12[大暑]たいしょ 7月23日頃
暑さ最高潮。大暑は、じっとしていても汗がタラタラと流れるような日。
夏の土用はこの節気にはいり、じりじりと照りつける太陽、一方で強い冷房の中と、交互に体験する毎日に、人々は体調を崩しがちです。また桃、ぶどうなどの甘い果物が出そろって、その甘さを口に含み疲れをいやします。

罹織りの帯が涼しい
この酷暑の頃は、麻のきものしかありません。日本の夏は湿気が多いものですから、暑さもひと通りではありません。
 麻のきものは風通しがよく、しかも肌にくっつかないので、暑い夏になくてはならないもののひとつです。
 麻とひと口にいっても、大麻、苧麻(ちょま=からむし〉と種類があります。二○○デニールの細さを誇る昭和村のからむしの糸は、重要無形文化財の越後上布や宮古上布の素材となっており、素晴らしい着心地です。
 平織の麻、縮み織の麻、そのいづれも夏には最適。からむし糸も大麻の糸も総じて「麻織物」と呼んでいるのが昨今です。
 麻を着るときは、もちろん上から下まですべて麻素材にします。半衿、足袋、腰紐、下着もすべて麻にすると涼しく、しわを気にする方は、携帯用のスプレーに良質の水を人れて持ち歩き、しわになれぱ、シュッシュッと吹きつけておきますと、しわはすぐ取れますし、ひんやりとして動く冷房機となります。
 しかしそれも酷暑の間だけ。麻はひんやりと肌に冷く、汗をかいてもすぐ乾き、家に帰ったら、洗濯機で洗っても大丈夫です。
 糸を大切にしたい方は、良質の麻の場倉スダチやカボスなどの食物酢をしぼり、水で薄めてヒタヒタになるように一晩つけておくと、汗もシミもきれいに落ちます。
 帯は羅織りや麻つづれが心地よいものです。

◇きものは昭和村のからむし糸で織りあげた、会津上布。◇帯は紙布織った羅織りの八寸帯です。夏に涼しいひすいの帯留めを使用。

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