二十四節気と衣替え
きものは着つけが難しいから、ときものを遠ざける人。
きものは決まりごとがありすぎ、ややこしい……ときものを敬遠する人。
きものは値段が高過ぎる、とても手が出ない……ときものから立ち去る人。
今、きものは嫌われています。
きものは着る人自身が自由に、楽しく着ればそれがいちばん美しいと思います。
着方にも着る人の気持ちが表れていることの方が大切なことです。 着る人の気持ち、感性、直観などが生きたとき、その人は自然にセオリー通りの着方をしています。
私たちの遺伝子に聞いてみましょう。
きものを着た先人たちの知恵や美意識が、私たちの細胞に脈打っています。
その遺伝子に尋ねてください。紐の結び方は? 衿合わせは? 帯を締めるコツは?
みんなわかっているんです。みんなきもののことを識っているんです。
そしてなにより、きものを愛しているんです。絹をいとおしんでいるのです。
天に載いた虫「蚕」の吐く糸を、私たちは尊んで大切に用いることも知っています。
日本の美しい自然の景色を、きものを通して表現してきた美術家たち、日本の自然界の輝やかしい色を
きものに染めて人びとの目を楽しませている染色家たち、きものは日本の美の代弁者です。
日本に生を受け、日本人として育ち、日本の国で暮らす意味を宇宙的見地から考えたとき、
きものが持つ歴史、文化、美術がより深く理解できるように思います。
「きもの組」はきものを自由に解放し、そこから学びたいという気持ちで編集しました。
一年の長さを二十四等分にし、その季節にぷさわしいそれぞれの名称がついたものを、二十四節気と呼んでいます。
二十四節気は、太陽の黄道を二十四等分して季節の移り変わりを定めましたから、現在便われている大陽暦に合います。
きものの衣替えを、この二十四節気に合わせてみますと、無理がなく、身も心もその季節になじんで気持ちのよいものです。
太陽の光線の具合と気温、湿度、そしてパワフルな自然の営みと日ごとに変わる樹木や草花の色や艶。
自然を注意深く観察し、そして感じることによって、ほんとうに季節にふさわしい装い方を楽しむことができると思います。

撮影=石井雄司・佐藤直也・新聞雅士
ヘア=豊田一幸 メイク=奥 富美子 ヘアメイク=斉藤 慶
着つけ=大久保信子 北村百合子
アトリエ IKKO

「立春」◎2月4日頃

「雨水」◎2月19日頃

「啓蟄」◎3月9日頃

「春分」◎3月21日頃

「清明」◎4月5日頃

「穀雨」◎4月21日頃

「立夏」◎5月6日頃

「小満」◎5月21日頃

「芒種」◎6月6日頃

「夏至」◎6月21日頃

「小暑」◎7月7日頃

「大暑」◎7月23日頃

「立秋」◎8月8日頃

「処暑」◎8月23日頃

「白露」◎9月8日頃

「秋分」◎9月23日頃

「寒露」◎10月8日頃

「霜降」◎10月23日頃

「立冬」◎11月7日頃

「小雪」◎11月23日頃

「大雪」◎12月7日頃

「冬至」◎12月22日頃

「小寒」◎1月6日頃

「大寒」◎1月21日頃

【最初の画面】