収めている。


【タイプBの定義を採用した場合に起こること〜終集合の設定範囲に幅〜同一規則だが別の関数】

タイプBの定義を採用した場合、
 「Rで 定義された1変数実数値関数 f(x)x2」 という言葉は、
 終集合を最大限広くとって、f(x)x2 を対応規則とする写像f:RR」を指すものと解して も、
 終集合を狭くとって、
  f(x)x2 を対応規則とする写像f ' :R[-100,∞) 」を指すものと解しても、
  f(x)x2 を対応規則とする写像f '':R[-10,∞) 」を指すものと解しても、
  f(x)x2 を対応規則とする写像f ''':R[0,∞) 」を指すものと解しても、
 よいことになる(いずれにせよ、写像の定義を満たしているか ら)。
       ( もっとも、 f '''':R(0,∞) ,f ''''':R(10,∞) ,f ''''':R(100,∞) などと見た場合は、
            φとなるところが でてきて、写像の定義を満たさなくなるので、もはや関数と呼べな い)
 同一の対応規則f(x)x2 、同一の定義域Rを 有すが、終集合が異なる
    f:RR
    f ' :R[-100,∞)  
    f '':R[-10,∞) 
    f ''':R[0,∞)
 は、別の関数として扱われる。
 実際、f ''':R[0,∞)全射であるが、他は全射でない、といったように、これらの関数は別の性 質を帯びている。
  [→ラング『ラング現代微積分学』0章§2 例3注(p.6)]

・一般に、Dで定義された1変数実数値関数f:DR」の値域f(D)にたいして、終集合Sを、f(D)SRを 満たすようにとって、
 fと同一の対応規則に従うDで定義された1変数実数値関数f ':DS」 をつくっても、
 「f ' :DS」 は、写像の定義、したがって、Dで定義さ れた1変数実数値関数の定義-タイプBを満たす。
 同一の対応規則、同一の定義域をもっていても、f:DR」と「f ':DS」は、別の関数として扱わ れる。

  (終集合Sが、f(D)SRを 満たさない場合は、
     φとなるところが でてきて、写像の定義を満たさなくなるので、もはや関数と呼べな い)

・このように、タイプBの「Dで定義された1変数実数値関数」定義を採用した場合、
  終集合の設定可能な範 囲に幅がでてくることになる。
 では、われわれは、終集合の設定範囲を、どのように選択すればよいのだろうか?
 これに対して、笠原『微分積分学』1.4 例3(p.23)は
  「このようにΩ2(注:写像の終集合をさす)をせばめるのは、
   たとえば多数の関数を同時に考察するときなどに不便である。
   そこで普通Ω2(注:写像の終集合をさす)はなるべく広くとっておくことにする」
 と述べている。

【タイプAの定義を採用した場合に起こること】

Dで定義された1変数実数値関数タイプBで定義すると、「f:DR」もf ':DSf(D)SR)」 もDで定義された1変数実数値関数と呼んでよいが、
 Dで定義された1変数実数値関数タイプAで定義すると、
  D
で定義された1変数実数値関数
と呼んでよいのは、「f:DR」だけで、
 f ':DSf(D)SR)」 は、 Dで定義された1変数実数値関数と呼べない。
・たとえば、
 タイプAの定義を採用した場合、
 f(x)x2 を対応規則とするf:[0,∞)R は、1変数 実数値関数と呼んでよいが、
   f(x)x2 を対応規則とするf:[0,∞)[-100,∞) 
   f(x)x2を 対応規則とするf:[0,∞)[-10,∞) 
   f(x)x2 を対応規則とするf:[0,∞)[0,∞) 
 を、1変数実数値関数と呼んではならない。
・だから、タイプA1変数実数値関数の定義を採用した場合、
  「Rで 定義された1変数実数値関数 f(x)x2」 と言えば、
  「f(x)x2 を対応規則とする『f:RR』」のみを指す。



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【〈タイプAの定義〉〈タイプBの定義〉の違いがもたらす影響―全射の判定】

