05[清明]せいめい 4月5日頃
関東以西では桜の花の咲き誇っている時期です。
清明とは、春先の清らかで明かるいという意味です。生き生きとして、希望にあふれる日々でもあります。草木に生命感が脈打って、万物が活動を始め、将来の展望も明かるい、何もかもが喜びにあふれます。

一越縮緬が優しい
希望に胸躍る季節。子どもたちは、入園、入学、就職。大人たちも栄転や受賞パーティーなどが相次ぎます。
 華やかな色を身につけたくなったり、逆にシックな色で落ちつかせたくなったり、やはり閉ざされた季節からの反動は、人びとを個性的に飾るようです。
 江戸時代の大名は、この時分に裃を新調したりする習慣もあったとか。それにちなんで江戸小紋を身につけるのも味があります。
 というのは、江戸小紋の中でもさらに細かい裃小紋という柄は、すべて江戸時代の大名裃がそのルーツです。
 とくに春の花が盛りのこの頃は、花柄きものや帯は実物の花に敬意を払い、幾何学文様や古典・有識文様などのコーディネートで身を包む方が落着きます。
 装いの基本は自然と人との共存共栄だと思うのです。自然界が思い切り華やかでパワフルに生きているとき、人は少しひかえ目にして、そのエネルギーをしっかりいただくという姿勢が美しい。
 この季節のきもの地は、一越縮緬のようなドレープの美しいものが季節に調和します。
 紬を着るのであれば、光沢のある平織を。綸子地も優しい雰囲気を味わせてくれます。
 半衿は塩瀬羽二重、長編絆も綸子が春らしい。裾よけも軽い羽二重を。

◆入園入学のこの季節に、黒紋付の羽織が一枚あると便利です。羽織姿の美しさは、母親の優しさをより強くアッピールします。
◆きものは花鳥風月という文字を錐彫りにした江戸小紋。帯は南蛮絵うつしの文様。

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