01[立春]りっしゅん 2月4日頃
二十四節気は立春から始まります。冬と春の別かれ日で、節分の翌日にあたります。この日を年越しと考える風習もあって、新茶の八十八夜や、稲の稔りの二百十日や二十日は、この日から数えます。冬の真っ盛りにありながら、芽ぶきが始まり、土もぬくもり、春の兆しを肌に感じます。

塩瀬の帯登場
立春の声と共に、春らしい明かるい装いを楽しみたいものです。この季節は、自然界にまだ「色」がありません。ひと足早く、きものにまろやかな花の色を用いると心が浮き立ちます。
 春の花は黄色、白、藤色、紅色と色づきます。その花の色をいち早く身につけることでまわりに春を感じさせるのも、きものを着る醍醐味といえそうです。
 しかし外はまだ冷気。雪だって積もります。この時期に着るきものは、真綿から紡いだ暖かい紬がいちばん。また、自然から載いた草木染の色が目をなごませます。
 暖房設備の無かった昔は、この時期は真綿を薄くのばした綿を、裏地ときもの地の間にしのばせていたそうです。
 下着は紅花染がおすすめ。毛細血管を刺激しますので、血液の循環がよくなり、からだ中が暖まります。通常の下着より五度は温かいといわれています。
 裾よけは縮緬か綸子、寒い地方の方は、ネルを使う場合もあるようです。袷にした裾よけも温かいものです。
長橘梓は袷、または居敷当てをつけたもの、生地は一越縮緬や綸子にして暖かく着ます。
半衿は縮緬、ふくれ織、塩瀬羽二重、足袋も木綿袷が暖かい。
中身を暖かくして外側の色で春を表現するというのがこの季節の装い方のようです。

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