・「1変数実数値関数の〈タイプAの定義〉〈タイプBの定義〉の違いは、
  全射の判定に影響をもたらす。
・たとえば、「Rで定義された 1変数実数値関数 f(x)x2」 について。
タイプA1変数実数値関数の定義を採用した場合、
  「Rで 定義された1変数実数値関数 f(x)x2」 とは、
  「f(x)x2 を対応規則とする『f:RR』」のみを指すから、
  これは、断じて全射ではない。
・ところが、タイプB1変数実数値関数の定義を採用した場合、
  「Rで 定義された1変数実数値関数 f(x)x2」 には、全射となる余地が出てくる。
 タイプB1変数実数値関数の定義では、終集合の設定が各自の裁量にゆだねられているからである。
 詳しく説明すると…
 タイプB1変数実数値関数の定義を採用すると、終集合をどこに設定するかが不定になるから、
  「Rで 定義された1変数実数値関数 f(x)x2」 は、
    「f(x)x2 を対応規則とする『f:RR』」を指すかもしれな いし、
    「f(x)x2 を対応規則とする『f:R[-100,∞)』」を指すかもしれない し、
    「f(x)x2 を対応規則とする『f:R[-10,∞)』」を指すかもしれない し、
    「f(x)x2 を対応規則とする『f:R[0,∞)』」を指すかもしれな い。
 終集合を広く取って、
  「Rで 定義された1変数実数値関数 f(x)x2」 を、
    「f(x)x2 を対応規則とする『f:RR』」、「f(x)x2 を対応規則とする『f:R[-100,∞)』」、「f(x)x2 を対応規則とする『f:R[-10,∞)』」
  などと解釈した場合、「Rで定義された 1変数実数値関数 f(x)x2」 は、全射でないが、
 終集合を狭くとって、
  「Rで 定義された1変数実数値関数 f(x)x2」 を、
    「f(x)x2 を対応規則とする『f:R[0,∞)』」と解釈した場合、
  「Rで 定義された1変数実数値関数 f(x)x2」 は全射となる。



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【〈タイプAの定義〉〈タイプBの定義〉の違いがもたらす影響―《逆関数の定義》と《逆写像の定義》との関係】


・「1変数実数値関数の〈タイプAの定義〉〈タイプBの定義〉の違いは、
 《逆関数の定義》と《逆写像の定義》との関係に影響を及ぼす。

タイプAの「1変数実数値関数では、《逆関数の定義》と《逆写像の定義》とのあいだにズレが生じるが、
 タイプBの「1変数実数値関数では、《逆関数の定義》と《逆写像の定義》とを一致させることができる。

Dで定義された1変数実数値関数 f逆関数(の存在)」とは、
    「f値域f(D)から定義域Dへの写像f:f(D)D』(の存在)」
 のことだった。

・すると、
 タイプA1変数実数値関数の定義を採用した場合、
  「Dで定義された1変数実数値関数 f」とは、写像f:DR」 を指すから、
  「Dで定義された1変数実数値関数 f逆写像(の存在)」とは、写像f:RD」(の存在)にほかなら ず、
 したがって、「『f値域f(D)』=『R全 体』」を満たすfを除いて、
  「Dで定義された1変数実数値関数 f逆関数(の存在)」という概念と「Dで 定義された1変数実数値関数 f逆写像(の存在)」という概念とは一致しない。
  (タイプA1変数実数値関数の定義を採用した場合、登場する様々な写像を「関数」の定義に収め ようとすると、幾重もの困難に見舞われる。
   第一に、「f:DR」の逆写像f:RD」は、終集合がRで はないから、タイプA1変数実数値関数の定義に収まらない。
   第二に、「 f逆関数f:f(D)D』」も、DRと なるケースを除いて、終集合がRではないから、タイプA1 変数実数値関数の定義に収まらない。
   第三に、逆写像が「 f逆関数f:f(D)D』」となる「 f:Df(D)」も、
         f(D)Rと なるケースを除いて、終集合がRではないから、タイプA1 変数実数値関数の定義に収まらない。)
   
