15[白露]はくろ 9月8日頃
早朝、野草に宿る甘露が美しい候です。それでも昼間は残暑が厳しく、まだ夏気分が抜けません。しかし、夕方になると渡り鳥がぼつぼつ移動を始めまた蜘蛛が巣囲いを懸命におこなっている姿を目にしたりもします。
 自然界は冬に向けての準備が始まりました。農家も収穫の時です。

単衣の着始め
秋のおもむきひとしおです。平絽、麻、紗のきものは洗濯に。これからしぱらくは絽紬や上代絽、そして紬縮やお召類が主役です。
 長襦袢は平絽や絽縮緬ですが、湯文字や肌着の下着類は木綿の方が温かくなります。 また南北の長い日本では、沖縄の方はまだ盛夏の装い、東北や北海道ではこの日から単衣に替えていく人も多いようです。
 その場合も、単衣のときは色は淡くても秋らしさが出ますが、絽紬など、まだわずかでも夏の名残りのある素材の場合は、濃い地色にした方が季節感が出ます。
 気温によっては、この日から単衣を着るという考え方もいいようです。それでも昼の太陽は強烈ですし、秋の陽ざしの方が肌に吸収されやすいので、パラソルは手離せません。
 半衿は楊柳や絽縮緬、帯揚げもそれに準じます。長襦袢も楊柳や絽縮緬が肌にサラサラと気持ちがいいものです。
 このあと敬老の日あたりからは、完全に単衣を着るような気温なっていきます。柄は秋草や秋の虫、渡り鳥などがテーマになってきます。
 色に関しては、自然界がどこか疲れた色ですので、黒っぽいもの、また逆に夕やけ空のような古色、紅葉した輝かしい色を身につけると自然の色とマッチします。
 帯は紗袋、絽綴、くし織などの織り帯や、絽縮緬や生紬、科布(しなふ)などの植物繊維の帯を合わせます。

◇きものはトンボ柄の絣の本場結城縮、帯はやはり赤トンボを織り出した能州紬の紗袋です。
◇藍染めの帯揚げ、帯締めが効いています。
◇夏から秋に向かうときの髪型は、両脇をきりりと持ちあげて涼しく、トップにボィントを置いて、さわやかさを出します。

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