19[立冬]りっとう 11月7日頃
日差しが短くなって、陽の光も一段と弱く北の地方からは、ちらほら雪の便りも聞かれる頃です。北の宝、リンゴも店頭に並びはじめます。
カニやブリもおいしくなり、家庭では鍋物料理が食卓に。
まだ寒さはさほど厳しくないので、外出する機会もまだ多い頃です。

コートの用意
赤いリンゴ、朱色の柿、橙色のみかんと暖色系の果物が店頭を賑ぎわせます。
 日本の色は、植物から色名をとっていることが多いのです。柿朱色、橙色などそのものずばりです。これらをみても、私たちの先人が、如何に自然を観察していたかが窺えます。
 この時期自然界は葉が藩ちて色がなくなりつつあるのです。そこにこんな暖かい色の食べものが出てくるのですから、なんと色に恵まれた民族でしょうか。
 浅い冬の陽だまりが、心を落着かせることも多いのです。そんなときだからこそ、強い色ではなく、優しい温かみのある暖色を身につけると、そのきもの姿の人が傍にいるだけで、周囲に温かい波動が流れてゆくようでゆったりとします。
 きものは紬や縮緬が主流となり、温かいコートも手離せません。羽織も素敵です。最近は丈の長い羽織ガ流行しつつあるきざしでこれからの装いが楽しみです。
 羽織はひざぐらいまでの長さが全体のバランスがよいようです。素材はしっとりとしたもの、軽いけれども重いという感覚が、羽織姿をしなやかに見せます。つまり帯下から裾に至るドレープが美しいと羽織姿は満点。
 きものより、羽織が濃い方がスッキリとしますし、羽織紐は羽織の地色と離れない方が邪魔になりません。乳下がりという羽織紐のつく所は、帯締めの線よりやや上くらいが収まります。

◇国産の最高の絹といわれる、あけぼの縮緬に朝やけを刷け染めしました。朝日の輝きを染めて、帯は古代縮緬に遠州椿を手描きしたものです。帯留めは金とプラチナで椿を彫金で作ったもの。
◇遠州椿の柄を縮緬地に手描きをしました。この文様は格式の高い柄ですので、きものも付け下げや小紋、訪問者に締められます。10月から3月まで。

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