13[立秋]りっしゅう 8月8日頃
立春からグン、グンと上った気温は、立秋の頃にピークに達します。 全国各地で、四○度とか四二度など、人の体温より高い気温が出るのもこの頃。しかし、立秋を境に少しずつ秋の気配を感じるようになります。雲の形も、夏の入道雲から秋雲に変化し、耳をすますと、みんみん蝉の声。

秋草の柄を着る
暑い、やはり暑い。立秋とは名ばかりの残暑の厳しさです。手紙の書き出しも、暑中御見舞から、残暑御見舞に変わります。
 秋へ秋へと気持ちはいくのですが、からだは暑さにぐったり、その落差のためにイライラして、ストレスのたまる人も多くなるのです。
 秋が恋しいという気持ちを大切に、この時期からきものの柄は秋草にします。現実の暑さを、きものの柄でホッと落ちつかせる、こんなきものの装いが、私たち先人からの知恵でもあるようです。
 気温は盛夏ですが、見た目は秋。これがきもの美学の真髄でしょう。
平絽、絽縮緬、そして、もし麻をまだ着る場合でも、柄は秋草、せめて帯だけでも秋の柄にします。
 色は白や生成り色がまだ陽ざしをはねかえす色ですし、濃い地色のものも涼し気です。紫外線カットの日傘も大切な小道具。
 汗ジミも気になるところです。夏のきものは袖つけの寸法を短くし、身八つ口を十二分に明けて、風通しをよくしておきます。身八つ口から身八つ口に吹き通る空気は、からだの温度を下げて、汗を蒸発させるのです。身八つ口を閉めてしまわない着つけが肝要でしょう。
 汗ジミができたら、質のよい水で霧を吹いておくと取れますが、ひどいときにはプロにおまかせすることが肝心です。

◇きものは平絹に秋草模様を手描きした訪問着。帯は撫子の色に合わせた優しいピンクの紗袋の帯です。
◇夏の長襦袢は、表に着るきものの素材と合わせるのが、素敵に涼しく着るコツです。平絽、粋紗、楊柳、絽縮緬、たて絽、麻、夏の長襦袢

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