対応  correspondence  :トピック一覧

・対応の定義:対応
・対応を組み立てている概念:始集合/終集合//逆像 
・対応の属性:相等/定義域/値域/グラフ(対応とグラフの関係) 
・対応から組み立てられる関係:逆対応(逆対応のグラフ/逆対応の定義域/逆対応の値域/逆対応の逆対応)/合成合成の結合則)    
・対応の諸類型:分類基準/一意対応/一対一対応/写像/単射/一対一写像/全射/全単射    
対応関連ページ:写像/1変数関数(1次関数 ) /2変数関数/n変数関数/実数値関数/ベクトル値関数 
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定義:対応の原像・逆像 inverse image     

設定

下記設定のもと、対応の「原像・逆像 inverse image 」という概念は定義される。
 A : 集合
 B : 集合
 b : 集合B。つまり、bB   
 「fAB」:集合Aから集合Bへの対応

[文献]

・松坂『集合・位相入門』第1章§3.D (p.27);

定義

・「『集合Bbの、対応fによる原像・逆像 inverse image」とは、
   『集合Bbを、『対応fによる』のなかに含む「集合A」の集合
   { aA | bf(a) } 
  のこと。
・記号 f−1(b) で表す。

・もちろん、
 「『集合Bbの、対応fによる原像・逆像 inverse image」は、
   集合A部分集合になっている。
  f−1(b){ aA | bf(a) }   A


※  bf(a) ⇔ af−1(b)   




[例]

対応の例
 上の図例では、
 ・「fによるb1逆像f−1(b1)={a1,a3}、「fによるb2逆像f−1(b2)={a4}
  「fによるb3逆像f−1(b3)={a1,a3} 、「fによるb4逆像f−1(b4)=φ  
 となっている。


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定義:逆対応 inverse correspondence

設定

下記設定のもと、対応の「逆対応 inverse correspondence 」という概念は定義される。
 A : 集合
 B : 集合
 b : 集合B。つまり、bB   
 「fAB」:集合Aから集合Bへの対応

[文献]

 ・松坂『集合・位相入門』第1章§3.D (p.25);
 ・『岩波数学事典』項目57関係B対応(p.157)

※具体化:1変数関数の逆対応 

[注意]

 ・どのような「対応fAB」についても、「対応f逆対応」は存在し、
  なおかつ、「対応f逆対応」も対応の定義を満たす。
 ・だから、
  「対応fAB」の下位類型の一つである「写像」に関しても、
  どんな「写像fAB」であれ、「写像f逆対応」は存在し、
  なおかつ、「写像f逆対応」は、対応の定義を満たす。
 ・ただし、ここで問題となってくるのは、
  「写像f逆対応」が、写像の定義を満たすかどうか
  である。
  結論から先に言えば、
  「写像f逆対応」が写像となるかどうかは、一概にはいえない。
   写像fがどのタイプであるかによって決まる。
   この点は、写像の逆写像・逆関数を参照。

定義

・「対応fAB」の逆対応 inverse correspondenceとは、 
  集合Bの各bに対し、fによる逆像f−1(b)を定める「集合Bから集合Aへの対応
  のこと。
・「対応f逆対応」を、記号「f−1」で表す。

図例

・左図の「対応fAB」の逆対応は、右図になる。

 対応の例逆対応 
・左図の「一意対応fAB」の逆対応は、右図になる。
 一意対応の例逆対応
・左図の「一意対応fAB」の逆対応は、右図になる。       
          
 一意対応の例逆対応   
・左図の「一意対応fAB」の逆対応は、右図になる。        
 
 一意対応の例逆対応






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 定義:一対一対応 one-to-one correspondence   

設定

下記設定のもと、
一対一対応 one-to-one correspondence 」という概念は定義される。
 A : 集合
 B : 集合
 b : 集合B。つまり、bB   
 「fAB」:集合Aから集合Bへの対応

[文献]

・『岩波数学事典』項目57関係B対応(p.157)
・高橋『経済学とファイナンスのための数学』2.1(p.28):単射と同義としている
・志賀『集合への30講』12講(p.71):全単射のことを一対一対応と呼んでいる。
・『解析演習ハンドブック1変数関数編』1.1.18(p.5):一対一対応は全単射の別名。
 ※「一対一対応」を全単射の別名とするテキストもあれば、
  「一対一対応」を独自の概念として定義するテキストもあり、
  「一対一対応」の語義には、文献間で揺れがみられる。
  このノートは『岩波数学事典』で提示された語義に依拠。

