09[芒種]ぼうしゅ 6月6日頃
本来はこの時期に稲を植えました。もちろん現在でも、この頃田植が盛んです。しかし人手不足の折り、連休中に田植をする農家が多くなっているのも現実です。穀物の種を蒔くのに丁度良い時節ですから、農家は大忙がしの毎日です。ぼつぼつ桜ん坊の赤い実がおいしくなる頃です。

絽紬を
軽やかな素材を着て歩きたい。また雨模様の天候が多くなりそうなこの時期、縮む生地は敬遠したい。そんな希望を叶えてくれるのは豆大島、そのほか薩摩絣のような木綿のきものや絹縮などでしょう。
 また紗合わせというきものも捨てがたい味があり、芒種の頃には重宝をします。
 紗と絹を合わせたきもので、涼しいけれど暖かい、つまりこの時期の気温の差にめげず着る人のからだを、しっかりと守ってくれるきものなのです。
 帯は生絹(ききぬ)または生紬(糸のセリシンを除いていないので、シャキッとした風合が楽しめる)や絽縮緬、麻縮、絹もぼつぼつ出番。
 地球全体が温暖になっています。無理をせず気温に合わせた素材選びをすることの方が大切なことだと思います。
 晴れた日はほとんど真夏日、曇りの日はむし暑く、雨の日は寒い、こんなくりかえしの中では、通風性のある素材を選び、肌の呼吸を楽にする下着選びも着心地のよさを追求する条件のひとつです。
 麻の長襦袢、紗や絽の二部式襦袢もぼつぼつ準備し、その日の気温によっては着用するのもよいと思います。またこのときの麻は、白ではなく何色かに染めたものの方がきものによく映ります。
 半衿は絽縮緬、絹紬、楊柳、絽など。この時期重宝する長襦袢は絽縮緬や紗です。
 夏用の紗素材の雨ゴートの用意も忘れずに。

◆きものは夏大島の生地に、横やたら縞を手描きしました。帯は夏にひと足早いホオズキの柄。秋の彼岸まで締められます。

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