10[夏至]げし 6月21日頃
一年のうち、最も昼間の時間が長い日です。昼間の短かい冬至の日と時間を比べると、東京の場合、四時間五○分も冬至の日より昼間の時間が長いのです。活動的で、明かるい、そんな気持ちの日々といえます。
しかし、この頃は梅雨の真っ只中。うっとうしく肌寒い毎日です。

絽紬が雨に強い
梅雨はすべてがどんよりと重い色に統一されてしまいます。そういう雨の中の、陽紫花の藤色、くちなしの白の色が、心にほのかなやすらぎを与えてくれるようです。
 自然界のバランス感覚は素晴しい。人間の目を色でなごませ、香りで心を豊かにしてくれる、その自然界の色を眺めていると、装いのヒントとなる色の教えがたくさんあります。
 例えば、日に日に濃くなる緑葉の中に、竹の葉の優しくてやわらかい薄緑を見つけると、心が優しさに包まれます。
 また小さな小さな野イチゴの赤に可憐さを見つけ、路地に咲く藤色や黄色の野菊に愛しさをおぼえます。
 毎日呼吸をしている自然の中で、自分自身が深く感じとった色や形こそ、それがいちばんその人に似合うものだと思うのです。
 さて着るきものは上代絽や絽紬が最適。涼しくて、しかも雨にあっても縮みません。紗のきものも長いのですが、風通しが良すぎてまだ寒いかも知れません。
 気温や湿度によりますが、長襦袢は麻や紗または絽縮緬がいいようです。礼装用以外は二部式がおすすめ。
 またこの時期の結婚式は悩みの種です。絽紬や絽の素材の式服が良いのですが、冷房が効き遇ぎて……。二枚襲ねに仕立てておくと見た目は夏、着ている人は春といった具合に。
 半衿は絽縮緬、平絽、たて絽になっていきます。帯は紗袋、絽縮緬、絽、植物繊維帯を。

◆きものは絽紬の生地に、破れ麻の葉を小紋染めしました。若竹の葉色がすがすがしい。帯は露芝文様の紗袋です。
◆若々しい髪型は、横顔をスッキリみせることです。ストレートの髪型でも、脇をキュツとあげると涼しさが出ます。そして首すじが少しでも見えるようにするのがコツ。

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