・ところが、タイプB1変数実数値関数の定義を採用した場合、
  「Dで定義された1変数実数値関数 f」は、終集合の設定が各自の裁量にゆだねられ ているから、
       fの終集合を「f値域f(D)」に設定して、「Dで 定義された1変数実数値関数 f」を写像「f:Df(D)」と解すことがで き、
   (あるいは、「f:DR」でなくて「f:Df(D)」であっても、「Dで 定義された1変数実数値関数 f」と呼ぶことが許されており、)
  このように解すことによって、
   「Dで定義された1変数実数値関数 f逆写像(の存在)」という概念を、
   「Dで定義された1変数実数値関数 f逆関数(の存在)」という概念に一 致させることができる。

・ここから、《逆関数の存在条 件》の違いもでてきて、
  ・タイプA1変数実数値関数の定義を採用した場合、《逆関数の存在条件》は「D上で定義された1変数(実数値)関数f:DR』 が単射であること」 
  ・タイプB1変数実数値関数の定義を採用した場合、《逆関数の存在条件》は「D上で定義された1変数(実数値)関数f:Df(D)』が全単射であること」
 となる。

・以上の話を、「[0,∞)で定義された1 変数実数値関数 f(x)x2」 を例にとって、具体的に展開してみよう。
・もちろん、「[0,∞)で定義された1 変数実数値関数 f(x)x2」 の逆関数は、xf -1 (y)=√y である。
タイプA1変数実数値関数の定義を採用した場合、
  「[0,∞)で定義された1 変数実数値関数 f(x)x2逆関数xf -1 (y)=√y 
  は、
  「[0,∞)で定義された1 変数実数値関数 f(x)x2逆写像」ではない。
  タイプA1変数実数値関数の定義においては、
    「[0,∞)で定義された1 変数実数値関数 f(x)x2」 とは、「f(x)x2 を対応規則とする『f:[0,∞)R』」であるから、
    「[0,∞)で定義された1 変数実数値関数 f(x)x2」 の逆対応は、「f-1:R[0,∞)」となるが、これは写像の定義を満たさないので(たとえば、f-1(-1)=φ)、
    「[0,∞)で定義された1 変数実数値関数 f(x)x2逆写像」は存在しない。
 このように、タイプA1変数実数値関数の定義では、1変数実数値関数f全単射でなくて、逆写像の存在条件を満たしていなくても、
 1変数実数値関数f単射でありさえずれば、f逆関数が存在することになる。

タイプB1変数実数値関数の定義を採用した場合、
 「[0,∞)で定義された1 変数実数値関数 f(x)x2」 を写像f:[0,∞)[0,∞)」と解すことが許されて いるから、
  「[0,∞)で定義された1 変数実数値関数 f(x)x2逆関数xf -1 (y)=√y 
  は、
  写像f:[0,∞)[0,∞)」と解した際の「[0,∞)で定義された1 変数実数値関数 f(x)x2」 の逆写像である。
 このように、タイプB1変数実数値関数の定義では、
  fの終集合の調整だけで、fに、逆写像の存在条件を満たしてやることができること、
  つまり、fの終集合の調整だけで、f全単射と解すことができること
 が、f逆関数の 存在条件となってくる。

1変数関数を組み立てているパーツの定義 〜 定義域/値/逆像

 





1変数実数値関数f:DR」「f:D
における
R部分集合D
 定義域 
と呼ぶ。

* 詳細 → 定義域 






 





「『定義域Dに属す実数x』に
    関数f が対応づけた実数
 を、記号  f(x) で表す。

* 詳細 → 像・値  






 





yf(x)」を満たす「定義域Dに属す実数xをすべて集めた集合
 を、記号 f−1(y) で表す。

* 詳細 → 逆像  







トピック一覧:1変数関数の定義 

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1変数関数の定義についての解説〜関数でもある対応、関数ではない対応

fが「『R部分集合Dに属す実数xにたいして、f(x)で表された実数を対応させる規則である」というだけでは、
 fを、関数と呼んでよいかどうかはわからない。
 しかし、このようなfは、関数でなくとも、少なくとも対応であるとはいえる。