[関連事項]

・対応の諸類型:分類基準/一意対応/写像/単射/一対一写像/全射/全単射
        →一覧表:対応の分類基準と6分類の定義 
        →ベン図:対応の6分類の包含関係
[図解] 始集合に属すに対して、一対一対応で許される割り当てかた
  [終集合Bを一個も割り当てない]     [終集合Bを一個割り当てる]
  対応 1対0の割り当て 対応の割り当てタイプ1

定義

[逆対応・一意対応を用いた定義]

 「集合Aから集合Bへの一対一対応f」とは、
 下記条件を満たす対応f:AB」のこと。
   [条件1] 対応f:AB」が一意対応
   かつ  
   [条件2] 対応f:AB」の逆対応f−1:BA」も一意対応


[逆対応・一意対応の意味に遡った定義]

 「集合Aから集合Bへの一対一対応f」とは、
 下記条件を満たす対応f:AB」のこと。
  [条件1] 対応fはどの『f始集合Aに属す』に対しても、
             『終集合Bに属す』を一個も割り当てない
              または
              『終集合Bに属す』一個を割り当てる
       ( aA ) ( f(a)φ または f(a)一元集合 )
 かつ  

  [条件2] どの『終集合Bに属す』についてであれ、
       対応fによって同一の『f終集合Bに属す』を割り当てられた『f始集合Aに属す』の個数は、0個または1個。
         ( bB ) ( f−1(b)φ または f−1(b)一元集合 )

        [図解] 終集合の各に対して、一対一対応で許される割り当てかた
             [始集合Aを一個も割り当てない]        [始集合Aを一個割り当てる]
              対応0対1    対応の割り当てタイプ1

[一対一対応ではない対応とは?]

下記の割り当てがなされるならば、対応f:AB」は、一対一対応ではない。 
     ・同一の『f始集合Aに属す』に対して、『f終集合B』を二個以上割り当てる(下図)
               対応 1対多の割り当て対応 1対多の割り当て
     ・二個以上の『f始集合Aに属す』に対して、同一の『f終集合Bに属す』を割り当てる(下図)
               対応 多対1の割り当て対応多対1の割り当て

図例

・左図の対応f:AB」は一対一対応
 なぜなら、「f:AB」は一意対応 かつ f逆対応f−1:BA」(右図)も一意対応になっている。
   一意対応の例  逆対応
・左図の対応f:AB」は一意対応だが、一対一対応ではない。
 なぜなら、「f逆対応f−1:BA」(右図)が一意対応ではないから。
    一意対応の例  逆対応   
・左図の対応f:AB」は一意対応だが、一対一対応ではない。
 なぜなら、「f逆対応f−1:BA」(右図)が一意対応ではないから。       
 
     一意対応の例 逆対応


婚姻制度という例における一対一対応  

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定理:逆対応のグラフ  

     [松坂『集合・位相入門』第1章§3.D (p.27);]
(設定) 対応f:集合A→集合Bを考える。また、fグラフを、G(f)で表すとする。
(本題) 逆対応f−1のグラフG(f−1)は、
    対応fグラフである順序対の順序を入れ替えたものの集合となる。
    すなわち、
    G(f−1)={(b,a)| (a,b)G(f) }

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定理:逆対応の定義域・値域  


[松坂『集合・位相入門』第1章§3.D (p.27);]
(設定) 対応fを考える。
(本題)
  ・ f−1定義域は、f値域に等しい。
  ・ f−1値域は、f定義域に等しい。

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定理:逆対応の逆対応

           [松坂『集合・位相入門』第1章§3.D (p.27);]
 対応f逆対応逆対応は、対応fである。
   すなわち、 (f−1) −1=f

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Reference

日本数学会編集『岩波数学事典(第三版)』 岩波書店、1985年。項目57関係B対応(p157)
松坂和夫『集合・位相入門』岩波書店、1968年、第1章§3.B-C-D(pp.23-7)。
彌永昌吉・彌永健一『岩波講座基礎数学:集合と位相I・II』 岩波書店、1977年、§2.2順序対、直積、対応、写像(p.33)。
Chiang, Fundamental Methods of Mathematical Economics:Third Edition, McGraw Hill,1984. pp. 11-15,18-20,757.
高橋一『経済学とファイナンスのための数学』新世社、1999年、 p.27。 


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