21[大雪]たいせつ 12月7日頃
山の峰が雪に埋もれてくる頃を大雪、文字通り本格的な雪のシーズンの到来です。
上越地方の雪国は、このあたりから、くる日もくる日も雪が降り、その雪のお陰で、おいしいお米が穫れるようになるのです。
北風が強く吹き、街路樹の木の葉を散り急がせます。

ふくれ織の半衿を
真綿を紡いだ結城紬がなにより恋しい季節です。天の虫「蚕」の贈りものの糸、それを紡ぐ人、織る人。結城紬が一反織りあがるまでには、多くの人たちの手のぬくもりが伝えられるのです。
 きものの魅力のひとつに、「手仕事」があげられると思います。機械化されたとか、コンピューター化されたとはいっても、肝心な部分は常に手を用いて作られています。  最近は、帯の柄もコンピューターを駆使して、こみ入った柄などは、手でつくるより正確に表現していますが、それでも人が傍らで手助けをしなければ、よいものは織りあがりません。やはり手と手を結ぶものです。
 この時期のお出かけはコートにショール。北風から肌を守るためには、ウールのコートやショール、ときには毛皮も必要かも知れま
せん。ただ重いものは、帯の形がくずれたり、衿もとが折れたりしますので、無理のないデザインを考えなければならないでしょう。
 帯は織り帯が中心で、染め帯の場合は縮緬地が暖かそうに見えます。きものを着る人の数が少ない昨今では、着ている本人の満足感と、それを眺める人たちへのサービス精神も必要かと思います。
 半衿は縮緬やふくれ織。胸もとをふっくらと着るには、長襦袢の衿を広衿仕立てにするとうまくいきます。
 いよいよお正月への準備も始まります。きものを着ての外出には、草履の鼻緒をゆるくしておくとつかれ方が少ないようです。

 紫と黒の縞を斜めにデザインした無形文化財の結城紬。帯は正倉院文様を織り出した袋帯。洋服でいえばスーッ感覚の装い。

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