対応fは、
   [ケース0] 『R部分集合Dに属す実数xにたいして、0個の実数f(x)を対応させる(つまり、対応させる相手がない)(すなわち、f(x)φ)    
 ことも、
   [ケース1] 『R部分集合Dに属す実数xにたいして、1個の実数f(x)を対応させる(すなわち、f(x)一元集合
 ことも、
   [ケース2] 『R部分集合Dに属す実数xにたいして、2個以上の実数f(x)を対応させる
 ことも許容する概念である。

・これに対して、関数fは、
   どの『R部分集合Dに属す実数xに対してでも、
     [ケース1] 『R部分集合Dに属す実数xにたいして、1個の実数f(x)を対応させる(すなわち、f(x)実数一元集合」)
 のでなければならない。

・だから、
 「対応f関数である」ためには、
    ・どの『R部分集合Dに属す実数xに対しても、
         [ケース0] 『R部分集合Dに属す実数xにたいして、0個の実数f(x)を対応させる(つまり、対応させる相手がない)
      ような割り当てが一切ないこと
            (xDR) ( f(x)φ )
    ・どの『R部分集合Dに属す実数xに対しても、
         [ケース2] 『R部分集合Dに属す実数xにたいして、2個以上の実数f(x)を対応させる
     ような割り当てが一切ないこと、  
  が共に満たされていなければならない。

・逆に、
   ・少なくとも一つ以上の『R部分集合Dに属す実数xに対し、
       [ケース0] 『R部分集合Dに属す実数xにたいして、0個の実数f(x)を対応させる(つまり、対応させる相手がない)
    ような割り当てがなされている
            (xDR) ( f(x)φ)
   ・少なくとも一つ以上の『R部分集合Dに属す実数xに対し、
         [ケース2] 『R部分集合Dに属す実数xにたいして、2個以上の実数f(x)を対応させる
            (xDR) ( f(x)「2個以上の実数からなる集合」)
    ような割り当てがなされている
 のいずれかに該当するfは、
 「関数ではない対応f」である。


対応fが数式で書かれているからといって、
 「対応f関数である」とは限らない。
 数式で書かれた対応fのなかには、
 「関数ではない対応f」となるものが多々ある。




  [例]
   「f(x)=1/x と表された対応f:RR』」は、
   関数ではない。
   なぜなら、
   x=0Rにおいて、 f(0)=1/0φとなる(∵実数体の定義)から。
   しかし、
   R全体ではなく、
   Rから0を除いたR{0}(−∞,0)(0, +∞)で定義しなおして、
   「f(x)=1/x と表された対応f:R{0}R』」とすると、
   対応f関数となる。
   [小林昭七『微分積分読本:1変数』2章1(p.39)]

 y=1/xのグラフ



  [例]  

 
  f(x)=

x
と表された対応f:RR」は、関数ではない。
    
   なぜなら、x<0を満たすxRにおいて、 f(x)φとなるから。
   しかし、
   R全体ではなく、
   Rから「負の実数」を除いた
      D[0,∞{xR|x≧0} 
   で定義しなおして、
   「f(x)=1/x と表された対応f:DR』」とすると、
   対応f関数となる。

   あるいは、
    実数に対して実数を対応させるのではなく、
    実数に対して、複素数を対応させるように変更する方向で、
   対応f関数にしていくことも可能
        [小林昭七『微分積分読本:1変数』2章1(p.39)]

 y=x^2の[0,∞)への制限の逆関数

・少なくとも一つ以上の『R部分集合Dに属す実数xに対し、2個以上の実数f(x)を対応させているために、
 「関数ではない対応f」となる例として、以下をあげる。
 [例]  実数xに対して、「x2+y2=1を満たすyの値」を割り当てる対応f
     -1≦x≦1においては、
      f(x)=± 

1−x2 
      -∞<x<−1 または 1<x<∞ においては、
         f(x)φ  

対応f関数であるからといって、
 f逆対応関数になるとは限らない。
 関数f逆対応のなかには、「関数ではない対応」となるものが多々ある。
 →くわしくは、逆関数をみよ。 



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